830氏による強制肥満化SS

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「さて、今回の目標体重はどうしますか?」
もう既に最初の目標だった52kgをオーバーしてる。
でもあれが飲めるなら良いか・・・ そう思わせる魅力があの飲み物にはあるのだ。

 

「ちょっとぽっちゃりしてるくらい・・・ じゃあ・・・ 58kgで。」

 

阿藤の勧めで薬の量を一日2回に減らす事になった。
目標体重が近いから、あと慣れて来たかららしい。
万が一太りすぎたりしたらいやだし、その方が安心。そう思った。

 

 

入院肥育中は健康上、安全上の理由から以下の項目を守ってください。
施術は少なくとも7日間連続して行う事とします、処方は中止するができますが、途中で退出する事はできません。
システムによって管理するため、設定した目標以上に太る事はありません。
目標体重を変更する際はその旨仰ってください。
その他、施術中は管理者の指示に必ず従ってください。
特に姿勢や衣服、食餌、トイレ等指示があります。

 

「よろしくおねがいします。」

 

説明書類に目を通した私は、そう言って同意書にサインした。
今から思えば、この時点でも、やめるには遅過ぎた。

 

「準備できました。」
更衣室から出て阿藤に告げる。
週末入院と同じ、阿藤クリニックのガウンと下着だけ身につけている。
違うのは、下着。阿藤が用意した伸縮性の高いものになっている。
ブラはストラップレスで後ろでスナップ止めになっているだけの簡単なもの。
ショーツも、クロッチ部分を後ろまでまわしてスナップで止めるようになっている。
仕組みは育児用品とか介護用品みたいだけど、形はそれほどダサくなくて安心する。

 

あの部屋の様子は少し変わっていた。
冷蔵庫とテレビが無くなっていて、ベッドが部屋の真ん中にある。

 

ベッドの真上、天井には、昨日まで用途の分からなかった装置があり、そこから何本かの白い腸のようなものが垂れ下がっている。
腸のようなものに触ってみると、くしゃっとなったキャンバス地のような素材で、中に硬質のものが入っているのが分かる。
何だろこれ。ともかく急な入院でまだ準備できてないんだろうな。

 

「じゃあ、ガウンを脱いでください。」

 

阿藤が告げる。

 

今回の入院中はずっとガウン無しで過ごすとのこと。恥ずかしいが我慢するしかない。
コンピューターがカメラでも私の体型を計測するためという理由。

 

下着だけになった私。阿藤が3つの輪状のものを渡す。

 

「次はこれ。ハーネスを着けてください。」

 

骨折した時につける、革製の固定器具のように見える。
ももの付け根、お尻の下の部分に左右一つずつ。胸のすぐしたあたりにもう一つ。
阿藤の指示で身につけていく。
体に触れる側は柔らかい生地と低反発素材のようなもので出来ていて、少しきつめに締められたけども快適だった。

 

そのまま、阿藤の指示に従ってベッドにうつ伏せになる。天井から下がる腸が邪魔だ。

 

「入院中の姿勢ですが、美しく太るために、四六時中うつぶせで過ごしてもらいます。」
「それって・・・ ずっとベッドに寝てろってことですか?」
「いえいえ、つぶしては形が崩れてしまいますから。」

 

そう言って、私には見えていない天井の装置を指差した。
阿藤は手早く、装置からぶら下がったその先端を私の体についたハーネスにつなげる。
背中と太ももの横に紐がつながった。あやつり人形みたいだなと思う。

 

「吊りますね。」

 

そう阿藤が言ったあと、体が持ち上がったのか、落下したのか、急に浮遊感が来た。

 

「キャッ!!」

 

思わず声が出てしまう。
気がつくと、私の体は斜め45度くらいになって吊られていた。

 

「ずっとこのまま・・・ ですか?!」

 

脚もベッドに預けられるし、手もベッドになんとか届くのだが、ずっとこのままは嫌だ。
焦った様子の私を阿藤がなだめる。

 

「驚かせてすみません。すぐ下ろしますので。」

 

そう残して阿藤は一旦部屋を出てから、何かワゴンのような物を押して入ってきた。

 

「次はこれです。」

 

阿藤が見せたのはまたハーネスのような物だった。
手首を覆うような物になっているその器具。

 

私の両手に一つずつ手早く着ける阿藤。
ずっしりと重い・・・

 

「もう一つ。」

 

今度は足首だ。

 

土踏まずの所にもベルトがまわるようになっていて、着けるとつま先立ちのように足首が固定された。
やっぱりかなり重い・・・

 

「OKです。」
「これは何のための器具なんですか?」
「肉割れとか妊娠線ってご存知ですよね? 太っていく時期に急激に動いたりすると皮膚が割れてしまうんです。それを防ぐために手足の運動を制限する器具です。ちょっと待っててください。」

 

そういうと、阿藤はベッドを滑らせて退かしてしまった。
下に何も無い状態。宙ぶらりんになってかなり怖い。 

 

阿藤のリモコン操作でゆっくり降りだす私の体。
降りるに従って、姿勢が水平に近くなっていく。
やがて掌と膝がほぼ同時に、床に付いた。
床は体温程度に暖かくて全く不快感が無い。

 

「なんか・・・ 動物みたいですね。・・・・あ? ・・・あれ???」

 

手と足首が床にぴったりついたまま離れない?!

 

「気がつかれましたか。」
「運動を制限するっていうのはこういう事ですかっ!?」

 

また狼狽する私。

 

「そうです。でも全く動かない訳じゃないです。右の前の足だけあげようとしてみてください。」

 

簡単に外れた。手をあげるとかなり重い。足踏みをするようにすぐに下ろす。

 

「一度に一本ずつなら上がるような仕組みになってます。すぐに慣れますよ。」

 

異常な状況が始まっているにもかかわらず、あの飲み物を一刻も早く飲みたい私は、あまりそれを理解できていなかったのだと思う。
阿藤の立ち居振る舞いが変わりつつあることも。

 

わたしは一番気になっている事を聞いた。

 

「それで、食事はどうなってるんですか?」
「申し訳ないですが、またあの栄養ドリンクです。でも喉乾いてますよね。急いで仕上げをしましょう。」

 

その言葉を聞いて、一気に気分が高まる。

 

次に阿藤はワゴンから丸いものを取り出した。
そして私の目の前によく見えるように掲げた。
ハーネスと同じ素材のそれは、マスク、に見えた。

 

「形の通り、肥育に集中して頂くための器具です。着けますね。」

 

そこまでするの!!? あまりの衝撃に声にならない。

 

私の髪を後ろでまとめる阿藤。そのまま私の返答を待たずにマスクを着ける。
マスクは頭をすっぽりと覆うようになっていて、鼻の穴と口だけが露出するようになっている。中はハーネスよりも柔らかい。

 

何も見えない・・ 何も聞こえない・・・ 怖い・・・

 

「・・・あのっ!! ング ンンン」

 

震える声で喋りかけた時、急に口の中に何かが入ってきた。
口内に差し込まれたのは、柔らかいような固いような物体。
無理矢理入って来た物体には相当不快感があったが、すぐに別の考えが頭の中を占めた。

 

ああ、あの飲み物の味だ・・・。少し吸うだけで表面からあの飲み物がしみ出してくる。

 

ングッ ングッ ングッ
理性が遠のいて一心不乱に吸う私。

 

「説明しないでも飲み方は分かったみたいですね。飲もうと思えば、どんどん出てきますから、ご自分のペースに合わせて飲んでください。あまり急がないで、ちょっとユックリな位が丁度いいと思います。」

 

マスクにイヤフォンがついているのか、耳元で阿藤の声がする。
構わず飲み続ける私。

 

「あ、あと一つ。そのまま飲みながらで良いので聞いてください。寝る時なんですが、そのまま体重をあずけてください。センサーがずっと監視してますから、倒れません。安心してください。」

 

寝る方法は大事だ。そう思って試しに倒れようと体重を預けると・・・ ハーネスに力が掛かって倒れないように支えてくれる。
マスクにも多分、天井からの綱が繋がっているのだろう。
ガクンと衝撃が伝わることすらない。すごい。

 

「そうです。それじゃあ、一週間、頑張ってください。」

 

食べて寝るだけの動物。こうして阿藤に完全管理された入院肥育が始まった。

 

飲み口を口全体で絞るように動かすとどんどん出てくるのを私はすぐに理解した。
疲れるほどの力を入れなくてもいいので好きなだけ飲めてしまう。

 

チュブッ ングッ ジュル ゴクッ ンフーッ ンフーッ

 

暗闇の中、聞こえてくるのは、口や舌の動きや嚥下の音、そして自分の荒い鼻息だけだ。

 

チュブッ ングッ ジュル ゴクッ ンフーッ ンフーッ

 

恐怖や不安を感じていた事は忘れてしまった。
それどころか、幾らでも飲み続けていられるこの状態に安心感を覚えていた。

 

満腹になるまで飲んで、そこからもう少し飲んで。
安らいだ気持ちの中、私は眠った。

 

 

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