伝助の妄想劇場・チハル編
前へ 1/9 次へ
#エイケン
夕暮れ時、私立ザッショノ学園の廊下を伝助は一人で歩いていた。
「急がないと……」
みんなに頼まれた飲み物を抱え歩く伝助は暑くて汗だくになっているみんな……
特に千春の姿が脳裏に浮かぶ。
汗だくでゆれる巨乳が脳内イッパイに広がり、慌てて首を横に振って妄想を振り払う。
それもこれも部室のエアコンが故障したのが悪いんだ。
今全力で修理(というより改造か制作に近い)中で、それでも暑いからという理由で
伝助はみんなに飲み物を買ってくることを提案し、一人で行く羽目になった。
というより、飲み物を買ってこないとみんなが水着やへたしたら下着姿になるなんていう
脅し文句を言われていかざるをえない状況だった。
「……本当に、心臓に悪いよ」
数々の出来事が脳内に蘇り、暑さとは別の汗が出てくる。
『おっと、失礼』
考え事をしていて前を見ていない伝助と一人の男子生徒がぶつかった。
その表紙に男子生徒が手に持っていた本が何冊か落ちた。
「あ、すみません……」
慌てて拾おうとした伝助の手に握られていた袋から中身の缶が落ちる。
『悪い悪い、こっちも考え事しててね、ほい』
手早く落ちている缶を拾って男子生徒は伝助に手渡した。
『どんなことを考えていたのか知らないけど、鼻の下が伸びてるぞ?』
今度は自分の本を拾いながら男子生徒は笑っている。
「い、いやそんなことは無いです!!」
『まあまあ、落ち着けって、それじゃあ』
そう言って男子生徒は歩いていく。
伝助はその後姿を見送り、歩き出そうとしたら足元に本が1冊落ちていることに気がついた。
「あれ?」
その足元の本を拾い。落としたと思える先ほどの男子生徒の姿を探すが、
もう夕暮れの校舎の中に消えている。
「どうしよう…… 後で職員室にもって行くか」
ふと、本に視線を落とすと、黒塗りの表紙に『妄想を止められないあなたへ』と書かれている。
「……どういうタイトルなんだろう」
あまりにも直球なタイトルに思わず伝助はその表紙をめくった……
そのとき、伝助は気がついていなかった。
本の表紙と裏表紙に魔法陣が浮かび上がっていたことを……
結局、精神を落ち着かせる方法など当たり障りないことしか書いてない黒本を職員室に届け、
伝助は急いで部室に戻った。
「おそいぞ〜〜でんすけ!! みんな暑いからって帰っちゃったぞ!!」
そう言って部室で待っていたキリカが伝助の後ろから押し倒す。
硬い胸板が伝助の背中に当たり、伝助はキリカを押しのける。
「キリカさん、辞めてくださいよ」
「そんな硬いこと言うなって、まあこんな薄くて硬い胸じゃあ不満かも知れないけどな」
そう言ってキリカは 一切のふくらみの無い自分の胸をさする。
「本当に、うちの部員はみんな胸ウッスイからな、胸のでかい奴でも部員に入れてもいいかもな、
チハル」
キリカがその名を呼び、伝助は部室の隅っこに座っているチハルを見る。
「伝助君…… あの……」
もごもごと自分の胸の薄さを気にしながら伝助を見る。
「いや、その…… 僕は、そう言うのは気にしないというか……」
ふと、伝助は違和感を感じた。彼女らはこんな感じだっただろうか?
もっと、こう…… 出るところは出ていなかっただろうか?
頭の中がどこかぼやけている。
(っと、また妄想をはじめるところだった)
妄想に入りそうになった自分の頭を横に振り、急いでチハルを見る。
胸元から足元まで横から見ればまっすぐな直線のようなからだ。
妹のユリコのほうが幾分か胸がある。
マジマジと見つめているとチハルは恥ずかしそうに部室からでていった。
「あ〜〜あ、伝助がエロイ眼でみるから……」
そう言ってキリカも笑いながら出て行く。
「え、ちょっと、ジュースは?」
一人取り残された伝助は手持ちのジュースの処分にこまり、途方にくれていた。
東○チハル
???・55・82→57・59・77
次の日、伝助は廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。
『やあ』
振り返ると昨日ぶつかった男子生徒が立っていた。
「あ、昨日の……」
『君が本を拾ってくれたんだね』
そう言って男子生徒は昨日伝助が拾った本を取り出し、見せた。
『いや、助かったよ、結構大事な本でね、ありがとう。』
「いえ、そんな」
『お礼ってわけじゃないけど、はいこれあげるよ』
そう言ってジュースを差し出され、伝助は受け取った。
「あ、どうも」
『で…… 役にたったかい? あの本は』
なぜかあの本を見たことがばれているらしく、笑っている。
「え、ええ」
『ははは、うそ付かなくてもいいよ、どうせただの精神集中本だ…… ただのね、
結局読む人によって左右されるものだし、君には必要ないものだったかも知れない』
そう言って、男子生徒は一礼して廊下を歩いていく。
『そうそう、妄想のし過ぎは注意しなよ』
ギクリとして伝助は後ろを振り返るが、もうその男子生徒の姿は無い。
「変わった人だな……」
「で~~ん~~す~~け~〜」
そう言ってキリカはボディプレスで伝助を迎えた。
やわらかい肉が伝助の体にめり込む。
「きりかさん…… 気持ち悪いですよ」
「あたしの体が気持ち悪いって言ってくれるね〜〜〜」
伝助の上からのいたキリカはお腹をさすってにやりとする。
ブレザーの上からでも分かるくらいにせりでているお腹が揺れる。
「あたしは気持ち悪くてチハルはどうせ気持ちいいんだろ〜〜」
そう言ってキリカは側に居たチハルの腹を思いっきり揉み解す。
全体的にふっくらしたチハルのお腹はキリカの指が少し沈み、形を変える。
「ところで、みんなはどこにいったんですか?」
「ん? ああ、みんな今度やる我慢大会のための準備してるよ」
そう言ってチハルを開放し、キリカはチハルを伝助のほうにおした。
「伝助はチハルと一緒に乳繰り合ってればいいから、ほら」
押された反動でバランスを崩したチハルは伝助に寄り添うようになり、
伝助はチハルの体を握り締めることになる。
(あれ? チハルちゃんってこんなに固かったかな?)
もっとやわらかかった気がする。
そう、もっと肉の柔らかさを感じるような体だったはず。
こう、手でもめばもっと沈み込むような体だったはず……
「で、伝助くん……」
チハルの声に伝助は我に返り、慌ててチハルの体から離れる。
「まあ、放課後、ちゃんと部室にこいよ〜〜チハル、着いてきな〜〜」
そう言ってキリカはチハルを引きつれ、伝助に背を向けて歩き出す。
サマーセーターのきじを伸ばし、つまめば電話帳ぐらいの厚みは握れそうなお腹、
細めとはいえ男である伝助のモモほどの腕、そして、
腰よりも大きなお尻に伝助の腰ほどありそうな脚。
そんな体を揺らしながらのチハルの後姿を見送り、伝助は教室へと急ぐ。
チハル 57・59・77→70・92・105
放課後、約束通りというか、いつもの通りというべきか、伝助は部室へと向うと誰もいなかった。
「あれ? みんなどこに言ったんだろう?」
仕方なく、椅子に座り、静かに誰か来るのを待っていることにした。
考えてみれば部員のみんなとは誰一人、一緒のクラスの人間は居ない。
こうして部室で会うか、休み時間にすれ違ったりすることが多い。
みんなの姿を考えてみるが、どうしてももやがかかった様にきちんと思い出せない。
冷房が壊れたままなのか、部室は蒸し暑く、額に汗がにじみ出る。
そういえば、みんな暑くなると汗をよくかいていたきがする。
「伝助くん?」
そう呼ばれて振り返ってみると、部室の入り口にチハルが立っていた。
部室が暑いのか、それとも単に急いできたのか、チハルは汗をかいていた。
「大丈夫? 汗だくだよ?」
そう言って伝助は心配そうに駆け寄るが、一瞬身をこわばらせた。
チハルに近づいただけで温度が確実に上がっている。
触ればプルプルとゆれるほほに立派な二重顎に、サマーセーターからはみ出るばかりか、
スカートに乗っかっているお腹。
全身から汗が流れ出ている。
「うん、最近…… あついから……」
冷房が壊れている部室の中に入ればきっと熱中症で倒れてしまうんじゃないのか?
などと思ってしまう。
「とにかく…… そこに居てもあれだし、中に入ろうよ?」
誘ってみて、伝助は大事なことを思い出す。
「あ、ちょっと待ってて、今、戸をはずすから」
そう言って伝助はレールから扉をはずし、チハルが入れるようにする。
こうしないと部室の中に入ることができず、引っかかって扉を破壊しかねない。
「みんな、どこで何してるんだろう?」
チハルと共に部室のなか、汗だくになりながら下校時間まで過ごすことになった。
***
家に帰り、私は家族の世話をし、風呂に入ってから鏡の前に立つ。一言で言うなら太い。
ウエスト周りはもう1メートルは超えてしまい、ただ普通に立っているだけなのに
太ももの内側に自分のお腹が触れてしまうし、もう自分で靴を履くことも、座ることも難しい。
家の中を動き回るのも所々引っかかるし、浴槽に浸かっても自分の体を
ムリヤリ箱づめしているようで、湯船にはお湯なんて殆ど残っていない。
別に大食いなわけでもない。
運動をしないわけでもない。
なのに私は太っている。
鏡の前には太った女の子、そう、体中に油の塊を見に纏った女の子がいる。
制服のサイズも合う服が無く、お腹を丸出しにし、
スカートの丈も足りずお尻の大半が丸見えで、腕は夏服の袖が破れ、
少しでも動かせば自分の意思とは無関係に動く。
足はもう、動かすたびに内側同士がこすれあい、顔は膨れて鼻はつぶれている。
歩くのがだるい。けど、明日もこんな体を引きずり学校に行く。
お腹を他人に見せてでも学校に行く。
周りに暑がられても学校に行きたい。
あの人がいるから。
あの人にあえるから。
「おねーちゃん、お風呂上がったの? 体拭かないと風邪引くよ…… って
届かないところあるんだから呼んでよね」
妹はやせている。
私のお腹を持ち上げ、だらしなく垂れ下がった胸を持ち上げ、拭いてくれる。
「おねーちゃんの胸、ちょっとでもあればな〜〜 胸以外はいらないけど」
「ユリコはそんなに細いからうらやましいね」
今日も私はみんなの世話になり、みんなの世話をして眠る。
***
70/92/105→90/150/130
前へ 1/9 次へ