710氏その2

710氏その2

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#読者参加型

 

 

【登場人物】
 ・パルヴァ=ランジェ
 年齢:25歳
 身長:215cm
 体重:95kg
 3サイズ:110・79・95(身長とかから考えると意外と普通)
 巨人族の女性。
 身体は筋肉質で、両手斧を片手で振るう巨人族の戦士。
 森深い山の山小屋で暮らしている。
 少年が山で捨てられている所を拾い、現在は二人暮らし。
 少年を溺愛(子供として)しており、普段は温和だが少年に危害が及ぶと激昂する。

 

 ・少年
 年齢:12歳くらい?
 人間族の少年。
 両親から山に捨てられたショックで失語症になっているが、ランジェにだけは心を開いている。

 

 ・山賊’s
 以前ランジェに懲らしめられた、ならず者の集まり。
 今回はその復讐の為に少年を攫い、ランジェを古びた洋館へと誘き出した。
 …が、裏には彼等を糸引く者がいるらしい。意外に面倒見が良く、子供好きだったりする。

 

 ・謎の少女
 年齢:??歳
 身長:152cm
 体重:42kg
 3サイズ:ツルツルペッタン
 種族不明。
 何故かランジェを憎んでいる。
 筋力も体格も人間族並みだが魔力に優れており、様々な魔術を行使する事が出来る。
 今回はランジェへの報復の為に、山賊を裏で手引きしている。

 

 

 

/プロローグ

 

夜のまっ暗闇の森の中に、枝を踏み割る音が響く。
巨大な諸刃の斧を片手に、木の枝も、木々さえも鬱陶しいとでも言うかのように薙ぎ倒して疾駆する一つの影。
眼を凝らして見れば、それは赤い髪の美しい女性だった… 体が巨大だと言う事さえ除けば、だが。
女性の表情は美しさよりも猛々しさを強調するかのように怒りに満ちており、
その怒りを発散するかの如く、木々をまるで小枝を払うかのように叩き折っていた。

 

「…待っていろ、少年…っ」

 

焦るかの如く、女性はそう、何度も何度も呟く。
暫く森を半ば開拓しながら進んでいくと、女性の目の前に古びた洋館が姿を現した。
女性が懐…胸の谷間から紙切れを取り出すと、確認するかのように洋館と紙切れを見て、頷く。
そして、洋館の扉の前に立つと、手に持った巨大な斧を振りかぶり―――
そして、フルスイングした。
まるで大砲でも発射したかのような音と共に、扉は粉々に砕け散る。
女性は荒く息を吐きながら、灯りの無い洋館に入ると雄叫びをあげた。

 

「―――少年を返せっ!! 今すぐ返すのなら苦しまずに死なせてやるっ!!!」

 

余りの大きな怒気の籠った声に、洋館が震え、パラパラと埃が舞う。
…その言葉に、返ってくる声は当然の如く、ない。

 

「…良いだろう、ならば四肢を砕き、内臓を引きずり出してから、野犬の餌にしてやる…!!」

 

怒りを全く隠さぬまま、女性が一歩、威嚇するかのように力強く踏み出す。
すると、女性以外に誰も居なかった広間に、突然小馬鹿にするかのような拍手が響き渡った。
それと同時に、まるで幽霊のように、女性の目の前に粗野な髭面の男が浮かび上がる。

 

「ははっ、そう怒るなよランジェ… そんなに叫んだらガキが泣いちまうぜぇ?」
「貴様… 少年は何処に居るっ!?」

 

女性… ランジェは、怒りを隠す事もせずに目の前の男に斧を振り下ろした。
爆発のような音と同時に床が抉れ、周囲に砂埃が舞い上がる。
…が、髭面の男はそれを気にする事無く… 傷一つなく、品の無い笑い声をあげた。

 

「ゲハハハハ… おお怖い怖い。質問しながら殺そうとするなんざ、正気の沙汰とは思えねぇぜ?」
「…幻影か」

 

チ、と舌を鳴らしながら、ランジェは斧を床から引き抜いた。
攻撃しても無駄なのを悟ったのか、それとも床を破壊して少しは溜飲が下がったのかは不明だが、
どこか口調に冷静さが戻る。

 

「クハハ… まあそう怒るなよぉ、ランジェ? 俺はガキになんざ用はねぇのさ…
別に手出しなんざしねぇよ」
「信じられんな、山賊の事など」

 

ランジェの言葉に、男の表情が意外そうなものへと変わった。

 

「…へぇ… 俺なんざの事も覚えてくれてんのか、嬉しいねぇ」
「その下品な顔を忘れられる物か。少年を攫ったのも、私への復讐と言った所だろう?」
「ああ、その通りだよ。巨人族とは言え、女一人に壊滅させられたんだ…
俺にも面子ってモンがある」

 

男の表情から笑みは消え、初めて憎悪に満ちた顔を見せる。
それを見たランジェは慌てる訳でも、怒りを見せる訳でもなく鼻で笑った。

 

「ふん、面子か… 命を賭けるほどのモノかは知らんが、
あれ程やられてまだ勝てる気とは愚かだな。
…今回は情けは見せん… 悪いが、命はないと思っておけ」
「俺達山賊にとっちゃ面子が全てさ。『顔』がなけりゃあ喰っていく事だって出来やしねぇ。
それに愚かなのはアンタだよ、ランジェ… 勝算も無しに挑む程、俺らはバカじゃない。
今回は俺達には強力な助っ人が居るのさ」

 

ランジェは男の言葉に表情を変える事もなく、男を無視して歩き始めた。
これ以上語る言葉もない、と言うかのように。

 

「…ゲハハ、俺達とガキはこの洋館の一室に居る… なるだけ色んな部屋でも見て回るんだなぁ?」

 

奥へと歩きだしたランジェの背中に、男はまた下品な笑みを浮かべると…
闇に溶けるかのように、姿を消した。

 

 

「…あんなモンで良いのかい、お嬢さん?」
「ええ、上出来よ。ランジェは貴方達を侮っている… ふふっ、
背後に私が居るなんて知らないでね」

 

洋館の一室。
山賊達が寛いでいる部屋の一角で、山賊の頭と一人の少女が話していた。

 

「だが、本当に大丈夫なのか? …確かにランジェに復讐はしたいが、
仲間の命まで失う覚悟なんざネェぞ?」
「安心なさいな… 余程の事が無い限り、私たちに負けは無い。
それどころか、ランジェの変わり果てていく姿を楽しめるんだもの…
今から楽しみにしておきなさいな」

 

クスクスと笑みを零す少女に、山賊は眉を顰めながら仲間の元へと戻っていく。
少女は口元を笑みで歪めながら、ランジェの姿が映った水晶玉を愛しむかのように撫でまわした。

 

「…ふふっ、さあ… あなたのプライドも、尊厳も… 何もかも、壊しつくしてあげる…」

 

そう呟く少女の言葉は、山賊に届く事はなかった。

 

 

因みに少年はと言うと、山賊達と大富豪をして遊んでいた。
どうやら山賊達も、子供には優しかったようである。

 

 

「…さて、何処に行こうか…」

 

暗闇に包まれた洋館で、ランジェは一人首をひねった。
山賊を切り潰したいのは山々だが、手がかりも無しに
行き成り居場所を突き止めるのは不可能だろう。
それ故に、虱潰しに探索していくしかないのだが―――

 

 

A.食堂を探す
B.立派な扉の部屋(館主室)を探す
C.物置部屋を探す
D.子供部屋を探す
E.壊れた扉の奥を探す

 

 

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