500氏その1
#サモンナイト,サモナイ
9.狂った機械人形の本番
全てのフェイズが完了した日からクノンは待ちに待った本番に向けて着々と準備を行っていた。
ク「やっと…やっとこの時がやって来ました…実験結果から私が心配していた問題は全て無しとなり、体型も薬で私の想うがまま…アルディラ様の体型は肥満体ながらも引っ込んでる所は引っ込んでいるグラマー体型にでもしましょうか? それで…それから……ふふふ♪」
狂気の笑みを浮かべるクノンは、そういえばと思い出す。
ク「あれからアティ様とソノラ様はすっかり抜け出せなくなったようですね…誰にも気付かれないように、普段はごく普通に過ごしているようですが………」
母乳もといミルクが出るようになったアティ先生はあれからドンドン出る量が増えていき、少しずつだが肉も付いていっているようだ。
ソノラはソノラでアティ先生にいつもくっ付いて四六時中お腹や足、腕を撫で回しているようだ。
(普段胸を弄らないのは皆の前で噴出したら色々と面倒だからである、しかし出さないなら出さないで溜まっていって感度も高まりアティ先生は苦しいようだ)
ク「最後に肥満化させたアティ様をどうするか考えていましたが…放って置いても良さそうですね、2人共お幸せに…」
そうこうしている内に準備を完了させたクノンは計画手順の最終チェックに移った。
まずは薬の投与だがアルディラは融機人(ベイガー)という特殊な身体の為、定期的に抗体を打たなくてはいけない…その時に打ち込めばいい。
その他のこともクノンはアルディラの身の回りの世話をしている立場上、実験時とは比べるまでも無く容易だった。
実験よりも難易度が低いこの本番だが、クノンは実験時よりも桁違いに入念に、念には念をと言わんばかりに気を引き締めていた。
まぁ、相手が自分のマスターであるアルディラなら無理も無い。
ミスは絶対に許されないのだ。
ク「焦らず慎重に…鬼妖界の言葉で「焦れば回れ」でしたか?」
ちょっと違う、正確には「急がば回れ」である。
キュウマなら的確に訂正できただろうが生憎ここには訂正出来る者は居なかった。
ク「ともかく…抗体をアルディラ様に打ち込む日が来るまでは大人しくしておきましょう…」
ことわざを間違えたりしてちょっとだけ緊張感の無い出来事を経て、しかし大きな欲望の脈動が始まった。
アルディラに抗体を打ち込む日が来て、クノンは薬の再確認を行いそうこうしている間にアルディラがやって来た。
ア「クノン、お願いね」
ク「お任せ下さい、まず健康診断から…」
クノンは抗体を打ち込む日に健康診断も行う事にしている、
万が一が在ってはいけないからだ。
そして、今回はそれが本番の手助けをしていた。
抗体以外にも薬を打ち込む理由付けにはもってこいな診断だ。
ク「………今回も健康は問題なしです。が、少し気になる点があるので抗体以外にも薬を打っておきますね」
ア「気になる点? 何か異常があったの?」
ク「気にするほどの物ではないのですが念の為です。安心してくださいアルディラ様」
ア「そう? なら良いけど…ありがとね」
ク「いえ、当然の処置ですから (打ち込み完了、薬は更に改良を加えた物…完璧です)」
ア「じゃあ、そろそろ戻るわね。機械の修理があるから」
ク「かしこまりました、がんばってください」
ア「ええ、それじゃ」
アルディラの姿が見えなくなった後、クノンは自室に戻り次のフェイズを確認していた。
ク「今更確認する必要は無いですが、念の為です。次は…食事関係ですね、ケーキのようなデザートには力を入れましょう。実験の結果から(というよりクノンの趣味から)そういう物を食べている姿は良いです…あとはこれを………」
傍らにはクノンの調合した強力な乳腺を刺激する薬があった。
これを打てば乳牛の2.3頭分は出る様になるだろう。
それに加えて、一時的に食欲を底無しと言っても良いレベルにまで上げる効果もある。
(前者は永続的・後者は10日ほどの効果だ)
ク「これは最終フェイズに使うものですが…今から楽しみですね?………ふ、ふふふ♪」
他人から見れば恐怖を誘うような雰囲気の中…
クノンの小さな笑い声だけがリペアセンターに響き渡っていた。
10.アルディラの疑問な1日
良版の薬の投与が完了した次の日、中央管理施設でアルディラは朝早くから起きて昨日やり残した機械の修理を行っていた。
ア「ふぅ、やっと終わったわ………?」
不意に空腹を感じたアルディラは少し変に思った、
起きてから大した時間も経っていないのにもかかわらず結構な空腹を感じるのだ。
確かに機械の修理という作業で普段より朝から身体を動かしていたが、それでもこの空腹は変に思えた。
普通の人なら動いたからと納得できただろうが、アルディラは普通の人…いや学者と比べても相当に頭が良いのだ。
運動量と空腹が比例しないだけでも疑問視してしまうのだ。
ア「…昨日クノンが気になる点があるって言ってたし、やっぱり何か問題が、いやしかしクノンは処置もしてくれたし……」
腕を組み口元に手を添えて思考の渦にとらわれているアルディラに、不意の声がかけられた。
ク「アルディラ様、おはようございます」
ア「っ!? …あ、クノン」
アルディラは考え込むと周りが見えなくなるタイプだ。
不意の声にかなり驚いたようだが、見かけにはあまり出さなかった。
ク「驚かせてしましましたか? すみませんでした」
ア「いや、気にしなくていいわよ…にしても」
ク「どうかしましたか?」
ア「朝食の割には多い気がするのだけど…」
クノンが持ってきた食事は朝の定番的な料理だったが問題はその量だ、普段の倍くらいあるはあるようだった。
クノンは初めの方なので控えめにしたつもりだったが、アルディラには不審に思われる量だったらしい。
ク「あ、いえ、作業で身体を動かしているようでしたから普段より多めにしたのですが…問題がありましたか?」
僅かに悲しげな顔をしたクノンに、アルディラは少し慌てた様子で。
ア「別に問題は無いけど…折角作ってくれたんだものね (けど、食べきれるかしら…)」
そう言って食べ始めたアルディラだが、また変に思えた。
いつも朝食べている料理だが今日に限ってやたら美味しく感じるのだ。
ア「(疑問点が朝から多いわね、やっぱり何か異常が…いや、何でも疑うのは悪いわね。クノンが腕を上げたという事かしら?)」
疑問に思うことは多々あるが気にしない事にしたようだ。
そして、クノンはそんなアルディラの様子にご満悦な様子だった。
ク「(薬の効力は問題無いようですね…それにしても良い食べっぷりです)」
食べきれるか不安だったアルディラだったが普段よりも早く、あっさりお腹に収まってしまった。
ア「ふぅ、美味しかったわよ。クノン (案外食べきれる物なのね…でも少し苦しい…)」
いつもの倍近くの朝食を食べた為、アルディラのお腹は目立つ訳ではないがパンパンに張っていた。
ク「御粗末様でした。では私は少しやり残した作業があるので…失礼します」
そう言ってクノンが出て行くとアルディラはまた疑問に思った。
ア「いつもなら少し会話を楽しむ筈だけど…作業があるなら仕方ないわよね?」
適当に理由を付けて納得したが、やはりどうにも気になる様だ。
ア「…今日ほど疑問が多い日は無かったわ、何かある気がする…抗体を打った昨日が1番怪しい、けどクノンを疑うのはいけないわね」
心配性ねと、思いながらディスクデータの中で面白そうなのを探し出した。
アルディラの娯楽の1つである。
ア「ん? …このデータ中々良いわね」
ディスクに気がいっていたアルディラは気付かなかった。
パンパンに張っているお腹が僅かに…さっき食べたばかりなのにもう空腹を訴えようとしていることに………。