行方不明の加奈さん

行方不明の加奈さん

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ここに1人の女性の写真がある。

 

加奈

 

名前は畠山加奈という。

 

私はこの女性を捜すように頼まれた後藤という者で
主に人探しや不倫調査の等の探偵をやっている人間だ。

 

彼女は実家を出てから一年間は音信が合ったものの
それから音信が途絶えちょうど一年になるという。
彼女が住んでいたアパートに親は行ってみたが既にもぬけの殻だった。
しかし3ヶ月前から家に彼女の名でお金が届くようになったという
差し出し不明で届くので探す方法もわからず、そこで依頼がきたという次第だ。

 

少し手間がかかりそうだが多少はやりがいがありそうだ。

 

 

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探偵が探す事になった1年前

 

 

私の名前は畠山加奈、ある理由でとある所に軟禁状態に置かれている
ただ軟禁状態と言うが、半分は自分の意志でここに入ったも同然だ。
私は一ヶ月前、私を軟禁しているとある金融会社にある担保で借金をした
株を趣味でやっていて、少しの成功で調子に乗ってある企業の株を大量に買い占めたのだが
株が暴落し結果的に650万円の借金をしてしまった。
そこで返済に苦慮している時にその金融を見つけたのだ。

 

それはお金を貸す替わりに担保としてお金を貸した分だけ体重を増やしてもらうという金融だった

 

世界中のそれなりの資産家達が自分達の楽しみのために作ったとの噂がある金融で
100kg以上太る程借りるお方のみお貸しするという条件でお金を貸してくれる金融だった

 

太ってしまう事に抵抗が無い訳ではないが、650万円の借金を抱えているよりは
100kg以上の体に一時的にでもなった方がましだ。

 

私は思い切ってこの会社のドアを叩く事にした。

 

 

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130kg
これが私が太らなければいけない重さだった。1kgにつき5万円である。
しかし一つだけ太る事を回避する条件を教えてくれた
それは「一ヶ月以内にご返済なされれば、太らなくても大丈夫なのでご返済が可能でしたら覚えておきますように」という事だった。
650万円が手元にある今、借金を完全返済する事ができたが私にはその時違う考えが浮かんでいたのだった。

 

 

-4-

 

「どうすればいいんだろう…」
三週間後、私はついにやってしまった…
650万円を元手に、お金を増やそうとした結果、最終的にさらに1600万近い借金を抱えてしまった
借りてから始めの一週間で650万が蒸発した後、どうにかして一発逆転を賭けたい一心で
色々な場所からお金を借りたあげくここまで膨れ上がってしまったのだ…

 

「わ、私は悪くないっ!悪くないのっ!そ、そうだ逃げちゃおう逃げようっ」
そう考えた時に、突然ドアの呼び鈴が鳴った。

 

「すいません、金融のものですが」
居留守を使おうと考えたが、私はこの金融にお金を貸されたとき
小型のGPSを一時的に埋め込まれてたのを思い出して居留守を使うのをやめた、
そうだったGPSを埋め込まれてるんだ。これじゃあ逃げられないね…

 

「はい、今開けます」
「失礼致します。突然で申し訳ないのですが、畠山加奈さんの現在の資産状況を考えまして身柄を
 預かる事になりました。本人を疑う訳ではないのですがお金を借りた後にまた借金をして雲隠れ
 しようとする人達も多いので念のためなのです。
 我々もただでお貸ししてる訳ではないので」
「…」
「その代わり身柄を預かる間は、不自由ない生活を送れるよう配慮致しますので
 よろしくお願いします」
「…わかりました。」

 

 

-5-

 

「ここが寝室になります、何かございましたらそこのボタンを押してください」
ホテルの一室のような部屋に入れられた。
どうやらここがお金を借りる時に説明で聞いていた肥大するための施設のようだ。

 

ここで一週間待つ事になる。一週間経てば肥大する為の下地として訓練をする事になる。
ネットで書かれていたが、訓練の後に何かの薬剤で一日で太らされるらしい。
その後、非常に重い体重になる者はリハビリののちに企業御用達の場所で
肥満体を生かして働くのだとか。

 

「たしか…契約書に…」
鞄に入れてある契約書を取り出してある項目を探す。
私が探そうとしたもの。
それは何kg以上はリハビリののちに企業御用達の場所で働く事になるかという事が
書かれてある項目だった

 

「あった…」
そこには体重が250kg以上肥大する方は私生活が送れるようになるまでリハビリ
そして生活の介護を手厚くしてくれるという内容が書いてあった。
動けなくなるくらい太るお方は企業としては一生を尽くす形で介護するとまで書いてある。

 

私は、どうすれば良いか。このまま130kg太って1600万円の借金を抱えるか
それとも借金を帳消ししてさらに380kg太って手厚く介護されリハビリをして
肥満体を生かして働くか…

 

それから悩んで彼女は結論を出したのだった。

 

 

-6-

 

「畠山さん本当によろしいのですね?」
「はい +380kg太らせてください…」
「わかりました。お金の方は畠山様がお借りになられたところへこちらが責任を持って
 返済させて頂きます」
「なにもかも任せてしまってすいません…」
「いえいえ、きちんと肥大なさってもらうのですし、こちらとしても畠山様の身柄を預かる以上
 果たすべき責任は果たさなければなりませんので。
 では合計体重510kgということでよろしくおねがいします」
「はい…」
担当の人が出て行くと同時に「はぁ」と溜め息をつく。
私としては、もうどうせなら自業自得だし何もかも返済して中途半端に太ってその体で働くより
思い切って太って介護されてきちんとその体向けの職業が提供される方がいいんじゃないかと
思ったのだ。
どんな職業か聞くと接客系らしく、そこもきちんと私達に対しては手厚いという。
550kg以上になるというのは想像もつかないが、歩けないのではないだろうかと思ってしまう。

 

「きっと…人間みたいな形じゃあ無くなっちゃうんじゃないのかな…」

 

虚ろな気持ちでただぼんやりとそう呟いてキングベットに横たわるうちに
彼女は寝てしまうのだった。

 

 

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