792氏その7

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「やった〜! これで私の5連勝!」
「くぅ… 負けた…」
黄金週間まっただなかの昼下がり、メリィとゲームで暇潰し。
最近は家で空いた時間に、ゲームで時間を潰しているらしくメリィはかなり上手い。
…何かどんどんコイツはここに馴染んできている気がする。
もっともダメな方向に、だが。
「ポリポリ… あぁ、もう無くなってしまった」
ポテトチップの袋を覗き込みながら、メリィが呟く。
スナック菓子を食べながらゲームをするとコントローラーがベタベタになるから嫌いなんだが、これも肥満化の為だ。大目に見てやろう。
横に座ったメリィをまじまじと観察すれば、巨乳以上にぽっこりと出っ張ったお腹に、ジーンズがはちきれそうな太い太股、二重顎になりつつある顔など、なかなか俺好みの体型になってきている。
4月の肥満化も5kg程増え、順調に身体は大きくなってきた。
…しかし、どうもまたボリュームが増しているような気がするな。
まだ5月の肥満化までは間があるはずだが…
「なぁ、お前… 太ってないか?」
気になったので直接聞いてみた。
「何を言ってるんだ。それがキミの願いだろう? ハァ、もう20kgくらい増えたんだから…

こんな情けない姿に…」
「いや、そうじゃなくて… 何かあきらかに太ってる気がするんだよ」
確認のため、嫌がるメリィを無理矢理体重計に乗せる。
そういえば、先月は体重測定をしてなかったしな。
(メリィがいつにもまして凄く嫌がったため)
「…そ、そんなバカな」
予想以上の数字に思わずメリィが声を漏らした。
体重計の目盛りは82kgを指している。明らかに計算が合わない。
やっぱりコイツ、太ってきている。
先月体重測定を嫌がったのも自覚が少しあったからだろう。
「う、嘘だ… いくら最近少し食べすぎとはいっても」
予想以上の増量にショックを受けているメリィ。
以前通販で買った服は先の肥満化を見越してかなりゆったりしたサイズのものを買った為に、気付かなかった… とは本人の弁だ。
間違いなく、本人には自覚はあったと思うんだが。
まぁ、ここ最近のこいつの食べっぷりなら太るのも無理はない。
「でも、今まで食べても太らない身体だったのにどうして…」

しかし、本人はまだ納得いかないようだ。
「ホラ、メリィ、お前の故郷って凄くショボい… いや、素朴な食べ物しかないって言ってたよな」
「うん、そうだな。こことは正直比べ物にならない」
「じゃ、低カロリーな物も多いわけだろ?それで暮らしてたんだから、栄養を効率良く吸収できるように身体がなってるんじゃね? それで、最近はこっちの生活にも慣れたようだし、高カロリーな食事で一気に来た。って事じゃないかな。つまり、お前は元々太りやすい体質だったんだよ!!」
「な、なんだってー!!」
…いい反応だ。
最近は漫画喫茶にも入り浸ってるらしいが外人の癖によく反応したな…
まさかそこで拾ってくるとは思わなかった。
…やっぱりダメな方向に突っ走ってるなコイツ。
「な、なるほど… あぁっ! どうしよう… ただでさえ毎月体重が増えるのに、そんな事になったら…」

 

夕食の時間、いつも店屋物では馬鹿にならないのでたまには自炊する。
「…ごちそうさま」
「どうした? 普段の半分も食べてないぞ。そんなにまずかったか」
相変わらず料理はメリィは苦手なので、食事は俺の仕事だ。
正直、俺もあまり得意な方ではないが…
だが、普段ならご飯だけでも3杯は軽く食べるというのに今日はまた随分と控えめだ。
「いや、口に合わないわけじゃないんだ。…太りやすい体質と分かった以上、あまり食べられない」
どうやら、昼間の事を気にしているらしい。
どうせ肥満化で太るんだから、無駄な事なんだがな…
太る事に開き直ったかと思えば、余程こたえたらしい。
たしかに、肥満化によるものと違い、明らかに自分の不摂生が原因で太っているのだから、エリート育ちらしいメリィにはショックかもしれない。
その日はいつもより早めに寝室に引っ込んだ。
そうして、その日の深夜…
案の定、響き渡る腹の虫に邪魔されて、メリィは寝付けないでいた。
(…お腹が空いて眠れない… でも、我慢しないと…)
たしかに最近の自分の生活は少し緩んでいた。

ただでさえデブになるというのに、それを助長させるのなんて御免だ。
ほんの数ヶ月前まではスリムな身体で規律正しい生活を送っていたのだ。
少しばかり美味な食べ物のお陰で狂いつつあるが、今から自分を律しなければ…
そんな事を考えながら、布団にもぐり空腹と戦う。
…だが、時間を追う事に空腹感は強烈になっていき、睡魔どころの話では無くなっていった。
(…でも、い、いきなり食事量を減らしすぎるのも健康に良くないな。今日で最後にするとして、そういえばインスタントラーメンがあったはず)
我ながら堕落してしまっている自分に呆れ返るが、仕方が無い。
…認めたくはないが、ここは居心地が良すぎるのだ。
のそのそと寝室を抜け出し、キッチンでこっそりと湯を沸かすメリィ。
お湯を入れて3分間がいつもより長く感じる。
夜中に食べるラーメンは空腹というスパイスに、何とも言えぬ背徳感が効き、病み付きになりそうな美味さ。
だが、夢中で食べていると、背後からいきなり声を掛けられた。
「…夜食か?」
ギクゥッ!!
(ど、どうしてこんな最悪のタイミングで起きてくるんだキミはーっ!?)
振り向き、口の中の食べ物を噴き出さんばかりに驚いたメリィだった…

 

やれやれ、トイレに起きて灯りが点いてるから覗いてみれば。
漫画じゃあるまいし、夜中に腹が減ってこそこそラーメンを食べてるなんて、まったく…
ダイエットはどうした?どうやら食いしん坊のデブキャラがすっかり板に付いてきているらしい。
痩せていた時はは自己管理もきっちりする優等生な性格で、俺が夜食でも取ろうものならいちいち渋い顔で釘を刺していたというのに…
外見の変化とともに中身も変化してきているのだろうか?
見られたくない所を見られてしまったメリィはとてもバツの悪そうな顔をしている。
「う、これは、そのっ(あぁ、情けない… きっとデブキャラだと思われてる… まぁ、見た目はかなり太ってるけどっ、これはあくまで仮の姿だし…)」
取り乱すメリィが何か気の毒になってきたので、ここはあまりいじらないでおいてやるか。
「無理するなよ。クリスマスに元の体重に戻れるように願いを書いてやるから、遠慮なく食べればいい。まだ足りないだろ? 待ってろ、今何か作ってやるよ」
それから、軽く夜食を作ってやると余程空腹だったのかラーメンを食べた後だというのにぺろりと食べてしまった。
食べている最中、チラチラとこちらを見てくるのが少し気になったが。
…あんまり料理は得意じゃないんだ。多少まずくても大人しく食べてろ。

 

ところが… 実際は少し違っていた。
(け、結構優しいんだな… てっきり、バカにされるかと思った…)
はじめはとんでもない変態男かと思ったが、なかなかいい所もある。とメリィは自分の中での評価をほんの少しだけ改めたのだった。

 

「ふわぁ〜あ、じゃあ先に寝るぞ。おやすみ」
「う、うん、あっ、ちゃんと後片付けしておくからなっ。おやすみ…」

 

メリィ 167cm・71kg→82kg(肥満化残り8回)

 

 

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