FGI氏その1
#魔界戦記ディスガイア
最終話(前)『好スタート』
(夕方、フジの部屋)
フジ日記
『・・・改めて最近の日記内容を見直すと、エトナさんのダイエット状況しか書いてない事が良く分かる。
そして、驚異的に痩せてきてる事も良く分かる。
フロンさんとこまめにエトナさんの現状を話し合って現在体重を聞いているが、最近80を切ったらしい。
元が100より相当上(100まで量れる体重計が潰れかける程)だった事を考えると驚異的な痩せっぷりだ。
前までの体重であの服は恥ずかしかった為か外でのダイエットの時以外は自分の部屋からほとんど出ることが
無かったが、最近は外でもよく見掛ける様になった(大抵何か食べているが)。
最初の頃は『肥満体型』と呼べるエトナさんの体は整った体型の人ばかりの魔界ではかなり珍しい為
、色々な人から好奇の目で見られていたが、今は優しく接してもらっている。
中には柔らかい贅肉を摘んでおもいっきり叩かれる人もいる。
この時間が続けば良いけど、残念な事にフロンさん曰く『元の体重まで落とす』らしい。
嗚呼、どうしたものか・・・。』
オ「・・・こんなとこか。」
?「な〜にが『こんなとこか』だよ。『おもいっきり叩かれた人』ってお前の事じゃねぇか!」
オ「・・・ノックくらいしてから入って下さいよ、セツナさん。」
セツナ(セ)「ノックはしたよ!返事が無いからアタシは入ったんだ。大体用事があるって言っといたのに日記なんて書いてんじゃ(クドクド)・・・」
・・・今僕の目の前で説教してるのは女性格闘家のセツナさん。
殿下の弟子でカーチスさんの戦友(『とも』と読んでね)。
さんを付けないと怒るちょっと短気な人だが結構長いつきあいで、僕の趣味を知っている数少ない人でもある。
ちなみに殿下の苦手な体型・・・ つまり、出て引っ込んで出ている。
セ「ちゃんと聞いてんのか!?」
オ「・・・僕に説教しに来たんですか?」
セ「違う!! 殿下の事でお前を問い詰めに来たんだ!」
オ「はぇ!? 何で!?」
セ「今日の朝、珍しく殿下が話かけて来てな・・・」
(今日の朝)
セ「へ? 今のエトナさんについて・・・ ですか?」
ラ「そうだ。正直に話せ。」
セ「う〜ん・・・ あんな体型になってしまって落ち込むかと思ってましたが、特にそんな事は無さそうですし、普段通りのエトナさんですよ。」
ラ「そうか。その・・・ 体型については何か言って無かったか?」
セ「体型? 『フロンちゃんの厳しいダイエットも痩せる為なら仕方ないよね?』 って言ってましたから、恐らく痩せたいんだと思いますよ?」
ラ「・・・そうか。」
(戻って)
オ「・・・成程。で、その質問に何故僕が関係していると思ったんですか?」
セ「あの後の殿下はかなり落胆していた。つまり、今のエトナが好きになってしまったんだ!!」
オ「殿下がエトナさんの事を好きだった何て前から分かってた事じゃないですか。」
セ「だから、『今の』エトナと言っただろう! 『今の体型のエトナ』って意味だよ!! つまり、殿下がデブ好きになってしまったかも知れないって事だ!」
そう叫ぶとセツナさんは僕の後ろに素早く回り込み、僕の首を絞め出した!
セ「デブ好きと言えばお前だ。つまり、お前が関係してるって事だ!」
オ「そ、そんな、無茶苦茶な・・・ (苦し・・・)」
セ「罪を認めないと殿下ファンクラブ、じゃない、殿下親衛隊隊長としてこのまま絞める!」
オ「うぐぅ・・・ (まずい、本気だ・・・)」
セツナさんが本気になった時は絶対に手加減しない事を僕は良く知ってる。
少し悩んだが、僕は首を絞めてる手を叩き降参した。
手を叩くとセツナさんはすぐに手を離した。
オ「はぁ、はぁ・・・」
セ「ったく、とぼけずに最初から話せば良いのに、手間を取らせる。・・・さて、話して貰おうか・・・(怒)。」
オ「・・・その〜・・・」
普通に全てを話したら殺される・・・。そう思い、少し話を改編する事にした。
オ「ちょっと前に城にカーチスさん達が遊びに来たですよね?」
セ「アタシは任務で居なかったけどな。」
オ「あの時、カーチスさんが殿下の弱点・・・ つまりムチムチした女性嫌いが治ったか聞いて来たんです。それが話の発端だったんですが。『治って無い』 と答えたら 『何が何でも治せ』 と言われて、皆でどうやって治すか相談したんですよ。」
セ「・・・で?」
オ「相談の結果、ゴードンさんが出した提案 『身近な女性がムチムチになる』 になったんですよ。セツナさんは任務でほとんど城に居ないですし、フロンさんかエトナさんって事になったんですが・・・。」
セ「二人共、ムチムチとは書け離れた洗濯板じゃないか。」
オ「(酷い・・・。)その時、ゴードンさんが 『胸を大きくしたいなら肥れば良い!』 って。カーチスさんの熱い説得でエトナさんが殿下の為に頑張る事になったんですが、流石に肥るのは凄く嫌そうだったんですよ。なのに気付いたら・・・」
セ「今の様になっていたと? つまりお前は特に何もしてない、と?」
オ「もちろん・・・ って言うか、他人をどうやってあんな風になるまで気付かれない様に肥らせるんですか?」
セ「・・・呪い、薬、説得、催眠、調教、口先の魔術・・・」
オ「いや、全部無理ですから。(出来るけど。)」
セ「・・・納得行かねぇ。つまりエトナが 『殿下の為に仕方なく肥った』 って事だろ?ツンデレのあいつが殿下の為に文字通り体はって?」
オ「ツンデレだからですよ。普段は喧嘩ばかりだけど、実際は殿下もエトナさんも相思相愛、ラブラブなんですよ。だから殿下の為に肥ったし、急激に肥ったエトナさんを殿下は本気で心配した。しかも、最初エトナさんが肥った事に気付いたのは殿下ですよ?」
主犯の二人(僕とフロンさん)は除いている。
セ「な!? 馬鹿な・・・。そんな・・・ 殿下がエトナと・・・」
オ「 『殿下ファンクラブ』 は 『殿下の愛を見守る会』 に変えるべきだね。」
・・・返事が帰って来ない。相当ショックだったようだ。
とりあえず僕が主犯と言うのは隠せた・・・ と思う。
――コンコン
オ「ん、誰でしょうか?鍵は開いてますが。」
――ガチャ
ラ「フジ、話がある。」
セ、オ「で、殿下!?」
ラ「何を慌てている。・・・お前ら、まさか」
オ「何を考えているんですか一体。僕達は少し話をs」
セ「を〜〜っと!? プリニー達に手伝いを頼まれてたんだった〜! では!!」
セツナさんは僕の言葉を遮り慌てて走りさって行った。
多少声が裏返るほど予想外だったらしい。
ラ「・・・訳が分からん。」
オ「私も訳が分かりません。殿下、何故僕の部屋に?」
ラ「確認だが、誰も居ないな?」
オ「私以外は。・・・そんな事を聞くくらいですから、相当な事なんですね。エトナさん繋がりですか?」
ラ「・・・ゴードンに(無理矢理)喋らせた。カーチスもフロンも余計な事をする奴達だ。」
オ「!! ・・・しかし、喋らせたのに私にメテオインパクトしないと言う事は、何かあるんですね? あまり大きな声では言えない何かが。」
ラ「・・・初めて肥ったエトナを見た時に色々あってな、その時に・・・ その、ムチムチには耐えれる様になったが、何故か肥った女が綺麗に見える様になってな・・・。」
・・・ここまで上手く行くとは思って無かった。予想外である。
オ「で、言及でも報復でも制裁でもなければ何で私の部屋に?」
ラ「聞くが、もう薬の効果は切れたんだろうな?」
オ「ああ、あれから一週間以上立ちましたから、既に切れましたね。もしかして追加して欲しいとかですか?」
ラ「違う、むしろこれ以上は止めろ。何もするな。」
オ「何故です? 肥った女性が良いのでは?」
ラ「だからとは言え、これ以上エトナを犠牲にされても困る。何故困るのかは深く聞くな、とにかく止めろ。」
・・・分かり易い。流石殿下、嘘が下手だ。思わずニヤニヤしてしまう。
ラ「何を笑っている。とにかく、薬の効果は切れたのだな?」
オ「もちろん。痩せはじめているのが何よりの証拠ですよ。」
ラ「・・・そうか、邪魔をした。」
聞くだけ聞いてさっさと出ていってしまった。
オ「(・・・やっぱり薬かな。今度は『アレ』を試して見ようかな・・・。)」
そして閃く。殿下に頼まれた方向とは真逆の、自分にとって嬉しい『最後のシメ』である。
オ「(殿下には悪いですが、僕の方も完璧主義なのでね。)」
そう言って、僕は違う薬を準備するのだった――。
最終話(中)『急ブレーキ(エトナ視点)』
(深夜、エトナの部屋)
ギシ・・・
食堂から戻り、とりあえずベッド(もちろんプリニーに修理させ、頑丈にした。)に座る。
頑丈にしたとは言え、今の私が座ると少し軋む。
エ「ふぅ・・・。」
一息着き、食堂から(勝手に)持ってきたおやつを夜食代りに食べ始める。
前よりは食べなくなったとは言え、この体の為かつい何か食べたくなるのだ。
ファミリーサイズのポテチを食べきった後、あたしは鏡の前に立った。
エ「・・・前の体よりは確かに胸があるけど、それよりもお腹とか悲惨ね・・・。はぁ・・・。」
殿下の命令で、伸縮性抜群の服(ただしサイズ自体は大きく無い為、体に食い込む)を着ている体は
かなり悲惨な事になっている。
もっと肥っていたあの頃と同じ服なのだから、あの時はもっと酷かったのだろう。
自分の体が見たく無かった為、どんな姿だったかは知らないけど。
エ「今の調子で元の体型まで戻るのにどれだけかかるんだろう・・・?」
実は、最近体重は減ってない。それどころか4キロ増えている。理由はあたしが隠れて食べているからだけど。
今も2袋目のポテチを食べ終わったところで、口が脂っこいからコーラをラッパ飲みしている。
エ「ゲフッ。・・・ま、こんな調子なのに痩せれたら苦労してないわね。」
もちろん、こんな所をフロンちゃんに見られたら更に厳しく食事を制限されるかも知れない。
だが、やはり食べずにはいられない。最近は何を食べても凄くおいしく感じるのだ。
エ「・・・なんか、心も体もすっかりデブの生活に馴染んだって感じね・・・。」
ラ「起きてるか、エトナ?」
エ「!! で、殿下! ノックくらいして下さい!!」
殿下がいきなり入って来た為、慌てておかしを隠す。
ラ「・・・別にフロンに告げ口するつもりは無い。食ってて構わん。」
エ「え、あ、そうですか。(助かった・・・。)」
ラ「・・・ところで、そのコーラはどうした? 買ってきたのか?」
エ「いや、 『ダイエットも厳しいでしょう?僕からの差し入れです。』 ってフジが隠して持ってきてくれたんです。しかも2リットル×6本の箱を。」
ラ「そうか。(アイツ・・・ 薬が駄目だからってなぁ・・・)」
エ「で、一体あたしに何の用ですか?」
普通、殿下があたしに用がある場合は自分の部屋か玉座に呼び出すのだが、
今日はこんな時間に、しかもわざわざあたしの部屋に来てまで話す事だ。
何か重要な事に違いない。
ラ「いや、その・・・ ダイエットの事何だが・・・ 辛くないか?」
エ「・・・は?」
ラ「だから、辛くないか? どうもフロンが無理矢理痩せさせ様としている気がしてな。一応、お前は本当に痩せたいのかと思ってな・・・。」
エ「・・・・・・」
予想外だ。まさかこんな事を聞かれるなんて・・・。
何より、殿下がこれほどあたしの事を心配してくれる事が一番予想外だ。
エ「そ、それはもちろん痩せたいですよ! こんな体型、魔界であたしだけですよ!?」
ラ「・・・そうか、それはそうだろうな・・・。」
エ「・・・・・・?」
あたしが 『痩せたい』 と言った途端、言葉にやる気が無くなった気がする。
からかう気持ちで一言言ってみた。
エ「まさか、痩せて欲しく無いんですか〜?」
ラ「な、バ、バカ! そんな訳が無いだろう!! ただちょっと聞いてみただけだ! 『痩せるな』 なんて思ってる訳が無いだろう!」
エ「・・・!!」
ラ「あ、ち、違う! 『そのままの方が良い』 なんて・・・。」
どうやら図星っぽい。(普段嘘を言わない為)嘘が苦手な殿下が勝手に自爆している。
エ「あれ? 殿下、もしかしてデブ専になったんですか〜?」
ラ「(ドキッ)違うわ!!」
エ「いいじゃないですか〜。魔王様も人間と結婚する様な方だったんですから、ちょっと女性の趣味が違っても」
ラ「・・・別にそんな訳ではない。」
エ「え?」
ラ「お前が心配だったのは本当だ。短期間で一気に肥って、まだ自分の体にも慣れてない状態でフロンにダイエットさせられて、色々大変だと思っただけだ。」
エ「こんな服を用意してた癖に。」
ラ「うるさい。お前に潰された時に俺様の何かが変わったんだ。ムチムチな女性を見ても何とも思わなくなったしな。」
エ「・・・・・・」
ラ「エトナ。・・・俺様の側に居てくれないか?」
エ「・・・え?」
ラ「別に体型云々は関係無い。が、お前が肥ってきた間、近くにお前がいる事が少なくて・・・ その、そう、退屈だった。やはりお前が近くに居ないとつまらん。・・・だから頼む。」
エ「殿下・・・。ま、何処かに行く予定は無いですからね。あたしが居ないとツッコミの殿下しか居なくなりますし。」
それに、魔王様との約束もある。これは誰にも言えないけど。
ラ「誰がツッコミだ、誰が!」
エ「それに、魔王様らしく無い行動を取ったら後ろから刺さないといけないので。」
ラ「そう言えばそんな約束もあったな。」
エ「まあ、殿下はまだ合格ラインより上ですけどね。で、話はそれだけですか?」
ラ「ああ。夜食中にすまなかった、だが、痩せたかったら夜食は食べない方がいいと思うがな。」
エ「ゔ」
最後にそれだけ言って部屋を出て行った。
(天井裏、フジ視点。)
オ「(いや、良いものが見れた。全く、2828、違った、ニヤニヤが止まらないじゃないか、これは。セツナさんが見てたら卒倒だね、うん。)」
天井裏で一部始終を見ていた僕は溜め息を吐いた。
普段ならバレてるかも知れないが、今のエトナさんはポテチを音を立てて食べている。
そして今1本目のコーラを飲みきった。
エ「ゲフッ。さすがに一気飲みはキツイかな。ふぅ・・・。」
と言いながらも2本目のコーラを開けている。
オ「(お? 今のコーラ、開けた時に『カチッ』って言わなかったな。当たりかな?)」
エトナさんはそれに気付く事無く飲み始めた。
エ「ぷはぁ、二本目は腹にくる・・・」
と言いながらも最後まで飲みきった。この間約5分、驚異的な速さだ。
オ「(よしよし。これで良かった筈。あの薬実際に使った事無いからな。)」
さっき飲みきったコーラには僕の秘蔵の薬を混ぜてある。
効果が今すぐには分からないのが難点だ。
エ「お腹も一杯になったし、寝ようかな。・・・殿下にまで言われたし、明日から夜食は止めよう。」
そう言って横になり、の○太なみの早さで眠った。僕も天井裏から退散する事にした。
オ「(う〜ん残念、いくら夜食を辞めても意味がなし、『時既に時間切れ』です。あの薬は飲んだら絶対ですからね〜。)」
(自分の部屋)
オ「しかし、このままほっといてもリバウンドしてた気がする・・・。」
部屋に戻り、勝手な妄想を続ける。薬の効果は明日から出始め、一週間で完了する・・・筈。
エトナさんの反応も楽しみだが、周りの反応も楽しみである。