500氏その8

500氏その8

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#サモンナイト,サモナイ

 

9.捕まえた

 

ア「これと、これ・・・あとは、これかな・・・」

 

自室に隠してあるさまざまな薬品が入った棚から幾つかの薬品を取り出すとアムはキッチンへと向かう。

 

ア「やっぱりあまい、あまぁ〜いケーキで・・・女の子はあまいもの好きだものね」

 

冷蔵庫の奥に隠していた非常に高カロリーな糖分たっぷりのショートケーキをそのまま切り出さずホールでお皿に取り出すと、そのケーキにパラパラとさっきの薬品を振りかける。
それにより依存性と中毒性をもった下手なドラッグよりも危険な肥育ケーキとなったショートケーキが完成した。

 

ア「ふふ、どうでもよくなっちゃえばいいのよね? ちょうだいちょうだいってあまいケーキを欲しがって甘えてきなさい、ナツミ♪・・・あまいケーキだけに、ふふふ。」

 

我ながら酷い、おかしいと思いつつも止める気はないアム。
そしてそのケーキを持ってナツミの部屋へと向かった。

 

・・・

 

ナ「はぁ、やっぱり食べ過ぎだよね」

 

自分に割り当てられた部屋で鏡を見ながらお腹をつまむナツミ、
つまんでみるとムニュリと決して薄くはない厚さの肉が摘まめるというより掴める。
胸に手をやれば前よりだいぶ大きくなっていて、そこは嬉しく思うような、それだけ太ったのだと落ち込むような複雑な感情が生まれて来る。
全体的に、どう見繕っても太った、それもけっこうなペースで・・・。

 

ナ「アムは無意識下に感じてる現状への不安が〜、とか言ってくれたけど・・・これは不味いなぁ、カシスにも言われちゃったし」

 

ダイエットするか、そんな風に思っていると扉がノックされる。

 

ナ「っ! ちょっと待って」

 

お腹を丸出しで腹肉を掴んでいる姿なんて見られたら恥ずかしい、そんな気持ちからつい声が大きくなる。
身だしなみを整えるとちょうど声が扉越しにかけられた。

 

ア「・・・いいかしら?」
ナ「う、うん、どうぞー」

 

ガチャリと扉を開けて入って来たのはアムだった、手には大きめのケーキを持っている。
ダイエットするかと思った矢先にケーキが目の前に来る事態に苦笑を浮かべそうになったナツミだが、ひとまず何か用事かとアムに尋ねた。

 

ア「何、今朝のことをきにしてるかなって思って・・・前にも言ったと思うけど、ナツミは異世界のそのまた異世界からやって来た、目まぐるしく変わる現状に知らないうちに不安とストレスが溜まってるのよ」

 

ベッドに座り、ケーキの皿を膝の上に乗せながらアムが慰めるような優しい微笑で話しかけてくる。

 

ナ「心配してくれたんだ、ありがとうー」

 

ナツミもアムの横に座り、お礼を言うとやや恥ずかし気に笑顔を浮かべた。

 

ナ「けど、それで何故にケーキが?」

 

アムが来た理由は分かったがケーキとの関連性は分からない、
疑問をぶつけるとアムは相変わらず微笑のまま話を続ける。

 

ア「だってナツミの不安とストレスの解消方法は食事じゃない? だから特別にこしらえたケーキを持って来たのよ」

 

ナ「え、いやぁそういうつもりはないんだけど・・・確かに最近食べ過ぎだけどね」

 

だから太っちゃったんだしと、内心で呟くナツミ。
そんなナツミをよそに、アムはケーキをフォークで切り分けて一口大の大きさにしてフォークに刺す。

 

ア「無意識のうちに発散させたいって思ってるんじゃないかしら? だから食べて発散出来るならそれでドンドン発散させたらいいわよ。ガス抜きは大事だわ。」

 

はいっと、ケーキの刺さったフォークをナツミの口元にやるアム。

 

ナ「ぃ、いやぁ、でも、ほら・・・カシスにも太ったって言われちゃったし、ダイエットしょうかなって思ってて、だから嬉しいんだけど。」

 

ア「いいじゃない? 今日だけって事にして食べちゃいなさいよ。それに、無意識の内に溜まった不安とストレスっていざという時に爆発するもの・・・発散出来るならしておいた方が楽だわ、きっと。」

 

再度ケーキを差し出すアム。

 

ナ「(う〜ん、アムって最初は人付き合いなんてしないような感じだったけど、打ち解けるとグイグイ来るタイプなのかな?)」

 

嬉しい反面、ダイエットの障害だとも思うナツミだが、アムの行動はやや強引だが心配と気遣いからくるもの・・・なによりせっかく用意したであろうケーキには申し訳ないという気持ちも沸いてくる。
少し迷った末に出した結論は、

 

ナ「うん、じゃあ食べようかな」

 

食べる事だった。
食べると聞いたアムは嬉しそうに満面の笑みになる。

 

ア「よかった、それじゃあ・・・あ〜ん♪」

 

ナ「えぇ、改めると恥ずかしいよぉ」

 

顔を赤らめるナツミだが、結局あ〜んと口を開けて食べさせてもらおうとする。

 

ア「はい、どうぞ・・・」

 

ナ「っ!?」

 

フォークをスッと差し出し、静かにささやいたアムに何故かナツミは寒気を覚えた。
ビクッと体を震わせるとアムが怪訝な顔をする。

 

ア「どうしたの? ナツミ」

 

ナ「い、いや・・・何でもない」

 

何かが警鐘を鳴らしていた、このままいくともう取り返しがつかないような・・・
第六感ともいうべきものが警戒をして来た。
しかしそれが何故かは分からない。

 

ナ「(別に何も不思議な事なんてないよね? あ、もしや激マズだって警戒だったり・・・?)」

 

考えても分からない、アムに意識を向ければ不思議そうな顔をしている。

 

ア「食べないの?」

 

ナ「あ、うぅん、食べる。ぁ、あ〜ん」

 

アムに聞かれて、つい食べると答えてしまった。

 

ナ「(ま、気のせいだよね)」

 

そのまま口を開けてナツミはアムにケーキを一口食べさせてもらった。
・・・食べさせてもらってしまった・・・。

 

ナ「ん、あまくて美味しい!」

 

口の中に広がるあまいケーキの美味しさ思わず感想が出る、甘くて美味しい、非常に美味しい、素敵なケーキ。
もっと味わいたいと思った矢先に目の前にケーキが差し出されていた。

 

ア「気に入ってくれて何よりだわ。はい、もう一口、あ〜ん」

 

アムが切り分けたケーキを再び差し出して来てくれていた、とっても甘くて美味しいケーキを。

 

ナ「じ、自分で食べるってば・・・うぅ、あ、あ〜ん」

 

差し出したままフォークを渡す気配がないアムにナツミは仕方なくまた食べさせてもらう。

 

ナ「んん♪ あまい・・・」

 

本当に美味しいケーキだ、夢中で味わっているとすぐになくなってしまう。
しかし、なくなったのを見計らってアムがあ〜んと差し出して来てくれる。

 

ア「もっと食べるでしょう、あ〜ん」

 

ナ「・・・ぁ、あ〜ん」

 

これで三度も食べさせてもらってしまった、恥ずかしいがフォークを渡してくれないから仕方がない。
もぐもぐと食べ終わるとまた差し出してくれる。

 

ア「ナツミ、あ〜ん」

 

ナ「あ〜ん」

 

アムに促されるまま、食べさせてもらい続けるナツミ。
そんなナツミを見るアムの表情は、怖いほどに優しい笑顔だった。

 

 

10.甘い隷属

 

ア「ふふ、あ〜んして?」

 

ナ「あ〜」

 

ナツミにケーキを食べさせ続け、そのケーキもあとわずかになる頃には薬の効果がはっきりと表れていた。
最初はアムに食べさせてもらう事に羞恥心、抵抗感があった筈なのに今は雛鳥が親鳥に餌を食べさせてもらうかのように口を開けて餌を、ケーキを今か今かと待っていた。
食べさせる度に声をかけて促すアムはその様子に深い満足感と征服感を覚える。

 

ア「(あぁ…こんなにとろけて惚けた顔をして…そんなに食べたいんだ♪)」

 

征服感を更に満たしたくなり差し出したケーキの刺さったフォークを焦らす様に自分の手元に戻して静止させてみる。

 

ナ「ぅん…アム、早くぅ…………あ〜んっ!」

 

すると訴えるように呻き、甘ったるい声に加えて促す様に口を大きく開けて舌まで伸ばして来た。
望み通りに口にケーキを放り込んでやると、恍惚とした様子でケーキを味わい飲み込むと舌なめずりまでして満足感をあらわにする。

 

ナ「アム、次ぃ♪」

 

アムの方に身を乗り出して甘えるように催促するナツミにアムは嬉しそうにして、しかし非常に残念と言った仕草を取る。

 

ア「ごめんねナツミ、もうないのよ」

 

ナ「え?」

 

ア「持って来たケーキはさっきので最後の一口、全部食べてくれるなんて嬉しいな。お粗末様でした、ナツミ」

 

ナ「ぇ、もうないの? ケーキ…」

 

ケーキの乗っていないお皿を見せるアム。

 

ア「うん、ほら? ないでしょう?」

 

それを見てケーキがもうないと確信出来てしまったナツミは泣き出しそうな顔をしてアムを見つめる。

 

ア「そんな顔されても今、ここにはもうないわよ? 
  それにケーキを持って来た私が言うのもどうかと思うけどダイエットがどうのって言ってたじゃない、ナツミが」

 

ナ「うっ、そ、それは、そうだけど…」

 

ホールケーキを丸々1つ食べさせておいてそれを言うかとも思ったナツミだったが、確かにその通りだ。
ケーキを食べる前にダイエットを決意していた筈だ、アムがガス抜きの為にわざわざ用意してくれたから断れなくて食べたのであってダイエットを諦めた訳ではない。
だからそのケーキがなくなったのならご馳走様をして腹ごなしに軽い運動でも始めるべきなのだ。
しかし、もっと食べたい、もっと欲しい、あのケーキが食べたい、そんな欲求があふれ出して止まらない。
3時のおやつにしても食べすぎだと、いけないと思い顔を伏せて頭を振る。

 

ア「あ、まだあったわね」

 

ナ「えっ!?」

 

しかしアムの言葉に跳ね起きる勢いで顔をあげしまう。
自分でもそこまで欲しいのかと自分で自分に呆れそうになるナツミの前にはお皿がある、しかしケーキはどこにも…。

 

ア「ほら、お皿にクリームとか切り分けた時の欠片とかなら…」

 

ナ「あ…」

 

言われてみれば少量だが確かにケーキの残骸が残っている。

 

ア「ケーキ、とはもう言えないけど、それでも食べたい?」

 

ナ「う、うん!食べたい!」

 

ダイエットと食欲の葛藤や迷いは一瞬で吹き飛び、声を発していた。
ケーキがなければまだ自重できたかも知れない、仮にキッチンにあったとして目の前になければ我慢出来たかも知れない、
しかし目の前に残骸とはいえケーキが残っていて食べたいと聞かれたらもはや抗えなかった。

 

ア「………じゃあ、舐めて?」

 

ナ「ぇ」

 

聞き間違いかと思ったナツミだったがアムはお皿を口元に差し出して、ほらと促してくる。

 

ナ「ア、アム?」

 

困惑するナツミにアムはとても楽しそうに笑って答えた。

 

ア「フォークですくいきれなかったものなんだから舐めとった方が早いでしょう、いらないならもうケーキはなしね」

 

そう言いながらお皿とフォークを持って立ち上がるアム、もうケーキはなし…その言葉に心底から焦りを感じたナツミは慌ててアムにすがりつく。

 

ナ「ま、待って!舐める、舐めるから持っていかないで!」

 

自分でもおかしいと思うくらいにあのケーキを欲している、しかしおかしいなんて思う疑問はすぐに消える。
今は何よりもケーキが最優先なのだから。

 

ア「じゃあ…はい、どうぞ」

 

差し出されたお皿を両手で受け取るとすぐにペロペロとケーキの残骸を舐め取る。

 

ナ「(あぁ♪ これ、この味…甘くて美味しい…!)」

 

口に入れて味わうケーキの味にこの上ない幸福感を感じるナツミ。
夢中でお皿を舐めるナツミにアムがいつの間にか後ろから抱き付いていた。
抱き付かれたにも関わらず気にしない様子のナツミの耳元で囁くように聞いてくる。

 

ア「美味しい?」

 

喋る間すら惜しいのか舐めたまま頷くナツミにアムは薄く笑みを浮かべて抱きしめる腕に力を入れる。

 

ア「じゃあ、もっと食べたい?」

 

ナ「…うん、食べたい」

 

綺麗になったお皿を惜しむように舐めた後でナツミは即答する、アムは抱きしめた腕でナツミのお腹をゆっくりと揉んだりつまんだりし始めた。

 

ナ「や、ちょ、やだ」

 

流石に身をよじって抵抗するナツミ、しかしお構いなしにアムは続ける。

 

ア「ガス抜きは必要と言ったけど、抜きっぱなしはどうかしら? ダイエットするんじゃない?」

 

揉まれる度に、つままれる度に贅肉の感覚を、太ったという事を自覚する。

 

ナ「い、いいの! 私、普通の学生だったのにずっと大変な目に合ってたんだからガス抜きも多くないとだめなの!!」

 

しかし、そんな事はもう些細な事だった…ケーキがもっと食べられるなら何でも構わないとさえ思っていた。
そんな気持ちが込められたナツミの発言にアムは誘惑するように最後の一押しをする。

 

ア「じゃあ3時のおやつにケーキを毎日用意してあげるわ。その代わり、私の言う事には全て従ってね? もし逆らったら…ケーキはずっとお預けで…」

 

ナ「さっ! 逆らわないよぉ! だからもっとケーキを頂戴!お願いアム!」

 

懇願する勢いでアムに向き直り今度は正面からナツミがアムに抱きつくとそのままお願いと頭を下げる。

 

ア「大丈夫、従ってくれるなら全て問題ないから…いい子いい子♪」

 

ナツミの頭を優しく撫でながらそのままあやす様にして寝かせるとアムは部屋を出ていく。

 

ア「あぁ…あぁ♪ これから本当に楽しみ、楽しみで仕方がない!」

 

自室へと戻りながらこれからの日々に思いを馳せると歓喜が湧き上がって来て止まらないアムだった。

 

 

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