500氏その2
#メタルスラッグ,メタスラ,METAL SLUG
4.大敗北
ブフウゥゥウウゥン…!という音と飛行機雲ならぬ弾雲と共にモーデン軍地上部隊の戦車隊による総砲撃の弾が正規軍本部基地に直撃…大爆発が起きた。
そして、僅かに生き残った残存部隊はSV計画研究所へと退却した。
タ「正規軍本部基地が吹き飛んじまったな…正規軍は事実上壊滅…これからどうするんだ?」
エ「少佐は単独でモーデン軍を追いかけて行ってしまったし…私達も何か行動を起こすべきね…そして…」
深刻な顔で話し込んでいる2人だが、もう1人さっきから会話に参加せず、涙を堪えているフィオにエリは声をかけた。
エ「…まぁ、そんな気を落とさないでよフィオ…」
タ「まぁ、なんだ…仲間をかばった結果だ、誇って良い事だしよ。その…今でも十分可愛いぜ?」
フ「うぅ…ひっく…でもぉ…」
フィオの身体は見事な肥満体になっていた。
回想するとこういう事である………
全速疾走で正規軍本部基地に戻ったフィオに映った光景はモーデン軍地上部隊の集中砲火を食らっている正規軍だった。
そして戦場に目をやればマルコとエリ(ターマは突撃自爆から帰って来ていなかった)がアレンの攻撃の受けているのが目に入った為、急いで助けに行き、その時エリがアレンの弾丸を食らってしまいそうになったのをかばった際に弾丸を腕に受けてしまい…
その時、唐突にミリミリムチムチと身体が太っていったのだ。
エ「ほら、涙を拭いて冷静に考えましょう?」
エリがハンカチを取り出して差し出すと、フィオは涙を拭いて少し落ち着いたのか、何とか会話に参加した。
フ「…はい、そうですね…私だけがこんな風になった訳じゃないですからね…」
タ「んじゃ、現在の情報を順を追って整理しようぜ」
エ「ええ…まずはモーデン軍が何故あれだけの軍隊を組織出来たかだけど…正体はまだ分からないけど、協力者がいるみたいよ」
フ「モーデン軍になんて何故協力するんでしょう?」
疑問をあらわにしてやや熱そうに呼吸するフィオにターマは決心した様に声を上げた。
タ「さぁな…どんな理由であれモーデン軍に協力した以上、殲滅するだけだけどな」
エ「次に、フィオの身体に起きた現象だけど多分…女性にだけ反応する物だと思うの。少佐も1度食らったけどそんな現象は起きなかったもの」
フ「あ、そういえば…マルコさんも負傷していたような…」
タ「野郎には効かないってか…まさに『可愛い娘を強制肥満化』って奴だな…」
エ「何うまい事言ってんのよ! …まぁ、確かにその通りなんだけど…留美も肥満化したみたいだしね」
留美とは、正規軍補給部隊所属・相川留美(あいかわ・るみ)伍長の事である。
フ「ショックだったみたいですね… 『いいですよ…大きなリュックに小さな身体が合わなかったから、小さなリュックにしようとしたら大きな身体になったんですから…発想の転換です…リュックの方に身体を合せただけなんですよ〜!』 って叫びながら走り去っていってしまいましたしね…」
うわ〜んっとピチピチの服に立派になった身体を揺らして身体に見合ったリュック(といってもいつも背負っているものだ)を背負って走り去るのを思い出してフィオは同情した…
仲間同士(つまり肥満同士)通じる物がある様だ。
タ「今はオペレーター兼メタルスタッグ運搬係の任務に就いてたっけな、あと情報収集を…情報は留美に任せようぜ」
エ「そうね………ん? フィオ、留美って走っていったのよね?」
突然の質問に戸惑いつつもフィオは答えた。
フ「はい?いつもみたいに走っていって輸送ヘリに飛び乗って飛び立っていきましたよ?」
エ「それって変よ」
タ「何でだよ? 留美はいつも走り回っていたり、輸送ヘリにはいつも飛び乗ってたり…いつもと同じだろ?」
フ「そうですよ、何も変じゃないですよ?」
2人の疑問にエリはビシッと指摘した。
エ「あのね、それは留美が痩せていた時の話でしょ? 今の留美は×××キロはあるのよ(フィオもそれくらいある)。痩せていた時と同じように『走る』なんて動きが出来る筈ないわ」
2人はやっと気が付いたようで新たな疑問点に着手した。
タ「確かに変だな…太る以外にも何か効果があるのかもしれないな」
フ「そういえば…ここに退却する時に私も走って来ましたけど、前と何も変わった所はなかったですね」
タ「熱そうにして、息も軽く切らしてたけどな…ま、それ以外は痩せてた時と全く一緒って訳だ」
エ「多分、モーデン軍も詳しくは効果を知らないんだわ…太るという事だけに注目して私達も含めて正規軍兵士の戦闘力の低下を狙ったんだわ…けど、いくつかの想定外の事態が起きた。女性にしか効かない点・太っても戦闘力の低下はない点…」
タ「………今の所分かってるのはそれだけだな…ともかく、モーデン軍に何かしらの情報はあるだろうし、がんばろうぜ!」
フ「はいっ!」
そう元気に言いながら立ち上がったフィオにターマは。
タ「腹見えてるぜ?」
…と、指摘し、フィオは赤面した。
5.トレーニングと罰ゲーム
フィオ達は、モーデン軍の情報を待っている間、現在の戦力の確認(正確には、フィオが太った身体での状態で、うまく戦闘ができる様にする為だが)の為に、SV計画研究所のトレーニングルームで特訓を行おうとしていた。
フ「何だか昔よりも本格的な、特訓が出来そうですね」
応急処置で、馬鹿でかい服を着たフィオが呟いた…新調された服は後々届く予定だ。
タ「確か、擬似モーデン兵士が相手役で登場するんだよな?」
エ「機械兵士とかいう奴らしいわよ…いつの間にそんな技術手に入れたのかしらね?」
昔はただ的がうぃ〜んとベターな音を立てて的当てのごとく左右に動くだけだったのが、人口的な砂漠地帯と密林地帯のフィールドに、噂の機械兵士・擬似モーデン兵士がてんこ盛りだ。
しかし、絵心はなく、顔がへのへのもへじだ。
タ「誰が1番多く倒せるか勝負しようぜ!」
勝負事は何かと好きなターマの提案に2人は乗って、エリは罰ゲームを提案する。
エ「ビリは…ナース服着て猫耳と尻尾付けて、トレーニングルーム1周よ!!」
あまりな提案に、フィオとターマは驚愕した。
フ「ちょっ!?エリさん!?」
タ「どこかの田舎の学校のみーみー言ったり、鉈振り回したり、ですわ口調のトラップ娘に、女の子なのに自分の事をおじさんと言ってる奴等の部活の罰ゲームじゃあるまいし…それはきついぜ?」
砂漠地帯なので、ひぐらしは鳴いていない。
しかし、エリは無視して推し進める。
エ「それじゃ、スタートよ!!」
タ「人の話聞けよ!?」
トンファーで黙らしたエリは、駆け出して次々と倒していく(弾はペイント弾だ)。
はっと我に返ったフィオは慌てて倒し始めた。
フ「(そんな事になったら恥ずかしくて顔から火が出ちゃいますよ…)」
すると、駆けて行くフィオの横にライフルを持った擬似兵士が同じく駆けてやって来た(想像としては、フィオのオープニングシーンを参照にしてください)。
フ「来ましたね…」
駆けっこをしているかのごとく、走り続けた後、ズザーと立ち止まり、ハンドガン(拳銃)を構えた(擬似兵士はライフル)先に撃ったのは擬似兵士で、胸にヒットした…
ペイント弾とはいえ衝撃はそれなりにある、思いっ切りたわんと胸が揺れて…振動が伝ってお腹も少し揺れた。
フ「っ!」
恥ずかしさで顔を真っ赤にしつつ、弾をぶっ放し………擬似兵士は倒れた。
その途端に、特訓の終了を告げるブザーが鳴った。
フ「ふぅ…(ターマさんはさっき気が付いて、サバイバルナイフで3体(同じくオープニングシーン参照)倒しただけですから罰ゲームはやらなくてよさ…)」
エ「発表するわ、罰ゲームはフィオよ」
フ「そうそう罰ゲームは…うえぇえええ!?」
ナイスリアクションで反応したフィオにエリは、はいこれっとナース服と付属品を渡した(特注サイズだ)。
フ「ななな、なん、何でですか!?」
動揺から上手く喋れてないフィオにエリは説明する。
エ「終わる寸前に、弾を受けたでしょ? それで今までのが全部リセットされたのよ…よって、フィオが倒した数は1体だけ…分かった?」
フ「そ、そんなぁ〜…」
駄々をこねるフィオだったが「トレーニングルームの中を1周ですから早く済ませた方がいいです」と無理矢理納得させて着替える(勿論人目のつかない所でだ)と、全速疾走で駆け出した。
ターマは似合わねぇ〜と腹を抱えて大笑いし、エリは、自分の罰ゲームが愉快な物になった事に満足していた。
そして、その時のフィオの姿の盗撮写真(!)はエリがばっちり保管してある…。
6.情報と女心
場面は変わり、砂漠地帯の土壁や木が目立つ町の中…
マルコは壁を背にモーデン軍の様子を窺っていた。
マ「…ここもか、しんがりにしては数が多いな」
その時、通信機から連絡が来た。
相川留美(以後相のみ)
「少佐! 聞こえますか〜!」
あらかじめボリュームを下げて置いたから良かったものの、もし通常のボリュームなら間違いなくモーデン軍に気付かれただろう。
マ「………聞こえている、何か情報を掴んだのか?」
相「バッチリです! …まずは、モーデン軍がどうやってあれだけの軍隊を組織出来たかというと、どうやらケルワド・オグマ社が協力しているみたいです」
マ「オグマ社? …どこかで聞いた覚えが…」
相「ケルワド・オグマ社はここ10数年で急成長した企業です、名前はあまり知られて無いんですが、オグマ社の技術は薬用品や食材…運動グッズと言った家庭用商品から、宇宙ステーション等の精密機械にも幅広く利用されています。これなら幾等でもお金が入って来ますよね?」
少し推察した後、マルコは返信した。
マ「…なるほど、モーデン軍に新しい軍隊を与えてやるには十分な財力が有るのか」
相「何でオグマ社はモーデン軍なんかに協力するんでしょうね?」
フィオと同じ様な疑問を浮べた留美にマルコは推測した理由を話す。
マ「そうだな…兵器開発技術への進展か、政治観の共鳴か、モーデン軍の支配下における市場の独占か…そんな所だろう。しかし、そんな事は我々には関係ない、世界の平穏を乱すモーデン軍とその協力企業、ケルワド・オグマ社を殲滅するだけだ。留美、メタルスタッグをここに投下出来るか?」
いい加減に気付くであろうモーデン軍に対しての準備を整える為にロッシはメタルスタッグの運搬を要請する。
しかし…。
相「投下するスペースを確保する必要がありますね…付近のモーデン軍を殲滅してください…あ、それとあと1つ情報があるんです」
マ「…モーデン軍もそろそろ気付く頃だ、手短にな」
相「はい、オグマ社は財力以外にも技術方面でも一役買っているみたいなんです」
マ「そうか…あの時、奇襲で急造仕上げの部隊しか出撃出来なかったとはいえ、モーデン軍にあそこまで太刀打ち出来なかったのは、オグマ社が最新鋭の技術をモーデン兵器に使用したからか………さて、そろそろ通信を終了する。メタルスタッグの運搬をいつでも出来る様にしておいてくれ」
相「あ、まだ情報が………切れた」
もうっ!っと少し怒りながら留美は愚痴をこぼす。
相「(情報を最後まで聞かなかったのは良いとして、前の出来事に対する謝罪の言葉くらい欲しいなぁ…)」
前の出来事とは…こういう事である。
マルコがモーデン軍を追跡しようとしている所にギリギリ間に合った留美は、輸送ヘリを着陸させて意気揚々と。
相「少佐〜! ロッシ少佐〜! 私ですっ! とうっ!」
と言いながら、輸送ヘリのハッチからとうっと言わんばかり(言ってるけど)の大ジャンプをしてマルコの前にドスンッと着地して(体重が体重な為である)マルコが、当然!覚えているであろう自分の名前を言ってくれるだろうと思っていたら。
マ「あぁ…誰だったかな…」
というあんまりな返事が返って来た為(名前も顔も覚えていたが体型が変わり過ぎな為、気付かなかった。もっと言えば、体型はフィオを豚さん体型とするなら、留美は乳牛さん体型…つまり胸が馬鹿でかくて、お腹が寸胴、ある意味グラマーな体型である)激怒してその場でペラペラと文句を言ったら。
マ「残存部隊の再編成とモーデン軍に関する情報を出来る限り収集してくれ」
と、文句を切らされたのである。
相「イ゛エ゛ッサ゛ー…」
そして、怒りが収まりきらない状態のまま返事をしてさっさと輸送ヘリに戻って飛び立ったのだ。
自分に気付かなかった明確な理由も分かり切っているが、それでも一言くらい謝罪の言葉が欲しかった留美だった………。