792氏その7

792氏その7

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「ハァ… 何でこんな事に…」
季節は8月。猛暑真っ只中である。
7月の肥満化に、日ごろの過食、100kgを超えたことによるストレス太りを加え、今や125kgの巨体となってしまったメリィにとってこの季節は地獄に近い。
立っているだけで、ダラダラと汗が流れる。
そして目の前には、自分よりは痩せているものの、充分に立派な体格の女性がまわしを締めて立っている。
もちろん、自分の腰にも、しっかりとまわしが締められている。
裸というわけではなく、ちゃんとTシャツは着ているし、まわしもジャージの上からだが…
我ながら、よく似合うと思う。
(やっぱり、恥ずかしいなぁ…)
周りには大勢のギャラリー。
視線は全て土俵の上に集まっている。
今、メリィは隣町の相撲大会に参加している。
この体型で相撲なんて、生生しすぎて冗談にも聞こえないが…
何故自分がこんな情けない姿を衆目に晒しているかといえば、発端は数日前にさかのぼる。

 

「相撲大会ぃ!? そんなのイヤに決まってるだろう!」
「頼むよ。優勝賞金20万だぜ?しかも女性限定だし。今のお前の体格なら、いいとこまでいけると思うんだよ」
渡された広告には、女相撲大会・優勝賞金20万円と書かれている。
「そ、そんな羞恥プレイ断固お断りだ! ただでさえこんなに太ってるのに、まわしなんて付けたらシャレにならんわ!」
「実は最近ピンチなんだよ。ホラ、食費もかさむし、この前、またお前の服も買い換えただろ? 優勝して、美味いもの食べに行こうぜ?」
「む… たしかに、元はといえばキミのせいだが世話になっているのは事実だな…」
一応、居候であるメリィはそう言われると強く出られなかった。
仕方が無いので、泣く泣く参加を了承する。
「じゃ、決まりだな」
「気は進まないが… 参加する限りは全力を尽くそう」

 

そんな訳で、電車に揺られて二人で隣町の会場までやって来たのだ。
ちなみに、その電車の中で年配の女性に妊婦と間違えられて席を譲られたのが地味にショックだった。
会場に着き、参加の手続きを済ませ、一人で選手控え室に入る。
まぁ、自分より太っている女性など掃いて捨てる程いるだろう… とはじめは思っていたメリィだったがいざ控え室に入ると… いない。
参加者は中には立派な体格の女性もいるが、明らかに自分が一番ぶっちぎりで太っている。
「おいおい、アンタは反則だろ…」「うわ、こりゃ勝てないわw」
と、自分を見る参加者達の目が如実に物語っていた。
たしかに思い返せば、日常で自分より太っている女性なんて滅多に見れなくなってきた。
100kgを超えた若い女性のデブなんて、外国ならともかく、日本にはそうそういるもんじゃない… と、改めて自分の巨体っぷりを痛感する事になってしまった。
それから、簡易式のまわしを服の上から着ける。
「フゥー、ぎりぎり入った…」
特に下半身が太ったメリィには、用意されたまわしのサイズはギリギリで、巨大なお尻の割れ目にまわしの布地がめり込み、非常にみっともない。
鏡を見ると、随分とサマになった女力士が立っている。
(くそ、何でこんなに違和感が無いんだ…)

 

こうして、相撲大会が始まった。
土俵にメリィが上がると、会場にどよめきが起こる。
超ヘビー級の、金髪外人女力士、それも太ってはいるが今だになかなかの美人となれば注目を浴びるのも無理はない。動くたびに、ユサユサと1mはゆうにある爆乳が揺れるさまは壮観だ。
嫌でも自分に向けられる好奇の視線が気になる。
わざと負けて早めに退散したかったが、それでは只の大飯喰らいの居候になってしまう。
それは腐っても… いや、デブってもエリートのプライドが許さなかった。
こうして、元々運動神経の良いメリィはその巨体と相まって無類の強さを発揮し、あれよあれよという間に決勝にまで残ってしまったのだ。
自分でも気付かなかったが、どうやら自分は「動けるデブ」らしい。
「凄いデブの外人女が相撲大会で快進撃」という噂はあっという間に広まり、はじめは空席の目立っていた会場も決勝の今では野次馬で一杯になっていた。
そして、行司の合図とともに、決勝の取り組みが開始された。
体格差は明白で、身長体重ともにメリィが勝っている。
…悲しいかな、特に体重は圧倒的に。相手はせいぜい90kg前後といったところだろうか。
開始と同時に、相手の強力なぶちかましがメリィに炸裂した。
体格で勝るメリィに対し、長期戦は不利、速攻で勝負を付けようと判断だろう。
だが、それは無駄に終わった。
30kg近い体格差に、どっしりとした安定感のメリィの下半身で、ぶちかましは完全に無効化されたのだ。

戸惑う相手の隙をつき、
「えいっ」
太い腕から繰り出されるメリィの投げに、相手は対応できない。
ズン、と尻餅をつく相手。
と、簡単に勝負は決してしまった。これが横綱相撲という奴だろうか。
「か… 勝っちゃった」
(まぁ、これで賞金も貰える事だし… しばらくは生活費も安心だろう)
勝利したメリィは、彼はさぞ喜んでいるんだろうな、と思いつつ会場を見渡す。
いた。しかし、何故かうつむいてプルプルと震えているだけだ。
…もっと喜んでくれるかと思ったのに、どうも反応が良くないな。
せっかく優勝したというのに…
そういえば、会場も何かいたたまれない空気だ。
やはり、外人の自分が優勝したのが良くなかったのか? などと思いながら、ふと視線を下にやると…
「あああっ!!!!」
そこには、目を覆いたくなるような惨状が広がっていた。
シャツがペロンとめくれ、ダブンダブンの、自分の真っ白い巨大なお腹が見事にむき出しになっていたのだ。

どうやら、取り組みの最中にめくれてしまったらしい。
おまけに、巨大なブラジャー… 野暮ったいデザインの、俗に言うダサブラまであらわになっている。
若い女性がこんなみっともない姿を晒していれば、この会場の微妙な空気も分かる。
彼がうつむいていたのは… 笑いを堪えていたんだろう。
顔から火を出さん勢いで赤面し、完全に固まってしまったメリィだった。

 

メリィ 167cm・103kg→125kg(残り4ヶ月・肥満化残り5回)

 

 

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