海神の島

海神の島

前へ   3/11   次へ

 

 

次の日、真美は目を覚ました。
目に入ったのは無機質な地下室。
「ここは…?そうかわたし……」
真美は昨日のことを思い出し、憂鬱になる。
監禁生活が始まってしまったのだ、絶望感で胸がいっぱいになる。
「ん…」
お腹が苦しい、昨日の食べ過ぎたお粥がまだこなれてないのだ。

 

「おはよう、真美ちゃん。朝ごはんよ。」
絹江と数人の女性ががお膳をもってやってきた。
「わたし、お腹いっぱいです。」
「最初のうちは胃が小さいから苦しいのよ。食べ物を詰め込めば胃が大きくなるわ。」
女たちが持つお膳に目をやる。
お膳の上には、ご飯や、卵焼き、焼き魚が山盛りに盛ってあった。
こんなに食べれるわけがない、当然真美はそう思った。

 

「あの…なんで、そんなに食べさせようとするんですか?わたし本当にお腹がいっぱいで…」
「なぜって真美ちゃんは神様の子供だからよ。ひとから子供を預かったら、たくさんご馳走させなきゃいけないでしょ?」
「あのっ…神様の子供とか、分からないんですけど。」
「いいわ、説明するわね、神様ってのは、『ワダツミさま』、海の底の龍宮に住んでいる海の神様。いつも私たちにお魚や、海草、貝、塩や真珠を恵んでくださるわ。その神様が、時々自分の子供を鳴神島に送るの。『私に感謝しているか?』って確かめるために。島の人はワダツミ様の子供を一生懸命育てるわ、ご馳走をいっぱいしてね。もし、子供を痩せっぽちにさせておいたら、ワダツミ様がお怒りになって、祟りを起こすの。だから真美ちゃんはいっぱい食べて、たっぷり太ってね。」
「だから、わたし神様の子供じゃ…って、太るぅ!?」
「浜辺に流れ着いたら神様の子供よ、あなたの生まれがどうであれ、そう運命づけられていたの。で、太るってのはね、健康である証拠なの、太ってる人は食べ物に不自由してないでしょ?」
「わたし、太りたくなんか…」
「何?」
急に絹江の声の調子が変わった。
真美はゾクっとした。
真美はすらっとした体型で、膨らみ始めた胸とお尻以外には、余分な脂肪などついていない。
年頃の少女だ、体型には気をつかっている。
もちろん、太りたくはない。
しかし、絹江の冷たい声に、昨夜の記憶が蘇る。
「(…いやだ…逆らうと、殴られる…少し太るくらいなら…)」
「はい、あーーん♪」

ぱく…もぐもぐ……
「あら、いい子ね。ゆっくりでいいから、しっかり食べるのよ。大丈夫よ、真美ちゃんの仕事は食べるだけ、真美ちゃんが食べていれば、何もしないわ。」
「私たちがおいしい料理いっぱいつくってあげる。」
「しっかりお肉をつけてね、神様の娘さん。」
女たちがやけに優しい声で声をかける。

 

「ん…あの…」
「何?」
「お腹が痛くて…その…おトイレに…」
真美は一昨日から排便をしていなかった。
「あ〜、ごめんなさいね、今準備するわね。おーい、コウター、タライ持って来てー。」
「タ、タライ!?」
絹江に呼ばれて、真美と同じくらいの少年が大きなタライを持って、地下室にやってきた。
逞しい少年は真美のタイプだった。
「さ、ここにしなさい。」
「い、いやです!…おトイレに…(ぐるるるるる…)…!う、ううう〜…」
拒絶を示す真美だったが、便意に耐え切れず、タライに跨ることを選択してしまった。
…ブリブリ…
「いやあ…見ないでぇ…」
年頃の少女が、よりによって同世代の少年の見ている前で排便をする。
真美がお嬢様でなくても、耐え難い恥辱だ。
「さ、すっきりしたでしょ?ここおトイレないのよ。もよおしたら我慢せずに言ってね。」

絹江が優しく話す。
その傍らを少年が真美の汚物がこんもり入ったタライを抱えて出て行った。
「さ、お食事再開よ。」
なぜ、こんなことに?
つい数日前まで、楽しい夏休みだったのに…
今は、異常な人間たちに囲まれ、地下室に閉じ込められ、食事を強要されている。
排泄の時でさえ、部屋から出してもらえない。
どうして?わたしが何か悪いことをした?
真美は思考を巡らせたが、答など浮かばない。
目に涙がにじんだ。
ただ機械的に、食事を飲み込んだ。
胃の膨満感に苦しみながら、一日中、食事をし続けた。
こうして、真美の監禁肥育生活が始まった。

 

 

前へ   3/11   次へ


トップページ 肥満化SS Gallery(個別なし) Gallery(個別あり) Database