624氏その2

624氏その2

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なんとか保健室にたどり着く。
「あら、どうしたの。え? な、何で下着姿なのかしら?」
保健室の先生もあわてている。それもそうだろう。
太った女が上半身下着姿で汗びしょびしょになりながら入ってきたのだ。
「ご、ごめんなさい・・・う、上の服が破けてしまったので・・・。」
私は顔を真っ赤にしてうつむきながらいった。
「そ、そうなの? ジャージはもってきてる?」
「あ・・・はい。あの、ここで着替えていいですか?」
「ええ、いいわよ。その、あんまり食べ過ぎちゃダメよ。」
余計なお世話だよ。
私は太りたくて太ったんじゃないもん。
愛のために太ったんだもん。
ジャージに着替えてしっかりとズボンのひもをしめ、上がぬげないようにする。
こうすると改めて自分が今どういう体型なのか思い知らされる。
上はもう完全にキツキツ、以前よりかなり大きくなった胸は圧迫されてジャージのうえに胸の形を作っている。
よくみると乳首の部分すら少し盛り上がっている。

お腹は言わずもがな、胸から下に行くとジャージが少しへこんだかと思いきやそれに負けまいとお腹の肉は突き出て自分の存在をしっかりアピールしている。
二の腕もふくらみ腕の部分も少しきつい。
太ももやっぱり全体で見ても大きく膨らみ大根のようななんともいえない足をしている。

 

キーンコーンカーンコーン
1時間目のチャイムがなる、まだ戻りたくないよ・・・。
「貴方、しばらく休んどく? 私、これから少し外さなきゃいけないの。」
「え、ええ、では休ませてもらいます。」
保険教師もでていってくいれた。都合がいい。
私は、保健室に入ってからずっと気になっていたものを使うことにした。
体重計だ。
私にはゆうくんがいてくれる、お願い、私の体重67kgを超えていますように。
ガチャン・・・ジーーー。
私の心配も杞憂に終わった。
67kgなんて簡単に越していたからだ。
私の体重は、いまや74kgに達していた・・・・。
「あはははは・・・・いっぱい超えちゃってるよ・・・。どうりで、太りすぎだと思った・・・。」
でも、これでゆうくんとはまた付き合えるんだ!
急速にしぼんでいた私の心はすぐにまたふくらみ始めた、元々単純な性格なのだ。
今日の昼休みが待ち遠しくて仕方なくなった。

 

<祐一’s side>
まさかだろ・・・。
俺の目の前にさとみは現れた。毎日会ってるんだ。
さとみがデブになってることくらい分かる。
こいつは本当に太りやがったんだ・・・それも、27kgもだ!
目の前には、以前のアイドルだったさとみじゃない。
ずんぐりしたマヌケな体型のジャージの女だ。
ど、どうする? まさかほんとに太って見せるとは・・・
何か無いか・・・何か、何か。
「ゆうくん!これで、また交際復活だよね! ゆうくんに気に入られるような女になれたかな?」
確かに以前に比べればこいつのことは嫌いではなくなってきた。
今のこいつの体型だって以前のようなホッソリしていた時も綺麗だったが、今はデブではあるがムッチリしていて歩くたびにお尻も左右に揺れ腹も出てるが胸は超でかくてたまらない色気を放っている。
だが・・・好きではない。
体型の問題じゃないんだ、そもそもあれ嘘だし・・・。
よほど以前のことが自分の中でトラウマとなっているのか。
こいつは俺に尽くしてくれるだろうが、以前のように愛せるとは到底思えない。

 

「・・・・わ、悪いんだけど・・・。」
俺の口からとっさに出た言葉は拒絶の言葉。
くそ、こんな言葉じゃ事態が悪化するだけだろうが俺!
案の定さとみの顔がさっと青ざめていく。
「ど、どどどどど、どうして!? 私約束守れたよね? ゆうくんが好きなデブになったんじゃないかな? まだ、ダメなの?何か足りないの?頑張るから!? 私、こんなデブになっちゃって、もうゆうくん以外いないんだよ! ゆうくんに振られたら・・・私・・・。」
俺は無言でその場を去ろうとする。
もうここにいるのが苦しい。
逃げ出したい。
だが、さとみは当然納得がいかないらしくなおもおいすがってこようとする。
さとみの手が俺の手に触れようとする。

 

パチン!

 

俺は思わずはじいた。
「わ、わりぃ・・・。」
そういって去ろうとしたがそのときさとみの目からみるみる涙があふれてきた、さっきとは違う涙のように見える。
すがるような顔から、申し訳なさそうな顔に変わったような、そんな感じがする。
「ご・・・めんなさい・・・。」
よく分からないが・・・なんだかこちらまで申し訳ない気分になってきた。
どうすれば・・・どうすれば諦めさせられる・・・。
考えろ! 考えるんだ俺!

 

そうだ! 女ってのは危ない趣味を持つ男なんかを嫌いになるらしい。
特に調教やら好きな奴やつは人間的に信用できないとか考えるらしい。
それだ! それでいくぞ!
「実は・・・、俺ってひどいSなんだ・・・。」
それだけ言ってて急に恥ずかしくなってきた・・・突然何言い出すんだ俺は。
いや、ここでスッパリ終わらせるためだ!
恥だとかそういうのは今は考えないことにする。
さとみは涙がやっととまり不思議そうな顔で聞いてきた。
「・・・Sって何?」
「し、知らないのかよ・・・。あ、あのなぁ、Sっていうのはサディストってことで女を言葉でいじめたり殴ったり蹴ったりするのが好きなのをいうんだ。しかも重度の奴はそれだけじゃ飽き足らずムチで叩いたりろうそくのロウをたらしたり浣腸して我慢させたりとか他人の前で女を裸にさせたりとか・・・ と、とにかくすっごい恐ろしいことするんだぞ!」
やばい、めちゃめちゃ恥ずかしい。
今の俺の顔はゆでだこのように真っ赤になっていることだろう。
「・・・・。」
ほら見ろ、めちゃめちゃひいてるよ。無言だよ。恥ずかしすぎ!
もうきっと俺の事なんか幻滅しただろうな。
あっはっは・・・この事ばらされたらもう終わりだ・・・。

「だ、だからさ、俺と付き合うなんてやめた方がいいよ。お前、絶対苦労するよ。うん、ほんとマジで。毎日ひどいこというぜきっと。だから、他の男とくっついた方が絶対幸せになれる! 俺は、お前のことを奴隷にしたいとか思う様な奴だぜ! だから俺はやめとけ! 最低だ! ・・・じゃ、じゃあな。」
「待って!」
そういって去ろうとしたが今回は何だかすぐに呼び止められてしまった。
ゆうくんがそんな人だったなんて! とか言われるのかな・・・。

 

「私、大丈夫だよ。」
「は?」
目が点になる。あろうことがさとみの顔は希望に満ち満ちていたのだ。
「だから、私、ゆうくんのためならなんだって耐えるってことだよ! どんなことされたって耐えて見せるよ! だからゆうくん、自分を最低だなんていわないで。いろんな趣味を持ってる人がいて当然だよ! 私は大丈夫だよ。そんなことで嫌いになったりしない。だから安心して! 私! ゆうくんの奴隷になる!」

 

納得しちゃったよ!?

 

今の俺の気持ちはまさに転入当初の魁クロマティ高校の北斗(知ってる?)の気持ちだろう。
その場しのぎの下手な嘘を重ねるうちに、どうにも戻れないところまで来てしまった。
俺はさとみ以上にバカだったのかもしれない。

 

もうこうなったらヤケだ、俺は確かに以前からこの付きまとってくるさとみを何だか無性にイジメたくなることがあった。
今のままじゃこいつを好きにはなれない。
だったら別の手法でこいつを愛しく思えるかもしれない。
よし! このままSとして突き通す!

 

「分かった。じゃあこれで交際復活だ! お前は俺の奴隷だ! だが・・・覚悟しとけよ。どんなことするか分かんないからな。嫌になったらすぐいえよ、そ、そしたら別れてやるからさ・・・。」
「大丈夫だよ! 頑張る、私はゆうくんのこと大好きなんだもん!」
俺の一縷の望みを込めた言葉も、あっさりとした肯定で絶たれた。

 

 

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