624氏その3
#催眠,MC,mc
<麗奈視点>
おかしいわ、今日の私は絶対おかしい。
あんなにデブが嫌いだったのに…、さらに太った風花にとき、ときめいて…
違う!違う違う違う!デブは醜い!
バクバクと食べるだけで動きものろま、お金ばかり消費して自分で何もできないクズ…
けど胸も大きくて太ももはムッチリしてグラマー…、
大量に噴出す汗はなんとも言えない極上の匂いを出し、
お腹のお肉はあったかくてあれに包まれたらどんなに幸せ
…………違う違う違う!!!
ななななな!何いってんの!
私、おかしいんじゃないの!
ああ、モウ、ダメ!今日はダメ!さっさと寝よう!
「麗奈〜ご飯よ〜。」
・・・くっ、そんな気分じゃないのに。
「麗奈、昨日もあまり食べなかったし、そ、その、今日は…。」
「…分かったわよ!食べてあげるわよ!」
わ、私、何言ってるの、今日はもう寝るのに…、
「ほ、ほんと!それじゃあ降りてきて!たっくさん作るからね!」
目の前に並んだのは大量のご飯…。
「母さん、これって…。」
「ご、ごめんね。れ、麗奈がいっぱい食べたいっていうから、作りすぎちゃったみたい。」
「こ、こんなの食べきれる…わけ…。」
「分かってるわよ、食べきれない分は冷凍するから、ごめんね。」
「と、とにかく食べるわよ。…お、おいしい。」
「ほ、ほんと麗奈!」
「う、うん。」
ほんとに、すごくおいしい。
母さんこんなに料理上手だったっけ?
「おいしいよ母さん!すごい!いつのまにこんなに上手になったの?」
「え、あ、あれ?べ、別にいつもと変わらないんだけど。」
すごい、母さんの料理こんなにおいしかったんだ。
たくさん並べられてた料理はものの10分で空になっていた。
「ふぅいー、ごちそうさま〜。」
さっきまで笑顔だった母さんの顔が、なぜか今では少し苦笑いになっている。
「ど、どうしたの、母さん。」
「え、いえ、よ、よく食べるな〜って思って、こ、こんなに大量のを全部食べちゃうなんて思わなかったから。」
目の前には大量の空の皿。
こ、これ全部私が食べたんだよね…?
「そ、それは母さんの料理が上手だったから…。」
「そ、そうね…。あ、ありがとう。そ、それじゃあ、片付けるわね。あはは…。」
かあさんの態度が変。
そ、そりゃそうよ、私おかしいよ。明らかに食べすぎよ。
どうなってるの、デブなんか嫌いなのに…。
お腹から香る汗のにおいが何だか心地よい。
おかしい、そんなのおかしい。気持ち悪い。そんなの変態の考えることだ。
あんなにデブが嫌い嫌いいってたじゃない!
おかしいわよ!私のバカ!変態!
うううう、
「か、母さん、あ、あの、デザートは?」
私、何を言ってるのよ!
「ま、まだ食べる気なの!?」
そうよ!おかしいわよ!冗談よ、っていいなさい!いうのよ!
だが私は口を動かさず、静かに頭をたれるだけだった。
「あ、ご、ごめんなさい、今からヨーグルトもってくるからね!」
私はフルーツたっぷりのヨーグルトを一気に食べるとそのままベットに横になり泣いた。
泣いて泣いて泣きつかれて、お腹がすいて、ポテトチップスを食べ、また泣いた。
そして、そのまま寝入っていた。
<風花視点>
あれからさらに3週間、夏休みも残すところあと2週間もない。
私は麗奈に呼び出された。
このとき私は食事量を少しは抑えつつも、やはり太り続け、とうとう83kgにまでなっていた。
もう立派な巨漢デブである。
顔も2重あごがデフォだしTシャツからは2段腹が顔を出している。
小さなスカートから伸びるのはあまりに太くムッチリした太もも。
歩くたびにブルンブルン胸と一緒にゆれる。
デブになるのはさすがに恥ずかしいかも…ここまでなるとは思わなかったよぉ。
それにしても麗奈、どうしたんだろう。
急に呼び出したりして…
「風花!」
ん?あまり聞きなれない声、低くて重い…誰だろ。
声の方に目を向けてみる。
そこには長く美しい髪、だが全身はジャージでつつまれ汗まみれ、かなりの異臭を放つ女。
顔は美人だ。あごは2重だがそれでも色気はしっかりある。
お腹の肉はジャージで隠れているが私よりありそうだ、
太ももはパツンパツン、伸縮自在のジャージでさえ悲鳴をあげているように思える。
胸はすっごい大きいしお尻も巨大で変と言うよりはそれも色気を高めている。
ジャージというのがそれらをかなりさげているが…、
だが、近くに寄ればきつくなる何よりも色気を下げているもの、それはこの異臭だ。
ただ太ってるだけでここまで匂いは発しないと思う。
そのぐらい、汗臭い…。
「あ、あの、風花?」
「も、もしかして、麗奈?」
そういうと彼女は私に抱きついてきた。
「ふ、風花ぁ!風花ぁぁぁ!」
「ちょ、ちょっと落ち着いて麗奈。ど、どうしたの、ず、随分太ったね…。」
「ひっく…、風花ぁ、ひっく、何かね、私、もうおかしいの…。前までねデブなんて嫌いだった。ほんとに大嫌いだったの。で、でもね、何か前風花と会った位のときからね、おかしいの。デ、デブがね、う、うつ、美しくみえるの…。」
「そ、そうなの?で、でも別にそれならそれでいいんじゃない?」
「そ、それだけじゃないの!ご飯たくさん食べるようになってね…。体がどんどん太っていって。母さんに食べすぎって言われて、自分でも食べすぎって分かってるのにね、止められなくて…。
その上、い、今はもう92kgにまでなって…ね。もう力士に追いつきそうなデブなのに…わ、私、自分のそのデブの体を見て、す、すごくドキドキ…するの。し、しかもよ、デブの、汗臭い匂いが、すすごくいい匂いに感じるの…。それで、お風呂にも入らず、い、いつもクンクン嗅いでるの…。それで、か、感じたり、そ、その、してるの…。
ねぇ、風花?私変態になっちゃったのかなぁ?私、私、もうどうしようもないのかなぁ…ううううううう。」
ど、どうしよう!
デブのつらさを味あわせようとは思ったけど、こ、ここまで麗奈が落ち込んでしまうなんて…
だ、誰が世界一冴えてるよ!バカバカ!
「そ、そんなことないよ!誰だってそういう性癖一つは持ってるものよ!わ、私だってび、貧乏ゆすりとかよくするし…ってそれは違うか、と、とにかく、変なことじゃないよ!それに、今の麗奈は麗奈で素敵だと思うよ。綺麗な格好したらすっごくかわいいんじゃないかなぁ…。」
確かに色気はあるけど、ほとんど口からでまかせで話し続ける。
「ほ、ほんとかなぁ?」
「ほんとよほんと!それに太っても私は麗奈が大好きだからね!」
「風花…私、いっぱいいっぱいひどいこといったのに…。」
「いいのいいの!気にしてないよ!」
「ありが、うううとう。ううううう!」
れ、麗奈をこの悲しみから救う方法…
そうだ!催眠だ催眠!!十字架セットォ!!
「麗奈、催眠状態になれ〜!」
「はうっ…。」
麗奈、目から生気がなくなる。
「ふぅ…これでよし。さて、麗奈が苦しまないですむには…、麗奈はデブが嫌いっていうのを前残しちゃったからいけないのよね。それなら…麗奈さん〜、貴方はデブが大嫌いですね。」
「は、はい、た、多分…。」
「では、前の催眠に追加です。これからはその嫌いって感情はなくなります。デブは本当に美しい流行の最先端です〜。匂いなんか気にすることはありません。貴方の好きなようにあればいいんです。風花は麗奈といつまでも友達ですよ〜。」
よく考えたら匂いを嗅ぐのは麗奈の性癖ではなく私がつけたものなのだがそのときはそれに全く気づかなかった。
「は、はい。」
「よし、催眠とけろ〜。」
「はっ、ってあれ、わ、私どうして泣いてるんだっけ?」
「え、わ、私、わかんない〜ははは。」
「そ、そうよね。あら、それにしても、風花、あなた、すっごい綺麗になったわね。」
「そ、そんなことないよ〜、麗奈の方が綺麗だよ〜。」
「そ、そう?た、確かに風花はまだ肉付きが甘いわね。まぁでも、私の最も好きなものはデブなの。風花は合格点だわね。けっこうかわいいじゃない!」
「あ、ありがとう、麗奈。」
あれ、な、何か変だな〜こ、これでよかったのかな。
「それじゃあ風花、私家に帰るわ。私、何か元気がなかったみたいだけど、何か風花と会って元気が出たみたい。ありがとね!風花!」
そういってぎゅーっと私に抱きつく。
「ふーいい匂い。さすが、私の親友ね。まっ、私には劣るけどね。それじゃあバイバイ!」
そういって麗奈はドスドスさっていった。
な、何かこれでよかったのか分からなくなってきたけど、
私、何だか幸せだし、麗奈も幸せそうだからいいか〜。
それからの2週間は本当に楽しかった。
麗奈と一緒にケーキバイキング行ったり、食べ放題のお店に行ったり。
こうしていてつくづく思うのは、私が少し前まで太っていなかったのは麗奈のおかげなんだということ。
私ったら止めてくれる人がいなくなったとたん、バクバクたべちゃうんだもん。
まぁ今じゃ麗奈のほうがさらにバクバク食べちゃうからビックリだけど。
自分達に合う服を探して町中をショッピングしたりもしたんだけど、麗奈ってば恐ろしく大胆な服を着るようになったのよね。
傍から見たらすっごいデブなのに、おへそ丸出し(性格にはお腹全体)のヒラヒラ服に超ミニのスカート。
「どう?綺麗でしょ?うふふふふ。」
なんていわれたときはさすがに焦ったよ。
私は今はまだ92kgだけど、麗奈はとうとう110kgの大デブなのだ。
確かに麗奈はそれでも美人だ。でも、デブにはデブに向いた服がある。
なのにスマートな女の子が自慢の肌を見せるために着るような服を、自慢の肉を見せるために着ている麗奈の姿はかなり異様で、哀れだ。
「き、綺麗だよ、あ、あははははは。」
「あんたも、いいせんいってるわよ。ま、あたしにはかなわないけどね。」
あは、あはははは…。でも、ぽっちゃりし始めた頃から麗奈に褒められたことなかったから
何か幸せ〜。
自宅に帰るといつもの食事。今日のご飯もまた豪華だ。
「ほんと、風花はよく食べるわね〜。まぁ、私の料理をおいしく食べてくれるからいいんだけどね。」
「おいおい、母さん、そういう問題か?」
「いいのよ、90kgくらい何よ。カワイイじゃない!」
「ありがとっ!お母さん!」
「はいっ!追加の酢豚に肉まん、それと餃子に春巻きよ。」
「わーおいしそう!」
「明日からまた学校始まるんだし、いっぱい食べて元気つけなさいな。」
「…やれやれ。まぁ無理に止めることでもないか。…あっ、風花!」
「ん、なぁに?おほうさふ。」
「食べながらしゃべるのはやめなさい…。あのな、前教えた催眠のことなんだが。」
「あ〜あれのおかげで私の拒食症のお友達も元気になったよ〜ありがとね!」
「い、いや、実はな。あの催眠の効果、1ヶ月ほどで切れるみたいなんだ。」
「え、えええ!ど、どういうこと!?」
「い、いやな、拒食症の子もな、また食べる量がガクンと減ってしまったんだ。やっぱり食べたら太るっていってな。まぁそれでも、毎日バクバク食っていたから以前よりは食べるんだが…。」
「え、じゃあ私の友達の催眠もとけちゃうの!?」
「い、いや、本に書いてあったんだが、催眠の時にな、つよーく念じてその思いを強く発していれば大丈夫みたいなんだ。私は催眠をかけるとき『催眠にかかれ〜』って控えめにやってしまったからすぐ解けてしまったみたいでね。」
「ふーん。私は、どうだったかなぁ。催眠かけるときは何か一生懸命だった気もするし、大丈夫…よねまぁ、催眠かけた日からもう1ヶ月は立ってる気がするし〜。うん、大丈夫大丈夫!」
「まぁ、大丈夫ならいいんだが。と、ところで、お前は夏休み前に比べてだいぶ太ったが…大丈夫なのか、その、学校で…。」
「え?ああ、大丈夫だよ!私にはよき理解者の麗奈がいるからね。まっ、心配しないでちょーだい。」
そりゃデブは恥ずかしいけど、食べるのはそれを上回る幸せなのよ。
そして、私は一人じゃないもん。麗奈がいるから幸せなのよ〜。