伝助の妄想劇場9

伝助の妄想劇場・フィナーレ

前へ   9/9   次へ

#エイケン

 

 真夏の暑い日差しの中、伝助は、チハルと共に歩いていた。
「あ、熱いね……」
「うん、あ…… 暑いね……」
 他のメンバーと比べて比較的にソコまで太っていないチハルも、
 汗だくで全身から滝のような汗が出ている。
「こんなに…… 太ってると…… のど…… 乾いちゃう…」
 汗だらけの自分を恥ずかしがるようにしているチハル。
「ジュース飲む?」
「あ、うん」
 手渡されたジュースを飲んでいる丸々としたチハル。
「伝助くん…… こんなデブとじゃあ、居づらいよね?」
「そうでもないよ、チハルちゃんかわいいから……」

 

 ソノ言葉の直後、伝助の脳裏に何かがよぎる。
『……さあ、フィナーレだ』
 男子生徒は金色の仮面から見える口元を歪ませ、フタリを見守る。
『己の歪んだ欲望を…… さらけ出せ』

 

 

「だから…… もっと太ってよ」
 伝助の顔が邪悪に染まる。
「エ?」
 チハルは驚きつつ、足を止める。
「モット、もっとデブになって、もっともっと醜い贅肉をまとって、もっともっともっと……」
 伝助は…… すでに、壊れてしまっている。
「で、伝助くん…… ど、どうしたの……」
 重い体を引きずるように一歩下がるチハル。
「だって、チハルちゃんかわいいから、モット太らないとダメだよ…… 背も大きいし、胸も大きいし……」
 伝助の目が狂気に満ちている。
「もっとブタのようにフトッテヨ」
 じりじりと近寄る伝助。
「……い、いや……」
 恐怖に襲われ、逃げていくチハル。
「そんな体で…… 逃げれないでしょ? チハルちゃん」
 伝助の最後の妄想劇場が…… 始まった。

 

 

前へ   9/9   次へ


トップページ 肥満化SS Gallery(個別なし) Gallery(個別あり) Database