820氏その1
#型月,TYPE-MOON,月姫,メルティブラッド,MELTY BLOOD,メルブラ
私、弓塚さつき!
通称さっちん!
普通の高校生だったのに、ある日吸血鬼に噛まれて吸血鬼になっちゃったの…。
日の光には弱いし、シエル先輩には追われてるし、こんな状態じゃ家にも帰れない。
そんな時みつけた私のオアシス、路地裏!
ダンボールもたくさん捨てられてるから、家には全く困りません!
吸血鬼だから基本何も食べなくても大丈夫なんだけど、やっぱりお腹は減るの。
でも私達のご飯というと人の血だから、気が引けるんだ…。
そんな時相談相手になってくれたのが、宿無し同士公園で知り合ったシオンだった。
彼女は人間の吸血鬼化の研究のために、日本にやってきたんだって。
でも行く先がなくて困ってたから、路地裏に誘って一緒にダンボールハウスで暮らしてたの。
ところがある日、遠野君とシオンが知り合って、成り行きで秋葉さんに気に入られて、
研究の支援までしてもらって、なんと今は遠野くんの家で暮らしてるの!
…ええ…。…悔しいです!
でもシオンは私の事を理解してくれる大切な友達。私は悔しいながらも研究の成功を祈っていた…。
シオンが遠野くんの家で暮らし始めてからしばらく経ったある日、シオンと出会ったの。
でも、シオンの様子がおかしかった。
いつもの服じゃなくてジャージだし、なにより彼女の体は…。
もはや、最初は声でしか判別できない程に真ん丸に太っていたの!
上下共々ビチビチだし、お腹なんかもうすぐ下から見えそうで、
胸が大きすぎてジャージはファスナーが上まであがらず、谷間が見えている…。
私がどうして? って聞いても、
「…秋葉のためなのです…。」
と、一言だけ…。
これは遠野家で何かが起こっている! と、確信した私は潜入調査を決行したのでした。
「で、現在に至る、と。」
私は今遠野家のロビーにいる。開いてたから正面玄関から入ったけど、何も反応はない。
今は晩御飯の時間だ。おそらく、みんな食堂に集まっているのだろう。
「シオンの食生活を知れるチャンスだね!」
私はぐっと手を握り、明かりのついている部屋、おそらくは食堂、に向かいそっとドアのすき間から中を見た。
シオンと秋葉さん、遠野くんが食事をしている最中だった。
でも…
「なんかシオンのだけ量が多いような…。」
遠野くんと秋葉さんの量は普通なのに、シオンのはちょっと多過ぎる。
あれでは太って当然だ。
「あれ? でも、なんだか秋葉さんも…。」
シオンほどではないけど、秋葉さんも太ってきている。
その時、私の頭の中に
「…秋葉のためなのです…。」
というシオンの言葉がよぎる。
「そうか。そういう事だったんだね!」
つまり、太っちゃったのが悔しいから、シオンも太らせてやろうって魂胆なんだ。
「許すまじ! 秋葉さん、よくもシオンを! 覚悟」
「してくださいね〜弓塚さん☆」
真後ろで声がする。
…恐る恐る振り向くと、そこには満面の笑みの琥珀さんが。と、パカっと音がして、
「き、きゃああぁぁぁ〜……!!」
突然床が割れて私は穴に落ちた。
落ちる瞬間に見た、あの琥珀さんの笑顔。一体私は何をされるんだろう。
不安でたまらないまま、私は気を失った。
「うっ…、ここは…?」
気付くと、私はまさに地下牢といった感じの牢屋に閉じ込められていた。
ガシャン!
「痛っ…。足が…。」
おまけに足首を壁に繋がった鎖に繋がれており、身動きもできない状態だった。
その時、ガラガラと扉の開く音がして誰かが牢屋に入ってきた。
「お目覚めでしょうか〜? 弓塚さん?」
琥珀さんだ…。
「私をどうする気なの?」
「ん〜、実験用ネズミというかモルモットというか、良く言えば新薬品のモニターですね〜♪」
いわゆる実験台か…。
「でも、実験が終われば開放してあげますよ〜。」
「ほんとに!? じゃあさっさとやっちゃいましょう!」
琥珀さんはニヤリと笑うと、
「ではさっそく始めま〜す☆ すいません弓塚さん! えいっ!」
プスッ!
「痛っ! 何の薬ですか? いきなり注射なんて…。」
「ん〜今のはですねぇ。簡単に言えば栄養を補給しやすくする薬ですね〜。例えば…」
と言って琥珀さんはクッキーを取り出す。
「はい弓塚さん。あ〜んして下さい。」
「え? …あ〜ん、」
パクッ モグモグ ゴクン
「…? …普通のクッキーですけど。」
「はい。普通のクッキーです。しかしですね…。」
ぷくっ!…
「…え…?」
なんかちょっと体が変だった気がした。
「よくわからなかったと思いますが、弓塚さん、あなたは今のクッキー1枚で、1キロ太りました♪」
「嘘…? 1キロも?」
私は体を見回すが、目立った変化は見られない。
「この牢屋、体重計になってるんです。この日のために作ったんですよ〜☆」
ほら、と言って入口の壁を指差した。46、と書いてある。
「ちなみに私の体重はもとから引いてありますので、あれは弓塚さん一人の体重で〜す♪」
確かに1キロ増えてる…のかな? 最近計ってなかったからわからないや。
「まだあまり信じてませんね? まぁじきにわかると思います。この薬の脅威が。ウフフッ♪」
…身の危険を感じ、私は身震いした。
そしておもむろに、琥珀さんはカードの束を取り出した。
「今回はゲーム方式に実験しようかと思いまして、じゃじゃ〜ん!琥珀特製ラ○フカードです!」
琥珀さんが何十枚かのカードを扇形に広げる。
「なんですか…? それ。」
「ん〜、まあ説明するよりやるのが早い! ってことで弓塚さん! この中から一枚引いて下さいな♪」
「え〜っと、じゃあこれ。」
私は真ん中あたりのカードを適当に引いた。
「『ハンバーガー』ですね。翡翠ちゃ〜ん! ハンバーガー一丁!!」
琥珀さんは牢屋の外に向かって叫ぶ。
しばらくすると、
「お待たせしました。」
と翡翠さんがハンバーガーを一つ持ってきた。
「え〜っと。私がこれを食べればいいんですか…?」
「はい、どうぞ召し上がれ♪」
私はちょっと臭いを嗅いでみる。普通の臭いだ。
「弓塚さん、別に毒なんか盛ってませんよ。安心してください。」
「はぁ…、じゃあいただきま〜す。」
これのどこが実験なんだろうと思いつつも、私はハンバーガーを食べ終えた。
ブク… ブク…
「あれ…? なんか体が…。」
ほんの少しずつだが体膨らんでいる気がする。ふと私は奥の体重計を見る。
「え…!? 51… 52… どんどん増えてる!」
「はい♪ クッキー一枚で1キロですよ〜? 弓塚さん。」
「じ、じゃあハンバーガーなんて…。」
ブク… ブク…
59… 60…
「…まだ増えてる…。」
きづくと、もはや体重計など見なくてもわかるくらいに私の体は太ってきていた。
ムチムチと脚は太くなり、ウエストのくびれがなくなる。
胸も少し大きくなって、顔にもわずかに肉がついた。
「やっと止まった…。」
体重計は63で止まった。私の体はすでにだいぶむっちりしている。
「ハンバーガーで17キロ、とメモメモ〜♪ このメモを取っていき、薬の効果を割り出すのが今回の実験で〜す☆」
琥珀さんはあいかわらず楽しそうだ…。私はがっくり肩を落とした。
「では! 次いってみよ〜!」
次のカード、酢こんぶ+1キロ。その次のカード、ところてん+3キロ。
と、私はなかなか引きが良く、琥珀さんは不満そうにメモしていた。
「じゃあ次、引いてくださ〜い。」
私は余裕が出てきて、元気よく次のカードを引いた。
「これですか…、弓塚さん大当りです!」
え…? 当たり…?
「翡翠ちゃ〜ん! ショートケーキ一丁!」
「け、ケーキ!? そんなぁ〜…。」
翡翠さんが、運んできたケーキを私に差し出してくる。
「どうぞ。」
「…あぅ、ありがとう…。」
私はケーキを受け取った。
しかし、一体このケーキを食べたら私は何キロ太っちゃうんだろうと考えると、なかなか食べられずにいた。
「弓塚さん、食べてくれないと実験になりませんよ〜?」
でも、私も太るのは嫌だ…。
「…仕方ないですねぇ…。」
そう言って琥珀さんはパチンッと指を鳴らした。
その瞬間、私は何者かにガシッと腕を掴まれた。
「え? …え?」
いつの間にか後ろにいたメカヒスイが、私の腕を掴んでおさえていた。
「は、離してよう…。」
腕を動かそうとするが、ビクともしない。
そこにもう一体のメカヒスイが現れ、片手で私の口を開け、一瞬でもう片方の手でケーキを口に入れた。
「やめてっ! んぐっ! …んっ! もぐもぐ、ごくん!」
食べてしまった…。次の瞬間、
ブクッ… ブクブクブクブクッ…!
69… 76… 85
体重計の数字はみるみる増えてゆく。
「う… うぅ…。」
私の体は空気を入れるように脂肪で膨らんでゆく。
89… 94… 103
ブチンッ! …ビリビリ
「…止まった?」
ようやく止まった私の体重は、軽く100キロを突破していた。
「うわ〜♪ だぷんだぷんですね〜弓塚さん!」
「う… うぇぇ…。」
脚は太くなり過ぎて、もはや太った女子高生のウエストほどもある。
胸は巨大に膨らんだが、これまた巨大なお腹に乗っかり、楕円形になっている。
あまりに大きなお腹は少しでも動けばダプン! と震えてセーターの裂け目を広げる。
ワイシャツの腕の部分は、下から肩まですっかり裂けてしまった。
顔にも盛大に贅肉がつき、もはや真ん丸。二重顎になってしまった。
「ショートケーキ+34キロ、と。いやぁ、ありがとうございます弓塚さん。貴重なデータが取れました。」
「え!? もしかして解放してくれるの?」
私は期待に目を輝かせる。
「ん〜そうですね〜。私が用意した一品を食べてくれたら、ですかね〜♪」
「食べます! 食べますから早く出して!」
「まぁまぁそう焦らずに。翡翠ちゃん! 琥珀スペシャル持ってきて〜♪」
琥珀…スペシャル…? とてつもなく嫌な予感が…。
ピザだった。いや、私も確かにピザだけど…、琥珀スペシャルが。
「はいた〜んと召し上がれ☆」
「…直径は?」
「1メートルで〜す♪ ちなみに厚さ3センチ♪」
か、勘弁して下さい。私がボー然としていると。
「メカヒスイちゃ〜ん、GoGo♪」
ガシッ
「うぅ、…やっぱりこうなるのね… むぐっ!… んっ!」
メカヒスイが私に無理矢理食べさせている間にも、体は脂肪を吸収してぶくぶく膨らみ続けた。
セーターは膨らみ過ぎるお腹と胸の前に無惨に散った。
下から出てきたワイシャツも、半分くらいしかお腹を隠せておらずボタンも数個飛んだ。
脚はもう人の太さではない。
157… 168… 177
体重計は残酷に私の体重を刻む。
「…ゲフゥッ…! うぷっ… もう食べられな… はぐっ!」
メカヒスイは容赦なく私の口にピザを詰め込み、その度瞬時に私の体は栄養を脂肪に変えて蓄積する。
195… 205… 212
ぶくぅ〜 ビリ… ビリ
「はぁ… は、うっ! …もう嫌ぁ! …むぐぅっ! …はぁ… ひぃ…。」
ほぼ休みなく詰め込まれ、呼吸をするためにはひたすら食べ続けるしかない。
そんな地獄のような時間も終わり、完食。
私は顔をガクッとうなだれたつもりだったが、自分の膨れた胸に顔を埋めただけだった。
私は後ろに手をつき、のけ反って座っていた。
あまりに大きく膨れ上がったお腹と胸が邪魔で、体を少しも前に倒す事ができないからだ。
視界も胸で半分以上埋まり、よく見えない。
「すごいです…。ちょっと細工がしてあるとはいえ、琥珀スペシャルってここまで太るんですねぇ。」
「はぁ… ふぅ… 前が… 見えないの…。今私… 何キロなんですか?」
必死に見ようとはするが、やはり胸が邪魔で見えない。
「なんと254キロです! 最初と比べると、+209キロも太りました。」
209キロ… 普通体型の女子高生、約4.5人分…。
「…うぅ…。…私、どうやって痩せたら…。ぐすん…。うぇ…。」
「弓塚さん。そう気を落とさずに。とっても魅力的なお体ですよ〜?」
実験台として、でしょ…。嫌… こんな体…。
「ほら、お腹なんてこんな。」
ムニュ〜
「きゃっ… 琥珀さん何するんですか!」
「すごいです弓塚さん! 手首まで埋まりますよ〜。」
ムギュ
そう言って 琥珀さんはさらにお腹のお肉を掴んでくる。
「はうぅ… 掴まないでぇ… あんっ!」
「よいではないか〜 よいではないか〜♪ ん〜 すっごいお肉です☆」
さらによいしょと、お腹を下から持ち上げ、ダプダプ揺らしてくる。
「だめぇ…! 琥珀さんやめて…。」
私は恥ずかしさで顔が真っ赤になる。
「はぁはぁ…、い、いいですよぅ弓塚さ〜ん。私なんだか目覚めちゃったかも☆ この感触、翡翠ちゃんでも味わってみたいですねぇ… ウフフ〜♪」
…( ゚Д゚)ハッ
「翡翠ちゃんにこの薬をうって…。…ウフ♪ 翡翠ちゃ〜ん♪ ちょっと用があるんだけど〜♪」
と言って走り出す琥珀さん。
「ち、ちょっと〜!私を解放してから行ってよぅ …え〜… 行っちゃったよ…。うぅ… 助けて!遠野く〜ん!」
私の叫び声は虚しく地下牢に響くだけだった。