百刈編 通常ルート
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幸地達の後を追って風呂場に足を踏み入れると、ちょうどそこにいた人達の視線が自分に集まる。
それはそうであろう。身長が低いというのに、バスタオル二枚使って体をまいてるその肥満体は初めて見かける人(初めてじゃない人もいるが)にはインパクトがありすぎる。
あっというまに百刈の顔が真っ赤になる。
「は、恥ずかしい・・・・・。」
百刈はその太い足をよじらせ、足取り重く前を進んだ。
が、そこで思わぬ事態が起きた。
「・・・・ひゃっん!?」
思わず大声をあげる所だったが、あまり大きい声を出すといくら鈍感な幸地でも自分の存在に気付く可能性があるので、必至に声を抑える。
何かと思って下に視線を降ろすと、そこには4〜5歳程度の男女が3人程いた。
3人とも、百刈の身体をまるで動物園の変わった動物でも見るようにじろじろと見る。
「うわ〜凄い足〜ぞうさんの足ってこんなかんじだったかな?」
そう言って百刈の太い足をパンパン叩く。
「う〜んと、ぞうさんってどんなのだっけ?」
女の子が首をかしげて言う。
「ねぇねぇ、お姉ちゃん本当はぞうさんなんでしょ?」
その二人とはちょっとだけ距離をおいていた男の子が百刈に対してストレートに質問する。
「は・・・・?」
百刈は半分キレかかった表情でピクンとする。
「ば〜か、ケンタ、ぞうさんってのは鼻が長いんだぞ?」
百刈の足に触っている男の子がそう言い放つ。
「じゃ、じゃあ豚さん?くまさん?ヨーちゃんはわかるの?」
ケンタと呼ばれた少年は困ったように答える。
「う〜ん。相撲取り・・・・・かな?」
そう言って、ヨーと呼ばれた男の子は今度は背伸びしたりして百刈の豊満なお腹に触る。
「ほら、テレビで見たんだけど、お相撲さんっていうのはこんなお腹をしてるんだ〜ねぇねぇ、お姉ちゃんお相撲さんなの?」
ヨーは目をキラキラさせて百刈に問い詰める。
「ちがうって・・・・・。(怒)いいかげんあっちいってよウザい・・・・。」
百刈はシッシッと邪魔そうにする。
すると、後ろから身体に巻いてるバスタオルを引っ張られた。百刈は危うく転びそうになる。
見ると、3人組みの中の女の子がバスタオルをひっぱっていたのだった。
「おっ、ミサキ、どうしたんだ〜?」
どういうわけかテンションが上がっているヨーが女の子に問う。
「だって、だってね、ケンタ君の言ってる事が本当だったらお姉ちゃん尻尾とかはえてるはずでしょ?」
真顔でそう言った。
「おっ、なるほど〜よ〜し俺も〜」
「ぼ、ぼくも〜」
子供というのは時折大人には理解不能な解釈をするものだ。
3人は同時に百刈のバスタオルをひっぺはがそうとしたのだった!
「うっ・・・うっ・・・・・あんたたち何いってるのよ〜(怒)あっ、そこひっぱらないで〜(困」
百刈は重い身体をフル稼働させて3人の悪ふざけから逃れようとする。
だが、相手は子供でも自分は極度の肥満によって鈍重な身。
多勢に無勢でミサキと呼ばれた女の子がするっとバスタオルをひっぺはがしてしまった。
百刈の身体に巻きつけていた(2枚の)バスタオルがひっぺはがされると百刈の低身長ながらも豊満な肥満体が周りにいた人の目にさらされた。
バスタオルがひっぺはがされた勢いで肉が妙な方向にぶるんと揺れ、百刈はどすんとしりもちとついた。
たっぷりの脂肪の乗った腹は妊娠してるかのように重力にしたがって僅かに垂れ、股間を出腹で完全に隠す形となった。
3人組は「ほれ、この身体は正真正銘相撲取りだろ?」「う〜ん、ぶたさんとかぞうさんじゃなかったんだ」「お父さんよりお腹大きい・・・。」
3人は悪意のない目で無邪気に百刈の身体について話をする。
それに加えて、周囲の人の陰口がコソコソと聞こえる。
「うわ・・・・なにあのチビデブ、キモっ(´Д`)」
「すっごい身体してんなぁ・・・・。」
「妊婦じゃ・・・・・ないんだよね?あれ?」
「さぁ?」
「うわ〜すごい尻の肉、でっかいまんじゅうが二個あるみたいだなぁ」
百刈は凄まじい羞恥心で気が狂いそうになった。
「コラ!ヨウスケ!(ヨーちゃんのこと)なーにまた悪戯しとるんか!?」
ヨーの母親と思われる女性がヨーが存在に気付く瞬間、間髪入れずに問答無用のゲンコツを食らわせる。
さらに続いて、残りの2人にも同等のゲンコツを食らわせる。
「まったく・・・・。人様に悪戯しちゃいけないってあれほど言ってるのに・・・・。」
女性は呆れと怒りのまじった声で言う。
「あ、ごめんなさいねぇ。(汗)この子達にはきちんと言いつけておきますから。]
そう言って3人を無理やり謝らせてさっさと去っていった。
取り残された百刈は一度呆然となったが、そそくさと先ほどひっぺはがされたバスタオルを身体に巻き、気を取り直して幸地達を探した。
幸地達は泡風呂に入っており、相変わらずワイワイと会話に興じていた。
百刈も近くの適当な風呂に身を隠すようにして昼の時のように聞き耳を立てる。
すると、ちょっと幸地達の話は幸地とタカマルの話題に入ったようであった。
「ねぇねぇ、小笠原先輩って夜はどうなんですか〜?」
ショートカットの後輩が幸地に尋ねる。
幸地は慌てるが、視線を後輩達からそらして俯きになって口を開く。
「やさしくって、えっと・・・・・・。」
幸地が言葉につまる。
「んじゃあ、何々?最高だった・・・・・ってこと?w」
長髪をまとめている後輩がワクワクしながら聞く。
「う・・・・・ん・・・・・。」
幸地は恥ずかしそうに答えるが、その表情はとても幸せそうだった。
「んも〜この幸せ者め〜」
肩のあたりまで髪を伸ばしている後輩が後ろから幸地の胸を鷲掴みにしたり、幸地の身体のぷにぷにした所をもみもみし始める。
「ひゃっ!?や、やめてください〜〜(汗」
幸地は慌てるが、後輩達はふざけてとめようとしない。
「・・・・・・後なんて追わなきゃよかった・・・・。」
百刈は風呂に入ったまま、目にうっすらと涙を浮かべていた。
幸地達は暫くの間わいわいと話したりじゃれあったりした後、そのままさっさとあがっていってしまった。
百刈も後を追おうとしたのだが、
「幸地さん、この後どうするんですか〜?またお泊り?」
「またなんていわないでくださいよ〜。(汗」
もうその台詞を聞いた瞬間追う気力は完全にそがれてしまった。
その後百刈も風呂からあがろうとしたが、のぼせ気味だったので水を飲もうとした。
なんだかもう朦朧とした表情でバスタオルがハラリと床に落ちて風呂でほてった肥満体が他の客の目にさらされてもあまり気付くことなくのしのしと歩を進める。
飲料水を出す機械(名称忘れますたスミマセンorz)を見つけると、それに口を近づける。
お腹と胸がぴとっと機械に触れ、そのまま多少潰れた形に肉が歪む。
ペダルを踏むととても冷たい水が百刈のかわいた喉を潤す。
多少泣いていたため、水を飲んでいるとある程度落ち着くので、より身体は本能的に水を求める。
「んきゅ・・・ごきゅ・・・・・ごきゅ・・・・・」
ちょろちょろと流れてくる水を一滴残さず飲み込むように百刈はいまだ朦朧とした表情で水を延々と飲み続ける。
「・・・・・・っぷはぁ」
やっとこさ顔をあげて水を飲むのを辞めた百刈は全裸の状態のまま更衣室へ行き、髪を乾かしもしないで濡れた体に無理やり服を着せて帰っていった。
自宅に帰って自室の鍵をしめ、部屋の電気をつける。
濡れた体に無理やり服を着ていたため、家につく頃にはなんだか服がぴっとりしきってて気持ち悪い感触を感じた。
百刈はその服を下着を残して脱ぎ、パソコンに向かう。
パソコンを起動し、いつも使用しているメッセンジャーや常連となっているチャットルームを開く。
その中では自分の身体についてとやかく言う人もいない。冷たい目で見る人もいない。
ここではみんな優しくしてくれる。優しくされる人を演じていればいいのだから。
百刈はチャットを始めるやいななや、光速のタイピングでチャットに参加し始めた。
それと同時にはやっぱりなのか買い置きしていた(または出前しておいた)食べ物を貪り続ける。
ドーナツを2個まとめて貪り、ファミリーサイズのピザを軽く平らげ、ボトルのコーラを飲み干し、手が空いていると、パソコンに向かい続け、眠くなるまでそれを続ける。
百刈自信は実感するのは後になるのだが、彼女の過食症はこの日を境により深刻なものになってしまっていたのだった。
それから1ヶ月が経過した。
〜百刈の現在通っている学校にて
「あ、モモちゃん〜。wおっはよ〜」
「ちぃーっす。」
「あ、蓮沼さん、北野さん・・・・・。」
百刈は自重が自重のためエレベーターを使って3階の教室に行くので、百刈の友達である蓮沼、北野は百刈がいるのかなぁ?といつも登校時にエレベーターを見るのが習慣になっていた。
二人は百刈と一緒に教室に入ろうとして、百刈と一緒のエレベーターに乗る。
3人は適当な話題でそこそこ盛り上がりつつ教室に向かうが、二人とも百刈の身体の変化が気になっていた。なんだか最近百刈がまた太ってきているためだ。
さすがにあまり太ると後々シャレにならない事態に発展しかねないからだ。
初めて会った時綺麗と思った肌はそのまんまなのだが、特注なのかと思えるサイズの制服はぴっちぴちでお腹の肉が僅かに下にはみででしまい、足も肉でなんだか凄い事になりつつある。
首も無くなり、見事な二重顎(三重顎?)になっており、また随分と太っていた。
百刈自信もここ最近歩くのが多少辛くなってきていた。
それもそのはず。百刈の体重は過食症が深刻になった時より最低20キロ前後は増加してしまっていたのだ。
百刈は今の自分の状態にやっと気付いていたが、気付いた所で彼女の生活習慣は変わらなかった。
こうなってしまうと百刈は日に日にむくむく太っていくだけだった。
僅かずつだか、妊娠したかのようにせり出したお腹はその状態をある程度維持したまま垂れてきて、尻の肉もより厚みを増していった。
幸い、クラスのみんな(特に蓮沼(ちなみに原作の蓮沼とは関係ありません)と北野は)優しいのでことある事に百刈の学校生活をサポートしてくれた。
みっともないくらいに太った百刈は肉で少し太くなった声で「迷惑ばかりかけてごめんね、ごめんねぇ・・・。」とことある事に涙声で謝るのだが、みんなあたりまえのように接してくれた。
体育の時間もみんなサポートしてくれた。
水泳となると、特注(でもぱんぱん)の水着を来た百刈をみんなに少しでも運動してもらおうと 助けてもらった。
水の中で百刈の贅肉がたぷんたぷんと揺れるが、水の中なので比較的動きやすく、結構な運動ができた。
だが、動けばその分お腹がすく。
百刈は自分の身体を心配してくれるみんなに対して申し訳ない気持ちで一杯になりながらも
また食べてしまうのだった。
こうして、数ヶ月が経過した・・・・。
空気が冷たくなってきたある日、小笠原タカマルは人に呼ばれてその人の家の前にいた。
ベルを鳴らすと、中からドアが開けられた。
あけたのはどうやら百刈の母親のようであった。
妙に元気がなさそうで、多少やつれた感があった。
「モモちゃんは二階の部屋にいますので・・・・。」
力のない声で百刈の母はそう言ってさっさとどこかへいってしまった。
「・・・・・・・・?」
タカマルは妙な気分になったが気を取り直して二階へ上がっていった。
最初は何者か知らないので、何か間違いメールかと思ったが、やたらと1年の頃のタカマル
の事が書かれていたので、大体の見等はついていた。
おそらく、百刈だ。と。表札を見て、その予想は正しいと確認した。
当時を思い出すと、最初は百刈の度重なる悪行に対する怒りで幸地と同様無視していたが、家族の理由だかなんだかで転校してしまったのを最後にあっていない。
携帯に電話しても通じないわで、心配していたが、ある日メールが来て、自分は家族の仕事が理由で転校したという内容で安心し、百刈の抜けた分を幸地の人徳で色んな関係に詳しい人やゲームの上手い人などが集まってなんとかなったのであった。
いまでは地道な努力が実って、発行部数はまだまだだが、着実に伸ばし続けているのであった。
後輩も数名入ってきて、好調だったそんな矢先に呼ばれたのだ。住所付きで。
タカマルは何があったのかな?と百刈の部屋をノックした。
「あいてるよ・・・・。」
百刈の声だ。だが多少ながら声が太くなってるような気がした。
タカマルがドアをあけるとそこはなんだか凄いにおいがしていた。
まずなんだか汗臭い。相撲部とかの部室かと思えるくらいだ。
それと、色んな食べ物の匂いがする。
あたりを見ると結構綺麗・・・・・に見えたが、 ベットの脇や棚等にはスナック菓子やらファーストフードやらなんやらが密集してぞんざいに置かれていた。
その真ん中になんだか大きいタオルの山があった。よく見るとタオルの山は上下に動いていた。
「・・・・・・百刈・・・・・・さん?」
タカマルはおそるおそる聞いてみた。
「おまえのせいだ・・・・。」
タオルの山からものすごく恨めしそうな百刈の声がした。
「・・・・・へ?」
タカマルはきょとんとする。
「さっさと香椎さんとでもくっついていればよかったんだ・・・・・。なのに日に日におまえときたらゆきえさんとくっつきはじめて・・・・。
私のほうがゆきえさんを思う気持ちは強いのにわたしのほうが・す・・き・・なのに
私のやってた事がバレて、なんで私が嫌われなくちゃいけないわけ?
もう、ショックで悲しくで寂しくて・・・・。わたし・・・・・。」
そう言ってタオルの山はぐるりと半回転する。
タオルの山は真ん中から開かれた。
「・・・・・・!?」
タカマルは一瞬心臓が止まりそうになった。
タオルの山に隠れていたのは全裸の百刈だったが、パッと見て百刈とわかったのは髪形ぐらいだった。
身長は相変わらず低いまんまだが、(タカマルも言えたものじゃないが)顔は去年と比べてぶくぶくに膨れ上がり、目は大きいがたっぷりとついた頬の肉で僅かに細くなってた。
顎もたっぷたっぷのぶあつい二重顎になっており、首もない状態に見えるほどだ。
胸もど特大スイカ(と、いっても多少重みで垂れてるが)があるようで、乳首のあたりも随分と大きくなっており、その巨乳(爆乳?)はぼっこりと張りのはる贅肉をした巨腹の上にのっかるような形になっていた。
腕も二の腕がパンパンとふとくなっており、ちょっとでも動くとぷるんと動く。
指も肉でむくみきってて、爪が小さく見えてしまう。
股間に至っては、そのぱんぱんの巨腹でかくれており、両足に足を閉じるという動作を制限していた。
その両足もヒザとくるぶしあたりのところで肉の層のようなものができるほど肉がついており、足の裏も肉で厚くなっていた。
「ゆきえさんみたいに太ろうと思ったけど、度がすぎちゃったよ・・・・。」
そう言う百刈の声は震えていた。
絶句しているタカマルを前にして百刈は無言で重い体を立ち上がらせる。
よほど暑かったのだろう。肉と肉でできた谷間、額などから大量の汗をかいており、座っていたであろうベッドは汗でびしょびしょになっていた。
百刈はそんなことに気にも留めず、自分の背中をタカマルに見せ付けるためにタカマルに対して背を向けた。
背中も凄い事になっていた。首のあたりは前と同様首がないように見えてしまうほどに肉がついてて、腰の部分は立派な3つの肉と肉による谷間ができており、その谷間から汗がダラダラとふきでている。
お尻もおっぱいよりも凄いことになっており、ちょっと動くと、ぼるんぼるんと元気にゆれる。
全身を見ていて共通していることは動くのも辛いほどの肥満体でありながら、肌は綺麗で、どの肉もぷるんぷるんと張りがあることだった。
レベルは違いすぎるが、幸地と同じようなタイプの身体に変貌していたというのがタカマルの変わり果てた百刈にたいする第一印象だった。
「ふん・・・・いい気味でしょう?嫌いなチビがこんな醜いデブになって・・・。」
百刈は投げやりに言い捨てる。
「なんで・・・・・・、呼んだんですか?」
タカマルはまだ動揺した状態のまま聞く。
「くやしかった・・・・・・。」
百刈は涙声で言う。
「ぇ?」
「ゆきえさんがなんでわたしより付き合いの短いこんな奴の事にほれてしまうんだろう?って。 悔しくて悔しくて色々おまえとゆきえさんが離れるように仕向けたってのにいつもいつも失敗して・・。それが全部バレた時ゆきえさんに無視された瞬間私、あそこ(編集部)にはいられなくなって・・・。わざわざ住む場所変えて、寂しいからゆきえさんみたいになることで寂しさがまぎれるかもと思って一生懸命太ろうとして、気がついたら、それだけが生きがいみたいになってそんな時におまえとゆきえさんを見たんだよ・・・・。話を盗み聞きしたら、とても悔しくてまた食べて太って・・・・。今となっては太りすぎで学校生活もものすごい苦労するのよ・・・・。それで、思ったの。わたしがこんな身体になったそもそもの原因はおまえなんだがら、おまえはお人よしだから、私の変わり果てた姿を見ればもしかしたらゆきえさんと別れてくれるかも・・・・って。・・・・笑いたきゃ笑いなさいよ・・・・。もう私にはそんな事しかおもいつかないんだから・・・。・・・っつくえぇっく・・・っく」
百刈はそう言い終えると泣きじゃくった。
涙と鼻水とよだれがおっぱいやお腹に落ち、泣きじゃくるたんびに全身の肉がぷるぷると揺れる。
タカマルはそんなみじめなまでに太った百刈を見てためらうことなく百刈の肩を抱き寄せた。
「じゃあ、ゆきえさんがお姉ちゃんで僕がお兄ちゃんじゃ・・・・それじゃダメ・・・かな?」
百刈は泣きじゃくった表情のままそう言ったタカマルの顔を見上げた。
タカマルの顔は真剣で、去年は到底できなかったような頼もしさも感じられた。
そんな成長したタカマルを見て百刈は安堵感を感じた。
だが、タカマルはゆきえさんを奪った憎い奴。
感じた安堵感を己の中で否定する。
「さ、さわらないで・・・・よぉ・・・・。」
そう身体を振って百刈はタカマルの手を振り解こうとする。
するとタカマルは口を開いた。
「幸地さんが・・・・。心配してましたよ・・・・。連絡もくれないでどうしちゃったんだろう・・・って。」
「・・・・・・えっ?」
百刈の動きがピタッと止まる。
「幸地さん、寂しいのかいつもよく言ってました・・・。百刈さんと初めて会ったときの事とか、百刈さんと遊んだいろんな思い出とか、とても楽しそうに・・・・。あんな妹がいたらよかったのにって。」
タカマルは続ける。
「撲は確かにゆきえさんの事が好きです・・・。もし、百刈さんがお姉ちゃんのような存在をゆきえさんに求めてるのなら、撲はお兄ちゃんになれません・・・・・か?ゆきえさんもきっと喜びますよ。3人でお食事したり、どこかへお出かけしたりできたら・・・・・。」
そう言ってタカマルはいまだ多少ながら泣いた状態で震えている百刈の汗だくの身体をしっかりと抱いてあげる。
「・・・・・身体のことで悩みがあるんだったら僕やゆきえさんも手伝いますから・・・・。だから・・・。ゆきえさんを寂しがらせないでください・・・・。おねがいです・・・。百刈さん・・・・。」
「・・・・・・・ぅん・・・・・。お兄ちゃん・・・・。」
百刈はそう頷いた後、タカマルに抱かれた状態のまままた泣きじゃくった。
「ありがとうございます・・・・。百刈さん・・・・。」
タカマルはホッとした表情で微笑んだ。
ある休日、タカマルはもうすっかり(幸地の自宅並に)通いなれた百刈の家にいた。
すっかり親も元気になって、自分が入ったら、「あらあら〜タカマル君、こんばんわ〜。w」と、愛想よく歓迎してくれた。
「あ、もう幸地さんも来てますよ。w今日もお泊りで?」
百刈の母親はニコニコして質問する
「ええ・・・。まぁ・・・・。(照」
さすがにタカマルは多少照れてしまう。
気を取り直して、百刈の部屋に入ると、既に百刈と幸地は和やかなムードでお茶を飲んでいた。
「あ、タカマルさん。w」
「あ、タカマルくん。w」
二人はほぼ同時にタカマルを歓迎する。
百刈もすっかり年頃の明るい性格になった。
今でも100キロの大台は越えており、十分、たっぷりと肉のついた豊満な身体だが、当時と比べるとだいぶ痩せた。
なんだか幸地が二人いるような気がしてくるようで、タカマルも編集部の忙しさがそれだけで癒えそうに感じられた。
「今日もタカマルさん泊まるの?(お兄ちゃんって中々言いづらいなぁ・・・でもいっか・・・。)」
百刈はワクワクしつつ聞く。
タカマルはうんと頷くと、百刈と幸地はどういうわけか顔を僅かながら赤らめて喜んだ。
そんな二人を見てタカマルは思った。
夜のお付き合いはかなり凄い事になる・・・・のかな?と。
栄養ドリンクでも前もって買ってくるべきだったと今更思うタカマルでしたとさ。
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