FGI氏その1

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#魔界戦記ディスガイア

 

第六話 『予想外の出来事2(中編)』

 

(*エトナ視点に変わります。)

 

(少し前の早朝、エトナの部屋)
エ「・・・???」
自分を落ち着けたいのに全く落ち着かない。頭が『何故』『どうして』で一杯になっている。
自分がやった事なのに自分が一番分かってないのだ。
今自分が理解出来ている事は、『プリニーに買わせた1ヶ月分の食糧を無我夢中で全て食べてしまった事』 『何かが裂ける音で気が付いた事』 そして 『急激に肥った事』である。
エ「どうしよう・・・」

 

フ「エトナさーん! ご飯で〜す!」
エ「あ、待ってフロ・・・!!」
そこまで言った時、今まで他『2つ』で気が動転していて気付いて無かった『1つ』に気付いた。
エ「(服が!!)」
自分の持っている服で一番サイズが大きい服が脂肪に押され悲惨な状態になっていた。
いや、まず服の原型を止めてない。脂肪に布切れが乗ってるが正しい。
とっさにベッドから立ち上がり、扉に鍵を架けようとした。
どすん!
エ「か、体が・・・重い・・・。」
病気の時の比喩表現ではなく、確かに重い。しかも、腹が邪魔で足を動かしにくく、かなり歩きにくい。
なんとか扉に着いた時は、息を切らしていた。
エ「はぁ、はぁ・・・ ほんの10歩くらいなのに(ガチャン)・・・ フロンちゃん、ゴメン。アタシちょっと体がだるいから。はぁ、朝ご飯いらない・・・ はぁ。」
フ「本当にお辛そうですね・・・ 分かりました。お大事に。」
息切れを不調のせいと思ったフロンはそのまま戻って行った。
エ「はぁ、良かった・・・。」
そしてその場に『ぺたっ』と座る事に『どすん!』

エ「・・・(今の音、座った音よね? アタシ、そんなに肥ったの?)」
そして横にあった鏡を見て、
エ「(・・・え? あたし・・・だよね!?!? ・・・けっこう、酷く、なったわね・・・ はぁ。)」
思わずガラにも無い悲鳴が出そうだったが、なんとか止まった。
今叫んでは人が来る。それは凄くマズイ。
とりあえず落ち着くために軽口を叩いてみたが、相手が自分では虚しくなるだけだった。

 

(大体5話と同じ頃。)
エ「(・・・冷静になって考えないと。なんでこうなったんだっけ? 確か、プリニーを投げ飛ばした後・・・。)」
落ち着いて考えた末、出た答えは『食糧を前にして理性がぶっ飛んで食べ始めてしまった』だった。
エ「今回は特に酷かったけど、最近なんでこんなに食べる様になったんだろう・・・。おかげでこんな酷い体型になっちゃうし・・・。」
もう一度、鏡に写った自分の姿を確認して思わず溜め息を吐いた。
ほんの5日前のスレンダーな自分など何処にも無かった。
少し動かすとブルブルと揺れる程太くなった腕。同じく太くなった足。
3段では無く大きな2段腹になっているお腹。
他と比べるとそんなに酷くないが、少し丸くなった顔。が、一番気に食わないのは、
エ「なんで胸は昨日とあんまり変わって無いのよ!!」
どうやら自分の胸は成長する気が無いらしい。お腹に比べるとかわいらしい肥大化だ。
それなりにあるだろうが、お腹の印象が強くて全く気にならない。飾り以下である。
エ「はぁ・・・。」
ガッカリしてまた大きな溜め息をついた。
そしてゆっくりと立ち上がり、ゆっくりとベッドに歩き、ゆっくりとベッドに座った。
ミシ・・・ ミシ・・・。

ベッドがかなり悲鳴をあげている。プリニーに作らせた、鉄パイプのしっかりした土台に木の板をのせて
その上に布団をのせただけの簡素な手抜きベッドだから仕方ない。(この時既に天井裏にフジが居る。)
エ「こんな事があるならちゃんとしたベッド買えば良かった・・・。でもどうしよう。まだこの体に慣れて無い今じゃ、運動してダイエットも出来ないし・・・。はあ〜ぁ・・・。」
再び溜め息をついてベッドに倒れ込んだ。
ミキッ! ベキッ!!
エ「へっ、はっ!?」
オ「あっ、壊れた・・・。」

 

エ「うぅぅ・・・ プリニー達、もっと頑丈に作りなさいよ・・・?」
ベッドの長さが短い方(横?)に倒れ込んだ為、元々小さかったベッドの骨組みに
自分の今の体がジャストフィットしてしまったらしい。抜けない。
エ「ちょ・・・ ちょっと! マジで!?」
『ギュ〜!』って音が聞こえそうなくらい努力したが、全く抜ける気配が無い。
むしろ体がずれてしっかりとはまってしまった気がする。
エ「はぁ、ふぅ・・・。どうしよう・・・。」

 

(*フジ視点に戻って)

 

オ「(これは・・・ どうしようかな〜・・・。)」
正直、もう少しこの状況を堪能したい。
『元スレンダー美少女(ただし実年齢1473歳)がベッドに挟まる』なんて
一生見れないかも知れない状況だからだ。
オ「(でも、助けないといけない・・・ よね? でもな〜・・・。)」
結局もう少し見ている事にした。
エ「・・・! ちょっと! そこで何してるの!」
オ「(!! しまったばれた!?)」
が、エトナさんの視線の先(指は手がはまってて出せない)は僕の居る天井ではなく、部屋の扉だった。
オ「(え?)」

 

ラ「・・・悪かったな。大きな音が部屋から聞こえたから、聞耳を立ててたのだ。」
エ「は? 殿下!?」
オ「(えっ? 殿下? 普段エトナさんの部屋になんか来ないのに!?)」
これはテープレコーダーでも持って来れば良かったと少し後悔した。
二人が、しかもエトナさんがムチムチな(今はムチムチじゃすまないが)時に話合うんだから、
相当レアな現場である。
非常に『アレな』状況にあるエトナさんを分からずに、殿下は話始めた・・・。

 

 

第七話 『始まり』

 

ラ「少し話がしたいんだが、入って良いか?」
エ「へ!? 今は、その、調子が悪いから、そこで話して下さい! (今入られたら・・・ううぅ。)」
ラ「あ、ああ。・・・エトナ、最近・・・ その、太ってるのは俺様のせい、か?」
オ「(はい!?)」
あまりに予想外な発言に僕もベッドに挟まってもがいていたエトナさんも驚いた。
エ「べ、別に、殿下のせいじゃ無いですよ! 何を急に」
ラ「いや、思えば俺様が『胸が大きくなった』と言ってから急激に太っていた気がするからな。今まで表には出して無かった不満でも爆発したのかと思ってな・・・。」
オ「(珍しく本気でエトナさんを心配する殿下(普段は表に出さない為分かり難い)を見た気がする・・・。)」
ベッドに挟まっているエトナさんはじっと殿下の話を聞いている。上からでは表情が分かり難い。
ラ「いや、別に太っているのが悪い訳じゃないぞ! 俺様はお前が心」
そこまで言って少し間が出来た後、
ラ「お・・・お前がデブになっては常に共に居る俺様にそんな趣味があると思われてしまう! だから今言うんだからな!」
相変わらずのツンデレっぷりである。素直になったと思ったのに・・・。
エ「殿下・・・。」
ラ「と、特にもう話は無い! 昼飯にはちゃんと来るんだぞ、じゃあな!」
エ「待って殿・・・」

殿下を追いかけようと、挟まっている体を無理に起きあげたその時。
バキン!
エ「へっ!?」
オ「あ」
ドスン! カーンカラーン! ガラガラ・・・
どうやら既に骨組みも限界だったらしい。盛大な音を立てて崩れた。
そして骨組みに支えられていたエトナさんも落ち、衝撃で積んであった1ヶ月分の食糧のゴミやタンスが倒れ、エトナさんは埋まってしまった。
ラ「!?」
オ「(ん、これはチャンスか?)」
『物音で殿下が入ってくる』と思った僕は素早くパチンコを出し、カーチスさんから預かった物を準備した。
これでもHITは高い自信がある。
ラ「大丈夫・・・」
案の定、鍵を無理矢理破壊して入って来た殿下の口めがけて薬を撃った。
ラ「か!? ・・・ゲホッ、何か飲んだ・・・。」
命中したらしく、軽く殿下がむせた。この後は『神のみぞ知る』状況である。しっかり見るけどね。
とりあえず、扉付近のゴミの山をパチンコで倒し、簡単に出れない様にした。

ラ「(これほどエトナはぐうたらじゃない筈だが)どこだエトナ!」
エ「殿下、大丈夫なので来ないで下さい!」
が、既にエトナさんにデレている殿下にはエトナさんの声は逆効果だった。
ラ「そこか!」
そして、殿下が近付いた時、急にゴミが動いた。
ラ「な!?」
予想外の足場の動きに足を取られ、床に倒れた。
幸いゴミがクッションになり頭は打たなかったが足場はかなり悪い。

 

ラ「・・・!! エ、エトナ!?」
エ「・・・(とりあえず、バスタオルがあった・・・。)」
いささかエトナさんに余裕が見えるのは倒れた荷物にかなり大きいバスタオルがあったらしく、
それで胸を隠しているからだろう。大きさ的に役立って無いが、裸より多少マシらしい。
が殿下には大ダメージである。
ラ「エ、エトナ? 一日でそんなに・・・?」
エ「・・・何ですか。」
ラ「太ったのか!?」
・・・もう少し遠回しに言ったりは出来なかったのだろうか?
見られてふっきれたらしいエトナさんはどう見ても怒っている。
エ「ええ、肥りましたよ!! 一日で多分100キロなんて余裕で過ぎましたよ!!」
ラ「な・・・ 100!? ・・・確かにぶよぶよだが、100キロ!? それでは今のお前はただのデブじゃないか!!」
・・・殿下、もっと言葉を選ばないと・・・。
エ「(グサッ!) ただのデブって言うな!!」
そう叫ぶと勢いを付けて殿下に体当たりし、そのまま押し潰した。
ラ「うがっ!?」

避けようとした殿下だったがゴミでバランスを崩して完全に押し潰された。
上からではエトナさんの巨体しか見えない。
ラ「重・・ 臭・ ど・ け・・・ 頼・・・ む・・・」
100キロオーバーの肉体に潰された殿下はかなり苦しそうである。
しかも発汗も酷くなり前日風呂に入っていないエトナさんはかなり臭うだろう。
エ「嫌です! さっきまでは心配してた癖に、姿見たとたんまるで化け物扱いされたら怒りも我慢出来ません!」
もう一度手でなんとか体を持ち上げ、勢い良く殿下を潰す。
ラ「ぐはぁ!? ぶよぶよがぁ、気持ち悪い・・・」
エ「今日の殿下はなかなか気絶しませんねぇ〜?(ニヤリ)」
オ「(完全に普段のエトナさんに戻ってる・・・。)」
殿下には悪いが、あんな事を繰り返されたらムチムチに耐性が付くだろう。
二人に任せて僕は撤退する事にした。
エ「ぶっ潰〜す!(怒)」
『ドスン!!』
ラ「がはぁ!! ベタベタするぅ・・・ 体をくっつけるなぁ・・・。」
オ「・・・ま、仲良さそうだし、いっか。」

 

この1時間後、僕はエトナさんの部屋の前にボロ雑巾の様になって倒れていた殿下を
部屋に運んだのだった・・・。

 

 

(1週間後・・・)
ドスドスドスドスドス・・・
エ「ひぃ、はぁ・・・ ふぅ」
フ「こ〜ら〜! 勝手に休んじゃ駄目ですよ!?」
エ「フロン、ちゃん? ふぅ、どう、しても、ダイエットしないと、はぁ、駄目なの?」
フ「そんなにぶよぶよな体じゃ健康に悪いですよ! ほら、走って!!」
エ「ううぅ・・・。」
ドスン、ドスン・・・。
フ「歩かないで、ちゃんと走って下さい!」
ベチン! ブルン!
エ「ぶふっ、分かったから、体を叩かないで・・・。」

 

オ「エトナさんファイト〜。(棒読み)」
カ「ったく。痩せる事を考えて置けよ。流石にあれじゃアイツが可哀想だぜ。腹揺らして走る羽目になってよ。」
何かカーチスさんが言っている気がするが、全く耳に入らない。エトナさんの走る姿を見るだけで頭が一杯だ。
何故なら今は昔と同じ服、つまりサイズだけ今のエトナさんに合わせた元の露出の高い服を着て
走っているからだ。
『痩せるまでこの服でダイエットしろ!!』と言う殿下の提案である。
最初は拒否したエトナさんだったが、他に着る物も無い為仕方なく着ている。
走る度に揺れる全身はとても目の保養になる。
カ「(聞いてねぇ・・・)で、殿下の弱点は治ったのか?」
オ「え? ああ、多分大丈夫ですよ。カーチスさんが作った薬が切れた後も殿下がエトナさん見て気絶する事無いし。おそらく成功です。」
カ「そうか。なら良しだな。弱点が無くなって完璧になった訳だな?」
オ「・・・(出来れば痩せてほしくないなぁ・・・)・・・」

 

カ「・・・やれやれ。」
一応話は聞いてたが返事をしなかった為か、カーチスさんは一人城に戻って行った。
そして入れ替わる様に殿下が来た。
ラ「今日も頑張ってるみたいだな。エトナは。」
オ「・・・なんか、エトナさんがダイエットしてる事が残念そうな感じですね。」
ラ「そんな訳が無いだろう。俺様はまた城が汗臭くなる事を考えてるだけだ。全く、あんなにデブになったせいで・・・。」
オ「(・・・う〜ん、『ツンデレ×ツンデブ』か。新ジャンルだな。)」
そんな事を考えながら運動時間が終わるまで汗だくで走るエトナさんを見ているのだった・・・。

 

 

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