334氏その5

334氏その5

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薄暗い森の中、草を踏みしめながら歩く人影があった。
ボロボロのマントを纏い、フードを被っているので、
顔は分からないが、背格好から判断するにどうやら若い娘のようだ。

 

時折立ち止まって、後ろを振り向いている。
どうやら何かを警戒しているらしい。

 

やがて娘は森を抜け、小さな村の入り口にたどり着いた。
レンガ造りの家がぽつぽつと立ち並んでいる。

 

「誰かいませんか?」
娘は呼びかけたが、返事はない。
仕方なく入口の門をくぐる。

 

その時。
「ブフゥー…」
生臭い匂いとともに干し草が積まれた荷車の影から巨大な黒い影がのっそりと出てきた。
娘は声がした方に目を向ける。
そこには二足歩行の巨大な豚の化け物がいた。

 

「フゴフゴ…プギィー!!」
化け物は鼻をひくつかせた後、よだれを垂らしながら雄叫びを上げた。
しかし、娘はたじろがず、マントの下から短剣を取り出した。
「やれやれ、またオークか。レベルは15ってところね。」
襲いかかってくるオークにも躊躇せずに飛びかかり、短剣をオークの脳天に突きさす。
鮮血が吹き出し、地響きとともにオークは倒れた。

 

「ふぅ…」
飛びかかった反動で、ぱさりとフードがはずれて素顔があらわになった。
短髪に切りそろえた栗色の髪。
わずかにあどけなさが残る整った顔立ち。
百戦錬磨の戦士を思い起こさせる鋭い眼光。

 

「全く、この辺りはオークだらけだね。さっきも森で襲われたし。
ま、魔物ハンターの私にとっちゃ、あんなの何体いても変わらないけどさ。」

 

そう言うなり、娘は近くにある干し草が積んである荷車に向かって声をかけた。
「ところで、そこに隠れている人。この村が今どうなっているか教えてくれないかい?」

 

「ひっ!?」とおびえた声がして、干し草の中から若い女性が出てきた。
「ど、どうして私が隠れていることが分かったのですか?」
「簡単さ。さっきから干し草が小刻みに揺れていたからね。」
娘はそっけなく言った。

 

「すごい観察眼ですね。さぞかし名のある戦士とお見受けします。」
女性はスカートについた干し草を払いながら荷車から降り、娘に駆け寄った。
「お願いします、私達の村を救ってください。」

 

 

 

村の中の、ある家の居間で、二人は椅子に座っていた。
女性は静かに話し始めた。
「私の名前はラウラ。この村の娘です。貴方様のお名前は?」
「私はラキ。気ままな一人旅の魔物ハンターさ。
ところでこの村は一体どうしたんだい?人っ子一人いないじゃないか。」
「そ、それは…」
ラウラはずいぶんためらった後、暗い表情でぽつりとつぶやいた。
「村人は…全員死にました。いや、死んだ方がましだったかもしれない」
「そりゃ、どういうことだい?」

 

「順を追ってお話します。
この村は貧しいけれど、大した争いも無く平和な村でした。
しかし、今朝森の奥から黒い霧が流れてきました。」
「黒い霧?」
「はい。闇のように黒い、邪悪な霧でした。
その霧に飲み込まれたものはことごとく魔物になってしまいました。
私の父も…」
彼女は無表情だったが、その声は震えていた。
まるで恐怖を押し殺そうとするように。
「幸いにも、私は自分の部屋で読書をしていたので、
黒い霧には飲み込まれなかったのですが、窓の外は阿鼻叫喚の嵐でした。
魔物と化した村人が生存者を襲いだしていたのです。
私は何とか村から脱出しようと家を出たのですが、先ほどのオークに見つかってしまって…
あの干し草に隠れていたのです。」
「ううん、黒い霧とやらは何かの呪いの一種だろうな。それもとびっきり凶悪な。」
ラキはかぶりを振った。

(しかし、今まで倒してきたオーク達は村人の成れの果てだったのか)」
知らなかったこととはいえ、罪悪感が胸をよぎる。

 

ラキはしばし考え込んだ後、立ち上がった。
「分かった。黒い霧をけしかけた奴を倒そう。」
村人への罪滅ぼしの念もある。

 

そんな彼女にラウラがためらいがちに話しかけた。
「あの…そこで、私もお供させていただけませんか?
みんなの無念を晴らしたいのです。」
「しかし、危険な旅だぞ?死ぬかもしれない。」
「構いません。覚悟はできています。剣術も一通りたしなんでいますので。」
「分かった。そこまで決意しているのなら…。
これからよろしくな!」
「はい!」
二人はがっしりと握手を交わした。

 

 

二人が出て行った後。
タンスの中から小さな黒い霧が現れて、彼女達を追いかけていった。

 

 

ラキ
ステータス
ラキ Lv.50 ジョブ:魔物ハンター
ちから88 すばやさ110 かしこさ95 たいりょく50
剣技:レベル32 魔法:レベル10 運:1

 

 

 

さらさらと流れる小川の土手をふたりは歩いていた。
「それで、これからどこにいくつもりですか?」
ラウラが尋ねる。
「そうね、取りあえず情報を集めなきゃいけないから、
ここらへんで一番大きな町「フェタリア」に行くとするかな。」
「えーと、それだと…3日くらいで着きますかねぇ…?
ここら辺は魔物も多いですし。」
「大丈夫よ。私がついてるから!それにここら辺で出てくるモンスターはスライムくらいよ。」
「あの…言っている傍から、スライム、出てきましたよ!」
ラウラは前方を指差した。
薄い黄色のゼリーみたいな体をぷるぷると震わせたスライムが茂みから出てきたところだった。

 

「よーし、さっさとやっちゃおう!」
ラキはスライムめがけて剣を振り下ろした。

 

ラキの剣撃!
スライムに1000のダメージ!
スライムは『根性』で持ちこたえた!

 

「あらら、スキル『根性』持ちでしたか。」
「運が良かったわね。次のターンでとどめを刺してあげるわ。」

 

スライムのターン!
スライムは仲間を呼んだ!
スライムAが現れた!
スライムBが現れた!
スライムCが現れた!
(中略)
スライムXが現れた!

 

「えっ…と、森の中から同じスライムがぞろぞろ出てきたのですけど…
さすがにまずい気がします…」
「もも、問題ない!全員、私の剣のさびにしてくれるわ、わよ」
「声が震えていますけど大丈夫ですか?」
プルプルと動きながらスライム達が包囲網を狭めてきた。
ラキとラウラはじりじりと追い詰められながらも攻撃の隙を窺う。

 

 

「キキィィー!!」
一番先頭のスライムが鳴き声を上げたかと思うと、一斉にスライム達が飛びかかってきた。
ラキは剣を薙ぎ払い、スライム達を叩き切る。
べちゃべちゃと肉片や汁飛沫が体にかかるが、スライムの数が多すぎる。
「あっ…が、このっ…!!」
数匹のスライムが衣服にまとわりついたかと思うと、
ラキは見る見るうちに押し寄せてくるスライム達で包まれ、黄色のゼリーで見えなくなってしまった。
「あっ…ひゃあああ!」
スライム達は衣服をすり抜け体中の穴という穴から体内に侵入する。
「お、おおおお…っふ、ぅくっ、そ、そんなところにはいってくるなぁぁ!!」
ジタバタと手足を動かし引きはがそうとするが、髪に付いたガム並みの粘着力で離れようとしない。
「う、ぐっぷ、ごふっ…」
最後に残ったスライムを飲み干し切ってしまった。

 

「げふっ…まさかスライムにしてやられるとは…油断‥」
ラキが片膝をついて息を切らしていると、背後の木の影からラウラが現れた。
どうやらスライム達が飛びかかってくる時にとっさに隠れていたらしい。
「すみません。怖くて隠れていました。あの、大丈夫ですか…?」
「あ、ああ、大丈夫だ」
ラキはどすんと尻もちをつく。
「ふぅー…すまん、ちょっと休ませてくれ。なんだか暑いんだ。」
ラキはローブを脱いだ。

 

その様子を見て、ラウラが遠慮がちに言う。
「あ、あの、大変申し上げにくいのですけど…
その、お身体の方が…ずいぶん太ましく…」

 

「え!?」
慌てて体を見回すと、ぽってりと膨らんだ肉の段がショートパンツの上に乗っていた。
上着もパツパツだ。
「あ!?さてはあのスライム達、何か特殊能力をもってたな」
歯噛みしたがもう手遅れである。
「しょうがないな‥。まあ、こんなデブ態異常すぐによくなるさ。」

 

 

ラキ
ステータス
ラキ Lv.50 ジョブ:魔物ハンター
ちから88 すばやさ80 かしこさ95 たいりょく100
剣技:レベル32 魔法:レベル10 運:1
肥満:BMI 28

 

 

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