魔王の愉悦と、王女の…
1.セフィリアに課せられた試練
鏡の迷宮:
「これは… 鏡に囲まれた迷宮、なのかしら…」
セフィリアの周りには歪んだ鏡だけが張り巡らされた、目が痛くなるような迷路が広がっていた。
唯でさえ太くなっている自分の姿が、歪んだ鏡のせいでより太く見えるのが心に痛い。
「…流石魔王、非常に悪趣味ですね。兎も角、早く此処を抜けないと…」
セフィリアはそう言うと、慎重に鏡の迷宮を歩きだす。
どうやら魔術的な要素で視界さえ歪められているのか、奥にあった鏡が突然手前に来たり、
目の前の鏡が消えたりと、非常にいやらしい罠に満ちていた。
唯でさえ神経を使って疲れそうな場所だと言うのに、
今のセフィリアの身体ではこの迷宮は拷問に近く…
10分ほどして、直ぐに疲労し立ち止まってしまう。
「はぁ、はぁ…っ、一体、どこまで続くんですか… もう…」
そう言いながら、セフィリアは歪んだ鏡に手を付き、息を整えて…
再び歩き出そうとした瞬間、セフィリアの身体に異変が起きた。
「え… な、何っ!?」
ミチミチと、音を立てながらセフィリアの身体が、だらしなく横に広がり始める。
腕は真下には下せぬ程に、脇に肉が付き、腹はドレスを押し上げんばかりに前に突きだして、
乳房は大きく膨らんだ腹の上に乗っかり。
尻肉はそのどれよりも膨らみ、まるで巨大な桃のようになっていって。
足も、それに合わせて丸太のように太くなっていった。
顔にもすっかり肉が付いてしまい、丸々とした顔に押され、目は細くなってしまう。
その姿は先ほどまで鏡に映っていた自分そのものであり… とはいっても、セフィリアにそれを知る術はないのだが… 鏡に映る姿は先ほどよりも太く変わってしまっていた。
「ん、ぁ… は、ひぃ…っ、こ、こんな、事が…ぁ…」
息苦しそうに息を吸うセフィリアは、信じられないと言ったように頭を振るが、
その度に身体中の肉がタプンタプンと波打ち、セフィリアを現実に引き戻す。
眼尻に涙さえ浮かべながら、現状を何とか飲み込んだセフィリアは、意を決したのか、
一歩一歩、床を踏みしめるように歩き始めた。
ドス、ドスと先程の体格でさえながら無かった鈍重な音が響く度に、セフィリアの腹が、
尻がタプンタプンと揺れて、その度にセフィリアの表情が羞恥に染まる。
先程のように鏡には触れないように、セフィリアはとにかく慎重に歩みを進めていった。
30分で1kmを進む程に遅く、慎重すぎる程慎重に。
しかしそれだけでもセフィリアの身体には汗が滴り落ちて、息を切らしてしまうのだが。
「ひぃ…っ、ん、はぁ…ぁ… あ、あれは…」
そうして1時間ほど歩いた後… 正面の通路に、洋館のような扉が姿を現した。
漸くこの地獄のような場所から脱出できる、と
セフィリアはドスドスと足音を鳴らしながら走りだす。
走るたびに全身がたぷんたぷんと揺れるが、
その羞恥さえも構わないと言った様子で目の前の扉を目指し。
「やっと… やっと、出られる…っ!!」
後10歩、後5歩、後3歩… と、来た所で… そこで、突然扉はかき消えると、
その代りに目の前には歪んだ鏡に映された… 縦に小さく歪んだ、自分の姿が映っていたのである。
「あ… い、いやぁぁぁっ!!!」
必死になって止まろうとするも、加速の付いた体重は簡単に止まる筈もなく… バン、と。
セフィリアは、その鏡に両手をつき、激突してしまった。
ドスン、とその場に尻餅をついた、セフィリアの表情が、一気に青ざめる。
そして、そのセフィリアの想像を裏切ることのない変化が… 始まった。
「ま、待って…っ、嫌… お願い、嫌ぁ…っ」
弱弱しく呟くセフィリアの身体が、ミシミシと音を立てながら、縦に縮み始める。
特に手足の変化は顕著で、太くてもまだ長さを保っていた脚は内側に引き込まれるかのように、
グングン縮んで。手も、自分の下半身に触ることさえ困難な程に短くなり…
力を入れなければ左右に開いてしまうようになって。
腹肉も大きく膨らみ、腹肉が弾めば全身のバランスが崩れてしまう程に。
尻肉に至っては、歩くたびに大きく揺れて、体は左右に振られるようになってしまった。
変化が終わる頃には、セフィリアの身長はパージャよりも低くなり…
最早、彼女を知るものでさえ彼女と判別するのは困難な程になってしまっていた。
「ぁ…あ、あぁぁ…」
絶望したような声を漏らすセフィリア。
…しかし、彼女の心はまだ折れる事はなかった。
女性としての心は滅茶苦茶にされてしまったが、まだ王女としての役目が残っている、と。
そう自分に言い聞かせながら、周囲を見渡す。
そして、すぐ横を見れば… そこには、先程まで目の前に見えていた筈の扉があった。
…あせらなければ、何事もなく此処から出られたのだ。
その事実が、セフィリアを更に打ちのめすが… それでも、セフィリアは先へ進むために、
まるでペンギンのように、体を左右に振る様にしながら、歩き始めた。
(ステータス変化)
名前:セフィリア・ローラン
年齢:25歳
身長:116cm
体重:158kg
3サイズ:100・125・168
備考:魔術と僧術を使える王女。
どうやら魔王を倒す秘策を携えているようだが…?
手足が極端に短くなり、歩行さえ困難になってしまった(出来ない訳では無い)。
シルエットだけ見れば、東方の国の「カガミモチ」に見えるだろう。
2.アーリアに課せられた試練
暗黒闘技場:
周りの喧騒にうるさそうにしながら、アーリアは周囲を見回した。
石造りの壁に囲まれただだっ広い空間に、所々にある窓から覗く魔物達の顔。
しかしかれらに襲ってくる気配は微塵もなく、
寧ろこれから起こる事が楽しみで仕方がないと言った様子で。
アーリアは背中に薄ら寒い物を感じながら… もう一つ、今度は自分の変化に気がついた。
「…窮屈じゃなくなったと思えば… これは配慮と取るべきかな?」
アーリアの鎧はいつの間にか、甲冑ではなく布地の鎧…
それも伸縮に優れた物に代わっていたのである。
おかげで動きを制限されることは無くなったが、その代わりにアーリアは自分の今の体を、
改めて認識させられた。…あれほど鍛え、無駄の無かった肉体は見る影もなく膨らみ、弛んで。
コンプレックスだった乳房に至っては大きすぎる程に膨らみ、重量さえ感じるほどだった。
唯一の救いと言えば、鍛え上げた肉体と甲冑がなくなった事によって、
体の動きに差ほど変化が無いことだろう。
「これならまだ、戦えるか… 悪いが暇ではないのでな、さっさと先に進ませて貰うぞ」
アーリアは静かにそう呟くと、剣を構えて歩き出す。
それを見計らったかのように、石壁の一部が音を立ててせり上がって…
中から無数の豚面の魔物… オークが姿を表した。
中には見事な鎧に身を包んだ、オークの長も見受けられる。
「…成る程、そう言う趣向か。生憎だが手加減は出来ん… 死にたい奴からかかって来るが良い!」
アーリアのその声と同時に、オーク達は鳴き声をあげながら、一斉にアーリアに飛びかかった。
しかしアーリアはそれを意に介する事もなく、まるで枯れ葉でも払うかのように、
長大な剣で次々とオーク達を薙払っていく。
一振りすれば血しぶきが舞い、二振りすればオークの群が後ずさる。
気が付けば、オークの群は何時の間にか、アーリアから距離を取り、
囲むような陣型を取り始めていた。
…比較的知性の低いオークだが、オークの長は別である。
彼らはオーク達を束ねる術と、有効活用する術を知っているのだ。
アーリアもその事は重々承知なのか、警戒を解くことなく、歩みを進めている。
「どうした、来ないのか?」
アーリアが歩く度に囲みは歪み、次第にオーク達は壁際に追い詰められて。
そして、アーリアは壁際のオークを切り払おうと、剣を構えた瞬間…
オークの長は、大きな声で鳴き。
それと同時に、オーク達が現れた場所から、巨大な木槌をもった、醜悪な腕が現れて…
剣を構えたアーリアに、勢い良く木槌を振り下ろした。
「…っ、く…っ!?」
すんでのところで木槌を受け止めるアーリア。
だがそれを見計らったかのように、一斉にオーク達がセフィリアめがけて襲いかかる。
観客の魔物達は歓声をあげて… 誰もが、アーリアの敗北を疑わなかった。
「…っ、舐… める、なぁっ!!」
だが… アーリアの起こした行動は、全ての思惑を裏切る物だった。
一喝と共に、アーリアは… 自分よりも大きな木槌を切り払い、醜悪な腕を切り落とし。
それだけではなく、襲いかかってきたオーク達までも、同時に薙払ったのである。
予想外の出来事に、また湧く観客。
…否、その歓声は『予想通りの事』が起きた故の物だった。
「…っ、ぐ…っ!!」
剣を薙払い、大きな隙を作ったアーリアの体を、薙払いをかいくぐった一匹のオークの剣が
袈裟掛けに切りつける。小さく声を漏らした物の、アーリアはそのオークを剣で両断した。
…そこでようやく、アーリアは異変に気付く。
「…血が… 傷が、無い…? 鎧も切れてないなんて…」
斬りつけられたのは確かだというのに、傷一つ無い自分の体を不審がるアーリア。
しかし…次の瞬間、剣を地面に付き、アーリアは体を振るわせた。
観客が一斉に歓声をあげ、オークは絶好のチャンスだと言うのに、
下卑た笑みを浮かべてアーリアを観察するように眺める。
そうして、アーリアの変化が始まった。
「う、あ…っ、何だ、これは… 体が… あ、熱いぃ…っ!?」
自分の体を抱え込むようにしながら、アーリアは荒く息を吐く。
抱え込んだ腕が、次第に肉に埋もれていく感覚にアーリアは目を見開いた。
アーリアの腹が、まるで空気を吹き込まれたかのように膨らみ…
だらしなく、柔らかくなり始めたのである。
腹だけではなく乳房も、それに合わせるように… 否、それ以上に膨らんで。
布地の鎧はアーリアの体をハムのように締め付けながら、しかし裂けることはなく。
まだ凛々しさを残していた顔にはたっぷりと肉が付き、首は肉に埋もれてなくなって。
腕は丸太のように、そして足はドラム缶のように、丸々と膨らみ… たぷたぷと波打ち。
変化が終わる頃には、そこには… ブクブクと膨らみ、
触れば心地良さそうな柔らかさを感じさせる体になった、アーリアの姿があった。
アーリアの変わり果てた姿に観客の魔物達は歓声をあげて、オーク達も下卑た笑い声をあげる。
「な… 何だ、これは… 一体…っ!?」
突然の出来事にアーリアは戸惑いながら、体を捩り。
その様子を好機と見たのか、オーク達が再び一斉に駆け出した。
「く…っ、舐めるな…っ!? な… 剣が、重い…っ!?」
アーリアは先程と同じように薙払おうとするも、何故か剣が重く、
片手では思うようには扱えなかった。
何とか片手で薙払ったものの、先程までの剣技は見る影もなく。
オーク達はその様子に下卑た笑みを浮かべると、まるでいたぶるかのように、
少しずつ攻めては退き、攻めては退きを繰り返していく。
その度にアーリアは、今度は両腕で剣を扱うも、全身をたぷたぷと波打たせ、
揺らしながら荒く息を吐いていた。
「…っ、ぜ、ひぃ…っ、ば、バカな… 何故…っ!?」
普段ならば何ともないはずの運動量に、アーリアの体は忽ち悲鳴を上げ、息を切らせてしまう。
…当然と言えば当然だろう。
アーリアはただ太った訳ではなく、鍛え上げた筋肉そのものが脂肪に変わっていったのだ。
この場所では、アーリアは傷を負うことは決してない。
ただ、そのダメージの分、筋肉が、その質に応じた量の脂肪へと変換させられてしまうのだ。
並の人間ならば多少太る程度で済んだだろうが、
アーリアは騎士団の中でも並々ならぬ訓練を積んできた騎士である。
質の良い筋肉程、大量の脂肪に変わるのだから… アーリアが受けた影響は計り知れない。
体重が大幅に増えた上に筋力が落ちたのだから、今のアーリアの疲労も当然のことだろう。
…そうして、アーリアは全身に汗を流しながら… とうとう、尻餅を付いてしまった。
ドスンと、重い音が闘技場に響くと同時に、観客のボルテージが最高潮に達する。
「は…っ、ぜひっ、ぁ…っ、ぜぇ、ぜぇ…っ」
アーリアはそれに反応することすら出来ずに、顔を汗で濡らしながら、息を必死に吸い続けていた。
そんなアーリアの様子にオーク達は鳴き声をあげて、アーリアを取り囲む。
そして、オークの長が一歩前に出て、下卑た笑みを浮かべると…
短剣を取り出し、アーリアの体を軽く突いた。
「ぜひっ、ぁ…っ、いつ…っ、あ、ぁ…っ!?」
オークの長が軽く突いた瞬間、アーリアの体が熱を帯び… ぷくぅ… っと、僅かに膨らむ。
オーク達はその様子に下品な鳴き声をあげ、アーリアを嘲笑った。
「ぜぇ…っ、や、止めろ… 止めろぉ…っ!!」
アーリアの言葉に気を良くしたように、オークの長は肩を揺らす。
すると、今度は細長い針を取り出して… アーリアの顔をつかんだ。
たっぷりと肉の付いたアーリアの顔は柔らかく歪み、
口は自分の意思に反して開いて、口の端から涎を垂らしてしまい。
オークの長は、アーリアの口の中に狙いを付けると…
アーリアの舌先を、針でチクチクと突き始めた。
「んぃ…っ!? ぁ、ひゃめ… ひゃめ、ろぉ…っ!?」
ちくちくと突かれる度にオークの長に掴まれていた頬の肉が増え、
顎は更に二重三重に形成されていく。
オークの長はどうやらどうすればどう太るのかを熟知しているらしく、
狙い通りになっていく事に愉悦の笑みを浮かべていた。
一頻り突いた後に、ようやくアーリアの頬を離すと… たぷんと、
アーリアの顔は柔らかそうに揺れて。
アーリアの頬にはたっぷりと肉が付いており、
口を動かす度にたぷたぷと揺れるようになってしまっていた。
「よ、きゅもぉ… じぇったい、ゆるしゃ、ない…っ!? な、なんだ、こりぇ…
ちゃ、ちゃんとしゃべりぇ、にゃいぃ…っ!!」
そして、アーリアはオーク達に殺意を込めた言葉を放とうとするも…
今度は、その声が舌ったらずな物へと変わっていて。
舌の筋力まで奪われてしまい、あどけなく喋ることしかできなくなったアーリアに、
オーク達は一斉に笑いだす。
何度もしっかり喋ろうとしても、アーリアの口からは舌ったらずな声しか出ずに。
そんなアーリアの様子を満足げに眺めたオークの長は、今度はアーリアの腕に手を伸ばす。
「や…やみぇ、ろぉ… やみぇてぇ…っ、もうやみぇてくりぇ…っ!!」
舌ったらずな声で必死に懇願するアーリア。
…だが、そこでようやく彼女は気が付いた。
オーク達は、既に自分の間合いに入っている。
と言う事は…
「…っ、こにょおぉぉぉぉっ!!!」
一縷の望みをかけて、アーリアは剣を両手で握ると、勢いよく、
その場で回転するように薙ぎ払った。
余りの突然の出来事に、オーク達は反応できる筈もなく…
呆けた顔を晒したまま、上半身と下半身が分かれ、地面に落ちる。
オークの長も例外では無く…その場にいたオークの、その全てが両断されたのである。
「はぁ… は、ぁ…っ、や、やった…」
荒く息を吐きながら立ち上がるアーリア。
…気付けばそこにはオークの死体はなく、あれ程騒がしかった観客の声も聞こえなくなっていた。
後に残るのは、全身を柔らかく膨らませた、アーリアの姿だけ。
その場に膝をつきそうになる心を支えながら、アーリアはぽっかりと空いた穴から、
闘技場を脱出した。
(ステータス変更)
名前:アーリア・ケイロン
年齢:22歳
身長:180cm
体重:245kg
3サイズ:170・150・167
備考:騎士団でも有数の実力者である、長身の女性。
両手剣を片手で扱える程の腕力を持ち、その一撃は甲冑すらも両断する。
筋力の大半を脂肪へと変換させられてしまい、更にまともに喋る事も出来なくなってしまった。
全身を布地の鎧で締めつけられており、その様はまるでボンレスハムのよう。