830氏による強制肥満化SS

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それからどれくらい時間が経った時の事か、口内に広がる味が急に変わった。

 

なにこれ・・・ 濃い・・・
これまでとは全く違う味に感じる。

 

「分かるんですね。美味しいでしょう。」

 

すっごく美味しい・・ こんなものが有るなんて。
口当たりも喉越しも全然違う。

 

「2倍の濃さのミルクです。味に飽きたんじゃないかと思って。サービスです。」

 

私はすぐに新しいミルクの虜になった。

 

いつのまにか阿藤はあの飲み物の事をミルクと呼ぶようになった。
そしてわたしもいつのまにかそう呼んでいた。

 

サービスと言ってたけど、ずっとじゃないのかな・・・

 

ミルクの味は直ぐに元に戻ってしまった。
元のミルクだってあれだけ好きだったのに、濃いミルクを飲んでしまうと物足りなさが募る。

 

不快感で鳴く私。
あれがもっと飲みたいよ・・

 

「さっきのミルク、気に入りましたか?」

 

トイレのときはいくら呼んでも来なかったのに、今度はそこで待っていたかの如く返事が来た。

 

「もしお望みなら・・・ 食餌をさっきの濃いミルクに換えましょうか?」

 

阿藤の言葉が私の心を蝕む・・・

 

「濃い分栄養も値段も高いので注意してくださいね。」

 

肯定しさえすれば叶えられる望みに抗う術は無かった。

 

美味しいよぉ・・・ どうしてこんなに美味しいの???

 

最初はミルクを飲んでは荒い鼻息で呼吸していたけど、
いつのまにか啜る合間にすこしずつ呼吸できる様になって、
今や絶え間なくミルクを飲みつづけられるようになっていた。

 

ひたすらに飲み続けてお腹が一杯になったところで、やっと深呼吸する。

 

息を吸い込んだところで、唐突に、背中を何かが撫でたような感触があった。
と同時におっぱいが急に重くなって落ちたような感覚。

 

何かに気がついて体を揺らす。

 

やっぱり・・・・・
ブラが外れてる。
でもそれだけじゃなくて・・・ おっぱいがすごく大きくなってる・・・

 

乳房が二の腕をピタピタと打つ。もちろん大きくなっているのは胸だけではない。
それでも寝て起きればまたミルクを飲み続けるという状態。
当然、ショーツが弾けて飛ぶまで長くはかからなった。

夢の中。
わたしはミルクを啜っている。
下着も、マスクもハーネスも着けていない私は、やはり四つん這いで床に居る。
沢山の人が私を取り囲んでいて、足だけが見えている。なぜか顔をあげられない。
お似合いの格好ですね。
誰かにそう言われた気がして・・・

 

目が覚めた。

 

そして夢の中と同じようにミルクを啜り始める。

 

マスクとハーネスだけ着けて、四つん這いでミルクを啜り、寝て、排泄するだけの生活。
そんな生き物には下着なんて要らないのが当たり前、夢の中の自分はそう感じていた。

 

お腹が一杯になるまでミルクを飲んでは、寝る。
そして起きるとお腹が空いていて、また飲む。
だんだんとそのサイクルが早くなっている気がする。

 

トイレの間、ミルクを飲まなかったのも最初だけで、二回目からは飲み続けながら排泄するようになった。
そのわずかな時間すらミルクを我慢できなくなっているのだ。

 

そうやって、食餌、睡眠、排泄、全てが効率的になっていく。太るためだけに。

いつからか、ハーネスが支える力が微妙に変わり、太ももが低い位置で支えられるようになっていた。

 

楽な姿勢になろうとする私は結果的に、膝をつけた四つん這いのまま、足を少し広げて、手をやや肩幅より狭い位置についた姿勢になっていた。

 

嫌でも自分の体の肉を感じさせられる姿勢・・・

 

二の腕とおっぱい、おっぱいとおなか。おなかと太もも、太ももとふくらはぎ。
今まで触れる事の無かった部分が密着する。

 

わたし、どんだけ太っちゃったんだろう・・・?
目で見た事のない私には見当もつかない。
自分の肉の感触がただ私を苛んでいた。

「どうでしょう、調子は。」

 

声だけの阿藤と付き合っている期間が長くなって来た。
最初の頃の人当たりの良い印象はもう殆ど塗り替えられている。

 

慇懃だけど、傲岸不遜。

 

そして怖い。
目的が分からないのだ。

 

当初の私の希望を叶える事、きっとそんな生易しい事が目的じゃない。
結果から見れば私の肥育自体が目的と思えなくもない。でも何のために?

 

目的がどうあれ、この入院肥育で、私は欲望というものに正直になるように訓練されてしまった。
好きなだけ食べ、そのまま好きなだけ寝る。
私は食欲と睡眠欲に従うままになっている。

 

ただある意味、阿藤に対しては最初と同じように安心感を感じている。
その源泉が欲望を満たしてくれる阿藤への依存心から来ているのが違う。

 

こんな風に、最近少しだけ理性的になれる時間ができた。
満腹に近くなってくると少し理性が働くようになってくるのだ。
満腹になれば眠気が襲ってくる。眠りにつくまでのわずかな時間に私は出来るだけの事をする。

 

ずっと飲んでいない経口薬はミルクの中には入っているのだろうか。
なぜこんなにミルクを美味しいと感じてしまうのだろうか。
阿藤の目的は何なのか。

 

沢山の疑問に対して、処方を受ける前に調べたインターネットのページ、
阿藤の言動、昔勉強した事を総動員して答えを探す。

 

お腹一杯ですごく眠い。
でもお腹が空いてしまえばまた、ミルクを飲む事しか考えられなくなる。
そう思って必死に考えを巡らせる。

 

「最近、沢山考えてるみたいですね。」

 

急な阿藤の声に驚いてビクッと体が反応する。
この男のタイミングの良さには心が読まれている気すらする。

 

「せっかく代謝を落としているのに、頭を使うと意味がないですからね。」

 

この部屋で殆ど動かずに生活している間、体全体で消費されるエネルギーは基礎代謝と大体等しくなるが、あれこれ頭を使うと脳で消費するエネルギーがそれに加わってくる。
脳の消費エネルギーは莫迦にならない。そんな説明をする。

 

あんまりむずかしい事を考えないでくださいよ、阿藤がそう言ったかどうか、口中に快楽が広がった。

 

「ンァ・・!」
「また少し濃いミルクに換えておきました。最初からすると3倍の濃度です。」

 

お腹一杯なのにっ・・・
我慢しようとしても口が勝手に吸いはじめてしまう。

 

「そうです、余計な事は考えないで、楽しんでください。」

 

ひどい・・・ これじゃ、どんどんバカになっていくよ・・・

 

それ以降、お腹が一杯になった後、ミルクが濃いものに変わるようになった。
いくらお腹が苦しくても飲むのを我慢できた試しは無く、その濃いミルクを飲んでいるうち、いつの間にか寝てしまうのだった。

 

こうして、私が理性的になれるわずかな時間は無くなってしまった。

 

 

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