伝助の妄想劇場・ユリコ編
#エイケン
次の日、伝助は授業中にふと窓の外をみた。
「あ……」
外には体育の時間なのか、走っている生徒たちがいる。その中に見覚えのある生徒が居た。
「ユリコちゃんか」
流石に陸上部の期待の星。暑い中でも彼女は余裕を持って走っている。
汗は大量に出ているが、息ひとつ切れずに走る姿に伝助は思わず見とれてしまう。
ほっそりとした体…… コンプレックスになっていく胸。
そう、確か彼女は胸がコンプレックスだ。
一瞬、教師が咳払いをしたので黒板に視線を戻し、
すぐにまたユリコのほうへと伝助は視線を戻した。
体操着から溢れんばかりに巨大な胸が踊り跳ねている。
大きすぎるのがコンプレックスだったはずだ……
そういえば、最近タイムが伸びないと悩んでいたっけ……
疲れているのか最近からだが重いとも言っていたっけ……
また、教師が咳払いをしたので前を向くが、どうしても気になり、
またグラウンドのほうに目線がいく。
汗だくで最下位を必死に走っているユリコがいた。
息も切れ切れで、ドデカイ体操着に身を包みグラウンドに汗を撒き散らしている。
陸上部の癖にあんな体をしていてどうなんだろうと思ってしまう。
ぶっとい足は横で走っている女子を二人の腰周りでも足りるかどうか分からない。
でたお腹…… というか、おへその位置がお尻より下にあり、巨大な2段が体操着の上からでも分かる。
腕もぶっとく、必死に前後に振っているのだが、両脇の肉のせいで脇を占めることができず、
肘を曲げたままパンチしているようにしか見えない。
胸は完全に重さに負け、胸に乗っかり垂れ下がってしまっており、ブラをしていないのか、
ものすごく服の中で動き回っている。
顎など2重どころか3重になりつつある上、両ほほの肉が邪魔なのか、
大きく口を開けているのにかかわらずすぐに酸素を取り込もうとしている。
走り終え、座り込むユリコ、落ち込んでいるのか、顔が暗い。
「大丈夫かな…… 後で声かけてあげよう。」
ユリコ 74・54・81 → 100・54・90 → 130・200・150
昼休み、ユリコの姿を探す伝助の前に何かが現れ、正面からぶつかってしまった。
「って、ナンだろう?」
見るとそれは女子制服に身を包んだ肉…… じゃなかった、ユリコとチハルだった。
もう二人が並んで歩くと廊下がふさがってしまう。
「あ、伝助お兄ちゃん」
ユリコは腹の肉が邪魔で伝助の姿を捉えるのに時間がかかったが、すぐに抱きつこうとしてくる。
しかし、体中の肉が邪魔をして抱きつくどころか、伝助を掴むことすら用意ではなく、
何度もチャレンジしているうちに汗だくになっていく。
そのたび伝助はユリコの肉を押し付けられ、めり込む。
「ゆ・・・ ユリコちゃん、く、くるしい」
「ん〜〜〜 こうなったら!!」
ユリコは立ち居地を変え、自分自身とチハルで伝助をはさむようにして抱きつく。
「ヒグワン!!」
チハルの腹の肉とユリコの肉にサンドイッチされ、伝助は完全に二人の肉に埋もれた。
(く、くるじい…… でも、やわらかい……)
その状況下に追い討ちのように、3人はバランスを崩し、倒れこむ。
肉に埋もれてまったく見えない伝助には何が起きたのかも分からず、
いま、誰の肉を掴んでいるのかも分からない。
(もしかして…… これ全部ユリコちゃんの肉? それともチハルちゃんの肉?)
どう見ても人一人の肉の量とは思えない肉に伝助は混乱しているが、
急にその肉が動き出し、伝助は開放された。
「ひぃふ〜〜〜 ひぃふ〜〜〜 でんずけおにいぢゃん、逃げないでよ〜〜〜」
汗だくになりながらユリコは伝助の前に立つ。
一人で廊下の4分の3は占領するような大きな図体でユリコは伝助を見下ろしていた……
いや、見下ろせているのだろうか?
もう横に広いというより、X軸とZ軸に広い、
前方へとせりでてぶよぶよと垂れ下がったお腹は膝まで垂れ下がり、
足を前に出すのに干渉してしまうし、胸を左右に押し出すほどりっぱな二段を作っている。
後方へとせりでたお尻は背骨をまっすぐにさせることすら許さないほど巨大で、
そこから伸びる足も側にいるチハルのお腹周り並に太い。
横幅は伝助の身長よりも大きく、わき腹はもはや腕を平行から下に下ろすことを邪魔している。
よく、こんな体を包み込む制服が存在するものだ。
よく、こんな体で動けるものだ。
よく、こんなからだで陸上部など続けれるものだ。
伝助を抱きしめようとする腕も伝助が抱きしめるかどうか分からないほどに太く、
首は顎と一体化してしまい、顎は完全に4重のヒダになってしまっている。
ほほなどつぶしたバスケットボールがくっついているかのようで、
胸はまるでつぶしたもちのようだ。
全身のヒダのようにたるんだ肉を汗まみれにしながらユリコは渾身の力をこめて宙を舞う。
「でんずげおにいぢゃ〜〜〜ん」
ズドンという音と、圧倒的な肉の圧力、重さ、そして体が埋もれる感触を味わいながら伝助は意識を失った。
ユリコ
130・200・150 → 200・500・600 体重400キロオーヴァー
***
「うう、体がおもいよ」
部活も終わり、いつものように? 五条部長に愚痴を言われながら私は一人、部室で着替え、
部室から出ようとするが、出入り口で完全に引っかかり、動けなくなる。
それは当たり前だ。だって私の体の半分ほどしかないドアをムリヤリ通ろうとしているのだから。
(何でこんな体なんだろう……)
日常生活はもはやまともにできない体。
ドアを通れば確実に今みたいに引っかかるし、エレベーターや電車などの狭い空間に入れば
周囲の人をこの肉に埋めてしまう。
この間なんて電車の中で人の財布がお腹に挟まっていたりしていたし。
陸上部の練習も一人だけ別メニューだ。
そうやって考えながら何とか部室から出ることができるようになり、歩き出す。
気持ち悪いくらいやわらかい自分のお腹の肉が揺れるのが分かる。
(こんな…… みっともない体……)
腕は常に水平にしかできず、わき腹はヒダみたいになってしまっているし、
正面から見たらぶっト過ぎる足が体の一番外側になっているし、
横から見ればだらしない御尻とお腹が突き出している。
「あれ? ユリコちゃん、今帰り?」
そう声をかけられ、振り向こうとするが、この体で振り返るのなど不可能に近く、
仕方なく声の主は私の前へと回ってくる。
「でんずげおにいぢゃん、どうしたの?」
伝助おにいちゃんだ。今日抱きついたときに潰しかかったけど幸い無事だった。
「ちょうど帰り道だったから、それで歩いていたのが見えたし」
どんなに離れていても私は一目瞭然なのだと思うと悲しくなる。
そんな気持ちを知ってかしらずか、伝助お兄ちゃんは優しくしてくれる。
というか、この人は基本的に誰にでも優しい。
私よりは細いといえど十分デブっているお姉ちゃんにも優しいし……
いつか絶対振り向かせて見せる。
でも…… 私もおねえちゃんもこんなに太っていたっけ?
***