裏道氏による強制肥満化SS

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792氏『悪魔との契約』派生作品

 

 

都心から数時間ほどにある田舎町。
この1年後に魔王となる『ある異常な悪魔』と『悪魔のような青年』の魔の手が届いていない町。

 

(ある女子校、とある教室の談話)
「となり町の○○ちゃん、見た!?」
「見たよぉ・・・驚いたぁ、人ってあそこまで急に太るのぉ?」
「受験ストレスとかって噂だよぉ……怖いよね、明日は我が身かも!?・・・なんてね」
「やだもー」

 

このグループから少し離れた所に居る少女は憂鬱な顔で空を見ていた。
「あれじゃあ、今頃見せ物扱いかしらね。お気の毒様」
                見せ物、イイナ。次にウツロウ。ヒヒ・・・

 

「その笑い方、止めてくれる?」
ヒヒ、止められない。笑いが!トマラナイ!!ヒヒヒヒ!!

 

 

都心から数時間ほどにある田舎町。
『ある狂った悪魔』と『悪魔のような少女』の思惑が動き始めた町。

 

 

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この話の一日前。

 

私は誰もいないリビングで菓子を食べつつ雑誌を開いた。
そこにはピンクの毒々しい文字で大きな見出しである記事が載っていた。

 

「肥満の街」

 

わずか一年間で急激に肥満化した女性が増えた街。
内容は何人かのインタビューや、数年前とのビフォーアフター。
一通り読んでの感想は「コレはひどい」につきる。

 

しかし、私はその街に心を焦がされる。
「この街なら・・・私なんか痩せてるんだろうな」
自分の身体を見つめて呟く。
まるまると肥えた身体。小学生の頃はよく「小豚」って悪口を言われたっけ。
そして、今の私のあだ名はただの「豚」である。

 

この体型故にいじめに遭い、不登校になって一ヶ月が経とうとしていた。
体重は当時よりさらに増え、腹肉はだらしなく段を作り、だんだん閉まらなくなっていく両足にさらに絶望を抱く。

 

「この街みたいに、周りの子がみぃーんな太れば良いのに・・・」
馬鹿らしい言葉、今日もこんな戯れ言は誰にも聞かれる事は――

 

            そうなのか?その望みを叶えたいのカ?

 

「っ誰!?」
            俺の名前はベリア、悪魔ベリア。お前の願いを叶エサセテモラオウ!

 

その言葉を聞いた瞬間、コイツがなんだろうと、ただの幻覚ならそれでいいと考えて話を聞き始めていた。

 

 

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『ゲフ・・・お前の復讐心は凄い量ダッタゾ、ほら報酬ダ』
ベリアがそう言うと、私の身体が黒い靄に包まれた。靄が消えた頃には・・・

 

「これが、私の身体?」
この光景は幻覚だろうか、この喜びは夢だろうか。

 

悪魔ベリアの力で、私は暗い喜びに包まれていた。
鏡に映るモデルのような体型、私から『醜さ』を奪い取った姿だ・・・。

 

『気に入ったカ?』
「ええ、もちろん。で、さっき言ってた私のする『仕事』を教えてくれる?」
『コレから先は俺の主食、人の絶望を食わせてモラウ』
「まかせてよ、沢山ご馳走してあげる・・・フフフフ!!」

 

 

草木も眠る丑三つ時、生まれ変わった少女は獲物を探しに闇へと走り出した・・・

 

 

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「ここがあいつの家・・・素敵な夢、見せてあげる」
少女がやってきた家の表札には『神宮寺』とあった。
それは、中学校の頃にいじめの先導者となった少女の名字。
高校では別の学校になったが恨みは消える事は無く、少女が能力を得て真っ先に思いついた相手がこの家だった。

 

少女が手をかざすと黒い靄が一つの部屋に吸い込まれていく・・・

 

(神宮寺 マヤの夢)

 

うー・・・周りが五月蝿い。
低い、獣のようなうなり声が聞こえてくる。

 

ヴゥ、 ヴゥ、 ヴゥヴゥ。

 

・・・『ぶぅ』? 豚の鳴き声?ぼんやりとした頭ではろくにものを考える事も出来ない。
目をこすろうと腕を上げようとしたときだった。

 

ジャラン・・・ガキィ!
「えっ・・・く、鎖!?」

 

気づけば私は寝間着姿のまま四肢を鎖でつながれて、畜舎のような・・・
いや、中学校の体験学習で見た畜舎そのままの場所に居た。

 

「やっ、外れない!」
暫くの間暴れてみたが、柱はしっかりとした造りでびくともせず、ジャラジャラと五月蝿く鎖が鳴るだけだった。

 

「み・・・水・・・」
むしろ暴れるだけ疲れ、喉が渇いてしまった。
近くに見える給水機のようなものから手に水を汲み、のどを潤す。
「うぇ・・・ま、不味い」

 

味はただただ酷く、薄めたスポーツ飲料水のほうがまだましだ。
「ったく・・・口直し無いかな?」

 

きょろきょろと見回すと柵――少しばかり広めの木の柵――の向こう側に『何故か』ホールケーキが置いてある。疑問に思いつつも口の中の不快感は増すばかり。
手を伸ばそうにも手は前に出せるほど余裕を持って繋がれてはいない。

 

「・・・誰も見てないもの」
仕方が無く犬のように顔を突き出してクリームを舐めとる。

 

「んっ・・・レロ・・・!んぐっ、何コレ、凄く美味しい!!」
気づけば夢中になって犬食いのまま食べ始めていた。

 

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「んっ・・・ぷはぁ、んぐ・・・ハッ・・・はむっ」

 

神宮寺は気づかない。食べても食べてもケーキが減っていない事に。
「おいひぃ・・・あむ、むぐ、はぶっ」

 

味は飽きる事無く、食欲を制御する満腹感は麻痺し続けている。
「ん? 苦しい・・・ま、いっかぁ」

 

神宮寺は気づかない。首がもう横に回せなくとも、元より目の前のケーキしか見ていないのだから。

 

頭の中では『おかしい』と繰り返し警鐘は鳴っている。
それでも食欲はそのすべてを押しつぶし食べ続ける。
身体はたぷたぷと波打っても『気づかない』
足が開ききっているはずなのに肉があたっている事にも『気づかない』
「『気のせいよね』 んぁっ・・・むぐ」

 

神宮寺は食べ続ける、その身体を畜舎に見合う丸々と肥えた豚のようにしながら。

 

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「そろそろ十分かしら?」

 

       良い、イイゾ。奴の中に埋もれた絶望がミエル!サァ、早くアレを食わせテクレ!!

 

それを聞いて少女は指を鳴らす。パキン、という音はスイッチのように世界を反転させた。

 

 

「ぅ・・・苦し、苦しい!!」
最初に変わったのは来ているもの。ゆったりと(もうぴちぴちだが)していた寝間着はピチッとしたゴムスーツのような物に、畜舎は見慣れた公園に

 

そして、何よりも変わったのは・・・
「な、何よコレぇ!!?」     『気付き始めた』のだ。

 

夜は間もなく明ける。
「さぁ、楽しいショーの開演よ?」

 

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