710氏その2
#読者参加型
/二階・勉強部屋を探す
ドス、ドス、ドス、と… 暗闇に包まれた館に、鈍い音が響く。
その音は規則正しく… 時折鳴り止みながらも、なり続けていた。
音の源は、無論… 最早、見る影もなくなってしまったランジェの足音、である。
「はぁ、はぁ… んごっ、ん、はぁ…っ」
ほんの数メートル歩くたびに荒く息を吐き、壁に手を付きながら立ち止まるその姿に、
最早元の彼女の面影はない。
巨人族とは思えない程に縮んでしまった身長と、それ以上にまるで豚… 否、
それ以上に肥えてしまった身体…
それに、特徴的な耳に、ベビー服と言った奇異な姿は、
下手をすればトロルの赤子と判断されてもおかしくないほどで。
しかしながら、ランジェは鼻を時折苦しそうに鳴らしながらも、一歩一歩、
踏みしめる様に館を探索していた。
普通ならば1分もかからない所を10分以上かけて進み、
肉の塊のような身体をたぽんたぽんと波打たせ、全身を汗で濡らしながら歩くランジェ。
そんな彼女の目の前を…不意に、白い人影が通り過ぎた。
「…っ、ぜぇ、は…っ、はぁ… ま、待て、ぇ…」
眼の前を通り過ぎた人影を追いかけようと、必死に身体を揺らしながら走るランジェ。
しかし、短くなった足に肉の塊のようになってしまった身体では追いつくことは愚か、
まともに走る事さえできずに… 白い人影はそれをあざ笑うかのように、
スゥ、と奥の部屋の扉の前で消えてしまった。
荒く息を吐きながら、その部屋の前まで辿りついたランジェの耳に、
不意に、可憐な少女の声が届く。
『…いらっしゃいな、ランジェ…』
「…っ、は、ぁ…っ、ん、ご… その、声、は…」
少女の声に、はっとした表情になったランジェは… 迷う事なく、扉を開けた。
部屋の中は広く…まるで学校のように整然と机が並び、壁には黒板まで飾られていて。
突然別の世界へ迷い込んでしまったかのような錯覚を覚えながらも、
ランジェは教壇に腰かけている、見覚えのある少女を見据えた。
「…ん、ぁ… エヴァン、ジェ…」
「あら、覚えていてくれたのね… 光栄だわ、ランジェ♪」
ランジェの言葉に気分を良くしたかのように、少女…
エヴァンジェは嬉しそうに笑みをこぼしながら、上品に挨拶をしてみせる。
そして、ランジェの姿を頭から足先まで見ると、クスクスと、嘲笑った。
「ふふ…っ、随分と無様な姿になっちゃったわね、ランジェ?
巨人族の中でも1,2位を争う戦士だったとはとても思えないわ…♪」
「…っ、だ、黙れ…っ! エヴァンジェ、何故だ… 何故、こんな事を…」
エヴァンジェに嘲られたランジェは羞恥に顔を真っ赤に染めながらも、そう問いかける。
ランジェからしてみれば、エヴァンジェに此処までされる覚えはないのだから、ある意味当然だ。
しかしエヴァンジェはきょとんとした表情を浮かべ… そして、やれやれと肩を竦めて見せる。
「ふぅ… まあ判ってないとは思っていたけど、実際その言葉を聞いてしまうと少しショックね…」
「な… 私が、お前に… 何か酷いことを、したのか…?
私は、エヴァ… お前に… 酷いことなんて…」
「そうね、貴女にとって酷いことはしてないわ… でも、私は酷く傷ついたのよ?」
少し悲しそうにしながら、教壇から降りて…
エヴァンジェは、一歩ずつ、ランジェに歩み寄り始めた。
ビクッとランジェは体を震わせると、後ずさる。
しかし何しろ今のランジェは目の前の少女よりも小さく、何よりも足が短い。
あっという間にエヴァンジェはランジェの眼前まで迫り… そして、顔をのぞき込んだ。
「私は貴女を守りたかったのに… 真っ直ぐで愚かで、直情的で…
強い貴女を、守ってあげたかったのに… あんな事、言うんだもの…」
「何を、言って…っ」
そっと、愛おしむかのようにエヴァンジェはランジェの柔らかな頬を撫でて。
にこり、と… まるで慈母のような笑みを浮かべると、ランジェに口付けた。
「ん… ちゅ、ん…」
「…っ、ん、…ん、ぅ…っ」
余りに突然の事に目を白黒させながら、ランジェは抵抗する事すら思い浮かばずに…
そして、突然襲い掛かってきた強烈な眠気に、カクン、カクンと頭を揺らし始める。
そんなランジェの様子を見ると、エヴァンジェはゆっくりと唇を離し…
そして、語りかけるように言葉を紡いだ。
「だから… 貴女に、守られる悦びを… 芯から、刻みつけてあげるわ…」
エヴァンジェのその言葉を最後に…ランジェは、意識を手放す。
エヴァンジェはその様子にほくそ笑みながらランジェの首輪に触れると、
歌うように呪文を紡ぎ始めた。
/???
キーンコーンカーンコーン… と言う、機械的なチャイムの音に、ランジェの意識が覚醒し始める。
薄く目を空けると、木製の天井が目に入った。
ぼんやりと寝ぼけた頭で横を見れば、窓の外には青空が広がっている。
ザワザワ、と言う人の声に目を向ければ、目の前には10歳は愚か、
5歳程度の子供たちが机に座っていた。
どうやらランジェは教壇の上で寝ていたのか、丁度子供たちを見下ろす形で。
夢なのか、と寝ぼけた頭でランジェは考えて、自分の姿を見る。
…そこには先程と変わらない… ベビー服に包まれた、肉の塊である自分が映っているだけだった。
その姿が目に入った瞬間、思わずランジェの意識は覚醒し…
そして、木製校舎の独特の香りと、手に触れているリアルな木の感触に、ハッとなって起き上がる。
「な…っ、こ、これは一体…!?」
「はいはーい、それじゃあ授業を始めるわよー?」
混乱するランジェの頭上から、聞き覚えのある少女の声が響いた。
見上げれば、そこには… メガネをかけた、教師のような格好をしたエヴァンジェの姿があり。
子供たちはエヴァンジェの言葉に、はーい、と無邪気に答えながら前を向き…
そして、エヴァンジェと、ランジェを凝視した。
「え、エヴァ、これは一体…」
「今日の授業は何だったか覚えてるかしら?」
「ほけんたいいくでーす!」
ランジェの言葉はエヴァンジェの言葉に遮られ、かき消される。
子供たちは無邪気にエヴァンジェの言葉に答えた。
「今日は前回の続き… 前回は赤ちゃんはどこから来るの? だったから、
今回はもう一人の先生に協力して貰って、赤ちゃんの世話の仕方について勉強するわよ♪」
「はーい、エヴァンジェせんせー! もう一人の先生ってどこにいるんですかー?」
エヴァンジェの言葉に口を揃えて、子供たちはそう返す。
そんな子供たちにエヴァンジェは笑みをこぼし…
そして、教壇の上に座っていたランジェの両肩を、掴んだ。
「此処よ、此処… こんな格好してるけど、この人はランジェ先生って言うの。
ほら、皆挨拶して?」
「えー、うっそだー! どう見たってまだこどもじゃん!」
「そーだよー、それに赤ちゃんみたいなかっこうしてるしー!」
「…あ…ち、ちが…っ、これは…」
子供たちから口々に批難… と言うよりは感想、と言うべきか。
それを言われる度に、ランジェは怯える様に震えながら、否定をして。
しかしエヴァンジェはランジェの頭をなでると、微笑みながら口を開いた。
「人を見た目で判断しちゃダメよ? ランジェ先生はこう見えても私と同い年なんだから、ね?
それに今日は赤ちゃんの世話の仕方を皆に教える為に、わざわざこんな格好してるのよ?」
「あ、そーなんだー… ごめんなさい、ランジェせんせー…」
エヴァンジェの言葉にしゅんとして謝る子供達に、ランジェは言葉を返せずに…
異常な事態に放り込まれているからか、正常な思考を失い始めていた。
「それじゃあ、皆前に集まってー! 先ずは赤ちゃんの身体について、
ランジェ先生に触って学んでみましょう♪」
「はーい! じゃあランジェせんせー、触らせて、触らせてー♪」
「え… な… ま、待て、何を…っ、んぁ… は、ふぁ…っ、んあぁ…っ!」
そして、エヴァンジェの言葉と同時に、子供たちはランジェの周囲に集まり…
そして、徐々に… 無遠慮に、ランジェの身体を触り始める。
妊婦のように突き出し、しかし三段に割れた腹も… 巨大とも言える尻肉も…
それに合わせて、丸太のように膨れ、短くなった手足も… 肉の弾が出来た脇腹にも…
そして、顔にまで、子供の小さな手が這いずり回り。
その異常な事態にも関わらず、ランジェはタプンタプンと全身を波打たせながら、
どこか甘い声を漏らしていた。
「わー、ランジェせんせーの身体、やわらかーい♪」
「あはは、お腹とかたぷたぷしてて気持ちいいや♪」
しかしそんなランジェの様子にもお構いなしに、子供たちはランジェの身体を触り、握り…
時折揺らし、楽しんで。
「ねえエヴァンジェせんせー、直接触っちゃダメなのー?」
「んー… そうね、後で脱がせるんだし… 良いわよ、直接触っても♪」
「ま、待て…っ、ん、ふぁ… そんなこと、出来るわけ…っ!?」
エヴァンジェの言葉にランジェは抵抗しようとするが、何故か…
ただ子供達に触れられているだけだと言うのに、身動きが取れず…
子供達が喜びながら服に手をかけると、あれ程脱げなかったベビー服は
いともたやすく脱がされてしまい。
そして、それと同時に、ベビー服に押し込まれていた肉が、溢れる様に弾け出て。
そんなランジェの身体に、子供たちはまるで楽しい玩具でも渡されたかのように、目を輝かせた。
「わあ、ランジェせんせーのからだ、すっごーい♪」
「たっぷたぷしててきもちいいし、さいこー♪」
「ひ、ぁ…っ、んぁぁ…っ、や、やめ… ん、ふうぅっ!!」
弾け出た腹肉を揉み込むように、子供たちはぶにぶにとランジェの身体を弄ぶ。
ランジェはその度に甘い声を漏らしながら、体を捩る事しか出来なかった。
そうして、そんな様子に満足そうに笑みを浮かべると、エヴァンジェが口を開く。
「ん… それじゃあ、そろそろ赤ちゃんの世話の仕方についてお勉強しましょうか。
先ず赤ちゃんに必要なのって、皆は何か解るかしら?」
「おむつー!」
「おもちゃー!」
「おっぱい! おっぱい!」
「おしゃぶりー!」
エヴァンジェの言葉に、子供たちは思い思いの言葉を放った。
…まさか、とランジェは思わず顔を青く染める。
「そうね、正解よ♪ それじゃあこれから、それを使ってランジェ先生を世話してみましょう?」
「はーい、エヴァンジェせんせー♪」
「な…っ、じょ、冗談じゃない! ふざけるな、誰がそんな事… んぶぅっ!!」
大声で反論しようとするランジェの頬を、エヴァンジェは徐に掴み… 言葉を遮った。
肉で口内が圧迫され、声が出せないランジェに、エヴァンジェはそっと囁きかける。
「…ふふ、無駄よ、ランジェ… 無力感に、堕ちなさい…♪」
その言葉に、ランジェは背筋を震わせた。
まるで、本当に自分が無力になってしまったかのような感覚に心が揺れる。
「それじゃあ、先ずはオムツから行きましょうか♪
皆でランジェ先生にオムツを穿かせてあげましょうね♪」
「はーい♪」
「…っ、や、やめろ、やめろとっているんだ、やめ…っ!!」
必死に抵抗するランジェだが、子供たちはランジェに群がると足を開かせて…
本来ならば子供の力などに負ける筈はないと言うのに、
ランジェはそれを疑問に思う余裕さえなかった。
そして、下半身を軽く持ち上げられたかと思うと、柔らかい何かの上に卸される。
ランジェが視線を下ろせば… ランジェは既に、ランジェのサイズに合わせたのだろう、
大きな紙オムツの上に、巨尻を乗せられてしまっていた。
「や、やだ、嫌だっ! やめろ、やめろぉぉっ!!」
「はーい、おむちゅはきましょうね〜♪」
まるでランジェの叫び等聞こえていないかのように、子供たちはランジェに
赤ちゃん言葉で話しかけながら、紙オムツを穿かせていく。
テープでしっかりと止めると… ランジェの巨尻は、完全に紙おむつに包まれてしまった。
しかも、まるで始めから継ぎ目など無かったかのように…
テープの跡も消え、はずせなくなってしまう。
「あ… あ、あぁぁ…」
「わぁ、ランジェせんせーかわいー♪」
「ランジェせんせー、にあうー♪」
絶望するランジェに、子供たちは思い思いに嬉しそうな声をあげて。
そして、その様子にエヴァンジェは笑みを浮かべると、口を開いた。
「ふふ、それじゃあそろそろ、ランジェ先生の事を赤ちゃんだと思って接してみましょうか♪
ほら皆、ランジェ先生を可愛がってあげましょうねー♪」
「はーい、エヴァンジェせんせー♪」
子供たちはエヴァンジェの言葉に元気に返事をすると…
思い思いの物を持ち、ランジェを囲むように集まり始める。
何時の間にか、ランジェは教壇の上にではなく、子供達が見下ろせるような、
大きな赤子用のベッドに寝かされていた。
しかしそんな事にさえ、絶望し、混乱の渦に叩きこまれたランジェは気付かずに…
これから自分に降りかかるであろう事に、恐怖していた。
「ほーら、ランジェちゃん♪ ガラガラでちゅよ〜♪」
「や、やめろ…っ、いい加減に…っ!!」
「あれ、ランジェちゃん怒ってるー… あ、そっか♪ お腹が空いちゃったんだね?」
女子の一人がぽん、と手を合わせながら納得すると…
恐ろしく重量のあるランジェを抱え、まだ発達もしていない胸元へと、ランジェの口を押し当てる。
ランジェは必死に振り払おうとするも、まるで万力のような子供の力に抵抗出来ずに、
無理やり女子の乳房を口に含まされてしまった。
「ん…っ、んーっ!?」
「ほーら、ままのおっぱいでちゅよ〜♪ おいしいでちゅか〜?」
まるであやすように、ランジェの身体を抱えながら、女子はゆらゆらと体を揺らして。
その度にランジェの身体はたぽんたぽんと波打ちながら…
しかし、次第に思考に靄がかかり始めていた。
それだけではなく、あり得ない事に…
まだ年端も行かない子供の乳房から、甘い物が染み出し始める。
ランジェは息苦しさを感じながらも、口の中に感じる、
甘露のような何かを無意識のうちに吸い始めていた。
「ん…っ、ん…」
「あは、ランジェちゃんったら吸ってる吸ってる♪ かわい〜♪」
「ほらほら、ガラガラもありまちゅよ〜♪」
ガランガラン、という音にランジェは何の気なしにガラガラに目を向けて…
そして、何故か、混乱していた自分の頭が落ち着いていくのを感じていた。
おかしい、こんな事はおかしい、早く逃げなくては! と、
思考の片隅で警報を鳴らし続けていても、ガラガラの音色を聴いているだけで、
徐々にその警報さえ薄れていってしまう。
そして、女子が満足したのか、ランジェの頭を胸から離すと…
ランジェは思わず残念そうに、声を漏らしてしまった。
「ぁ…ん、ぁ…」
「ふふ、そんなにわたしのおっぱいが気に入ったの、ランジェちゃん?
…はずかしくないのかなぁ、もう立派な大人なのに♪」
クスクス、と。突然、今まで無邪気だっただけの子供たちの言葉に、
いじめるような言葉が混ざり始める。
その言葉にランジェは思わずはっとして… 今の自分を思い返したのか、羞恥に顔を赤らめた。
「…っ、こ、これは… これは、違うんだ… こんなの… 何かの、間違い…」
「間違い? 間違いなんかじゃないよ、だってランジェちゃんったら
、夢中になっておっぱい吸ってたじゃない♪」
「まったくもう、いい大人のくせして甘えん坊さんなんだから♪ ほら、げっぷしましょうね〜♪」
「う、ぁ… けぷ…っ」
必死に反論しようとするも、女子達の言葉にあっさりと遮られ。
そして、背中を軽く揺すられると、女子の言葉通り、げっぷまでしてしまった。
そんな自分が恥ずかしくてたまらないのか、ランジェは耳まで赤く染めながら、俯いて。
「でもさ、ランジェちゃんって実は本当は豚の赤ちゃんだったんじゃない?
だってさ、こんなにプクプク肥ってて、オムツも付けて、おっぱい欲しがって…♪」
「ちが…っ、違う、私は赤ちゃんなんかじゃない!!」
「それじゃあ、ランジェちゃんはなんなの?」
子供の言葉に反論するランジェに… 子供たちは、口を揃えて、そう言った。
何処か冷たい視線を向けながら… 全員が全員、ランジェをしっかりと見据えて。
そんな子供たちの様子に、ランジェは思わず背筋を凍らせる… が、口を開いた。
「…っ、わ、私は… 私は、巨人族の戦士… 巨人族の戦士、なんだ!
赤ちゃんなんかじゃ、ない!!」
「へー、巨人族の戦士なんだ、ランジェちゃんは♪
それじゃあさ、私たちみたいな子供なんて一ひねりだよね?」
ランジェの言葉をバカにするかのように、子供たちは問い返す。
そんな子供たちの様子に、ランジェはムキになって口を開いた。
「あ、当たり前だっ!私が本気を出したら、君らなんてあっという間に…」
「それじゃあ、勝負しようよ♪ この教室で鬼ごっこしよ?
私たちの内、一人でも捕まえられたらランジェちゃんの勝ちって事にしてあげる♪」
「…良いだろう、遊んでやろうじゃないか」
子供たちの提案に、ランジェは二つ返事でそう答えた。
そんなランジェの様子に、子供たちはクスクスと、気味の悪い笑い声を漏らして。
「じゃあ、はーじめっ♪」
「…っ、すぐに捕まえ、て…っ!?」
そして、子供の声を合図に、きゃーきゃーと可愛らしい声を上げながら、
子供たちは教室を走り回り始めた。
ランジェもすぐに捕まえてやる、とベッドから降り、走りだす… が、
思ったように走れずに、思わず尻もちを付いてしまう。
紙オムツが動きの邪魔をしているのか、ふらふら、ふらふらと… 子供達が歩くのと、
同じ程度の速度でしか走れずに、ランジェの手は悉く空を切ってしまっていた。
「はぁ、はぁ…っ、ん、ぶぅ…っ、ま、まて…っ」
「ほらほら、おーにさーんこーちらっ♪」
必死に走るランジェをからかうかのように、子供たちはランジェの前をヒラヒラと走り回る。
ランジェは必死になって手を伸ばすが、その度に空を切り… そして、
全身の肉をたぷんたぷんと波打たせて。
あっという間に息を切らせながら、息苦しさに鼻を鳴らし…
子供たちさえも捕まえられない、自分の非力さに、打ちひしがれ始めていた。
「ん、ごぉ…っ、ま、待て… まってぇ…っ」
「ほらほら頑張って、ランジェちゃん♪ あとちょっとで手が届くよ〜… はい残念♪」
次第にランジェは、子供たちに懇願するように言葉を放ち、息を切らせ、足をフラフラとさせながら…
走る事も出来ず、歩き始めて。
子供たちはそんなランジェをおちょくりながら、捕まる寸前で身を翻す。
そして、限界だったのか、とうとうランジェは床に手を付き… そして、倒れ込んだ。
「…っ、ぜひっ、ぜひぃ…っ、ふ、ごぉぉ…」
「はい、ランジェちゃんの負け〜♪」
倒れ込み、鼻を鳴らしながら必死に息を吸うランジェを子供たちは取り囲むようにして、見降ろす。
子供たちは皆、子供とは思えない程に嗜虐的な笑みを浮かべており…
それを見たランジェは、小さく悲鳴を漏らした。
「それじゃあランジェちゃん、なんていえばいいか解るよね?」
「ん、ごぉ…っ、あ、あかちゃんだ、とでも、言えば… 満足、なのか…?」
「ぶー、そんなんじゃダメだよぉ、だってランジェちゃんはあかちゃんじゃないんでしょ?」
意地悪そうな笑みを浮かべながら、子供たちはランジェにそう言い放ち…
そして、耳元でそっと囁いた。
囁かれた言葉に、ランジェは絶望したような表情を見せる。
「ば、馬鹿な…っ、ふ、ひぃ… そんな、こと… 言える訳…」
「あれぇ、ランジェちゃんって大人なんでしょ? 大人なら約束守れるよね?」
「…っ、く…」
悔しさと情けなさ、そして羞恥に目尻に涙を溜めながら… 諦めたように、ランジェは口を開いた。
「…ら、ランジェ、は…」
「ランジェは?」
「ランジェ、はぁ…っ、子供にも、勝てない… 赤ちゃん以下の、子豚、です…っ、ぶ、ひぃ…っ」
「良く聞こえないよ? はい、もう一回♪」
「ランジェ、は… 子供にも勝てない、赤ちゃん以下の、子豚… です… ぶ、ぶひ、ぃ…」
「聞こえないって言ってるでしょ? ほら、もっと大きな声で♪」
「…っ、ランジェは、子供にも勝てない、赤ちゃん以下の子豚ですぅっ!!
ぶひっ、ぶひいぃぃっ!!!」
子供たちに促されるように、ランジェは… 大きな声で、恥も外聞もかなぐり捨てたセリフを放ち…
そして、豚の鳴き真似をしてみせる。
ランジェの表情は屈辱に歪み、涙と汗、それに唾液で濡れていて…
それに満足したかのように、子供たちはランジェの頭を撫でた。
「そうそう、よくいえました♪ それじゃあ、これはご褒美だよ?」
「え… ぁ…っ、ん、ぐむぅ…っ」
口の中に、突然柔らかに何かを押し込まれる。
…手で触れてみれば、それは大きなサイズのおしゃぶりだった。
吐きだそうとするも、口もうまく動かず… 何故か、吐き出す事が出来ない。
「ん、む… んむうぅ…っ」
「ごめんね、いじわるしちゃって… でもいい運動になったでしょ、ランジェちゃん?」
女子の一人がランジェを抱き上げると、ゆりかごのように揺すりながら…
ランジェに謝る様に、そう呟く。
ランジェはおしゃぶりのせいで呻く声しか漏らせなかったが…
しかし、揺すられていくと、怒りが、屈辱が薄れていくのを感じていた。
傍らには、ガランガランと、ガラガラを鳴らす子供もいて、その音色にランジェの怒りは消え…
逆に、安堵がこみ上げ始める。
「はーい皆良くできました♪ それじゃあ、ランジェちゃんをそろそろ寝かせてあげましょうね♪」
「はーい、エヴァンジェせんせー♪」
今まで何処にいたのか、笑みを浮かべるエヴァンジェの声に従うように、
女子はゆっくりとランジェをベッドに降ろし、そして頭を撫でた。
子供に撫でられただけだと言うのに、ランジェはなぜか頬を綻ばせて。
そして、エヴァンジェは足先からゆっくりと、あのベビー服をランジェに着せて…
そして、そっと抱きあげる。
気がつけば、教室に子供の声はなく… ただ、エヴァンジェとランジェだけが、そこにいた。
「ふふ… どうかしら… 甘えたりするのも、悪くないでしょう…?」
「ん、ぅ…っ、ぅ…」
おしゃぶりのせいで呻くことしか出来ないランジェに苦笑しながら、
エヴァンジェはランジェの口からおしゃぶりを取る。
それと同時に、どこか熱っぽい吐息を吐きながら、ランジェは… 口を開いた。
「…どう、して… こんな、事…」
「別に深い理由なんて… そうね、復讐と… それに、貴女を私のモノにする為、かしら…♪」
「どういう、意味… だ…」
ガランガラン、というガラガラの音色に、ランジェはうつらうつらとしながらも、
呟くように問いかける。
そんなランジェの様子に笑みをこぼしながら…
エヴァンジェは優しく、ランジェの腹肉を、揉み込むようにし始めた。
「ん、ぁ…っ!?」
「…この身体になって… もう貴女は、戦士なんかじゃなくなった… そして、ランジェ…
あなたには、私みたいな魔力もない… ふふっ、ただの無力な子ブタちゃんになったのよ…♪
そんなあなたを守ってあげたいの… それが、意味よ」
「く、ぅ…っ、そんな、意味のわからない、理由で…っ、少年は… どうし、た…」
「あの子なら無事よ? 元より貴女さえ、無様に堕ちてくれるなら私はそれで良いんだもの…
でも…」
ランジェはエヴァンジェの言葉に、ホッと胸をなでおろす。
しかし、エヴァンジェはさらに続けるように、言葉を紡いだ。
「まだ貴女には、そんな事を聞くほどの余裕があるんだもの…
それじゃあ、きっと貴女は守られてくれないから… だから…」
トン、と、エヴァンジェはランジェの額を指で叩く。
それと同時に、ランジェの意識は強烈な眠気に蝕まれて。
「…もっと、もっと… そう、豚じゃなくても良いわ。貴方の心を、体を…
もっともっと、堕として… 私が居ないと、自分じゃ何も出来ないように、してあげる…♪」
エヴァンジェの、そんな言葉を最後に… ランジェは、意識を手放した。
/二階・勉強部屋
不意に…ひんやりとした風に、ランジェは薄く目を開く。
目の前に広がったのは、学習用だろうか、子供用の机が2つ置かれているだけの、
小さな… 古びた小部屋の風景だった。
「…っ、く… さっきまでのは、夢…っ!?」
そう言いながら、起き上がろうとした瞬間…
先程までの事が夢ではない、と言うかのように、ランジェは下半身に違和感を感じる。
視線を下半身に向ければ、そこには… ベビー服に包まれながらも、
はっきりと自己主張をする、紙オムツが… しっかりと、穿かされていた。
それは、さっきまでの事が夢でないと示しているかのようで…
それと同時に、別の違和感も覚える。
「…? 首輪が、無い…?」
そう、いつの間にか… 首から外れなかったあの呪いの首輪が無くなっていたのだ。
はっとしたように耳に、尻肉に手を這わすと…
耳は元の人の形に戻り、しっぽまで無くなっていた。
果たして喜ぶべきなのかはまだ分からないが、それでも、ランジェの表情は歓喜に包まれて。
そうして、部屋から出ようと、よたよたと頼りない足取りで進もうとして…
がらんがらん、という音に思わず背筋を震わせた。
見てみれば、ナイフを入れていた筈の袋には、ガラガラとおしゃぶりだけが入っていたのだ。
部屋を見回しても、ナイフは影も形もなく。
ガランガランと音を立てるガラガラに、苛立ちをぶつけるかのように投げ捨てようとして…
その手が止まる。
「…まあ… 捨てる事は…ない、か…」
ガランガラン、と言う音が聞こえる度に、ランジェの心からは苛立ちが消え…
そして、なぜかガラガラを懐にしまうと、がらんがらんと音を立てながら、彼女は部屋を後にした。
/ステータス変化
・パルヴァ=ランジェ(種族・巨人族(豚30%))
年齢:15歳
身長:145cm
体重:165kg
3サイズ:120・140・155(重度肥満)
装備:ナイフ・呪いの首輪・呪いのベビー服
備考:身長と体重がスワップした。
更に呪いの首輪によって豚種が混じり始めたため、巨人族としての能力ダウン。
武器は有るものの、戦闘力は山賊の子分程度に。
↓
・パルヴァ=ランジェ(種族・巨人族)
年齢:15歳
身長:145cm
体重:145kg
3サイズ:120・130・145(重度肥満)
装備:呪いのベビー服・紙オムツ・ガラガラ
備考:豚化が解除され、体重が若干減少。巨人族としての特性も取り戻す。
しかし、ナイフを失い、紙オムツをつけられた事により、戦闘力は大幅にダウン。
更に、ガラガラの音を聞くと怒りを忘れてしまうようになった。
A:一階・宿直室(変化系)
B:一階・ダンスホールを探す(変化系・重度)
C:中庭・庭園を探す(精神変容)
D:二階・遊戯室を探す(変化系)
E:中庭・テラス?を探す(突発企画・レス番でどうなるか決定。リアルタイム進行?)