百刈編 通常ルート
ある日、百刈が昼食を取りに外出して通りを歩いていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
百刈は反射的にそそくさと身を隠す。
見て見ると、それはあの小笠原タカマルと幸地ゆきえだった。
「ゆきえさん・・・・・!?」
どうやら、(変わり果てた)自分の存在には気付かなかった様で、二人は並んで身を隠している百刈の脇を通り過ぎて行く。
気になった百刈はコソコソと二人の後をつけていく。
二人が立ち寄った所は、なんと百刈がよく通っていたファミレスであった。
百刈はタカマルの席から多少離れた席に座り、見られないよう身をかがめて二人を除く。
観察していると、タカマルは(時期的に)2年になったからであろうか、身体的にはさほど成長はしてないようだがどこからか頼もしさが感じられるようになっていた。
顔もなんとなく大人びたように見えた。
幸地は明らかに前より太っていた。と、いうより母親に似てきた、ともいえる。
前はぽっちゃりともむっちりともいえるような身体だったが、今は明らかにデブと断言できる体になっていた。
結構歩いてたのだろうか、全く汗をかいていないタカマルに比べ、幸地はワンピースを汗でじんわりとぬらし、赤ちゃんのようなぷにぷにした手で額の汗を拭う。
胸やお腹もよりぷっくりとしていて、呼吸のたんびにわずかに揺れる。
顎にはたっぷたぷの二重顎ができていて、ほっぺたはより赤みを帯びている。
過食症で太った百刈と比べると、幸せな状態で太ったというイメージで暑苦しいというより、その場を瞬時に和やかにしてしまうような雰囲気を漂わせていた。
聞き耳を立てていると、タカマルはお茶とハンバーグをさっさと注文し、幸地はいつのもごとくデザートをやたら注文する。
注文を受けている店員が少し引いているのも気付かずに幸地は次々と嬉々として、ポンポンと注文していく。
百刈も聞き取れた分だけ同じ内容の注文を自然としてしまう。
やはりいまだ幸地に未練はあるのだろうか。
今の幸地よりの肥満体型になってしまったけど、今幸地と仲良くできたらお似合いのコンビ慣れそうな気がした。
そんな想像をしてちょっとだけ和んでいると、お冷を飲みつつ幸地とタカマルが何かを話していた。
百刈はすかさず聞き耳を立てる。
「今日は楽しかったです〜wタカマルさんからデート誘ってもらえるなんて(はぁと」
そう嬉々としてほっぺをまた赤くしつつ幸地は喋る。
「ゆきえさんには色々お世話になりましたから。wゆきえさんのお友達にまさか、編集部に入ってくれるような人がいるなんて思いもよりませんでしたし、今のSMLの売上はゆきえさんのおかげですよ。wそれに・・・・。」
そうタカマルは頬を少し赤らめる。
「ゆきえさんの事好きですから。w」
照れた表情でタカマルは言う。
「・・・・(照)。ただ、綾さんがショックうけてないといいんですが・・・・。」
幸地はちょっとだけ表情を曇らせる。
「綾さん綺麗だから、すぐに好きな人はできますよ。僕はゆきえさんが好き・・・ですから」
タカマルは照れた表情のまま言う。
幸地のその台詞を聞いて照れて下を俯く。
なんともはたから見るとほほえましいカップルのようであった。
「嘘・・・・・・。」
それを聞いて百刈は愕然とした。
ショックのまま呆然としていた百刈に注文していた物がどっさりとテーブルに置かれていくのとほぼ同じタイミングでタカマルと幸地の席にも注文していた物がテーブルに置かれていった。
単純に好きで食べる幸地と過食症に重ねて、食いまくる事自体が習慣になってしまった百刈は注文の料理が全部おかれると間髪入れずにおかれたものを凄い勢いで食べ始めた。
幸地がビックサイズのジャンポパフェをあっと言う間に平らげると百刈はたっぷりとバターと蜂蜜の乗った大きいサイズのパンケーキを貪るようにがっつく。
同じ太ったにしてもまるで正反対の太り方をした二人は食べっぷりはほぼ互角といった所だった。
「っっげぇっぷ」
二人とも実に立派なゲップを出す。
ちょっと間を置いて二人は食べる事を再開する。
百刈は一人のためひたすらバクバクと食べるだけだが、幸地の方はタカマルと談笑しながら食べているので、百刈はなんだか自分がよりみじめに思えてきた。
いや、百刈にとっては、幸地と引き離したかった存在が、今では恋人同士の関係にまで発展していたことがショックだったのだろう。
そしてタカマルと幸地は食事を終えると、手を繋いで店を出て行った。
百刈もすでに食べ終わってはいたが、二人の後を追う気にはとてもなれなかった。
「・・・・・。」
タカマルに幸地を完全に奪われてしまったという思いで胸が一杯になる。
「・・・・・っく。」
いつのまにか泣いてるようで、声がしゃくれあがっている。
「・・・・・えっく。」
すっかり股間部分が完全に見えなくなってしまっているお腹と胸がぴくんぴくんと波打ち、お腹や胸の上に涙の水滴が滴り落ちる。
さらに、鼻水も出てるようである。
ふと、横を見ると店員がいたので思わず百刈はこう言った
「さっきと同じ物ちょうだい・・・・・。」
そう泣きそうな顔で店員に言った。
店員はあからさまに引いていたが、「あ、え、えっと、かしこまりました〜」と言ってそそくさと厨房へ行った。
暫くすると、さっきと同じ料理が運ばれてきた。
百刈はもうだいぶお腹が一杯なのに、無理やりに胃の中へねじこむように料理を貪るように食べ始めた。
「・・・・えっ・・・・あぁっ・・・・っく・・・・・。」
そう泣きじゃくりながら暴飲暴食の限りをつくす。
完食し終える頃には、過剰なまでの食物の摂取によってお腹がやけにせり出し、パンパンのお腹をさすりながら苦しそうにする百刈の姿があった。
丁度、晩飯時の前だったので人はほとんど居ない状態で暇そうな店員達が「はやく帰ってくれないかしら?」と言わんばかりの視線を送る店員を尻目に、泣きつかれた上に満腹感で動けない百刈は仮眠に入るのだった。
「・・・・・ZZZ」
百刈が仮眠に入って30分程経過した。
どうやら仮眠どころか結構深い眠りについたようで、くぅくぅと寝息を立てている。
「・・・・・・うぅん・・・・。」
膨れたお腹と胸で安定しているとはいえ座ったままねるのは辛いのだろう。
百刈はゆっくりと姿勢を横にして座席を寝床代わりにするような体制になっていく。
テーブルがおなかに当たってズル・・・・・と数センチ移動するが、百刈は気付かずに「うぅ・・ん・・・・。」 と身体を座席にあわせるように身を上下左右に動かす。
が、そこで異変は起きた。
「ビリリ・・・・」
百刈の下半身だろうか、いや、同時に数箇所で布が破ける音がした。
ちょうど手が空いていて暇だった店員は気になって除いて見ると、そこには衣服の縫い目がビリリと破けてまだ消化しきれてないのかまた料理がパンパンにつまっているであろうお腹をたぷんたぷんと揺らしてくぅくぅとまるで小動物のような可愛い寝息を立てつつ熟睡する百刈の姿があった。
衣服の破れ目からは、赤ちゃんのような白くてきめ細やかな肌がちらりと露出しており、 普通の女の子にはない特殊な色気を出していた。
「うわ・・・・・セクシー・・・・・。」
思わず店員はそう思ってしまった。
もしかして自分はデブ専なのかと思ったが、即座に否定する。
すると、そんな店員の心中を察したのか、百刈の寝相はより大きな動きを見せる。
まず、全身から寝汗がふきでてきて暑いのか、百刈はよだれをたらし、片足をだらりと下げた。
すると、ちょうど半分足を開脚したような体勢になり、それによって衣服はビリ・・・と再度悲鳴をあげる。
良く見ると、先ほど避けてた服の裂け目が多少大きくなってそこに肉が少しだけはみ出るような形になっていた。
スカートの中はさすがにそこまで見るとヤバいので(何を今更)ふともものあたりを見る。
かなり暑かったのだろう。肉でゆれる太ももは汗を流し、股間のあたりは汗が多くて下の座席の布に丸いシミを形成していた。
「こりゃ、暫く起きないな・・・・。」
さすがにこれ以上寝かせるとマズいので起こしてしまおうとしたが、あんまり熟睡していたので起こそうにも起こせないので、暫く放置する事にした。
「ゆきえさん・・・・・・・。」
すっかり肉で膨れた頬を一筋の涙が伝った。
そんな彼女の涙なぞ見えていないのか、近くの席に座る客達は、小柄な身長に不釣合いなほどの肥満体があられもない姿で、しかも汗まみれで寝ている光景を見て何か人間以外の物を見るような目で見るのであった。
「・・・・・・・・・。」
仮眠のつもりが熟睡してしまった。
汗でぐっしょりと濡れてしまった体を起こし、百刈は時間を知るために携帯電話を見る。すっかり夜遅い時間になってしまっていた。
すると、人の気配を感じたので横に視線を移動させると、そこには百刈が寝てる間に覗きに来ていた店員がいた。
「あの・・・・・さすがに当店はホテルではないので、もうご注文をされないのでしたら、・・・・っと・・・・。」
なんだか気まずいのか言葉につまる店員を見て百刈は口を開いた。
「パフェ各種の大盛りとジュースのLサイズ2本ちょうだい・・・・それ食べたら帰るから・・・・。」
店員は閉店すると言ったのを聞いてなかったのかといいたくなったが、百刈の目がずいぶんと虚ろだったので、断るわけにも行かず、再度厨房に行き、百刈の三度目の注文内容を告げた。
コックもポカーンとしていたが、仕事である以上作らないといけないので、10分もしない内にさっさとパフェとジュースを用意して、店員はそれを百刈のもとへ運んだ。
「えっと、こちらでご注文全てで・・・よろしかったでしょうか?」
店員はおそるおそる聞く。
「うん・・・・・だからこれ食べたらかえるって言ったでしょ・・・・。」
百刈はそう言うとガツガツとパフェを瞬く間に平らげて行く。
「やっぱり・・・・・・この時が一番幸せだよ私・・・・・。」
口元をクリームだらけにしつつ百刈はそう実感するのだった。
あっという間にパフェとジュースを完食した百刈はもういい加減この店から出ようと思い、立ち上がった。しかし、
「なんだかあちこちがスースーする特にスカートの中が・・・・・・。って・・・・。(汗」
百刈は慌てて重い体をドスドスと走らせて、急ぐようにお金を払うとトイレに直行した。
運良く、トイレはお手洗いと用を足す部屋が別々になっていて、お手洗いの時点で鍵をかけることができたので百刈は慌てて鍵を閉め、服を脱ぎ、一糸纏わぬ姿になって自分の服や下着をチェックする。
「うそ・・・・・・・・。(汗」
百刈の衣服や下着はかろうじて無事なのはブラくらいでその他は縫い目が避けて一部一部がみっともないことになっていた。
「しょうがないかぁ・・。」
百刈はバックから大きいビニール袋を取り出した。
中から取り出したのはどうやら新しい服のようだった。
「予備持ち歩いててよかった・・・・のかな・・・?」
百刈は前にもコートを破いてしまった経験から、予備の服を持ち歩くようにしていたのだ。
「着替えよ・・・・。」
そう百刈が着替えようとするとふと鏡に映る己の肥満体が目に入った。
「ゆきえさん前よりずっと太ってたなぁ・・・・。」
するとトクンと胸が高鳴る感覚がした。
「え・・・・・?」
「もしかして・・・・・私・・・・・・。」
百刈はその胸の高鳴りがすぐに理解できそうだったが、あまりすっぽんぽんの状態でいると風邪ひきそうなのでいそいそと予備の服に着替え、そそくさと店を出て行った。
なんだか寝てる間にまたほんのちょっとだけ太ったような感触を感じつつ家に向かって歩いていると、なんという偶然の重なりだろうか。またよく知った声が聞こえてきたのだった。
普通の体型のシルエットとそれより一回り以上太いシルエット。
タカマルと幸地だった。
「へ・・・・・・?」
百刈は一瞬ぽかんとするが昼の時と同様にそそくさと物陰に隠れる。
だが、その場には身を隠すのが電柱ぐらいしかなかったので自分の身体がはみでてしまうが、隠れないよりはましだと電柱の物陰に隠れる。
「・・・・・・。」
百刈を息を潜めてるとあっさりとタカマルと幸地は横を通り過ぎていった。
もう幸地の心は離れてしまってると思い、さっきみたいに後追ってもまた嫌な思いをすると思ってるのに、いつのまにかその足は二人を尾行していた。
二人がついた先は中程度の規模の銭湯だった。
「あーっ、幸地先輩たち遅いですよぉ〜」
「小笠原先輩〜デート楽しかったですか〜?」
百刈の知らない人達が男女混合で5名ほど。
その5名が二人と待ち合わせしていたのだろうか、二人に向かって手を振っている。
タカマルと幸地も片手は手を繋ぎつつあいてる方の手を振っている。
「あ・・・。待たせちゃった?ごめんなさい〜。(汗」
「ごめんごめん。(汗」
二人はほぼ同じタイミングで口を開き、そこに後輩とおぼしき男子がツッコミをいれ、とてもにぎやかで明るいムードをかもし出していた。
「それじゃあ、お風呂入りましょうか幸地先輩w」
女子の後輩が幸地の手を引っ張ってさっさと中に入っていく。
タカマルと残された男子はがやがやと話をしつつ遅れて中へ入っていった。
タカマル達男子の集まりと幸地達女子の集まりは別々にそれぞれの更衣室へと入って行き、(当然だが)百刈も幸地の後を追って更衣室の中へ入っていった。
更衣室では中年のオバちゃんやら、お子様連れなどでそこそこ賑わっており、百刈はコソコソと服を脱ぎつつ幸地たちの様子をうかがってみた。
幸地たちはみんな楽しそうにワイワイと服を脱ぎつつ、たまに子猫がじゃれあうようにしておっぱい(幸地の場合は出腹も含む)にわざと触ったり掴んだりで、なんともにぎやかで楽しそうな様子だった。
「ゆきえさん楽しそう・・・・・。」
そう全裸になって更衣室に入る前に受付でムリ言って2枚ほど多く借りたバスタオルを身体にまいて、ワイワイと風呂に入っていく、幸地達の後をつけるのであった。
#たかまれ!タカマル,百刈芽衣,幸地ゆきえ