人間兵器

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・三日目

 

なんとか眠りに落ちる前にあんドーナツ20個をたいらげた。
目を覚ました薫はお腹をさするとぷよぷよした感触を覚える。
手でつまんでみるとやわらかいものが手にあまる。
起き上がるとたぷたぷしたお腹は下着に乗っかり、太ももには贅肉がケーキにクリームを塗ったようにまんべんなくくっついていて下着に食い込んでいた。
頬もぽちゃぽちゃしてきたようだ。
「(やわらかい・・ はぁ・・ 本当に太ってきたな・・・ 私・・・)」
ぼんやりしながらモニターに視線を移すと真帆は服を着ていた。
おそらく押収されていた衣服があんドーナツによって返されたのだろう。
しかし相変わらず真帆は部屋の隅にうずくまっている。
肉体的にも精神的にも追い詰められているようだ。
早くなんとかしないと手遅れになる。
でも・・・・
「ちょっと」
「はい。呼んだかな? 薫くん?」
「・・・私に昨日言っていた食欲増進剤をちょうだい」
「・・・・・・へ〜・・ やっとやる気でたんだ・・ うれしいよ。じゃあ、はい」

そういうとカプセルがガシャっとでてきた。
「・・ (これを飲めば・・ でも・・)」
すこし迷いはあったがカプセルを飲み込む。
・・キタ!! 空腹感が薫を取り巻く。
よだれが溢れんばかりにでてくる。すぐにボタンを押す。
ガシャ・・
「んふ・・ んっふ・・ (!!! おいしい! なんか昨日に比べておいしすぎる)」
ガシャ
「はぐはぐぅ・・ んふ・・ (このドーナツ油っこくてたまんないぃ・・)」
ガシャ・・ ガシャ・・ ガシャ・・ ガシャ・・ ガシャ・・ ガシャ・・・・・
薫は時を忘れて食べ続けた。
愛しい妹を助けるため・・ というより本能的に食べ物を求めた。
薫の身体は音を上げるかのようにぶくぶく肉がついていった。
「・・・・計画通り。」

 

 

・四日目

 

「っぷはぁおはよう薫君! ははぁ! すごいすごい! 1日にしてそれとは! 思わず足を運んでしまったよ」
「・・ん?」
薫は口の周りにシュークリームのクリームをつけながら振り返った。
どうやら寝ないでひたすら食べていたらしい。
「あっはああはあはぁ!! 気づいてないの? あっは愉快! 愉快すぎる! 無知だ! 無知だよぉ(?)!!!! あははははは!!!!!!」
「・・・・・・・・・・・ぇ・・ うわぁ!!!! 誰・・ これ・・?」
モニターにはぶくぶくに太った人間がいる。
「だっは!!!! 君だって。き・み!」
「嘘・・・ うそよ!」
「じゃあ君のお腹についているこのぷよぷよしたものはなにかなぁ?」
「っは!!」
薫は思わずたって自分の身体を見渡す。
薫の身体は昨日に比べてかなり全体的に膨張していた。
胸はぷくんと膨れ上がり、重さに耐え切れず垂れ下がっていて、動くとプルンプルンと震える。
腰は溢れんばかりの贅肉にまんべんなく覆われていて、三段バラを通り越して球体状態になりつつある。
薫自慢のくびれたウエストの原型はもうどこにもみあたらない。

足は足でかつて太ももの間に空間が生じていたほどであったが、今やその空間は贅肉に侵食され潰れてしまっていた。
あり余るほどの肉のせいで薫の太ももは電柱の太さほどになり、もはや足を組むことさえ不可能である。
「ひゃ・・・」
薫は自分のお腹の贅肉をつまんで驚いた。
もはや片手・・いや両手でもつまみきれないほどの贅肉がくっついていることを現実に理解した。
「ふふふ・・ 顔もずいぶん丸くなってよかったねぇ〜 性格もまるくなったのかな? はは!」
「ふ・・ ふざけないでよ!!」
顎の肉がぶるんとゆれた。
「それにしても頑張ったねぇ〜 一日にして君60キロ太ったんだよ。あのベッド体重測定とかもできちゃうわけ。さすがD型の血は違うね」
「60!! ってことは・・」
「君がここに来たとき測定させてもらったんだけど44キロだったよ」
「44ってことは・・・ 104キロォ!!」
「ご名答」
「104って・・ 私デブじゃん!」
「そう超デブ」
「ぅう・・・ そんな・・・・・ いやだよぉ・・」

薫の瞳から涙がポロポロこぼれる。
手で涙を拭おうとしたがその手の指もソーセージのように膨れ上がっていた。
「はは! なっちゃったものはしょうがないよ〜。それにこのたぷたぷしたお腹なんて最高じゃんか〜 まあ元気だしてよね。ぶ・た・ちゃん♪」
「ぶ・・・ 豚ぁぁぁ!!!!」
「はいはいブーブー怒らないの。じゃあ脂女のほうがいいかな。体脂肪率50%だし」
「脂女って・・ ってか50%!! 半分脂肪じゃんか!」
「そう半分“薫の半分は脂肪でできています”。なんかバファ●ンのキャッチフレーズみたいでいいね! わはは!」
「よくなーい!!!!!!!」
「はは! 半分脂のくせして元気だな。君のそういうところ好きだな。そう・・ 気の強いところ。そうだな・・・ そろそろネタあかしでもしてあげよーかな」
「・・ネタあかし?」
「そう、君が毎日心配していた真帆ちゃんなんだけど・・ 君と真帆ちゃんは双子姉妹。よって真帆ちゃんもD型の血を受け継いでいる。そんな彼女を普通に考えて幽閉しますかね?」
「・・・ど・・ どういうことよ・・」
「はは!脳みそまで脂になっちゃったのかなぁ? つまり。モニターに映ってた真帆ちゃんって果たして本人なのかなぁ? 脂女くん?」
「・・・まさか!!」
「そっ! あれは私があらかじめコンピューターを作って処理したものなんだよ。なかなか精巧だろ? いっただろ私は国家研究員だと。これくらいのことはできて当然なのだよ!」
「・・・そんな」

「まあそう気を落としなさんな。ほれ差し入れに饅頭もってきたんだ。喰え」
「あ・・ ありがとう・・・ いただきま・・・・・ って!」
「ははは!! のりつっこみぃうまぁ(?)」
「本物の真帆はどこだぁ! 教えろぉ!!」
「ヒートアップすんなって・・・ それはまたお楽しみだ。ところで脂女くん、君こんなときにもかかわらずお腹ぺこぺこではないのか?」
「・・ぅ」
図星。こんな切迫な状況にもかかわらず薫ははらぺこだった。
さっきもらった饅頭のせいもあってかよだれをおさえるので精一杯である。
「ビンゴかな? 昨日の薬の効果がまだ続いてるんだね。あの薬はね、服用する人が本当に何か食べたいと思ったときに飲まないと作用しない特殊な薬なわけ。だから私はわざわざ君を騙したんだよ。」
「・・・・・・最初から騙されてたのか」
「まっドンマイ。じゃ」
「こ・・待て!」
また田淵は去っていった。
「・・・・くっ・・ もうお前の思い通りに太らんぞ」
「・・・ (ぎゅるるるるるるるるぅぅううぅうううぅううぅう・・・)」
「・・・・・」

「・・・・・」
ガシャ・・
「・・・っく・・・ くそぉ・・・・・・ お・・ おいしい・・」

 

 

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