710氏による強制肥満化SS

710氏による強制肥満化SS

 

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 ある日の衛宮邸。聖杯戦争も終わり、毎日を平和ボケして過ごしていた士郎たちであったが、相も変らぬエンゲル係数に悩んでいた。
そんな状況を見かねてか、凛と桜が共同してセイバー用の特殊なドリンクを作ってくれた。
なんでもかなり栄養価が高いため、たとえセイバーでも満足させられるだろうとのことだ。
「そういうわけで、はい!これ」
「・・・なんですかこれは」
それはどう見てもゲテ物にしか見えず、セイバーの嫌うジャンクフードの類を彷彿とさせるような粗末なものだった。
「何ってあなたのために作ったのよ!?」
「姉さんと二人で真心を込めて作ったんですよ?まぁそんなに嫌な顔をしないで一口飲んでみてください。意外と気に入るかもしれませんし。」 
セイバーは二人に説得されて渋々ドリンクを手に取り飲んでみた。
すると急に目をガッと見開き、まるで渇きを癒やすかのごとくガブガブと飲み干した。
どうやらお気に召したようだ。さもご満悦といった表情を浮かべている。
凛と桜の思惑通り、セイバーはもう満腹だという。
「気に入ってもらえてよかったです。」
二人も鼻高々といった様子だ。
「これでうちの家計も少しは楽になるな。」

 

次の日、士郎は地震の揺れで目が覚めた。正確にいうとそれは地震ではなかったが、その時は本当に地震だと思っていた。
「し、士郎・・・?士郎・・・?」
顔を上げると球体のようなものが枕元立っていて、彼に話しかけていた。
「セイバー!?どうしたんだその体!」
とは言いつつもおおよその察しはついていた。
何をやるよりもまず先に凛と桜に電話を掛けた。
初めはどちらかが何かしでかしたんだろうと考えていたが、二人とも何らかの心当たりがあるらしく、明らかに動揺していた。
なんでもあのドリンクは偶然出来上がった産物だそうで、本人たちは少し効能を実験しただけで大した毒見もせずに飲ませたのだという。
「そういうわけでぇ、ごめんなさい!!」
「お前ら・・・そんな物飲ませっプツッ!ツー、ツー、ツー・・・」
士郎が大声を上げる前に電話は乱暴に切られた。

 

同日、セイバーは部屋の隅で小さく(実際には大きく)縮こまっていた。
あの後、色々と試してみたものの全く意味はないようだった。元々サーヴァントの体系は変わらないはずだが、その法則もあのドリンクによって破られたのだろう。特にあの二人が作ったとあれば何があってもおかしくはない。
とりあえず魔力を消費するような激しい運動をしてみたものの、変化は見られなかった。
「セイバー、ちょっといいか?」
「え?・・・ふあっ!!?な、何をするんですか士郎!」
大きく突き出たまん丸のお腹をふにふにと揉んでみる。
お腹の肉の形が変わるたびにセイバーが甘い声を出すので、触っている本人も少し恥ずかしい。両者とも顔を真っ赤に染めており、何やら奇妙な光景である。
感触からも察するに、どうやらこれは魔力に関係なく、半ば受肉をしたように贅肉がまとわりついているということがわかった。
「なるほど、つまり魔力を消費するような運動ではなく普通のことをしなければいけないのですね。」
「そうだと思う、たぶん・・・。そうだ!プールに行かないか?ちょうど無料券も持ってるし、あそこでなら効率よく運動ができるぞ。どうだ?」
「それは名案です士郎!では早速いきましょう。」

 

 セイバーは元のスレンダー体系に戻ることを切望しているようだったので、士郎も本人の意思を尊重すべく、ダイエットに協力する姿勢を示した。
 そんなこんなで二人はバスに乗って近場のプールへと出かけることにした。

 

 最初は運動を兼ねて徒歩で行く計画をしていたが、セイバーは突然肥大化してしまった自身の体にまだ慣れていなかった。
少し体を動かせばすぐに息が上がり、大きく出っ張った胸と、デンと突き出た妊婦のように膨らんだ腹部のせいで自分の足元さえ見ることもできなかった。
 元来プライドの高い彼女にとっては、自らに落ち度はないとはいえ、その光景自体が彼女の誇りをズタズタに切り裂く拷問であるように思えた。
 くさっても元騎士王であり、英霊でもある。
幾度となく死線を潜り抜け、殺伐とした世界を生きてきた彼女にとって、今回の事件はとても奇妙なものであった。
 厳しい騎士生活を続けてきた彼女が、一生のうちに自分のこんなブヨブヨにたるみきった姿を目にすることになるとは想像もしなかっただろう。
セイバーの頭の中では、そのような異常事態にいまだに思考が追いついておらず、あまりにも現実離れしたこの体を、まるで彼女とは全く別の「もの」であるかのように捉えていた。
 それと同時に、最も信愛すべき人の視線が、全身恥部と化したプライドの塊である彼女の体に注がれているのを気恥ずかしく思っていた。
 当の士郎はというと、最初こそ驚いたもののすでにその状況に慣れてしまったらしく、
彼女に対する負の感情などは微塵も持ち合わせてはいなかった。
 むしろ彼女の新しい側面を発見して、心なしか喜んでいるようにも見えた。
 しかし、セイバーの方はそんな士郎の心情を知ってか知らずかに関わらず、好奇心旺盛の子供のような無邪気な目で見られるのが嬉しいやら恥ずかしいやらで、とても気が気ではなかった。

 

 

 そうこうしているうちに、二人を乗せたバスはプールへと到着した。

 

 「それじゃ、俺は先に行ってるからセイバーも早く来いよ。」

 

 士郎は熱心にレンタル用の水着を観察しているセイバーに向けてそう告げると、先に更衣室へと入っていった。

 

「むー・・・。こ、これは///」

 

今までにも泳ぎに来たことはあるが、その時に着ていた水着は当然ながら着られるわけがなかった。
 仕方なく水着は貸し出しのモノを現地調達することにしていた。
しかし、一番大きなサイズのものでも、今の彼女の体には小さすぎるほどだった。
本当はだらしなく突き出している大きな腹をどうにか隠したかったようだが、あいにく着られるようなサイズの水着は、今履こうとしているビキニのような露出の高いものしかなかった。

 

悪戦苦闘の末、着替え終わったはいいものの、予想をしていたよりもはるかに自分の腹が目立つことに困惑を隠せずにいた。
といっても、着替えている最中にも好奇のまなざしを浴び続けていたため、その困惑は今に始まったことではなかった。
ふと、こんな状況を作っってくれた元凶である凛と桜のことを考え、少しばかり憎らしく思ってしまったが、その憎しみは数秒もたたぬうちに変化した。
あの時、泉の水を飲むような勢いでおいしそうにガブガブと例のドリンクを飲んでいたのは、他の誰でもない自分である。
それを思い出した途端、一瞬でも凛と桜に責任を転嫁しようとした自分が情けなくなり、少しばかり目頭が熱くなった。
頬の方は鏡を見たときから真っ赤に染まっていた。
そのためか、一連の行動を見ていた他の人たちは、かなりふくよかな外国人の少女が羞恥のために今にも泣きだしそうになっているのではないか、といった印象を受けた。
しばらくは鏡の前で愕然としていたセイバーであったが、士郎が待っていることを思い出し、重い体を揺らしながらなるべく急いで水泳場へと向かった。

 

「お!やっと来たな、ずいぶん遅かったじゃないか。」

 

「すみません、少々手間取ってしまって・・・」

 

 自宅で一度見られているとはいえやはり恥ずかしいようで、なんの防備もなくなり、むき出しの状態になっている腹部の白い柔肌を、両の手で覆い隠すような格好で更衣室から出てきた。
もっとも、そこ以外にも隠す場所は十分あるだろうと士郎は思ったが、よくよく考えなくても二本の腕で隠しきれないことはわかっていたので、敢えて黙っておいた。

 

 「それにしてもずいぶん思い切りのいい水着を選んだな。」

 

 「サ、サイズが合うものがこれしかなかったのです!」

 

 「そ、そうなのか・・・;」

 

 「私とて好き好んでこのような辱めを受けているわけではありません!」

 

 セイバーは、さも自分で腹部を強調するような服を選んだのではないかという誤解を受けていると思い込み、それにむきになって返答した。

 

 「ま、まあいいや!とにかく、そんな恥ずかしい思いをしたくないなら今すぐにでも運動を始めないとな。」

 

 「もちろん、望むところです!」

 

 そう返事を返した彼女の顔は、元の威風堂々たる騎士王の風格を持つ顔になっていた。
 少なくとも本人はそうしていた。
しかし端から見た実際の彼女は、愛らしい丸顔の外国人少女が、「明日からダイエットする!」と宣言しているようにしか見えなかった。

 

 

 〜数十分後〜

 

 「どうしたセイバー!?遅いぞー!」

 

 「フヒュー!フヒュー!ふぅっぷ・・・ま、待っでください、士郎・・・」

 

 贅肉のまとわりついてしまったセイバーの体では水に浮いてしまうため、水の中を歩かせることにした。
 しかし、どうやらあのドリンクになにか効能があったのか、贅肉がついたせい以外にも、明らかにセイバーの動きが鈍くなっていて、体力も落ちていた。
 単に肉がついただけでなく、まるで筋肉のほとんどが脂肪にでも変換されてしまったかのようだった。
魔力でいくらか補われているからいいものの、それがなくなったらまともに動けないのではないかというほど鈍い動きだった。
一歩進むごとに肉がどことなくダプンと揺れ、その揺れと水の抵抗とで呼吸がさらに激しくなる。
顔はとっくの前から湯気が出そうなほど紅潮しており、だんだん音量を増してく吐息が場内に響き渡る。
 外国人を見かけることが珍しくなくなったこの町の市民でも、このように大きな女性を見ることは少なかった。
さすがにこの光景は奇怪なものに映ったようで、たくさんの好奇の視線が彼女に向けられる

 

「ママー、あのお姉ちゃんすっごい大きいよ!」「しーっ!」

 

「わーすごい・・・!あんなのテレビでしか見たことないわよ」

 

「あれ痩せたら結構かわいいんじゃね?」「いや、ないわー・・・」「おまえデブ専かよ」

 

そうこうしているうちに場内はひそひそとした声で満たされていった。

 

 「士郎、場所を移しませんか?このような場所では目立ちすぎて集中できません・・・」

 

 「あ、あぁ・・・そうだな。」

 

 さすがにこのバツの悪い空気には耐えられなかったようで、二人はいそいそと帰り支度をしてプールを後にした。
プールを出る間、セイバーの方だけが終始、一際人の目を引いた。
そのようなことは家を出た時から周りの反応を見てわかっていたが、今ここにきて自分のパンパンに張りつめた体のことを強烈に再確認させられた。
建物を出た後もしばらくは恥ずかしさのあまりに気が狂ってしまいそうで、ずっと下を向きながら士郎と一緒に帰りのバスを待っていた。

 

 

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#型月,TYPE-MOON,Fate


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