突撃魔法少女ユキ&フウ

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私は悪の組織『デモア』の幹部『シャンドラナ・ルークルブリアス・アルフェ・ノルリール』

 

長い名前なので『シャル』と名乗っている。

 

デモアは異世界ガイアの魔族たちが、魔女『リーア』の元に集って生まれた組織である。

 

その目的は主に人間の生み出す負のマナを集めること。

 

リーア様はその負のマナを使って何かをしたいみたいなのだが、詳細は一切不明。

 

何でそんな目的不明の組織に入ったかと言うと・・・ 私は人間が大嫌いだからだ。

 

 

私は人間と魔族のハーフである『ディノンディア』と呼ばれる種族である。

 

ディノンディアはガイアの世界において最も嫌われている種族だ。

 

ディノンディアの語源はガイアの神話に出てくる裏切りの神々。

 

その姿は人とも魔族とも違う形をもち、100本の腕で襲い掛かり、山のような口で暗い尽くす

 

人肉を貪り、魔族の生き血を啜り、人間と魔族に襲い掛かる神。

 

それがディノンディアである。

 

その意味からも判るとおり、人間からも魔族からも嫌われる存在である。

 

 

私の父はある魔族の国の王だった。

 

母はその王に謙譲された生贄であった。

 

母は没落した国の王女であったようで、魔族の戦争に敗れ敗北。そのまま生贄にされたらしい。

 

意外なことに父は母を気に入り、自分の側近として使わせていたようだ。

 

次第に父の内側に惹かれた母はその胎内に新たな命を宿した。

 

それが私だ。

 

そして私は呪われた子としてこの世に生まれた。

 

しばらく私はその存在を隠されて育てられていたが、遂にその存在がばれてしまった。

 

そして私は見知らぬ土地に捨てられた・・・

 

 

辺境の魔法使いの一族に拾われた私はそこで育てられた。

 

私をひろってくれた人は私にとても厳しかった。

 

毎日魔法の修行や家事手伝いを強要されていたが、拾われた身分で逆らう事ができない私はずっと従い続けた・・・

 

しかし、その人は私をディノンディアだと言う事には何一つ差別をしなかった。

 

それは村の人全員にも言えたことだった。

 

皆厳しいがとても優しい・・・ その優しさが嬉しかった。

 

年月を重ねていくたびに私は魔法の力をメキメキと鍛えていった。

 

もともと潜在能力が高かったのだろう。

 

高度な魔力を使う呪文を次第に私は使えるようになっていった。

 

その時からだろうか。

 

私は村の皆に認めてもらっていったのは・・・

 

そして、その人を母と呼ぶようになったのも・・・

 

 

しかし、幸せな日々はそんなには続かなかった。

 

ある日近隣の王国が魔女狩りと証し、私たちの村に侵入して来たのだ。

 

村の皆は必死の抵抗をしたが、敵は魔法無力化装甲を装備していたのだ。

 

私たちの魔法は全て無効化されていった。

 

圧倒的な力で攻めてくる敵。

 

手に持った剣で切り付け、内臓を抉り取るその姿は同じ人間がする事とは思えなかった・・・

 

母は私を逃がそうとしてくれた。

 

村の外れにある巨大な洞窟。

 

そこの奥には儀式の時に使用していた巨大な祭壇が築かれた。

 

私も何度か来た事があるのだが、出口など無いこの場所になぜ連れて来たのか判らなかった。

 

ふと母は私の首に首飾りをかけてくれた。

 

それは、母がいつも見につけていたものだった。

 

母は私を祭壇の上に立たせると、呪文を唱え始める。

 

次第に光が私を包んでいく。

 

気がつくと奴らが洞窟の中まで入り込んで来た。

 

「遅かったわね・・・」

 

母はぼそりと呟き呪文を発動させた。

 

その瞬間、眩い光が私を覆いつくしてた。

 

 

私が最後に見た光景。

 

串刺しにされた母の姿・・・

 

 

私が最後に聞いた声

 

「幸せにね・・・」

 

 

そして私の意識は・・・ そこで・・・ 途絶えた・・・

 

 

私が目を覚ました時、既にそこは見知らぬ場所であった。

 

あたり一面木々が生い茂り、暗く、しかし暖かい陽だまりが私を照らし出していた。

 

私は気づいた。

 

母が命に代えて私を助けてくれたことを・・・

 

自分の子供でもない私なんかのために、命を差し出してまで・・・

 

私は泣いた

 

ひたすら泣いた

 

母はいつも私に泣くんじゃないと言ってくれたが、今は泣いても良いよね?

 

おかあさん・・・

 

胸には母の形見の首飾り

 

そして私は、二人目の母を亡くした・・・・・・

 

それからの私はこの森で暮らす事にした

 

他に行く当ても無いし町に行くのは気が引ける。

 

何より人間は嫌いだ。

 

 

そして一年後・・・

 

私はここで何もするわけでもなく暮らしていた。

 

やる事と言えば、魔法の研究や、たまに迷い込んでくる人間をからかう程度。

 

あれから一年が経とうとしているのに、私の心は真っ白だった。

 

 

そんなある日、一匹の魔動生物が私の所にやって来た。

 

聞けば、リーアなるやつが悪の組織を作るから求人に来たそうだ。

 

なぜ私なのかと聞けば、『グリンフォレストの魔女』だかららしい・・・

 

どうやら、からかった人間が妙なあだ名を付けたみたいだ・・・

 

 

とりあえず目的意識が無い私は、その話に乗ることにした。

 

なに、気に入らなければ出て行けば良い話しだ。

 

私の居場所など、生まれた時から無いのだから・・・

 

 

その後、私は『デモア』に加入する事になった。

 

そして・・・あの男

 

『フォル』に出会ったのだ

 

 

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