真鏡名ミナ呪いの膨張記
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時は寛政。琉球の地に住み、あやかしを滅する妖滅師を生業とする少女がいた。
名を真鏡名ミナと言う。
かつては住んでいた集落をあやかしの一味によって滅ぼされ、
あやかしを滅する為に友達のチャンプルと共に諸国を旅して回り、
更には徳川幕府によって開かれた武芸大会に出て、自分の出生の秘密を知った。
今は故郷に戻りチャンプルと静かに暮しながら今も尚現れるあやかしを滅する日常を送っている。
ある嵐が過ぎて蒸し暑い夜の事である。
ミナは人里離れた山中ににあやかしが潜んでいるとの話を聞き、山中にてあやかしを追いこんでいた。
空は満月。木々の隙間から差し込んでくる月の光が逃げるあやかしを微かに照らす。
ミナは速射で素早く弓を撃ちあやかしを追い詰める。あやかしをじわりじわりと追い詰める寸法だ。
ビシッ、ビシッと弓矢が数本あやかしの四肢を居抜く。
あやかしの動きは止まる事はなかったが、刺さった弓矢は確実にあやかしの動きを制限していく。
ミナはけん制目的の弓矢を断続的に撃つ事によってあやかしをある目的地まで誘導していく。
このまま奥へ奥へと追い込んでいけばそのまま周りが高い岸壁に囲まれている行き止まりに追い込めるのだ。
そこにあるのは朽ち果てた小さな社のみである。
四肢から血を流しながらも後退し続けたあやかしは己が逃げられぬ場所まで誘導された事を悟る。
「ギィイイイイイッッ・・・・・・・・・・!?」
憤怒の形相で全身の毛を逆立たせ、両手の腕をギリギリと握りしめてあやかしは後ろを振り向いた。
と、その瞬間。
ズンッッ!
既にミナは走るのを止め、己が得意とする間合いを取って両足を地面に固定させて己に向かって弓を放っていた。
放たれた弓矢はあやかしの赤い右目を正確に射抜いていた。
あやかしの赤い右目が流血でさらに赤く染まり、ブシュと鮮血が飛び散った。
「ギシャアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!」
目を射抜かれた激痛はあやかしの動きをとめるには十分であった。
即座にミナは次の弓矢を取り出して再度弓を構える。
夜と言えども空の月明かりは十分な光源となってミナを助ける。
夜目が効くミナにとってもはや日中に的を射抜くようなものである。
ギリギリと限界まで弓を引く。狙うはあやかしの心の臓。
狙いを定めたミナの手から全力の矢が放たれる。
ズドンッッ!(遅れて後方で)バカッ!)
「ァァァァァァァァァァァアアアアアアアアア!!!!」
あやかしを滅する力を込めた矢は一直線に激痛に悶絶するあやかしの心の臓を貫いた。
と、それに遅れて後ろで岩が崩れるような音がしたが、ミナは後ろの岩でも砕けたのだろうと無視した。
心の臓を貫かれたあやかしは貫かれた傷口からブスブスと煙を上げて滅されていく。
「ォォォォォォォォォォ・・・・・・・・」
煙を上げながら全身の骨肉をただの砂へと変えながらあやかしは跡形もなくチリとなって消え去った。
ミナの視界には高い岩壁に囲まれた行き止まりと、その中ぽつんとある朽ちた小さな社だけが映る。
ついさっきまであやかしと戦っていた事が嘘であるかのような静寂。
弓を背部に納め家に帰ろうと踵を返すミナ。
その背後でボウッと黄色とも紫とも桃色とも取れないような奇妙な光を放つ物体があった。
寂しげに立っている朽ちた社である。
その社の中には先ほどミナが放った最後の矢で頭部を木っ端微塵にされた汚い石像があった。
元々ボロボロではあるのだが、その石像は肥えた豚を模して創られた物のようだ。
怪しげな光は石像からスウッと伸びてそのまま背を向けているミナの背部に吸い込まれるように入っていく。
「・・・んひゃっん!?」
ビクッとするミナ。季節外れの風邪でも引いたのだろうかと思いミナは後ろを振り向く事無く足早にその場を去った。
これが今後ミナの身体に襲い掛かる異常の発端であるとも露知らず。
ミナはチャンプルの待つ自宅へと急ぐのであった。
帰宅後――――
「ただいま、チャンプル」
「ミナーミナー」
自宅に着くと友達のチャンプルがパタパタと走り寄ってきた。
そのチャンプルを抱きかかえるミナ。安堵のひと時である。
「一緒にお風呂入ろっかチャンプル」
「うん(沖縄弁で言っている)」
湯を沸かし、チャンプルと風呂に入るミナ。
チャンプルを抱きかかえて風呂に入るミナの肢体は筋肉と脂肪のバランスの良いしなやかな肉体をしていた。
弓を愛用しているだけに上半身の筋肉がしっかりとしており、
それに支えられた二つの丸い乳房がプルンと揺れる。
いつものようにチャンプルを優先して風呂に居れ、チャンプルを優先して身体を流すミナ。
のんびりとチャンプルと湯につかる平穏なひと時。
その静寂を破る物があった
ぐぎゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ミナ? 腹減ったのか? (沖縄弁で)」
思わず赤面するミナ。
腹の虫が鳴ってからやたらと腹が空いてきた。
むしょうにご飯が食べたい。そうミナは心底思った。
筋肉で僅かに縦方向に割れている腹を擦りながらミナ。
彼女はチャンプルを抱きかかえてそそくさと風呂から上がった。
風呂から上がるや否なミナはご飯の支度を始めた。
肉料理やご飯物、甘い物が食卓に並ぶ。
「チャ、チャンプル、ご飯にしよっ」
「あい。わかった(沖縄弁で)」
小さな茶碗で少量のご飯を食べるチャンプルを尻目にミナはモリモリと飯を平らげる。
料理が上手い訳でもないのだが、今日はやたらと美味く感じてしまう。
あまり上手く炊けてはいないご飯もとても美味いと感じてしまう。
胃袋もいつもならとっくに満腹になってるのだが、胃袋はその中身を食べ物で膨らましながらさらに食べる事を要求する。
モリモリと食べている内にミナのお腹が食べ物で膨れていく。
「ミナー?」
ものすごい食べっぷりにチャンプルはポカーンとするばかりである。
結局ミナはチャンプルが食事を終えて一人遊びをしてる最中も食事を続けた。
食事が終わる頃にはミナの腹部には不自然な盛り上がりが出来上がっていた。
「な、なんだろ・・・・この感じ」
ゴキュゴキュと水を飲み干して、ミナは己のお腹を擦りながら自分の食いっぷりに軽い恐怖の様な感情を抱いていた。
いつもより多く詰まれた皿が自分の大食ぶりをより一層印象付ける。
そんな事を思いながらもミナは無意識の内に水をがぶ飲みしているのであった。
暫くしてチャンプルと一緒に寝ようとして床に就く。
妙に身体が火照っている。ミナは手拭で全身を軽く拭いてから再度床に就いて深い眠りについた。
深夜。
熟睡する二人。
クークーと寝息を立てるチャンプルの横でミナが汗だくになって身を捩じらせる。
「ふぅ・・・・ ふぅ・・・・」
いつもの彼女の口からは聞く事のないやや色っぽい声を微かに上げるミナ。
全身の毛穴から汗が吹き出ると共に彼女の全身がほんの僅かながら膨らみ始めた。
米が炊き上がるかのように汗は湯気になり体は炊き上がる米のように僅かではあるがフウワッと膨らむ。
満腹状態のお腹は瞬く間に食べ物を消化してパンパンに張った感じが無くなっていく。
洪水と言ってもいい様な大量の発汗からかミナの身体が水分を求め、ミナの目が覚める。
「ん・・・ んん・・・・・っ ・・・・・・・ぁはぁ・・」
全身が汗でビショビショになったミナはまるで夢遊病者のようにゆらりゆらりと立ち上がり、
途中で台所から砂糖を持ち出して井戸に向かう。
水を汲むと砂糖を無造作に掴んで汲んだ水の中に放り込んでガブガブと水を飲み干していく。
飲んだ砂糖水で引っ込んだ腹がまた膨れるとミナはゆらゆらと再度床に就き深い眠りに入る。
朝。
小鳥のさえずりでミナは起床した。
「チャンプル、朝だよ・・・・ あれ?」
ミナはふと自分の手がほんの僅かながら膨らんでいるかのような気がした。
むくんでしまったのだろうかと思ったが、無論むくんだのではなく膨らんだ、いやほんの僅かに太ったのである。
しかもなんだか全身が妙に汗ばんでいる。うっすらと湯気が立っているようである。
「すごい汗・・・・ どうしたんだろ」
脇や胸の谷間、股間、尻肉の谷間。それらの汗が群れてベタベタとして気持ち悪い。
その横でチャンプルが起きた。
「ミナー。おはよー・・・・ 汗すごっ(沖縄弁で)」
大量に発汗しているミナにチャンプルは驚きを隠せない。
「あ、チャンプル・・・・。ちょっと川行ってくるね」
自分のべたついた汗に気持ち悪さを感じたミナは近くの川で汗を洗い流す事にした。
川に着くとミナは寝巻きを脱ぎ、じゃぶじゃぶと自分の身体を川の水で洗い始めた。
川の水の冷たさがとても心地が良い。
心なしか自分の身体がほんの少し柔らかく感じるが気のせいだろうとミナは思った。
全身の汗を洗い流し、今度は汗で濡れた自分の寝巻きを洗い始めた。
自分の寝巻きは汗臭くなっており、一体寝てる間にどれだけ汗をかいたのかと疑問に思ってしまう。
じゃぶじゃぶと今度は自分の寝巻きを洗い、ミナはいつもの服に着替える。
着慣れた服をすんなりと着終えた頃には自分の身体がむくんだのではないかという疑問は2の次になってきた。
喉が渇いてきたのだ。
ミナは足早に家に戻るとまたしても台所から砂糖を持ち出して、井戸から水を汲み、
その水に砂糖を混ぜてそれをがぶ飲み始めた。
前々から砂糖水が好物だった訳でもない。
本能的に水が飲みたい、出来る事なら砂糖と混ぜて飲みたいと思ったのである。
「(ごきゅっごきゅっごきゅっ・・・) ・・・っっはっ・・・。」
腹の中が水で満たされていくが、その水はあっという間にミナの身体に吸収されていく。
「こんどはお腹空いたな・・・・。チャンプル、朝ごはんにしよっ」
それからというものミナの増した食欲は収まる事を知らず、
寝ている最中の大量の発汗現象、ほんの僅かな肉体の膨張、
そして本人が無意識の内に起床しての大量の水のがぶ飲み行為も毎日休む事無く継続して続けられていくのであった。
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