伝助の妄想劇場7

伝助の妄想劇場・リン編2

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#エイケン

 

***(深層心理の記憶)

 

「でも、太らすだけって最近じゃねぇ……」
『あれ? そう言うことをいうってことは今までのことは記憶にあるんだ?』

 

 意外なことに女子生徒は驚いている。

 

「いや、無いよ、殆ど…… ただ、今だけはそのときの記憶があるみたいだね」

 

 その言葉を聞き、女子生徒はステージの上で踊るマジシャンのほうを見る。
 仮面で隠れた目元では表情が読み取りにくいが、口元がかすかに笑うのを見逃さない。

 

(……そう言うことか)

 

 あくまで自分に任せるだけで、その他の細工は彼がするのかと女子生徒はため息をはく。

 

『まあ、でも、食べるのが止まらなくて、食べたら即座に太って、
 とどめにマナーとか無視の状態は面白そうだけど、これ以上どうするの?』
「体格かな?」
『体格??』

 

 流石に予想外の答えだったのか、女子生徒は理解できなかったようだ。

 

「うん、もともとの体格が細長いヒトだから、それを横長……
 うん、縦に縮めるとよりいっそう太ったのが協調されないかな?」

 

 にこやかに笑う伝助の姿に女子生徒は軽く恐怖を覚えている。

 

「僕をいつも見下ろしているヒトが、僕を見上げて、かつ、
 全身に肉を纏っているなんて考えるとね、面白いよ、いや、楽しいよ」
『……外道だ、完全に鬼畜がいる』

 

 壊れた伝助の妄想に女子生徒は絶句した。

 

***

 

 

 ソースまみれで食べ続けるリンの姿がさらに変化している。 
 完全に下半身の肥大化はとまることが無く、チャイナ服が破けだす。
 しかし、破けた先からチャイナ服は直り、その表面積を増やしていく。
 机にお腹がめり込み、天板を腹と足で挟み込む。

 

「……リンさん、大丈夫?」

 

 もはや、伝助の気遣いにも気がつかないほどリンは食欲に支配されていた。
 リンの姿が段々と、小さくなっていく。背が、縮んでいるのだ。
 先ほどまでは背の高さがあってそこまで(?)目立たなかったのに
 今では全身の肉が横に広がり、醜く強調されていく。
 伝助よりも小さくなったリンの姿をみて、伝助は哀れとも思える感情を抱き始める。
 それと同時に自分より背が高かった人間に対するコンプレックスが爆発しそうになっている。

 

「チビ、チビデブだな」

 

 伝助は、それを見下ろし、嘲り笑う。
 短くて太い足、いや、太すぎる足はもう歩行を困難にするほどで、
 まるでペンギンが体を左右に振りながら歩くようにしないと歩けないだろう。
 盛大に膨れ上がったお腹は下半分はかろうじて地面についていないが、時間の問題だろう。
 その上にある胸は元のサイズが控えめだったためなのか、ふくらみが少なく、
 お腹の上に乗らずにすんでいる。
 豊満だったお尻はだらしなく膨れ上がり、そして垂れ下がり、その体積を増やしていく。
 丸くなった顔はさらに各パーツを肉で生めていき、顎はもう蛇腹のようになり、
 肉の溝にソースがしみこみ、口の周りには食べかすが付着している。
 料理を掴む腕は目の前にあるブタの丸焼きの幅と同じくらいの幅があり、ぶよよと揺れ動く。

 

 あの上品でスレンダーなチャイナドレスの美女はもういない。
 目の前にいるのは肉だらけの汚らしい、チビデブだった。
 似合いもしないチャイナドレスを身にまとい。食べ物に執着するお嬢様。
 人生生まれてからいいものばかり食べてきた末路というのはこういうものだろう。
 動けなくなるのも時間の問題だ。

 

 89・100・108 → 90・500・600 身長170cm→ 140cm
 食欲制限解除、瞬間吸収状態、食事作法悪化、体質強化、体型変化(縦方向縮小)

 

 

***(深層心理の記憶)

 

『想像を絶するわね』

 

 これまでの伝助の妄想の方向性を聞きながら女子生徒はあきれ果てる。

 

「そうかな? 結構簡単に妄想できるよ」

 

 そう言って笑う伝助。

 

『そっか、ならそろそろ時間になりそうだからお話はこれくらいにしておこうかしら?』

 

 ステージの上で踊る? マジシャンの体力も限界なのか、
 動きが段々と遅くなっているのを確認しながら女子生徒は言う。

 

『その姿を想像してみて?』

 

 伝助はその姿を想像していく。
 虚空に半透明な白いもやが生まれ、もやがカタチを無し、リンの姿に変わる。

 

『さて、ここからね』

 

 そのリンのシルエットをかたどったもやのカタチが歪んでいく。

 

『後は、っと』

 

 そのもやを指さし、女子生徒はもやを動かないリンに飛ばす。
 もやはリンに吸い込まれ、もやが弾き飛ばすかのように何かがリンの体から出てくる。

 

『これは私がもらっていくね』

 

 その何かを手に入れ、女子生徒は笑う。

 

***

 

 

 食べ続けるリンは気がついた。
 自分の食べ方の異常性に、
 自分の体に感じる異常な重量感に、
 自分の姿の異常性に、

 

「……い、いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ですわ!!」

 

 誰も、リンの悲鳴に反応しない。

 

「どうしたの? リンさん、そんな大声上げて、耳障りだな」

 

 ただ一人、伝助を除いてだが……

 

「何? ナンなのですの? こ、この体……」

 

 錯乱するリン。

 

「何って、あなたの体ですよ?」

 

 醜い肉の塊を、脂の乗った肉を伝助は見おろしている……いや、見下している。

 

「そのお腹も……」

 

 そう言って、伝助はリンのチャイナ服に包まれ、前方にせりでた巨大でしまりの無いお腹を触り、
 臍で生まれたラインにそって指を動かす。

 

「その腕も」

 

 そう言って、ほっそりとした手首から一気に広がり、肘で一度わずかにくびれ、
また一気に広がっている腕をつまむ。

 

「そのお尻も」

 

 そう言って、垂れ下がり、膝裏まで垂れ下がった巨大な尻を叩き、

 

「その足も」

 

 短く、いくつものヒダになり、足首から下が隠れてしまうほど脂を溜め込んだ足を握り締め、

 

「その顔も」

 

 元々あいているのか分からない目をさらに判別しにくくし、
 もとの顔より膨れ上がった頬をつっつき、
 それだけで座布団かと思ってしまうほどの顎をたっぷんたっぷんとさせる。

 

「全部あなたの体ですよ?」
「ち、違う!! 違います!!」

 

 必死に否定し、伝助から 離れようとするが、体が重く、動けない。

 

「いつも、上品で、僕を見下ろして、笑っていましたね」

 

 でも…… そう言って伝助は近くのテーブルに載せられた牛肉のサーロインステーキを
 投げつける。
 リンの近くに落ちたステーキを見て、リンの口からはよだれが出る。

 

(な、なんですの…… よだれが……)

 

 頭の中でそう考えているのと同時に体が動く。
 重い体を左右に揺らし、ステーキに近づく。
 お腹が邪魔で届かないのに、必死に、ステーキを食べようと前にかがむ。

 

「ははは、そんなに必死にならなくても、あなたの家のシェフが
 こんなにたくさんステーキを焼いてくれましたよ」

 

 テーブルの上に乗せられたステーキの山を見せられ、リンは必死にその山に近寄る。
 脂まみれになることをかまいもせず、よだれと汗を豪華な絨毯に撒き散らしながら貪り食う。

 

(いや、こんなの……)
「いやですわ!!!!!!!!!!!」

 

 理性と本能が噛み合わず、パニックになり、食べながら涙と鼻水が顔から流れ出す。

 

「大丈夫ですよ、どうせ後少しすれば船も港に着きます。
 そうすればそんな思いもしませんよ、でも……」

 

 そう言って食べ続けるリンの腹を軽くふみ、伝助はその腹に座る。
 音を立ててさらに太り、骨がきしむ音と共にリンの背がさらに縮む。
 もう、一番小柄なキョウコよりもチビになっている。
 体は脂体質になり、テカる。
 肌もそんな肉料理を食べているせいか、荒れ始め、顔にはにきびがいくつもある。

 

「いや…… いや… ですわ……」

 

 貪りながら体に起きる絶望的な変化にリンの心が壊れだす。

 

「そんなに気にしなくてもいいよ、だって、ほら」

 

 周囲を見渡す伝助につられ、リンも口を肉汁で汚しながら、口に肉を頬張りながら周囲を見た。
 そこには豪華なドレスを着た醜い女性達が競い合うかのように料理を食べ続けている。
 ある者は、ドレスが汚れるのもかまわず、
 ある者は残骸となったドレスを身に纏いながら、
 ある者は連れている従者に料理を口に運ばせながら、
 どいつもこいつも肥え太っている。

 

「この船にいるのは、醜いデブの成金ばかりだから、気にしなくてもいい」  

 

 伝助は凶悪に笑いながら、今もまた肥大化し続けるリンの腹ベットの上で笑った。

 

 

 船が港に戻り、参加者達はみなクレーンで船から下ろされていく。

 

「リンさん、気をつけてくださいよ」
「はい、分かってますの」

 

 コンクリートの港に陽炎を作りながらリンと伝助は歩いていく。
 傍目から見ればあまりにも奇妙なカップルだろう。
 伝助の胸元ほどしかないのに、全身のあらゆる箇所に堕肉を身に纏い、
 あらゆる肉と肉が押し合い、揺れるからだ。
 全身が脂ぎって光、汗を滴らせながら歩く姿は物理法則を無視している。
 両手首と太ももに埋もれ、わずかに見えるリングが彼女の醜い太さを強調させ、
 短い足を必死に前に前にと、すり足のようにしてあるリンの口には肉が頬張られている。
 そんな体を包み込む特別製のチャイナドレスはソースや肉汁で汚れ、
 生地は痛み、色あせ、裂け目から肉がはみ出す。
 チャイナドレスの本来の魅力であるスリットからは限界まで引き伸ばされた下着と
 だらしなく太くて短い足が見えるだけだ。

 

「お迎えが着てるよ、急がないと」

 

 そう言って、巨大なトレーラーのような車に向って急がせる伝助。

 

 90・500・600 140cm →130(AAA)・600・700 125cm
 食欲制限解除、瞬間吸収状態、食事作法悪化、体質強化、体型変化(縦方向縮小)
 脂体質、成人病予備軍、肌荒れ

 

 

『ねえ、どうかしら?』

 

 もぬけの殻となった夜の豪華客船の中で女子生徒はくるりと一回りする。

 

『まあ、いいんじゃないか?』

 

 仮面をつけたマジシャンの格好をしたままの男子生徒は素っ気無く言う。

 

『あ、ひど〜〜い、せっかく、あのスレンダーな体を奪ったんだからもっと見てよ』

 

 女子生徒の姿は変わっていた。
 長い足にむっちりとしたお尻、子ぶりながらきれいな乳房。
 あのリンの本来のプロポーションを我が物にした女子生徒は楽しそうだった。

 

『でも、何でまた記憶を書き換えたの?』
『何、そろそろこの世界にいられる時間も短くなってきた、最後の祭りを楽しむための下準備さ』

 

 男子生徒はそう言って仮面をはずし、懐から別の仮面を取り出しつける。
 金色の仮面をつけた男は口元を歪ませる。

 

『ここまで大規模なお楽しみは久々だ、さあ、宴の最終幕の始まりだ』

 

 夜の闇の中、男子生徒は指をはじき、夜の闇にその音を響き渡らせる。

 

『あ、胸大きい子、残しておいてね、醜くする前に奪うから』

 

 

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