364氏による強制肥満化SS
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―――――――それから、更に半年後。
「キャーーーーーッ!!!! どういうことよこれっ!!!!!」
イギリスから一時帰国中の凛が脱衣所で大声を上げる。
「もーイヤッこの家…! たったひと月滞在しただけで8キロも体重増えちゃったじゃないの!!! どうしてくれるのこのお腹!!!」
黒猫柄のパジャマを捲り上げると、ぶにょっとたるみ始めた腹肉が、しっかりウエストゴムの上に乗っていた。
自慢の足や華奢なはずの二の腕も一回り太くなって見える。
「遠坂がイギリスの料理はまずくて食べれたもんじゃなかったって言って、うちのメシをどんどんどんどん食べるからだろ… ちょっとのことでも全部俺にやらせてゴロゴロしてばっかりで。人のせいにするなって」
「う…!!! じゃ、じゃあこれは!!!これはどーなのよ!!!」
図星を疲れて真っ赤になった赤い悪魔は、アイロンをかける士郎の横でもくもくとシュークリームを頬張る物体を指さした。
「むぐ…? わたひははいいんですよぉ、リン。わがマスターのゆるしをえて、こうひているのですからぁ… ―――げふっ。」
セイバーの体重はなおも順調に成長中。
小さな体はまんまるの肥満体型となり、もはや正座も出来なくなった足を無造作に伸ばしたまま、8つ目のシュークリームを口に運ぶ。
襟元は、立派な2重顎の首まわりに更に肉が付いてきたため、第1ボタンまでを空けてゆるくタイを結んでいた。
上品なブラウスに包まれた巨腹はますます前に横にとせりだして、ボタンの隙間から常に肌が覗いている。
ジャンボサイズのウエストゴムの青いスカートも、既にウエスト部分が伸びきって悲鳴を上げており、この分では、今の服が着れなくなるのも時間の問題だろう。
西洋人であるセイバーの体は日本人より過度の肥満にも適応しているのか、まだまだ育ちそうな勢いだ。
「あのセイバーがこーんなデブデブに太っちゃって!!! こんなん居たら、思わず油断しちゃうってもんでしょーが! だいたい、桜だって会うたびに太くなってるんじゃない?!!!」
「わ、私は、これは…」
姉の容赦ない攻撃に真っ赤になった桜がもごもごと口ごもる。
半年前、セイバーに勧めた大きな服のカタログは、その当時、
だんだんと太り始めて可愛らしい服が買えなくなった桜が思い切って取り寄せたものだった。
元から少しふっくらしたタイプだった桜は、今では腹まわりや背中の肉の段がはっきりと分かるような中太りのぽっちゃり体型になっている。
そういえば、藤ねえもこのごろしきりと体重を気にしているな… と思い当たった士郎は苦笑する。
このままでは相撲部屋のような家になってしまうかも。などと想像すると、むしろ何だか楽しそうでもある。
亡き義父の遺産のお陰で比較的裕福な衛宮家だが、食費のためにもしっかりバイトに精を出さなくてはいけないと、心密かに誓う士郎であった。
「あーもうっ! こんな体になるなんて絶対いや! 早く痩せなきゃ… ってセイバー! 私の分のシュークリームまで全部食べたわね!!? 士郎! あんた責任とって買ってきなさい!」
「ええー!? ったく、なんで俺が…」
聖杯戦争が終わって、一年が経つ。
沢山の辛いことを乗り越えても来たはずだが、今はすっかり、平和ボケの衛宮家だ。
丸くふくよかになったセイバーの体は、それくらい平和であって欲しいという士郎の願いの結果なのかもしれない。
そう結論づけて大きな腹をさすると、我らが喰いしん王はゆっくりと食後の眠りに落ちていくのだった。
【終】
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#型月,TYPE-MOON,Fate,セイバー,遠坂凛,間桐桜