海神の島
むぐ…むぐむぐ…むぐ…
「ぷはっ…はぁ、はぁ、はぁ…ん…」
もぐもぐ…くちゃくちゃ……ごくり…
「だいぶ大きくなったわね」
「もうすぐ『交わりの儀』に充分だな」
食欲の奴隷に堕ちた少女を見つめ、絹江と医者がつぶやく。
「んあ…おいし…もっと、もっとぉ…」
ある蒸し暑い満月の夜、夕食に相当する食事が終わり、真美はデザートのチョコバーをほおばっていた。
絹江が話しかける。
「真美ちゃんが来てからもう一年ねぇ…」
くちゃくちゃ…
「も、もうそんな…に…た…ちますかぁ…」
真美は野太い声で答える。
薬の効き目が切れだすと、少しは理性が戻ってくる。
ただ精神は相変わらず壊れっぱなしなので、惰性で食べ続けるが。
「真美ちゃんとてもがんばったわ。こんなに太ってくれて。ワダツミ様もきっとお喜びよ。」
「…あぅ」
絹江がぽんぽんと真美のお腹を叩く。
トランポリンのように、腹肉が振動する。
薬が切れると、真美は自分の体を改めて認識することができる。
コミカルに波打つ自分の体に顔が赤くなるが、今はその羞恥心に食欲を抑える力はない。
「真美ちゃん、今夜はね、真美ちゃんに大事なお仕事をしてもらうわ。」
「…ふえ…?…おし…ごと…?」
絹江は優しく語りだした。横にはみ出た真美の尻肉を撫でながら。
「そう、お仕事。真美ちゃんしっかり太ってくれたわ。今夜は、元気に育ってくれた証を示すために、そして、ワダツミ様からのご褒美を貰うためのお仕事をするの。」
「…な…にを…するん…ですか…?」
「真美ちゃんは神様の子供。真美ちゃんは今夜、島のひとと交わって、神様と島のひとの血をついだ赤ちゃんをつくるの。それが真美ちゃんがちゃんと育った証。島の人とワダツミ様が家族になる、それがワダツミ様のご褒美よ。」
「…え…ま…じわる…?…あ…あかちゃん…?」
真美があっけにとられているうちに、絹江は声をあげた。
「さあ、皆さん。どうぞ地下室に!」
絹江の呼びかけにこたえて、何人もの男が階段を降りてきた。
「きゃああ!!」
男たちの姿を見て真美は悲鳴をあげる。
男たちは皆異様な仮面をかぶり、全身に染料で模様を描いていた。
いや、そんなことよりも真美を驚かせたのは、男たちが仮面以外は何も身につけておらず全裸で、しかも全員、男性器をいきり立たせていることだった。
「きゃああ!!絹江さん!!何ですかこのひとたちは!?」
絹江は微笑んだ。
「言ったでしょう? 真美ちゃんはこれから赤ちゃんをつくるの、このひとたちとね。14歳なら、もう分かるよね? 真美ちゃん今夜大人になるの。」
いくら真美がお嬢様でも、薬で理性が弱っていても、今の絹江の言葉は完全に理解できた。
朦朧としていた意識が冴えてくる。
―「だけど、もっと恐ろしいことがあって…」―
陣内の言葉がフラッシュバックする。
「それじゃ、後は殿方にお任せして、わたしはおいとまします。真美ちゃん、がんばってね。」
「いやああ! 絹江さん! いかないでええ!!」
絹江は地下室から出て行った。
地下室には男たちと真美だけ残された。
「いやあ!ち、近寄らないで!!」
真美は逃げようとした。
しかし今のぶくぶくに肥満した体では、贅肉をぼよぼよ揺らすだけで、移動することができない。
太い腕をぶんぶん振り回して抵抗の意志を示したが、男たちにその腕をつかまれ、取り押さえられてしまった。
男たちが真美の巨大な肉体を取り押さえにかかる。
見た目は怪物でも、非力な贅肉の塊である真美はされるがままだった。
「いやああ!離してええええ!!」
涙と鼻水を垂らして泣き叫ぶ真美。
それでも男たちは黙々と真美の拘束を進める。
やがて、男が4人がかりで真美の脚を両端から抱え、がばっと開いた。
別の男2人が腹肉を持ち上げる。
そうしてできた脚と腹の間のスペースに、長老格と見られる男が膝をついて座る。
男は内股の贅肉をかきわけ、腰を割り込ませた。
「いやああああ! やだやだ! やめて! ほんとうにやめて! やめてくださいっ!! やめてくだ…ああっ…あ…お…お父さーん! …お母さーん! 助け…うあぁ! …あっあっあっ! ……っ! …痛っ! …痛い! 痛い! 痛いっ! …ひいぃん! …うう…うあ…うああ…うわあああああああああん!!!!」
ここは鳴神島。
絶海の孤島、異界の魔島。
少女の叫びは、外界に届かない…
「海神の島〜完〜」