伝助の妄想劇場6

伝助の妄想劇場・リン編1

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#エイケン

 

 伝助はなぜか、船の上に居た。
 しかも豪華客船。
 しかも周囲にはお金持ちの人々ばかり、
 衣装を借りているといってもどう見ても自分は場違いな場所だ。

 

「伝助さん? どうかしましたか?」

 

 甲板のベンチに座り、潮風を受けていた伝助にグレース・リンが声をかけた。

 

「いえ…… この間もそうでしたけど、こういう場所はどうしても……」

 

 何でこんなところに居るんだろ……
 隣に座るリンの姿を見ながら伝助は本気で落ち込む。
 小ぶりな胸のきゅっとしまった腰、そしてむっちりとした足……

 

「伝助さん?」

 

 いつものチャイナのスリットから覗く脚を見ているとリンに声をかけられる。

 

「え?」
「ですから、これから船内で食事と余興があるんですけど、いきませんかって誘っているんですの」
「あ、はい、いきましょうか……」

 

 そう言って伝助は立ち上がり、リンと共に歩いていった。

 

 

『ひゃ〜〜流石グレースグループだね〜〜 趣味の悪さ以外、無茶苦茶いい船じゃない?』
『……お前、この船に乗るのにいくらかかったと思ってるんだ……』

 

甲板の先ではしゃぐ女子生徒と落ち込む男子生徒は伝助の背中を見て、笑う。

 

『ところで、お願いがあるんだけどいい?』

 

『ん?』
 突然、おねだりポーズをしてくる女子に男子は飲んでいたジュースをテーブルに置く。

 

『今度はあたしにやらせてよ』
『いいぜ? 俺は学校で楽しむための盛大な計画を考えていたけど、
 ここにくるのに結構無理したからな……』

 

 その言葉を聞いて女子はにやりと笑う。

 

(ふふふ、グレース・リン、あなたの大切なもの、いただかせてもらうわよ)

 

 某怪盗の孫と自称するあのアニメのドロボウネコのような表情で、獲物を見た。

 

 

 船も豪華だが、やはり中も豪華で、かなりの調度品が置かれ、
一般庶民である伝助にしてみれば完全に別世界だ。

 

「そんなに気にしなくても大丈夫ですのw」

 

 このヒト、それしか言わないんじゃと思いつつ、
 伝助はテーブルに並べられている立食用の料理を口にした。

 

「……おいしい」
「うちのシェフが腕によりをかけて作らせたものなんですのw」

 

 そう言って皿にとり、料理を一口食べるリン。

 

「一度食べるとやめられなくなるんですのw」

 

 そう言って食べている姿を見て、伝助はドキッとしてしまう。

 

(リンさんは…… やっぱりきれいだよな……)

 

 そう思っていると、会場にいる人々が軽くざわめきだす。
 どこかのお金持ちなのか、普通に歩くだけでオーラを放っている。

 

(すごいな…… でも……)

 

 何故なのか、そんな人々を見てもあまり興奮しない。

 

(だって、リンさんのほうが……) 

 

 長いスリットから伸びるむっちり…… でもすらりと伸びた長い足。
 きゅっと締まり、そこからプリッとした桃のようなお尻と腰、
 極上の美しさを誇るリンの隣で伝助は幸せそうにしている。

 

『あら? やっぱりあの人ああいうきれいなヒトが好みなんだ』

 

 会場の隅で静かに飲み物を飲んでいた女子生徒がリンの変化を見て微笑む。

 

『ありがたいわね、ソッチのほうがヤリガイあるし……』

 

 そう言って残っていた飲み物を飲み干し、彼女は次の飲み物を手に、料理のほうへと行く。
 ざわついた会場が静まり返り、ステージに注目が集まる。

 

「これから余興のスタートですの」

 

 リンの言葉を聞いてなのか、ステージが爆発し、仮面をつけた一人のマジシャンが現れた。

 

『レディース&ジェントルマン&その他大勢の脇役もしくはモブ役の皆様』

 

 マジシャンは笑いながらそう言って手に持ったステッキで様々なマジックを見せながら、

 

『本日、この舞台を使わせてもらうマジシャンです、これから、幻想世界を見せましょう!!』

 

 仮面をつけたマジシャンはその場で様々なイリュージョンといっても仕方ないほどのマジックを
 披露していると、おかしなことに伝助は気がついた。周囲が静か過ぎる。

 

「あれ?」

 

 動いているのは…… 自分とあのマジシャンだけだ。
 まるで時を止めたかのように、すべてが停止していた。
 隣に居るリンに触れるが身動きひとつしない。

 

 

『やっと、準備できたみたいね、本当に、遅いわよ……待ちくたびれたわ』

 

 突然伝助にかけられた声の主を探すため周囲を見渡す。
 ドレスを着た女子生徒の姿を捉えた伝助は、なぜか安堵する。

 

『こんな異常事態だといえど、安堵するってことは…… 相当精神的に病んでるわね』
「まあ、だって学校には現実じゃあ考えられないブタで蒸し暑くて、醜いデブが溢れているからね、
 もしかしたら何が起きても驚かないかも」

 

 伝助の表情が、邪悪に染まる。

 

『……赤い暴走特急状態ね、まあ、どうせもう少しこんな異常状態なんだし、
 少しお話しましょうよ』

 

 そうして、無言で奇妙な動きをするマジシャンを背景に女子生徒と伝助の会話が始まった。

 

 

『では、本日のマジックショーはこれにて終焉とさせてもらいます』

 

 いつの間にか、ショーは終わりの挨拶となっており、伝助の頭は朦朧としていた。
 マジシャンはそう言って一礼し、舞台の袖へと姿を消していく。

 

「すごかったですのw」
「ええ、すごいマジックでしたね」

 

 伝助は朦朧とした意識を取り戻すべく、リンとの会話をする。

 

「あのマジシャン、何者なんですか?」
「たしか、正体不明なんですが、腕だけは超一流のヒトなのですの」

 

 そう言って二人で視線をテーブルの上に戻すと、リンのお腹がなった。

 

「お腹好きましたのw」

 

 テーブルの上にある料理を小皿にとり、食べ始めるリン。
 その様子を伝助は楽しそうに見ている。
 食べているリンの姿に変化が生じているのに伝助は気がついた。
 チャイナドレスがピチピチになっている。

 

「おいしいですの〜〜〜」

 

 

***(深層心理の記憶)

 

『あなたのお連れさん…… グレース・リンさんですよね?』

 

 止まった時間の中、ピクリとも動かないリンを見て、女子生徒は伝助に尋ねた。

 

「ええ、そうですよ」
『どんなヒト?』
「よく分からないひとですね、優しいですけど」
『ふーん、じゃあ、あの人がどんな風になったら面白い?』

 

 唐突も無く、突然の問いに伝助は混乱も無く、考える。

 

「そうだね…… 一度食べたら止まらずに食べ続けるようになったら…… 面白いかも」
『ふふ、面白いわね、でも、それって面白の?』
「ん〜〜 それなら、その場で太ったら面白いかもね、異常な速度で」
『それってどう見ても摂取カロリーをオーバーしてない?』
「わかってるよ、ただ、『そうなれば』面白いって言う話さ」
『まあ、口にした物のカロリーを増加するような事でも起きなければそうなるわね』

 

 止まった時間の中で、伝助と女子生徒の会話が続く。

 

***

 

 

 リンの食事は止まらない。
 小皿に乗せたものが口へと運ばれ、無くなればすぐに小皿に料理をのせ、上品に、でも、
 高速に料理を食べていく。
 周囲の人たちはその異様な光景に気がついていない。

 

「リンさん…… 食べすぎなんじゃ」
「そんなこと無いですのw」

 

 そう言っている側から料理を食べ続けるリン。
 その姿はほんの10分前とは比べ物にならない。
 ぴっちりとしたチャイナドレスの中に肉が溜め込まれていき、
 きゅっと締まっていた腰周りには段ができ、プリッとしたお尻は大きくなったが
 どこと無くだらしなさが出てきた。
 料理を持つ腕は2回りは太くなり、長くてすらっとした足は太く、肉付きがよい足になる。
 両手と右足につけたリングが若干食い込み始めてきている。

 

「伝助さんも食べないとなくなっちゃいますのw」

 

 ふっくらとしたやや二重顎気味になった顔で伝助に料理を勧めるリン。

 

「体が擦れてむずむずするですの」

 

 むっちりとした体をさすりながらリンは恥ずかしそうにしている。

 

 

 グレース・鈴 77(A)・55・80 → 83・80・93 
 食欲制限解除、瞬間吸収状態。

 

 

***(深層心理の記憶)

 

『でも、太ったとしても、あの人、お嬢様だし、食べ方も丁寧で、あの体型……
 砂時計の体型は維持されるんじゃない?』
「確かにそれじゃあ、面白くないね」

 

 少し、間をおいてから伝助と女子生徒は再び止まった時間の中で会話を続けた。

 

『うわ〜〜 あっさりと認める当たり、あなたも変態ね』
「そうかもね、でも、マナーとかそんなの無視で貪り食っていく姿も面白いし、
 体型も砂時計から樽…… まあそうなれば面白いね」
『お嬢様から家畜に成り下がるのもいいわね』
「あ、でもあの人の個性を殺したらダメだよ、
 あくまで上品な食べ方をやめさせるだけにしたほうがいい」
『あ〜〜 いいわねそれ、面白いわよ』

 

 その姿を想像しながら笑う女子生徒のかわいい笑い声が響く。

 

***

 

 

 空腹を押さえきれないのか、段々と食べる様子も変わっていく。
 箸を使っていたのに面倒なのか、小皿の料理を流し込むように口元へ運び、
 そのまま箸でかきこんでいく。

 

「ぬふ、おいふぃい、ですの」

 

 先ほどまで上品な食べ方だったのに……
 かきこむことによって太る速度は上昇していく。
 お腹に重点的に溜まっているのか、チャイナ服のお腹の部分がどんどんせり出していく。

 

「足りないですの……」

 

 もはや小皿を使うのがおっくうなのか、大皿の料理を直接食べ始める。
 しかも箸をつかわず、素手で直接食べていく。
 それほど急激に食べれば、太るのは当たり前だろう。
 下半身は元々が元々だったせいか、かなりの肉の量を誇っている。 
 その太さは船の大理石の柱といい勝負だ。
 素手で料理を掴み、手や顔が汚れるのもかまわず、食べる姿はもはや
 お嬢様の風貌もへったくれもなかった。

 

「むぐ、うふ、はぐ」

 

 食べることに集中しだしたのか、口数が減っていく。

 

「…………」

 

 伝助もリンの変化をただ無言で見守っていた。
 完全な洋ナシ形の肥満化はイギリス系の血筋なのかもしれない。 

 

 83・80・93→89・100・108 
 食欲制限解除、瞬間吸収状態、食事作法悪化、体質強化

 

 

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