FGI氏その6 召集編
『ファースト・ターゲット』
――現代日本。時期は梅雨だが晴れており蒸し暑い。
アメリカ程肥満大国では無いが、だからと言って『痩せた』女性がほとんどと言う訳ではない。
と言うかアメリカが凄すぎるだけである。
そしてこの国のとある町に住む『由香』と言う名の女子校生、それが魔王アーガイルの最初のターゲットだった。
「また肥ったなぁ・・・」
ずいぶんキツくなった制服に着替えながら由香は自分の腹の肉を掴み、一人ぼやく。
腹の肉は手で完全に掴みきれていない。
身長172、体重102。これが今の由香である。
「高校入る前は一般体型だったのに・・・ 特に食べ過ぎた訳でも無いんだけどなぁ・・・」
『面倒』と言う理由で高校入学から制服は買い直しておらず、由香は夏でも冬でも大きいサイズを安く大量に買ったカッターシャツと(一年前に新調した筈の)ピチピチのスカートで登校している。
大きくなった尻にピチピチのスカートで下着を隠すのには些か無理があるらしく、ちょっと前に屈んだり体を後ろに反るだけで汗ばんだ下着が見える。
常人ならげんなりする姿である。
「・・・ま、過ぎた事は悔やんでもしょうがないや。朝ご飯食べて学校行こう♪」
鏡を見て気落ちしても直ぐに立ち直るポジティブさ。
これが彼女の良い所であり、この性格のため学校ではマスコット的な扱いをされている。
マーガリンと砂糖をたっぷり付けた食パンを食べながら家を出る由香。
学校までは自転車で行っており、昔は15分くらいで着いたが今は倍以上かかっている。
理由は簡単、体重増加の為である。
「あっつ・・・ はふぅ・・・」
キツめの坂道を歩いて登る。
今由香の後ろにいたら汗ばんだ下着が、横にいたら汗で服が透けぜい肉のわれ目が、前にいたならば滝のような汗を流した弛んだ顔が見えるであろう。
その場を2度くらい暑くするような暑苦しさを今の由香は放っていた。
「体が重たいって言うか、坂道がキツいんだよね、ココ・・・ 暑いなぁ・・・」
鈍い動きで(常人にはキツく無い普通の)坂を登る由香。
一歩一歩、体を揺すりながら前に進み坂の頂上に着き、鞄からタオルを出して顔を拭く。
「やっと登れたよ〜・・・ 後は一気に下って学校に直行! ・・・よっ、と・・・」
顔を拭いただけでビショビショになったタオルをしまい、自転車にどっかりと座る由香。
その時、後輪から何かが破裂したような音が聞こえた。
「えっ!? 嘘っ!?」
自転車から降り後輪を確認する由香。屈んで確認すると後輪のタイヤは見事にパンクしていた。
屈んだショックでスカートを留めていたピンが弾け飛んだが、由香は気付かなかった。
「う〜・・・ 肥ったとは言え、まさか自転車がパンクするなんて考えても無かったよ・・・ こりゃ遅刻かな?」
仕方なく自転車を押し坂を下る由香。
拭いた筈の顔には既に垂れ落ちる程の汗が出ており、暑苦しさを増している。
「あ〜・・・ 学校で買うからと思って飲み物持って来なかったのは失敗だったなぁ・・・」
普段は坂を下る際の風で涼しいのに今日は終始暑いままの為か、暑さで少しボーッとして来たらしく、次第に歩く速度が遅くなって来る。
「はぁ・・・ 学校が果てしなく感じるよぉ・・・ 坂って足元が見えないから怖いのに・・・ (まあお腹が邪魔なだけなんだけど)」
一歩一歩をドスドスと歩く由香。
その時、肉に引っ掛かっていたピンの外れたスカートがずり落ち、バランスを崩した。
「あっ、きゃあ!?」
坂故に勢いがあり、下手したら転がるかも知れない状況。由香は思わず目を瞑った。
『お〜っと、大事な体を傷付けない様にね。君はこの私が選んだ『参加者』の一人なのだからね・・・』
何かの声を聞いた由香が、地面とぶつかる事は無く、由香がいた場所はパンクした自転車があるだけだった・・・。
一人目保管完了。続く。
* * * * *
―― 『由香』を一人目の参加者に認定しました、初期パラメーターを記憶します ――
身長 172cm
体重 102kg
B 92cm
W 105cm
H 102cm
状態 元気、多少渇き。
肉付き しまりが多少足りず垂れぎみ。腹は3段で4段手前、顎は2重で首はほぼ無い。
腹筋不可、腕立て不可、50M25秒、100M未測定で運動が前から出来ず、
最近歩くのが辛くなっている。
肉付き(初期) 普通の人間なら歩行不可。相手によっては圧死することも可能。
肉の壁により投石やデンプシーロール程度ならノーダメージ。胸は無い。
追記 肥った原因は趣味『食べる事』による『食べ過ぎ』で苦手『運動』によりさらに肥満化は加速した。
尚アーガイルの予知では3年以内に歩行不可になっていたらしい。
見た目 髪は肩くらいまである。目の色も髪の色も黒、純日本人であり肉により丸顔に見える。
ピアスや化粧もしていない、『ただの女子高生』(体型除く)。
――以上、保存完了しました。もう少し詳しい情報は わっふるわっふる と打ち込んで下さい――