523氏による強制肥満化SS
『PhantomVision』
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俺は、パソコンの画面に釘付けになってしまった。
『はぁ〜〜 もう今日はつかれたなぁ〜〜』
画面に映し出される、憧れの子。
ライブ映像なのか、画面の中の彼女は、リアルに動き、リアルな表情を浮かべている。
「どういうことだ? これ、なんだよ?」
そう言って、俺は、手元にあるディスクケースを見る。
『PhantomVision』
手書きの字で、挟まっている紙に書かれたタイトル。
亡霊の目線、と思えばいいのだろうか。
『このゲームは、望みの人を見て、選ばせることができるゲームです』
最初の名前入力時に、俺は、好きな子の名前を入力した。
『このゲームは、亡霊のような目線で、望みの子の生活を見て、様々な事柄を選択し、関節的に操作するゲームです』
今、まさに俺は、好きな子の部屋に居る亡霊のように、見ているということになる。
「じゃあ、選ぶって…… なんだ?」
ソウ思っていると……
『はぁ〜〜 お腹すいたなぁ〜〜 そういえば……』
そう言って、彼女は、ごそごそと机の引き出しの一番下をあさりりはじめる。
A 御菓子を食べさせる。 B 我慢させる
画面に急に選択肢が表示される。
「……どうするかなぁ」
画面には制限時間も表示され、残り30秒になってしまう。
ここで、俺はあえて放置してみた。
カウントが0になると、強制的にAが選ばれ、彼女は御菓子を食べ始めた。
「ん〜〜 つまり、コレは……」
俺の頭の中でキュピーンという音が鳴り響く。
「俺の好きな子を好きなように弄くってその様子をリアルタイムで見ることができるゲームなんだなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
『はぁ〜〜 でもなぁ、最近間食が癖になっちゃったなぁ…… 体重…… 増えたらどうしよう……』
彼女は、その様子が見られていることに気がつきもせず、ため息混じりでポッキーを咥え、一人ごとを言っている。
このゲームにおける様々な事態に関して、一切の責任を取りません。
己の欲望のままに行動し、己に生じた責任は己でしっかりと償いましょう。
俺は、いつもと変わらず、何食わぬ顔で学校へと向って歩いていた。
「しっかし、昨日はたのしかったなぁ」
気がつけば、朝日が昇っているほど、あのゲームを探りとおしていた。
熱帯夜だったが、扇風機もエアコンもつけることすら忘れてしまうほどあのゲームには夢を感じられる。
「おかげで…… ねみぃ……」
教室にたどり着き、俺は教室の窓際一番後ろに座り、天井を見る。
「おっはよ〜〜〜」
聞きなれた声がして、俺は視線をおろし、教室の入り口を見た。
緋村皐月、クラス委員長。成績優秀、文武両道、容姿端麗、才色兼備。
身長168センチ、体重54kg
スリーサイズは、89/58/91のちょっと御尻が大きめの美女。
俺の憧れの人だ。
長い長い茶色の長髪をポニーテイルにくくり、その髪の毛をなびかせる姿は、ついつい見とれてしまう。
「はぁ〜〜」
「どうしたの皐月?」
ため息をはく皐月に友人達がかるく心配そうな顔をしている。
「最近間食とまらなくてさ〜 夏で暑いし、なんかちょっとやばいかなー」
昨日の部屋でのことを友人に話しているのだろう。
聞き耳を立てようと頑張ってみるが、残念ながら教室にクラスメイトが登校してきたため、話を聞き取ることが困難になってきた。
「仕方ない…… また今夜、見てることにするか……」
「何を見てるって?」
俺の隣から声をかけられ、ソッチを見ると、
「ナンだ、お前か……」
俺の悪友、信吾がにやけている。
「その様子だと早速、昨日やったゲーム試してみたっぽいな」
PhantomVisionを俺にくれたのは信吾だ。
なにやらとあるスレに昔話題になっていたとあるプログラムを独自に改良を加えて作ったゲームらしいが、正直一種の魔法にしか思えない。
「まあな、でもよ、あれ一体なんなんだよ」
「ん、まあ、己の欲望に従うゲームさ」
そう言ってにこやかに笑う信吾に背筋がぞっくっと寒気を訴えかける。
何しろ、こいつの欲望は異常だ。
付き合いが長い悪友の性癖というか、壊れっぷりには俺もあきれてしまう。
チャイムが鳴り響くと同時に、教室に悪臭が漂い始める。
「ひっふ、ひっふ……」
荒い息遣いで、教室に入ってくる一つの肉。ウチの担任だ。
4月のクラス替え当時はすっきりとして美女だったのに、4ヶ月の間に急激に太りだして、今ではもう美女の見る影もない。
うわさで聞く限り、150キロ近くあり、汗が止まらないらしい。
もう毎日教室に来るだけで汗まみれになってしまっているし、黒板に字を書いても、お腹でこすってしまって、黒板が読めない。
無論、教室の中に汗臭さが充満してしまうから今では不人気教師NO1だ。
「ぜぇ…… ぜぇ……、しゅ、出席…… とりま、す」
たった数十センチの教壇に登るのすら苦労する体で、先生は途切れ途切れになりつつ、汗臭さを撒き散らしている。
俺は、ふと、隣にいる信吾が机の中に手を入れ、何かをしているのに気がついた。
「何してるんだ?」
小声で尋ねてみると、信吾は手をすっと抜き、俺に特製のポケコンを見せつけた。
正確にはその画面。
そこには、先生が映し出されている。
「まさか、おまっ……」
そう言っていると、教室の前のほうが騒がしくなる。
すぐさま、先生を見ると、ブクブクの体が今この瞬間にさらに肉が増えている。
しかも、なんだか、顔の様子がおかしい。
「ふ、ふごぉ…… み、みんな、ど、どぶひたの?」
本人は気がついてないのか、ダルンダルンの体を揺らして、きょとんとしているが、その体は確実に太っている。
しかも、鼻がつぶれ、まるで豚のようだ。
「おい、お前何したんだよ……」
俺はこっそり信吾に声をかける。
「ん、PhantomVisionを使っただけさ」
それは分かっている。しかし、目の前で変化しているのを見て、納得がいかない部分がある。
あのゲームは見て、選択させるゲームだと思っていたが、それだけではないのか?
それに、さっきまで、騒いでいたクラスメイト達が……
「豚先生、さっさと出席とってくださいよ、くさいし、暑苦しいですから〜」
「ひゃ、ご、ごぶひゃん、じゅ、じゅっぜぎとりまぶ」
まるで、先生はモトモトそう言う体だと思っているのか……?
納得いかないこと、理解できないことは沢山あるが、今信吾に聞くわけにはいかない。
おとなしく、俺はホームルームを受けることにした。
さらに汗臭くなった悪臭を、我慢しながら……
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