830氏による強制肥満化SS
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「まず、書類に書くお名前はユウカ、で良いですね。」
???
阿藤の言う施設に渡す書類を埋める必要がある、ということになったのだが、阿藤がわざわざ名前を確認してくる理由がわからない。
念のためと、佐野佑香のユウはにんべんに右です、と思い切って口にだしてみたが意味が無かった。
名前は漢字では書けない上に、姓を書く欄も無い、そういう書類だということだった。
わざわざ喋った挙げ句、余計な事を言ってしまった。
罪悪感のようなものが残り、わたしは口をつぐむ。
「変だとお思いでしょうが、プライバシーの観点から、施設側は医療上必要なデータ以外、つまり佐野さんの個人情報は一切把握できないような仕組みになってるんです。安心でしょう?」
何で秘密にしておくんだろう・・・?
「いくら医療とはいえ、見知らぬ人に対して・・・ 素肌をさらすのは抵抗無いですか?」
全然考えて無かった!
このままの状態で行くんだろうとは思ってたけど、そんな事思いもしなかった。
裸が当たり前になってしまったとはいえ、それはあくまで阿藤の前では当たり前になっているだけだった。
その施設には阿藤以外の人もいる、阿藤の言葉にはそういう含みがある。
いや、そもそも阿藤は居ないのかもしれない。
「だから匿名の人もいるくらいなんです。」
その後しばらく健康状態について問診が続く。
大丈夫です、そう応えるだけの形式的な問いに、わたしはただ頷くのだった。
そして最後にまた触診があった。
羞恥心でまたも鼻息を荒くしてしまうわたしに、阿藤は固形のミルクをまるでご褒美とばかりに与えるのだった。
こうして、ミルクのある何処かへ行くためのチケットが出来上がった。
行くというよりは堕ちるといった方が正しいという事をまだわたしは知らない。
「さてと、じゃあ行きましょうか。」
途端にハーネスに力が掛かり、体が少しだけ持ち上がる。
内腿に阿藤の手が触れる。
恥ずかしいですか? 阿藤はそういってミルクの欠片をこまめに与えてくれる。
太っている体に触られるのはもちろん恥ずかしいのだが、それが気持ちいいと感じてしまう。
触診でも明らかになってしまっているように、肉の感触が性感に繋がっているのはもう否定できない。
阿藤は丁寧に肉をどけながら、四つん這いのわたしの下に何かを潜り込ませる。
ハーネスにかかる力が弱まり、下ろされると、私はその物体を抱えるような形になった。
ひんやりとした感触が、物体の金属っぽさを予感させた。
その物体が私の体の下に入ると、余分なスペースなんて殆どない。
物体と私の体の間に肉が詰まっている、そんな風に感じる。
両手と両足と体のその物体の間、肉と肉が圧迫されて逃げ場を探して満ち満ちている。
その物体の長さは、足の間から手まで届くくらい、四つん這いになった私の体と同じくらいだった。
表面は滑らかで、多分円筒形。
・・・違う。手の辺りから急に径が細くなってる。
頭を動かしてその先がどうなっているか探ると、思いがけないものがそこに合った。
これ・・・ いつもの飲み口だ・・・・
わたしの肉が包み込んでいる、それは巨大な哺乳瓶のようなものだった。
「いつものだと安心するでしょう?」
私が昼夜となく、無我夢中で吸い続けていたもの、それは巨大な哺乳瓶の乳首だったのだ。
巨大な哺乳瓶で肥育される家畜化された人間、頭の中に浮かんだ構図の異常性にもかかわらず、わたしは濃厚なミルクを期待して喉をならしていた。
新しい事をするときは大抵濃いミルクが貰える気がするのだ。
そして、誰に言われるでもなく、哺乳瓶に抱きつくようにして乳首にしゃぶりついたのだった。
ハーネスからフックが外され、体に何かネットのようなものがかかる。
そのネットは床にも敷いてあり、丁度、わたしの体と哺乳瓶を一緒に包み込むような形になった。
やがてネットはジワジワと締まりはじめたが、わたしは中々気がつかない。
しゃぶりついたものの、ミルクが一向に出てこないのだ。
哺乳瓶を揺らすと、中にはたっぷりミルクが入っているのが分かるだけにもどかしい。
体を覆うネットに気がついたときには、既に殆ど体を動かせない程、体に食い込んでいた。
続けて、ベルトのようなものが掛けられ、2重、3重に縛り付けられてしまった。
流石に苦しさから声が漏れる。
「少しキツくても我慢してくださいね。あと、トイレも到着するまでは我慢です。」
そう言われてから、数分か数十分かわたしはそのまま放置されてしまった。
その間に、これはきっと梱包なのだ、とわたしは直感的に理解してしまった。
わたしはこのままの状態で物のように扱われ、運ばれるのだ。
ネットとベルトは肉の感触を倍増させる。
わたしは施設に到着するまでの間ずっと、肉の感触に苛まれ、嫌が応にも自分が肉塊であることを思い知らされるのだろう。
乳房が少し熱を帯びているのか、そこだけ哺乳瓶がすこし冷たく感じる。
周りの雰囲気が少し変わった。木の匂いや金属の匂いがする。
どぷっ・・・ 不意にミルクが出始める。
「さて、そろそろ出発なので、少しずつ出しますね」
ミルクが出てくると同時に脳内に快感が広がるのが分かる。
哺乳瓶の乳首を喉まで含んだ状態でネットに縛られて、頭は全く動かせない。
頭の中に直接快楽を注射されるような感覚。
あああ、これぇ・・・ これなの・・・
うんうんと、はずかしげも無く声を上げるわたしに阿藤が嬉しそうに言う。
「期待以上の成長曲線なのは、本当にミルクを気に入って頂いたお陰です。特に濃いものがお好きですよね。」
「でも、以前申し上げた通り、濃いと値段がかなり高いんですよ。」
「これまでの入院費を計算してみたんですが・・・ 一旦銀行口座から引き落とさせて頂こうと思ったのですが、既に足りないみたいでした。」
それでもいいからぁ・・・ もっと飲みたいのぉ・・・ ミルクがないとわたし生きていけないよぉ・・・
費用が足りなくなれば肥育自体が出来なくなる。
口座の残高が無くなるということは、もちろんそれどころではない一大事なのだが、頭の殆どをミルクの快感が占めて、考えがそこまで至らない。
「大丈夫。これから行く施設では、費用負担を低くを押さえるためのオプションもありますから。安心してどんどん飲んで下さい。」
「それに、佐野さんが蓄えた肉は向こうでは資産になりますよ・・・ 行けばわかります。それじゃあ、楽しんで。」
阿藤がそう言ったのを最後に、世界はわたしとミルクだけになった。
どぷっどぷっ、っと周期的に増えるミルクが、家畜に残されたなけなしの理性すら働かなくさせる。
あぁっじゅるあンフーああ・・・ あちゅぶあぁンフーあああんッ・・
ミルクをしゃぶる音と鼻息、自分の嬌声、
わたしの頭の中に響くのは動物的な音の混ぜ合わせだけになった。
「ああ、丁度今出荷するところだ。」
肥育室、部屋の真ん中には大きな木箱が置かれている。
作業服の男が、大きなハンドルの付いた搬送器具を差し入れ、今まさに木箱を動かそうとしている。
「先生、じゃあ、運びますんで」
作業服の男に先生と呼ばれた白衣の男は何処かに電話をしていて、問いかけにアイコンタクトとジェスチャーで応えた。
作業服の男の手により木箱は運び出されていった。
「準備しておいてくれ。一頭、肥育園入りだ。ああ。すごく良く出来てる。」
木箱の中身を示すのは、箱に貼られたラベル、
その文字や数字の列の中に埋もれたYUKAという4文字だけである。
身も心も家畜となり、社会との接点も経済的な自立も、顔も名前ももたないそれが、この間までは佐野佑香という人間として振る舞っていた事を知る物は阿藤ただ一人である。
外界と隔絶された箱の中に肉塊が一つ。
ミチミチに縛られたその肉塊は、ミルクの快楽と肉の感触に悶えながら、体の中と外から着実に熟成していく。
こうしてわたしは、ここへ来た時と同じ入り口から出され、来たときとは違うエレベーターに載せられ、肥育園と呼ばれるその場所へ運ばれていったのだった。
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