再と初 更なる試練と肥初め

再と初 更なる試練と肥初め

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*登場人物紹介

 

過龍光樹 19歳 165cm 54kg 90・58・84(過去)→110・81・104(現在)
ぽっちゃり体型の家事手伝い。
(本人は『デブメイド』と自認してる)
去年のクリスマスイヴに末年の師月と共に試練を果たし、
元旦の新たなる試練にも挑んだが

 

リーファ・フェフ 21歳 167cm 54kg 87・54・82
外見は整ったスタイルをした美女で、肥満化と引き換えに重病・重傷患者を
すぐさま完治させる肥化治療システムを発明した天才科学者である。
ただ性格の方は、責任感や倫理観はあるものの、かなり子供っぽい。
『朱の女』なる妖怪の振りをして希望する者に肥化治療を施している。

 

ライディ・マウナス 22歳 
引き締まった体躯の銀髪の美青年。
(しかし初対面の人には『華奢な体の美女』と認識される場合が多い)
末年家の新たなる試練には関わりの無いことと素っ気ない態度を取っていたが・・・
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山奥の片隅にあるとある神社、その倉の中に二つの水晶があった。
一つは、神棚に祀られている空色の水晶。
もう一つは、中に立つ男の首に下げられた深緑色の水晶。
その男は、上質な和服を着込み、精悍な顔つきをした短髪の青年だった。

 

深緑色の水晶は闇の中で輝きだし、その輝きは人の腕を象り、
その腕は空色の水晶を握りこんだ。
男はぽつりと言った。
「我が同胞よ、せめて緩やかな眠りの中で己の罪を償ってくれ」
それは相手への敬意を込めた穏やかな言葉だった。
しかし、倉の中に明かりがあり、見る者がいれば気づいただろう。
男の相手への蔑みと敵意を込めた険しい形相と
その後ろに異形の鎧騎士が立っていることに。
鎧騎士の右の掌には、石の様な外装に覆われ輝きを失った水晶があった。

 

「再と初 更なる試練と肥初め」

 

 

光樹がその知らせに気づいたのは
リーファ、ライディとの初詣でからの帰りに、喫茶店に寄った時だった。

 

「ん、携帯にメールが来てる」
メールの差出人は「末年師月」
去年の12月24日、試練の夜を共にした彼女からのメールだ。
内容はこの一文のみだ。
[至急来てくれ]

 

メールを見て何かあったのかと考え込む光樹。
「末年の人達からのメール?」
その間にリーファが携帯を覗き込んでいた。
「え 知ってたの?」
「うん」 
「至急来てくれ、ね・・・・ともかく、ボクも一緒に行くよ」
「私も行く!」

 

 

光樹達三人が元いた喫茶店からそう離れてない神社が
末年家の実家だ。

 

「「「「・・・明けましておめでとうございます」」」」と末年家の4人。
「・・・明けましておめでとうございます」返す光樹。
「今年もよろしくお願いします」続くリーファ
(こんな形でよろしくしたくは無かったけどね)内心オチをつけるライディ。

 

まぁ新年に知り合いと初めて会ったのだからまずはこの挨拶だろう、
例えその知り合いの一人が激太りしていてもだ。

 

光樹達がこの家に来たとき、
中庭に光樹達の知る末年家の3人、
それと初めて見る1人がいた。
まずライディとリーファが会った穏やかな印象の壮年男性。
末年家の父、末年月彦(すえどし つきひこ)

 

その横に居る中年女性、顔立ちは整っているが
体はふくよかな彼女は末年芽衣子(すえどし めいこ)

 

 

そして光樹のよく知る、丸々と太った姿の師月。
一つ、あの夜との違いをあげると明らかに服のサイズがあってなくて、
既にあちこちから、柔らかい贅肉があふれ出ている。
特に一番大きなお腹周りは、二段腹が丸出しになってしまってる。
下半身に目を向けるとふくらはぎの辺りから肉が溢れ出ている。
「こんな格好ですみません・・・試練の時に着る分はクリーニングに出してるんです・・・」
「ああ、あの巫女服ね・・・」 「あの服はある程度伸び縮みするですよ」

 

末年師月(すえどし しづき) 15歳 143cm 74kg 90・97・85

 

 

そんな師月の横に居るのは、彼女よりも背が高くより太った少女。
彼女の方は特大サイズの洋服を着こなして、その巨体を収めている。
「師月ちゃんのお姉さんで、これまで試練を受けてきた睦実さんですか」
「名前は師月から聞いてたのね、そう私は末年睦実
あ、敬語はいいですよ 今の姿じゃあ分からないけど、私は17歳で光樹さんより年下だから」
今は丸々と膨れているが、
元の顔立ちは師月よりも大人びて美しいのだろう。
元から大きかったのか、胸はメロン並みの爆乳で
同等の巨大さを有するお腹に乗っかっている。
当然の如く下半身も太ましい。
ず太い脚と巨大な尻がズボンをパンパンに押し上げている。
「ああ、私は試練に備えてこういうデカい服をいくつか用意してるんですよ」
「ただ、今の師月に縦と横がぴったり合うものは無くてね・・・・」

 

末年睦実(すえどし むつみ) 17歳 154cm 82kg 106・101・98

 

 

「それで、何があったんでしょうか 試練を終えた師月さんと試練から外れた睦実さんが太った理由は一体?」
顔合わせも終わった所でライディが率直に聞いてくる。
「ライディ、いきなり聞くもんじゃないでしょ!   でも、こいつの言い方は微妙ですけど、事情を知りたいのは私と光樹さんも一緒です せめて、試練を一緒に受けた光樹さんには教えて下さい」
リーファは頭を下げた。
「事件とかそういった類のものなら、むしろこの2人に言った方がいいですよ」
「私よりもずっと役に立ちます」
光樹はむしろリーファとライディを押してくる。

 

「いえ、全員にお話します」

 

 

「それは今朝の明け方の事だった」 まず睦実が説明を始めた。
「私と師月は同じ部屋で寝ていたんですが、緑色の強い光を感じて二人とも起こされました」
「で、辺りを見回すと・・・」

 

「まだ薄暗いはずなのに、深緑色の水晶が宙に浮かんで部屋を照らしてました」
「そしてその光が人の姿をとりました」

 

(水晶の光と人、それって確か・・・)
光樹が記憶から似たような事例を探るが、

 

「その人は試練の神を名乗り試練の始まりを告げてきた・・・
それと同時に私達は太り出して・・・」
「今日の午後6時から出て、神の社へ向かえと言いました」

 

 

「そんな 一ヶ月も経ってないのに!?」
「確かに『一年経った』と言えなくはないけど・・・例年はどうなんですか」
リーファは試練の理不尽さに憤り、ライディは冷静に考え末年の父に質問する。
「ぴったり一年という訳ではなく代を重ねるごとに少しずつ前後にずれていったようです、私達の時期には大体12ヶ月の末でした」
「・・・それでもほぼ一年経ってる、いや、しかし   !」
ライディは少し考え込んでから、
ある結論にたどり着いたのか、一瞬目を見開いた。

 

「ところで、どうしてこちらの事情を知ったのですか?」
それに気づかず、末年の父が光樹に聞いてくる。
「それは」(師月ちゃんからのメールで)、と光樹が答えようとした所に
ライディが割り込んだ。
「そんなことはどうでもいいでしょ ボクはどの道試練とやらに関われないし、これで失礼しますね」
ライディのこの言葉に、光樹は驚き、リーファは怒った様だが
末年の4人はむしろ納得していた。

 

「確かにあなたもリーファさんと同じように『荷の重さを知る乙女』ではありませんよね」
「・・・確かに重さとは全く縁が無いですよね」
師月の視線はライディの胸の辺りに注がれてる。
「いや ボクは『乙女』じゃありませんから」
「「「「え?」」」」

 

 

「え?って・・・見て気付かないんですか というか月彦さんはあの時話しましたよね」

 

「いや、世の中には『女の子にしか見えない男の子』がいるらしいので、
『男の様に話す女の人』がいてもおかしくは無いと思いまして」
「あなた、そういう『男の様に話す女の人に見える男』人も『男の娘』、
その一種に含まれるのよ」
芽衣子が良くわからない補足をしたり顔で言った。
「なるほど!」
「お母さん・・・何でそんなこと知ってるの?」
納得する睦実と疑問を抱く師月。
そうして(二つの意味で)無駄な会話を挟む末年家の4人だが、
怒り、ではなく恥ずかしさで顔を真っ赤にしているライディに気付き
気まずさと共に口を閉じた。

 

「ああ、そうですか・・・僕は男の娘なんですか・・・」
そこへリーファが末年家や光樹と話していたときとは違う軽い口調で言った。
「ライディ〜 やっぱ私と一緒に試練に付き合いなよ ダメだったら『乙女』じゃないって認めてくれた訳だし、もしかしたら神様も『乙女』って認めてくれるかもしれないし」
師月と睦実は『なるほど!』と言わんばかりに腕をポンと叩いた。
「 ともかく、ボクは失礼します!」
顔を真っ赤にしながら、ライディは家から去った

 

「すみません、彼はきっと別の用事があったんだと思います」
「むー、こんな時にあいつのフォローしなくても・・・」
ライディをフォローする光樹に、不服なリーファ。
「でも私は行きます! 試練を一緒に受けます!!」

 

 

「いえ、お気持ちは有難いですが荷の重さを知る乙女でないと・・・」
「重さなら知ってる! 太ることの重さなら・・・」
そう、リーファは『朱の女』として多くの女性を太らせてきた。
それまでのことを思い返してる間に光樹が二の句を継ぐ。
「 ともかくリーファさんも連れて行きましょうよ 重さを知る乙女は無理に連れていかなくてもいい筈ですよね」
「分かりました、それでは支度しましょう」
「出発は午後6時、つまり6時間以内にあの神の社に着かなきゃならない 」
「・・・・・・」
リーファはその優れた頭脳で、一瞬で時間と距離、そして師月達3人の体重から
これからの試練の経緯をシミュレートしてみた。
「・・・うぅ〜」
そして、その困難さに気付き意気消沈する。
しかし、睦実がリーファに声をかける。
「大丈夫だって 私は何回もやってきたし 師月も光樹さんも一回出来た、
体は全然重くないリーファさんなら余裕で出来るって」
「  そうだよね」

心はやや幼いリーファはこの励ましで意欲を取り戻すのだった。

 

 

「もしもし、こちらライディです 新年明けまして、あっそれはいいって?」
「少し話したいことがあるんだ、時間取れるか
「よろしく頼むよ、橘さん」

 

 

日が沈みだした頃に、光樹と師月、リーファと睦実の4人は
神の社に向けて歩き出した。
(ライディの分まで頑張らないとね・・・)

 

(何かが違う、こんなの試練じゃないよ)

 

(出来なかったら、光樹さんたちにも災いが来るかもしれない だから・・・)

 

(妹や光樹さんが頑張ってるんだ、私が弱音を吐くわけにはいかない・・・!)

 

 

それぞれの思いを胸に、重さを知る4人の乙女は歩き出した。
そんな彼女たちを、煙草をふかせたライディが高みから見下ろしていた。
その首には、深緑色の水晶が掛かっていた。

 

 

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