天外アナザーストーリー
第2話〜都合の良いことは期待する程、到来しないものです〜
朝になると、4人組は元凶を叩くため、町を後にしたらしい。
憧れのエース様の前にこんな姿じゃ出れないよぉ・・・・。
そう思うとより一層に涙の量が増え、荒くなった呼吸で私の太鼓腹や胸がユッサユッサと動く。
あの4人組に私は最後の希望を託すしかないんだ・・・。
私は必死にあの4人組が私の身体をこんなにした元凶と叩いてくれる事を祈った。
日に日に増す食欲に頭を抱えながらも私は祈った。
家に引き篭もり、必死に祈り、服も着替える暇もない程に。(と、いうより着れない)
そして数日後、その4人組が返り討ちになって生死不明になってしまったという話を聞いてしまった。
所詮祈りは祈りでしかない事を思い知らされた。
ショックで頭が真っ白になり、全身がブルブルと震える。
火照った顔が蒼白になり、呼吸が荒れる。
身体から力が抜ける。まるで魂がストンとずり落ちたかのようだ。
体重に慣れてきた足腰が踏ん張りを失い私は床にドスンとへたり込んだ。
それと同時に私の胸と股間を抑えていたかつてパジャマだった布がビリッと音を立てた。
「い、いや・・・・・嘘・・・・・嘘よ・・・・・」
この町ではもうデブの存在は普通になってしまっていたため、ビックサイズの服は普通にあるのだが、意地で、4人組への期待もあってか、祈ってばかりでそこまで神経が回らなかったのか。
私は無残な形で残ってしまったパジャマを着たままであったのだ。
シャワーを浴びたら、その伸びきった無残なパジャマを無理矢理着ていた。
そのパジャマの残りも限界のようである。
「うっ・・・・・・」
ショックの中、私の胃から私の身体が変貌した時のあの感覚がジワッと全身に広がった。
「い、いやっ・・・・!!」
ビリリリリィィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ
とうとう着ていたもの全てがはちきれてしまった。
抑えられた胸や尻の肉がダッポンと飛び出る。
プルル・・・・・・・ン
ユッサ・・・・・・・・ユッサ・・・・・
形こそよいものの、デカい爆乳が私のお腹の上をダンスステージにしてるかのようにして踊る。
「カ、カレ」
「みないでええええええええええええええ!!!!!!」
父親はヒッと硬直し、すぐさまその場を立ち去った。
太くなった両手で隠しきれないほどのおっぱい。
女の子すわりなんてしていたら自分の肉で窮屈過ぎて暑苦しい腰や股間。
おっぱいの乳輪や乳首は大きく、巨大に発育しており、それがビクビクと勃っている。
「ま、まだのこってたなんてそんなのひどいよぉおおおお・・・・・。」
胸を隠しても隠しても胸の肉はぶよぶよと溢れ出し、私が動けば動くほど全身の肉は動きに連動して蠢く。
また大量の涙が流れてきた。
ここ数日泣いてばっかりだ。
流れる涙に送れて鼻水も垂れてきた。
涙は盛り上がった頬肉をつたって2重顎を通過して、胸の谷間に落ちていく。
鼻水も涙に混じり、涙の流れを一緒になっている。
私はこれからどうなってしまうのか。
そう嘆いてるとお腹の奥から強い重低音が鳴り響いた。
ぐぎゅる〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「だ、だめぇ・・・・・・・・・」
ハッハッと息を荒くして、台所へのそのそと移動し、全裸の状態なのに構わず、私はそこらにある食べ物を貪る。
美味しい。前はあまり好きでなかったものまで美味しい。
食べ物を飲み込み、胃に収める度に全身は栄養の摂取を喜んでいるかのようだ。
でも、私はこれ以上太りたくない一心で一杯であった。
だが、本能はそれを無視してしまっていた。
暫くして、ここ数日、私はふと自分の身体を鏡を通して見ていない事を思い出した。
それよりも別の事で頭が一杯でそんな事に頭が回らなかったのだ。
「よいしょ・・・・・っと」
ノッソリと起き上がり、私はバスルームへと向かう。
鏡がある方向から目を逸らしながら入り、一呼吸置き、鏡を見る。
「ひっ・・・・・・・・・!」
鏡に映ったのは、全裸の汗だくで全身からモワッと湯気を立てているデブな女の横顔だった。
鼻も脂肪のせいだろうか、少し上向きになって思いっきり上にあげたら、養豚場にいても違和感がないんじゃないのだろうか。
盛り上がった腹肉に甘えるように大きく実った巨乳は殺気の自慰の余韻を残している。
肘の上下は膨れた脂肪で醜くなっていた。
「き、きもちわるいよぉ・・・・・・。」
ガクガク震えて、全身を鏡に向ければ、全身汗だくの青ざめた表情のデブがそこにいた。
股間は腹の肉のせいで半分(?)程見え難いが、モッサリと毛は生えて、深く大きな茂みを形成している。
太ももと太ももはビッタリと脂肪のせいで密着しており、膝も肉の大さに少し押されているように見える。
もう、私はあの頃には戻れないのだろうか・・・・・。
そう思うと、また頬から涙がこぼれてきた。
これが私の肥満生活の本格的なスタートであった。
――――――1週間後
私のほかにもまだ痩せてた女の子が「D」によって太らされた子がチョコチョコといたようで、中にはその方がこの町の男らにモテると喜んでおり、今となっては大半を占領するようになったLLサイズ以上の服を彼氏と見に行き、気に入ったのを着てはこれはこれでいいものだと納得しちゃってる子もいるようだ。
・・・・・私にはまだとてもそういう気にはなれない。
そうこうしている内に、どんどん今の身体で納得してしまった、順応してしまった子がどんどん増えてきた。
・・・・・私はどんどん取り残されてくるような気持ちになってきた。
みんなおかしいよ。それとも私が変なだけ?
もう何が何だかわからないよ・・・・。
でも、デブになって私は男(もちろんデブ)に時々ナンパされるようになってきた。
どうやら私は町の女の子の中でレベルの高い部類に入るデブのようらしい。
・・・私はそこまでデブなんですか・・・・?
私の日々着実に増幅している食欲を傍から見ればそりゃそうだといわれそうだが、私にとっては太ってからモテるようになったのはなんだか嫌な気分だ。
#天外魔境 第四の黙示録