710氏その6
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/えぴろーぐ・それから
…それから、数日が経った頃だろうか。
今日もまた、ゴモリー… 否、ゼブルの城の一角から喧騒が響いていた。
「はやく…っ、げぷぅっ、元に戻せと… 言ってる、だろう…っ!!」
「駄目ですよ… げぇっぷ…っ、せっかく出来た仲間なんですから…
それに、気持ち良いんでしょう… ねぇ?」
「う…んひあぁっ!! や、やめ…っ、うげぇっぷ…っ、やめ、ろぉ…っ!!!」
部屋の中では、二つの肉塊が楽しげに戯れていた。
片方は、豚のドレスを着たセフィリア。
そしてもう片方は… セフィリアと揃いの、色違いの豚のドレスを着せられた、アリシアだった。
ゼブルとリーンは、そんな二人の様子を見ながら苦笑し… そして、口を開く。
「…しかし意外というか、何と言うか。
陥落せずとも壊れもせずとは、意外な結果になったものね、リーン」
「そうですね、ゼブル様。…ですが、まあ… 何れは彼女も此方側へ来るでしょう。
未だに抵抗は続けてますが、実質セフィリアさんに可愛がって貰う為に
反抗してるような物ですし」
そう言いながら、二人は部屋の中で戯れる、セフィリアとアリシアを見る。
互いに肉を絡め合いながら、互いに身体を寄せ合い。
アリシアは口でこそ抵抗しているものの、快楽を得る為に自分から身体を擦りつけ、
それだけでは無く放屁とゲップを繰り返し。
その様は、セフィリアよりもはるかに下品で… そして、滑稽で無様。
だがしかし、セフィリアは嫌がる事なくアリシアの世話を焼いていた。
一時期壊れかけていたアリシアを此処まで回復させたのも、他ならぬセフィリアなのだ。
壊しそうになった責任を感じていたのか、セフィリアの看護は献身的で、
それがアリシアの心にも届いたのだろう。
未だにゼブルにだけは警戒心を抱いているものの、それ以外の人間には、アリシアは
悪態を吐きつつも、以前のように刃を向ける(基より出来ないのだが)ことはなくなった。
そんなアリシアの変化にゼブルは小さく頷き、そして口を開く。
「いやはや、自分だけの尺度で測るものでは無いわね、本当に」
「そうですよ、ゼブル様… それと、この間皆と相談したのですが…」
「ん? どうしたの、リーン?」
「…ゼブル様の、今の姿は女性ですよね?」
「勿論。あ、やっぱり男の… 夫としても私が恋しいかしら?」
「―――ゼブル様の、太った姿も見てみたいです」
「え」
そう言ったゼブルの身体を、プクプクと丸い腕が拘束する。
ゼブルが周囲を見れば、そこには嫌な笑みを浮かべたパージャ、ニーナ、
そしてアーリアの姿があった。
「…ちょ、ちょっとリーン? 何をする気なのかしら…?」
「以前から思ってたのですよ、ゼブル様が太られたら、それはそれは素敵なんじゃないかって」
「うんうん、今のゼブル様ならきっと素敵だよ♪」
「…まあ、偶には逆の立場になるのもいいんじゃないかねぇ?」
「わたちも、ぜぶるしゃまのかわいいの、みたいの♪」
「ま、待って、落ち着いて! 私は太った女性を愛でるのは大好きだけど、太る趣味はないのよ!?
序でに言うとナルシストでも何でもないから…」
そんな事をのたまうゼブルを取り囲むように、4人は一歩前に出る。
以前の彼女たちならまだしも、今の彼女達は並外れた力を持つ人間(厳密にいえば違うが)。
それが4人もいれば、流石のゼブルとも言えど逃げられず…
そもそも彼女達を愛しているが故に、手をあげられる筈もなく。
「…では、先ず私からやらせて頂きますね♪」
「あ… あ、ぁ… うわあああああああっ!?」
そんな、リーンのこの上なく楽しそうな声と、ゼブルの甲高い叫び声が城に響き。
その声に気が付いたアリシアが、ぼうっと部屋の外に視線を向けて。
「…ん、ぁ… けぷ… 何か… あったんじゃ、ないか…?」
「ああ、気にしないでいいですよ… ふふっ、楽しみにしていただければ、ですし… ね…♪」
そんなアリシアの視線にほくそ笑みながら、セフィリアはアリシアの身体の肉をつまみ、揺らして。
それだけでアリシアは快感に溺れそうになり… 再び、肉塊同士で戯れ始めた。
その数時間後、変わり果てたゼブルと対面したアリシアが大爆笑して、
すっかり打ち解けたのは別のお話。
…自分で太るのもいいなぁ、とかゼブルが思い始めたのも、別のお話。
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