315氏による強制肥満化SS

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*ここより主人公をフロート、老人をガンドロフと記すようにします*

 

 

 

一行はやっとの思いでエルフの谷に到着した。ここでは呪いが弱まるのか、谷に近づくにつれて変化の頻度は減っていった。
谷にはフロートらの他にも、各地から様々な種族が集まってきていた。
彼女らよりも先についていたガンドロフによると、例の指輪の処遇について、会議が行われるのだという。

 

会議は間もなく始まった。フロートらもそれに参加した。
彼女は指輪を会議場の中心にある台座に置いた。
しばらく議論したのち、指輪を捨てに行くのが一番だという提案が出た。
その方法について彼らはああでもない、こうでもないと話し合いを続けた。
それが白熱し、ついには大声で罵倒しあったり、取っ組み合いが始まった。
みな指輪の持つ魔力にひかれて、指輪を欲し、争いが起きたのである。

 

その事態を見かねたフロートが、名乗りを上げた。
「私が行きます」
しかし彼らの耳には届かなかった。
今度はもう少し大きな声で
「私が行きます!」
と言い放った。
それと同時に、今までベルトできつく締め上げていたかのように彼女の体が「ボンッ!」と膨らんだ。
服こそ破けなかったものの、その勢いやすさまじく、きつく締めていたベルトが「バチーン!」と音を立ててはじけ飛んだ。
何事かと思い一同が目を向けると、一瞬、小さめのトロールかと思うほどにまん丸く柔らかそうに太った女の子が、目をしどろもどろさせながらワナワナと震えていた。
今の今まで罵り合っていた者全員がポカーンとした表情で彼女の方を見つめていた。
「・・・わたしがぁ・・・捨てに、行きます・・・」
突然の出来事に、油断していた少女はすっかり意気消沈し、限界まで赤らめた顔に涙を蓄え、フルフルと身悶えしながらそういった。
一同はイジメでもしてしまったかのような罪悪感を覚えながら、あいかわらず唖然とした顔のままそれぞれの椅子に戻った。
その発言に呼応するように、口論に参加していなかった男が彼女の旅に参加する意を示した。
その後も数人の有志が、彼女の旅に同行し守り抜くことを誓った。
もちろん好奇心旺盛な彼女の召使いや従兄弟たちも含めて。

谷の主であるエルフの長が、事態を呑み込めないままではあるが会場の皆に宣言した。
「よ、よろしい・・・、指輪で結ばれた旅の仲間の結成だ!」

 

こうして、人間6人(厳密にいうとフロートたちとは違う人種が2人)にエルフ、ドワーフ、ガンドロフの9人からなる旅の仲間が結成された。

 

これから先、どんな運命が彼らを待ち構えているのだろうか。

 谷を意気揚々と出発した一行だが、途中までは良かったものの、山の中でフロートがはぐれてしまった。
しかし誰もそのことに気付いてはいない。
なぜなら彼女がはぐれたのはみんなが寝静まっていた時で、夜明けには帰ってきたからである。
どういうことかというと・・・

 

 

フロートは彼女を除いた全員が寝静まってもまだ起きていた。
「これから一体どうなるのだろう」そんな不安ばかりが彼女の頭を渦巻いていた。
しかし、考えていても夜は更けていくばかり。うつらうつらと、徐徐に眠りにさいなまれていった。

 

彼女は床にドサッと投げ出されるような衝撃で目を覚ました。
目を覚ましてみると、そこは薄暗い洞窟のようで、松明やらが壁に立てかけられており、広場のように開けたところには山積みになった得体のしれないものがゴウゴウと勢いよく燃え盛っていた。
どうやら彼女は眠っている間に山の洞窟に住む子鬼共、ゴブリンに連れ去られていたようである。
奴らはフロートをどう料理するかでもめていた。
そのうち、煮る派と焼く派に分かれて激しい言い争いを始めた。
 彼女をなめていたのか縛られてはおらず、フロートは隙を見て逃げ出した。
あまり深くまでは連れて行かれなかったようで、すぐに出口を見つけることができた。
もううっすらと明るくなってきている。夜明けが近いようだ。
フロートは勢いよく出口から飛び出した。
ちょうどその瞬間、タイミングの悪いことにまたしても彼女の体がぶくぶくと膨れ上がっていった。
「ンブッ!!?う、うそでしょ〜・・・?」
彼女の体はただでさえ狭い洞窟の入り口にすっぽりとはまってしまった。
その様子はさながらどこぞのクマのようである。
彼女は必死にお腹を引っ込めて手を突っ張ったがびくともしない。
入口の近くに見張りがいたが居眠りをこいていたようで、肉に押されるがまま洞窟の中を勢いよく転がり落ちて行った。
それが丁度彼女の逃亡に気付いて追って来た後続のゴブリンたちにぶつかり、ボウリングのピンのように総倒れになった。

しかしそれだけでは進行を止めるはずもなく、とうとう彼女のお知りに追いついたやつらは入口の様子を見て驚愕した。
先の大戦によるゴブリンの激減と風化により徐々にその勢いは衰え、かつては難攻不落を誇った大迷宮だったが、今では彼女のはまっている穴が唯一の出入り口だったのだ。
 焦ったゴブリンどもはなんとか彼女を穴から引っ張りだそうとした。
しかし何をやってもびくともせず、刃を突き立ててはみたものの、ブヨンと沈み込むばかりで一向に手ごたえがない。
当のフロートはというと
「あっはははは!やめ、やめてー!くすぐったい、ふぅ!ふぅ!うぁははは!!」
と、痛いどころがむしろくすぐったい様子で大笑いしている。
「ガンドロフ〜!みんな〜!」
ぴっちりとはまっているため、呼吸がうまくできず息が苦しそうだ。
そんな状態でも力を振り絞って、震える声で必死に仲間を呼んでみるが、声が届くような範囲に彼らはいなかった。
そんな行為は夜が明けるギリギリまで続けられた。
次第にゴブリンたちのくすぐり攻撃(もちろん本人たちはそんなことは思っていないが)が弱まってきた。
数が減ったとはいえ腐ってもゴブリン、大戦後の平和に乗じ、瞬く間に数を増やしたが、どうやらそれが仇となったようだ。
酸素がなくなってきたのである。
さんざん弄ばれた挙句、いくら呼んでも仲間たちの反応がないという事態に心を痛めながらふと我に返ると、さっきまでの猛攻が嘘のように静まり返っていた。
すると彼女の体がシュルンと縮み、元の大きさに戻った。

何事かと思い恐る恐る後ろを振り返ると、そこには無数のゴブリンどもがピクピクと痙攣したり、泡を吹いて倒れていた。
どうやら大惨事は免れたようだ。
笑い疲れたフロートはホッと元に戻った胸をなでおろした。
見渡してみるとすぐに元いたキャンプ地が見つかった。
「それにしてもタイミングが良すぎる」彼女は帰る道すがらこんなことを考えていた。
この指輪は自分のことを弄んで楽しんでいるのではないか、とさえ感じていた。

 

あの夜の出来事はだれにも語らなかった。
語って愉快なことでもないし、もしそうしてもゴブリン・サフォケイター(子鬼を窒息させる者)みたいな妙なあだ名をつけられてしまうだけだろうと彼女は思った。
 彼女が洞窟の中にいたせいで魔力を感知できなかったのか、南に住む裏切り者の魔法使いの妨害はなかった。
一行は難なく山を下ることができた。
 ・・・というのは一部間違いで正確にいうと、山を下る際に亀裂から低い叫び声のような音とともに大きな炎が上がり、一行に襲いかかった。
それをガンドロフが何とか防いだが、食い止めるのが精いっぱいだった。
一行を先に行かせ、それを見届けると同時に亀裂が穴を広げて彼を山に引きずりこんでいった。
一行は訳が分からないといった顔をしていたが、ともかく、ガンドロフ以外の8人は五体満足で山を下ることができた、といった具合である。

 

 

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