792氏その7

792氏その7

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今日は12月23日、午後10時… いよいよ最後の肥満化の日を迎えつつある。
これまでの肥満化に過食で、今やメリィの体重は180kgに達した。
俺の見通しよりも少し伸び悩んでしまい、このままでは200kgの大台には届きそうにないのが残念だが、滅多にお目にかかれない程の巨デブである事は間違いないだろう。
最近では動くのもおっくうなのか、以前に比べるとゴロゴロしている時間も多くなった(それでも、家事はきっちりやってくれるが)。
今も、夕食の後片付けを済ませ、横になってお菓子を食べながらテレビを見ているという、清々しいまでのデブライフを満喫している。横になっている姿はまるでトドかアシカのようで、でかい尻を何とか隠すジーンズは普通では手に入らない程に大きなサイズ。
おまけに股ずれができてしまい、太股の内側はボロボロになってしまっており、汗で蒸れるのかボリボリと尻を掻く姿が驚く程にサマになっている。
これもそろそろ見納めかと思うと寂しいな… と思いつつ、メリィに声をかけた。
「なぁ、メリィ、お願いがあるんだけど」
「ふえ? 何だ?」
とぼけた表情のメリィが振り向くと、着ていたシャツの上からでも乳や腹の肉がボヨン、と波打っているのが見えた。
「今日の肥満化、何も言わずに、これを着てほしい」
そう言って、紙袋を渡す。
「? …まぁ、いいけど」
いまいち分からない、といった表情で、メリィは着替えに自分の部屋に戻る。

 

「…ッ、何なんだこの服は!」
数分後、ドスドスと足音を立てながらメリィが部屋から出てくると俺の前にズン、と仁王立ちになる。
メリィに渡したのは、伸縮性に富んだ素材でできた、身体にぴっちりと密着する黒いセクシーなボディスーツ。
嫌でも身体のラインがくっきりと出てしまう。
昔ならまだしも、今のメリィにとってこんな服装、拷問に近いと言っていい。
嫌でもぶっとい身体が目立ち、メリィの姿は黒光りする極太のソーセージのようだ。
「おー、セクシーだなぁ」
「え、そうか? …いや、そうじゃなくて! どうして、こ、こんな格好をしないといけないんだ!? くっ、恥ずかしい…」
一応着てみるあたり、なかなかノリノリじゃないか、とも思ったが、まぁとても正気とは思えない格好である事には違いない。
「この格好なら、肥満化の様子がはっきり分かるだろ? 最後なんだし、じっくり見たいと思って、特注で頼んだんだ」
そう、明日になれば、メリィは魔法が使えるようになる。
そうなれば、仲間を呼び、願いを取り消し、元のスリムな姿に戻れるのだ。
(そうか… 最後、なんだ)
同時にそれはこの生活の終止符を意味する。
最後という言葉に、メリィの今まで考えまいとしていたものが呼び起こされる。
メリィは、元の姿にはもちろん戻りたいが、ここを離れ、彼と別れる事に… 徐々に寂しさを感じていた。

こんな居心地が良く、安らいだ空間ははじめてだった。
故郷では魔法の修行や勉強に明け暮れ、エリートとしてサンタとなったメリィにとって、この1年は肥満化で醜い姿になる事を差し引いても、悪いものではなかった。
はじめは軽蔑していたこの男も、1年も一緒に暮らしていくうちに… 認めたくはないが、自分にとって大切なパートナーに感じつつある(理解の範疇を超えた趣味は抜きにして)。
…それが自分の本心なのか、はたまた「嫁になる」という願いによる作用なのかは分からない。
だが、自分は所詮、別世界の人間であることには間違いは無い。
「…分かった。最後だし、キミにも世話になったからこの恥ずかしい格好も我慢するよ」
「おぉ、そうか。ありがとな」
こうして、最後の肥満化が始まった。
「ンハァァッ!!」
いつものように、肥満化でたじろぐメリィ。これも最後になるのかと思うと感慨深いものがある。
150kg以上の巨体が全身を揺らしながらハァハァと息を荒げている姿なんて、そうそう見れるもんじゃない。まして、瞬時に肥満化する女性なんて、普通は見れる筈もない。
しっかりと目に焼き付けておこう。
「フアアァァ! ブ、ブヒィィイイッ!!」
最初に肥満化した1月は色っぽい喘ぎ声を出していたもんだが、まるで牛や豚… いや、トドみたいな声だな… 外見もそうだが。変われば変わるもんだ。
ミチミチと風船のようにボディスーツが膨らんでいく…
今までと違い、身体にぴっちりとフィットしている為に膨張する様子がよく分かる。ただでさえ太い足が、腕が、腹が、胸が、尻が… みるみるうちに形を変えて、より太く、より大きくなっていく。

だが… おかしい。普段なら既に収まっているであろう肥満化が、どうも終わる気配が無い。
「ちょ、な、何でまだ終わら、はぁああんっ!!」
メリィも異変に気付いたらしいが、どうしようもない。
肥満化が終わった頃には、シルエットすら完全に変えてしまうほどに、体重は爆発的に増加していた。
「ふひぃ、は、はぁ、よ、ようやく終わった… お、重い…」
あまりに一度に体重が増えたためか、そのままずしんと尻餅をついてへたりこんでしまう。
同時に、部屋に地震のような振動が響く。
座り込んだ事でただでさえ巨大な腹が前に突き出し、限界まで伸びていたスーツの生地がビリッ、という音を立てて破け、お腹があらわになった。
「はぁ、はぁ… さ、最後に、こんなに太るなんてぇ…」
そう言ったメリィの声は、喉に付いた脂肪のせいかやや重たいものに変わっていた。

 

…変わり果てたメリィの姿に、俺は思わずゴクリと息を呑む。
首はすっかり無くなってしまい、後頭部の付け根にはこんもりと贅肉の段ができている。
二の腕は振袖のように膨らみ、腕も指もパンパンに膨らんでいる。
胸はスイカのように肥大化し、乳牛のように今にもミルクが飛び出さんばかりにパンパンで、巨大なお腹の上に乗っかる事で存分に存在感を主張している。
元々下半身が太りやすい洋ナシ体型だったメリィだが、それは更にエスカレートし、お腹は綺麗に2段に分かれ、下の段は浮き輪のようにこんもりと下腹部にへばり付き垂れ下がる。
おそらく、裸になったとしても股間を完全に隠してしまうだろう。
尻はとくに巨大化し、並みの女性の三人分以上はゆうにあるだろうか。
そして太股はまるで丸太のように太くなり、ふくろはぎですら平均的な太股よりも太い始末…
テレビやネットで200kgオーバーの女性を見た事はあるが、生で見ると当然ながら迫力が段違いに違う。
荒い息遣いと共に、全身がぶるぶると振動し、黒光りするスーツがぬらぬらと怪しい光沢を放ち、スーツを裂いて飛び出した白いお腹をより引き立たせる異様な姿。
しかも驚かされるのはここまで太っても(あくまで俺の中では、だが)美人の範疇に収まっている事だ。
目元もわりとぱっちりしているし、顔は身体のわりにはあまり肉が付いていない。
それどころか軽く乱れた長い金髪に、紅潮した顔はエロチックな色気すら放っている。
普通なら脂肪で顔もパンパンになって潰れ、見ていられない事になっていただろうに…
もっとも、そのお陰で並外れた巨体が際立ち、余計惨めに見えるんだが。
「…最後だけに、サービスなのかな?」

今までとは段違いに酷い肥満化に、感嘆まじりにそんな言葉も出てしまう。
「プハァ… いったい、何kg増えたんだろう…」
自分のお腹をさすりながら、他人事のように虚ろな表情でメリィがつぶやいた。
ここまで急に太っては、自分の事のように感じられないのかもしれない。
「立てるか?」
「フゥー、フゥー、な、何とか」
体重測定のため、俺の手を借りてのっそりと立ち上がるメリィ。
立ち上がったメリィの横に並ぶと、威圧感すら漂う巨体にただ圧倒されるばかりだ。
超重量級の美人デブモデルといったところだろうか。
「はぁ、はぁ、さ、さすがに辛いな」
今までになかった、立ち上がる瞬間に感じた全身の贅肉がタプン、と重力によって落ちる感触が、いかに体重が増加したかをメリィ自身に伝えてくる。歩くたびに、全身にくまなく付いた贅肉が揺れ、太股同士や二の腕と脇の肉がせめぎ合い、触れ合っているのが分かる。
「大丈夫か? 無理しなくていいぞ」
「うん、大丈夫… フゥ、それに、私も、何kg増えたか、気になるから
(…何を考えてるんだ私は… おかしくなってしまったのか…)」
こうして何とか体重計に乗るが、もはやメリィからでは巨大な胸や腹が邪魔で体重計の数値は見えないので、俺が数字を読み上げた。
「…255kgだな」

300kgまで計測できる体重計にしておいて正解だった。
一気に70kg程度増えた計算になる。
成人男性一人分程度の体重が付いたのならこの巨大な身体も納得だ。
「フゥ、はぁ、そ、そうか」
意外にもあっさりとした様子のメリィは、ぶくぶくに膨れ上がった自分の身体を物珍しそうに眺めている。
「前に100kg超えた時は泣いてたのに、随分と落ち着いてるな」
てっきり自分の姿に混乱し泣き叫ぶかと思ったが…
体型と同時に、神経まで図太くなってしまったのだろうか?
「フゥー、ハァー、もう慣れてしまった…のかな? どうせもう少しで元の姿に戻れるんだ。この際何kgになろうが関係ない。こんな身体になるなんて滅多にできない経験だしな。フフ、しかし我ながら凄いな…」
太った実感は湧いてきたものの、不思議とメリィの気分は落ち着いていた。
ここまで異常に太ってしまうと、いっそ開き直ってしまうのかもしれない。
欧米にはより大きく、太る為に努力する女性もいると聞いた事があるが、自分もいよいよそんな境地に達してしまったのか… などとメリィは思ってしまう。
太い腕でぶるぶると自分の腹や二の腕の贅肉を揺さぶると、タプタプとした柔らかい肉の感触がたまらなく気持ちいい。軽く飛び跳ねてみると、ゆさゆさと全身の肉がくまなく揺れているのが伝わってくる。
ギシギシと床がきしむ音が響き、思い切り飛び上がれば、床板をぶち抜いてしまうかもしれない。
どう考えても、若い女性の… いや、人間として異常な体重と体型に変貌した自分。
なのに、巨大すぎる身体に変貌した自分の身体に、何か妙な興奮すら覚えている。

(…私も、彼の変態が伝染しちゃったのかな…)
と、自嘲気味に思ってしまった。

 

それから、お別れという事で買っておいたケーキとチキンを食べながら二人で過ごした。体重増加で腹が減ったのか、凄まじい勢いで食べるメリィに、用意していた食料はあっという間に無くなってしまう。
「ムハッ、これで最後か。帰ってあの粗末な食事に戻れるかどうか不安だな…」
残ったチキンをほおばり、5人分は食べたであろうメリィの顔はまだまだ余裕といった表情である。
この1年で身体だけでなく、胃袋も巨体に似合ったものになったらしい。
「まぁまぁ、元のスリムな身体に戻れるんだから、その大食いも直るんじゃね?」
元に戻れば今の5分の1程度の体重になるわけだから、1年で5倍近く体重が増えた事になる。
とても普通では体験できない、貴重なものを見せてもらったわけだ。
「ぐぇ〜っぷ、じゃ、じゃあお休み…」
そう言って寝室に戻ったメリィは、胸を高鳴らせながら… 自分の姿を鏡で見た。
ある程度は覚悟していたものの、衝撃的な姿である事は変わりない。
丸々と太った自分の姿が目に飛び込むと同時に、じわり、と自分の股間が濡れていくのが分かった。
(フフ…我ながら、凄い身体だな…)
乳房を鷲づかみにし、お腹をぶよぶよと触り、持ち上げる。
いくつか鏡の前でポーズを取ってみると、どれも滑稽な姿で、とても以前の自分からは考えられない。
それら一つ一つが、自分を興奮させていく。
(わ、私も立派な変態だな…)

顔を赤らめ、布団にその巨体をどん、と倒れこませたメリィはそう思いつつ、最後になるであろうここでの眠りにつくのだった。

 

 

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