天外アナザーストーリー
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第1話〜さよなら私の痩身〜
―――――今でも生々しく覚えているあの時の記憶。
「仲間にする」と言った「D」からの予告。
私達の住むフェニックスの町。
最近ではいつの間にかデブを好む男性が続出しており、女の子もその流れに少しずつ続いて太ろうとしている。
私はというと、憧れのエースという凄腕のガンマンのファンでエース様に釣り合う女になろうと必死な毎日だ。
町を歩けば自慢げに己の肥満体を揺らして歩く肥満男に辟易する中の予告だった。
色々と心配になったパパは遠方からやってきたらしい旅の4人組に私の護衛を頼んでくれた。
4人組は大分腕が立つ人達らしく、これで私の安全が確保できたものだと安心しているようである。
でも、私は現在「D]によって仲間にされている。
仲間にされた時の感覚は今でも生々しくイメージできてしまう。
・・・・あの夜は正に悪夢だった。
―――――――――深夜。
4人組の護衛も虚しく、「D」は私の自室の窓から音も無く忍び寄ってきた。
目を覚まし、私が悲鳴を上げるや否や、「D」は素早く私の懐に飛び込み、私の身体を押さえつけ、あの忌まわしいクッキーを口に文字通り押し込んだ。
押し込められたクッキーはとても香ばしく、今まで食べたクッキーで最も美味だった。
しかし、そのクッキーはみるみる内に唾液によってその形を崩して行き、口にクッキーを押し込められている勢いによって思わず全部飲み込んでしまった。
ゴクンと喉が唸り、押し込められたクッキーが胃に到達する。
あの甘い香りが口の中で残留しており、その味を美味しいとおもってしまっている内に、「D」はマントを翻し、その動作と同時に私の悲鳴を聞いた例の4人組とパパが私の部屋に入ってきた。
「ブワッハハハハハ〜〜〜」
「D」、その名前は単にデブのDだという事はマントの下の「D」の体にたっぷりとついた脂肪で理解できた。
何が何だかわからずに呆然としていると、私の身体で何かが沸きあがってくる感覚が生じ始めてきた。
これが今の私が始まる瞬間であった。
沸きあがってる感覚は、まず最初に至って標準的なバストに集中した。
その感覚は胸の中心、乳首のあたりを軸にするように渦巻くかのようにうねり始める。
ボニュン
ツンとくる感覚と同時に、まるで胸の中にジャプッと水が入ってきたかのような感覚だ。
私の胸にかかる重量は一気に数倍に膨れ上がった。
勢いでパジャマの下で胸が踊り、突発的に重量を増した乳房を支える部位に負担がかかる。
確かに巨乳には憧れてはいたが、まさかいきなり・・・・いや、これは大きすぎるんじゃないか。
ヒクヒクと乳首が勃っていて痒い。
胸はまだパジャマがはじけとんではいないものの、布は限界寸前だと警告を音でもって鳴らしている。
胸のあたり、特に・・・いやおっぱい全体がものすごく窮屈で大きく深呼吸すればあっさりとはじけてしまいそうだ。
胸の肥大化に困惑していると、私の胸を重くした感覚は別の部位へと移動し始めたのだ。
移動した感覚が次第に胴回りで蠢き始め、ジワジワとムズムズしてきた。
ヘソを軸にしてムズムズ感が渦巻き、胴回りの肌がゾワッとくる。
そして、胸の時と同じ現象が生じる。
ボリュン
自分の肌がとても柔軟なゴムになったかのようだ。
己の胴回りに水が流れ込んできたかのような感覚と共に、私の胴回りに柔らかい脂肪が実る。
ブヨンブヨンと胴回りの脂肪がパジャマの布地の下から自己主張をしてくる。
私の大きくなった胸とお腹が触れている。
私の大きくなった胸とお腹が重い。
私の大きくなった胸とお腹が熱い。
私の大きくなった胸とお腹がパジャマのの布地の下から自己主張している。
そして、私の胸とお腹を大きくした感覚が全身に広がり、浸透していく・・・。
「ああぁああぁあぁああ・・・・・・。」
困惑し、頬にあてがった両手の先も、恐怖に震える両足の先までにもその感覚は浸透していく。
私の全身が浮腫んでゆく。
浮き出たアバラの回りにもムチムチ、いやムクムクと肉がついていくのが感じられる。
「(い、いやぁああああ・・・・・。)」
アバラ回りについた肉は背中に広がり、膨れた巨乳と胴回りのサイズに釣り合おうと変貌していく。
浮き出た鎖骨も骨と皮と肉の比率のバランスが肉重視の形へと崩れていく。
顎の下もぷくぷくと膨れていく。
頬もモコモコと膨れていき、口の左右を肉がグイグイと押し始め、顔全体が浮腫んでいく。
二重瞼もふにふにとした肉によって一重に変わっていく。
それと同時に両手足も同じように浮腫み、膨張し始めている。
肩幅は肉でモコモコと広がり始め、二の腕や太もももブヨブヨと脂肪がつきはじめる。
二の腕とわき腹、太ももの内側と太ももの内側。
お互いの脂肪と脂肪が接触し始め、太ももと太ももに挟まられたパジャマの布地がなんとも窮屈そうだ。
手足の先もムクムクとふくらみ、爪が深爪気味になっていく。
そして、とうとう顎に二重顎がハッキリと見え始めてきた。
「(う、うぁ・・・・・。)」
頬にあてがう両手に力が入り、頬の肉がグニュリと変形する。
パジャマはもう内側の脂肪と抑えきれないと言わんばかりに悲鳴を上げ始めてきた。
全身をこわばらせて、私はこれ以上の身体の変貌は嫌だとなんとか耐える。
しかし、それでも身体はブクブクと肉つつけていき、身体は熱くなる一方だ。
「(あっ・・・・・あっ・・・・・・・)」
もう・・・・・耐え切れない・・・・。
心が折れたその瞬間、私の身体は爆発した。
ボッバン!
「ぎゃやあぁああああああぁあぁぁぁあああああああぁぁぁっっ〜〜〜〜!!!!!!!!」
パジャマは無残にはじけとび、まるで水着のようになってしまった。
パジャマという名の拘束具から解放された二の腕がタプンと横から見ると楕円形のような形になった。
むくみにむくんだ顔から二重の代わりといわんばかりに立派なニ重顎が形成された。
最悪の等価交換だ。
悲鳴を上げ、口を大きく開けると、二重顎はよりハッキリと大きく浮き出、口周りの肉の抵抗も強くなる。
喉から吐き出される声のトーンも低くなってしまい、もはや可憐な女の子とは冗談でも言えたものではない。
太ももの脂肪も巨大な楕円形が挟まってしまっている。
更には、股の間に挟む形になってしまった布を圧迫というより埋めてしまっている。
女の子すわりしている脹脛に実った脂肪も立派なものだ。
股間に至っては、パンツが尻の肉とかにギュイッと食い込んだ上にきつ過ぎる。
はみ出た腰の肉や尻、太ももの脂肪の盛り上がりたるや、グランドキャニオン(?)のよう・・・・と思えなくもない。
特にお腹の脂肪は自己主張が強く、強いあまりに勢い余ったのか、臍を中心としてズリュッと下部分が引っかかってしまったが、私が悲鳴を上げ、お腹に力がグッと入ってしまった表紙に、洞窟のようなお臍が露わになり、ブヨブヨデロンと突き出たお腹が私の悲鳴をさらに醜く大きなものにする。
いつの間にか、私の身体を醜く変貌させたあのいまいましい感覚は殆ど消えてなくなっていた。
「いぃぃっっ・・・・・やぁあああああっっ・・・・・」
立派になった両手で体中をまさぐると、どこもかしこも、骨の感触よりも、分厚い脂肪の感触がある。
胸はボロボロになったパジャマの襟からタプンタプンと肉がはみ出ている。
触るとプヨプヨ・・・・いやブヨブヨと熱く柔らかい感触を受け、胸の谷間は汗でびっしょりと既に湯気が立っているほどだ。
脇はいつのまにか腋毛が生えており、脇の汗とビチョビチョに絡み合っている。
脇だけではない、全身からブワッと分泌されてきた大量の汗は、肉の谷間という谷間で熱を帯びた状態でたまり湯気となって蒸発している。
「(ああ・・・・・あつい・・・・・・おみず・・・・・おみず・・・・・)」
大量にかいた汗は私に強い乾きを齎し、ハァハァと息を荒くして、本能的にパパに水をねだってしまう。
「パパ・・・・おみず・・・・・いっぱい・・・・・おみず・・・・・・ちょう・・・・だいぃ・・・・・」
「あ・・・・・・あ。あぁあ・・・・・・・わかったよ・・・・・」
パパは大慌てで台所まで走っていき、すぐに水をもってきた。
余程急いでたのだろうか、持ってきた水は鍋に入っている。
だが、強い乾きには逆らえない、私は反応的にパパから鍋を奪い取るようにして受け取ると、護衛の4人組が呆然として私を見ているのにかまわずに、ガバガバと水を一気のみした。
まだ乾きは収まってはいないが、多少落ち着いた。
少し落ち着くと私は4人組の視線にやっと気にするようなった。
「で、でていって!!」
4人組は慌てて外に出た。
「カ、カレン・・・・・・。」
「う、うう・・・・・・・・。」
カレンの目から大量の涙が流れてきた。
う〜う〜と唸る声のトーンが低く、まるで己が豚か巨漢になったように錯覚してしまう。
両目から大量に流れてくる涙は膨らんだ頬とつたって、鼻水と混じったり、荒い鼻息に涙の水滴が吸い込まれたり、口に入ったりするが、汗とも混じっているため、もう何が何だかわからない。
「カ、カレン・・・・・・・・・・。」
「ひっく・・・・・えぇえっ・・・・・あぁあう・・・・・・・。」
居たたまれなくなったパパは黙って私の部屋から出て行った。
一人になった私の部屋は、ギシギシと悲鳴を上げる私のベットの音と私の鳴き声が一晩中鳴り響いていた。
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#天外魔境 第四の黙示録