FGI氏その1

FGI氏その1

前へ   6/6   次へ

#魔界戦記ディスガイア

 

最終話(後)『終わりよければ・・・?』

 

(一週間後、フジの部屋)
セ「フジ、本当に知らないのか?」
オ「こればっかりはね。良いじゃないですか、別に殿下とエトナさんが仲良くなっても 『殿下の愛を見守る会』 が心配する必要は無いんJ」
セ「 『殿下ファンクラブ』 だ! 勝手に名前を変えるな!!」
オ「とにかく、僕は知りません。第一、殿下にとって良いことなら 『殿下FC』 としても良いではないですか。」
セ「いや、しかしな・・・」
悩むセツナさん。実際は僕が実行犯なのだが、言ったらビッグバンされるので言わない。
殿下にも口止めされてるし。
オ「諦めて下さい。殿下がムチムチを越えて肥満娘に目覚めたんですよ。・・・アレ?」
返事無し、完全に固まってしまった。こうなっては仕方ないのでほっとく事にした。

 

(食堂)
食堂に向かうとエトナさんとフロンさんが居た。
ここ最近いつも聞く言い争いをまたしている。
エ「あたしが聞きたいわよ!! 激肥りする程食べて無いし!」
フ「じゃあなんですかそのたるみきった体は! ほんの一週間前はまだポッチャリかな〜 って所まで痩せたのに急激に肥って!」
オ「・・・毎日毎日飽きないねぇ・・・。」
今のエトナさんは一番肥ってた時よりも更に肥っている。
実は少し薬の量が多かったのが理由だが。
フ「でも、今度は全然痩せませんね。もしかしたら、痩せにくい体質になったのかも・・・。」
エ「・・・あ、そうなの?」
・・・実の話、まず痩せない。遠い昔『ヨウキヒ』と言うとある国の偉い女性がふくよかな体型を保つ為に使っていた痩せなくなる薬を改造した薬、って怪しい薬師が言ってた代物である。
効果は服用者が本気で痩せたいと思うまで続くらしい・・・。
フ「 『あ、そうなの?』 って、痩せる気があるんですかエトナさ〜ん! ここ最近で椅子2つ、ベッド1つ、プリニーさん1人が犠牲になってるんですよ!!」
エ「うぅ・・・」
ちなみに今は普通の椅子を3つ並べて座っている。
フ「これからはこの 『鬼コーチフロン』 がもっと厳しく」

エ「わかったから、あたし部屋に戻るね!」
フ「あ、ちょっとまだ話は!」

 

ドス、ドス、ドス、ドス・・・

 

フ「・・・はぁ〜〜。」
オ「ははは・・・ちょっとエトナさんに厳しすぎるんじゃないですか、フロンさん?」
フ「フジさん! あなたもエトナさんには厳しくお願いしますよ!(燃)」
オ「・・・はいはい。」

 

 

(廊下)
エ「はあ、はあ、まったく、フロンちゃん、ったら、うるさいんだから・・・」
しかし、ただ歩くだけでもツラい。走る事に至っては既に不可能で、
動く度に全身に付いた肉が揺れる分、余計に疲れる。
誰にも言っていないが、既に180キロ(前回は150キロより少し上程度だった)を超えた体の肉は
自分にとって邪魔でしか無い。
鍛えてたからまだ動けるが、もし常人程度の筋力だったら・・・ 考えたくない。
そして限界まで伸びきった服は大量にでる汗を吸い込んで着たときより縮み
(伸縮性抜群で縮まない筈だったが・・・)、きつくなった気がする。
エ「ふぅ・・・ 後はここね・・・。よいしょっと。」
少し床に座って休む( 『ドスン!』 なんて聞こえそうな勢いである)。
今から毎日何回も通る今の自分にとって何よりもツラい物に挑むからだ。
そう『階段』。
自分の体重のせいでバランスが取りにくく、腹が邪魔で(胸は邪魔になるほど大きく無い)
足元が見えない為かなり危険な場所である。
しかも1段上がる事に重たい腹を持ち上げなければ前の段に腹が引っ掛かる為手摺が掴めず、

上がりきるまで休めない。
エ「ぜぇ、ぜぇ・・・」
ドスン、ドスン・・・。
だれも居ない静かな階段に自分の足音のみが聞こえる。
以前なら1、2段跳ばしくらいで駆け上がる階段も今では地獄である。
エ「ぜぇ、ぜぇ・・・ あっ!?」
腹を持ち上げきれて無かったらしく、前につき出た腹が階段に引っ掛かりバランスが崩れてしまった。
倒れ・・・ ない?
ラ「・・・何を階段でもたついている。危ないではないか。」
エ「で、殿下!?」
どうやら殿下に支えられたらしく、倒れずにすんだ。
今の体では起き上がるのも大変だった為、助かった。
ラ「・・・お、重い、後、熱い・・・。」
エ「あ、すみません殿下。そのまま押して下さい。そうすればちゃんと立てるんで。」
ラ「自分でなんとか出来んのか!!」
エ「いや、その、腹が邪魔して手摺に手が届かない・・・。」

 

その言葉を聞いてやっと気が付いたらしく、慌てて押してくれた。
そしてそのまま引っ掛かる事なく階段を上りきった。
エ「はぁ、はぁ、殿下、わざわざすみません。」
ラ「ふん。二度と潰されたく無いんでな。」
「「・・・・・・」」
気まずい間が出来る。とりあえずこの場から去ろうと思い、そのまま部屋に戻ろうとした。
ラ「エトナ!」
エ「へ?」
ラ「ひとつ聞くが・・・ やっぱり、今のその体型は嫌か?」
エ「はぁ、またですか? ・・・そりゃあ・・・ 嫌、ですよ。さっきみたいに階段上がるのも辛いですし、着れる服も無いですし、汗だらけになるし、そのせいで臭いし。」
事実、今の体ではお風呂にも入れない。毎日自分の体をタオルで拭くだけである。
着れる服も殿下に貰った服が5着(同じ物)だけで、しかも汗ですぐに汚れ、
本当なら一日最低3回は替えたいが、そんなに服が無いためいつも汗臭くなってしまう。
ラ「・・・そうか。まぁ、そうだろうな。」
エ「出来るならすぐにでも痩せたいですね。」
ラ「俺様は無理に痩せなくても良いと思うぞ。」

何を言い出すかと思ったら・・・
エ「殿下、いくら自分が今のままで良いと思ってるからって・・・」
ラ「違う。お前の事を考えてだ。最近はダイエットもキツそうだし、痩せても無いではないか。それに、服が足りないなら買い足すぞ?」
エ「・・・殿下。」
ラ「部屋も変えるぞ? 今の位置はツラいなら違う部屋に」
エ「殿下! ・・・そうじゃなくて、その・・・。」
・・・本当は言いたく無かったけど、優しい言葉(言い方は投げやり気味だが)を掛けてくれる殿下には
本音を言おうと思った。
エ「・・・今のあたしみたいなのが歩いてたら、誰だって嫌ですよ。城の廊下だって1人で2、3人分のスペース取るし、立ち止まれば汗で下に水溜まりが出来るし、常に汗臭いし、椅子やベッドは潰すし・・・。今じゃあたしは戦闘も出来ないし、家事も出来ないただのデブですよ? いくら殿下がデブ好きだったとしても、嫌ですよね? 階段も一人で上がれない様な状態ですからね・・・。」
言っている途中で自然と目から涙が出てくる。
普段隠している思いを言い切ったからだろうか。自分でも良く分からない。

 

ラ「・・・なんだ、そんな事か。」
エ「なんだ、ってあたしは真剣に・・・」
ラ「お前の周りの者たち(プリニー除く)は見た目でお前を差別したりする奴が居るのか? フロンもお前の為に頑張っているし、フジも他の奴らもお前を慕っているではないか。」
エ「・・・・・・」
ラ「少なくとも俺様はお前を嫌いには絶対ならない。エトナはエトナだ。俺様の大事な部下に変わりはない。」
エ「殿下・・・ ありがとうございます。」
ラ「!! ・・・礼などいらん! むず痒くなる! ・・・質問は以上だ、俺様は部屋に戻るぞ!」
そう言って部屋の方向に歩いていき、途中で振り向いて、
ラ「服は追加注文しておくからな!」
と言って走って行った。
エ「・・・」
そしてあたしは、走る殿下の後ろ姿を知らない間に笑って見ていたのだった。

 

 

オ「・・・・・・」
フ「む〜・・・(エトナさん、ラハールさんに急接近です! こうなったら、いっそ私も・・・)。」
そしてそんな2人を見てひっそりと微笑む僕と、(恋の)ライバル心剥き出しのフロンさんだった・・・。
(Fin)

 

 

前へ   6/6   次へ


トップページ 肥満化SS Gallery(個別なし) Gallery(個別あり) Database