albeit 肥散な報酬 おまけ
家に帰ってから一時間が経過したが、ナナとモモはまだ戻れずにいた。
その様子を多少の悪意を交えて表現すれば、
全裸で空調が効いた部屋に閉じこもって動かずにゴロゴロしていた。
「って、これじゃあデブのスタイルそのもの・・・」
「その通りですね・・認めたくないけど・・」
しかし、二人とも動くこと自体は今の体でも支障は無いが、
ナナは膝の痛みが、モモは息切れが辛い。
ララからペケを貸してもらえば、着れる服は出来るが
素肌を晒しきってないと、薬の成分と脂肪が消滅しない。
「おーい、二人共ちょっといいかな?」
そんな中、ドアの向こうから聞こえてきたのはリトの声。
「 良かったら、これを着てみなよ」
ドアの隙間から差し出された袋に入っていたのは、あのスーツだった。
( 良かったら、これを着てみなよ、ってもしかして・・・)
「おい、リト!私とモモにこのままでいろってのか!!」
「い、いや帰る途中で御門先生のところで相談してみたら、このスーツを貸してくれたんだ。
「デザインは同じだけど機密性があるから肥満化薬も解除されるらしいんだ」
「 部屋の中でも裸のままにしておく訳にはいかないって思ってさ・・」
「 ありがとうよ」 「有難うございます」
それは良かった、もう用は無いぞ。
と言わんばかりに部屋に背を向けたリトをモモの声が呼び止めた。
「着ましたよ」 「いや、もう用は無いけど」 「 着たぞ」 「いや用は・・・」
「二人共スーツを着てみましたよ、リトさん」 「見て欲しいのか・・・」
ドアを開けた先に見えたのは、薄緑色のスーツに身を包んだ肥満体の二人。
樽の様な体つきをしながら、何事も無かったと言いたげに微笑んでいるモモに、
風船の様に膨れ上がった胸とお腹を抱えながら、
ムスっとした表情を作っているのが逆に可愛らしいナナ。
やはり今の体を見せるのは恥ずかしい様で二人共顔が赤くなっている。
( !! これはこれでカワイイ様な、いや今カワイイって言っても逆効果か、)
(しかし可愛くないわけじゃないし、そう言う訳にもいかないし・・・!)
二人のことをどう表現すべきか分からないリトは、
話をそらす為に自分が持ち帰った物の三つ目のことを言った。
「これですね」 「酸素ボンベってどんな感じなんだ? 私も一つ貰うよ」
二人が気体の入った金属の筒を持ち上げ、中身を吸ってみた。
「 !! それは酸素ボンベじゃなくて!」
御門先生に後日持ってきてくれと頼まれて、探し出した肥満化薬の予備。
と言おうとしながら駆け寄ったリトだったが、
ボヨッン!! 弾き飛ばされる。
肥満化薬を口から直接吸ったことにより、更なる肥満化を瞬時に遂げた二人の体に、
リトはその弾力について考える間も無く、壁に頭を打ち付け意識を失った。
その様を見た二人だが動かない、いや動けない。
何せ今の二人の体では脂肪に脚がつかえて地面に届かないのだ。
そこまで太ったら、もう肉塊と言っても差し支えが無いだろうが、
伸びきって体を覆っているスーツと未だに肉が付いてない顔のお陰でそこまで酷くは見えない。
「・・・リトのバカヤローーー!!」
涙目になりながら必死になって動こうとしているナナだが、
地面に着くまでに巨大化した尻と丸型そのものになった胴体から、
ちょこんと伸びた手足だけしか動かせない。
そうする度に、全身の脂肪が静かに、大きく振動する。
そんな中で、胸の揺れ方は派手である。
ビーチボール大の胸はくっきりとした円形を保ちながらお腹に乗っかっていて、
胴体の揺れで打ち上げられると、ナナの頭を余裕で超えるほど上がり、下がってお腹に乗っかる。
そんなシークエンスを繰り返している。
ナナ・アスタ・デビルーク
151cm 43kg 68・54・77
→ 98kg 98・112・98
→ 247kg 197・221・190
「 リトさんは悪くない・・・はずです」
涙を流しながら俯いているモモ。
大樽の様な胴体に変わらない小さな顔が乗っかっているその様は、
あの黒〇げ危〇一発を連想させる。
彼女は手足もちゃんと肥大化しているので、
誰かに起こしてもらえればその大樹の様な足で立つことも出来るだろう。
しかし腕は余りにも太くなりすぎて、全く曲げられない。
尻尾も膨れ上がり、もはやデビルーク人の尾ではなく、特撮の怪獣の尾に見える太さである。
モモ・ベリア・デビルーク
151cm 45kg 78・54・78
→ 94kg 103・105・101
→ 252kg 210・216・208
しばらくして、二人の視線は、首が動かせず視界が固定されていたこともあり、
リトが持ってきたスーツと肥満化薬が入っていた袋に向かう。
そこにはまだ、本当の酸素ボンベであろう筒に、包装された10数個のチョコレートが入っていた。
(チョコレート・・・もしかしてプランド星の・・・あのバカ!男から贈るものじゃないって!)
(ホワイトデーにはチョコも脂肪も三倍返しだぞ!!・・・)
( 持ってきてくれた・・・ありがとうございます、リトさん
(このお礼にまたホワイトデーに・・・
ナナとモモは泣き止み、そのまま眠りに落ちた。
こうして、バレンタインデーとホワイトデーがまた一日近づいていく。
(本当に)終わり そして turn fatに続く(しつこい)