魔王の愉悦と、王女の…

魔王の愉悦と、王女の…

前へ   9/14   次へ

 

 

「で、では… 次は、私の番… ですね…」

 

ぶくぶくと、最早肉塊といってもおかしくないレベルまで肉を纏ってしまったセフィリアが、
全身をたぷんたぷんと弾ませながら、サイコロを握る。
そして… 力無く、コロコロとサイコロを転がすと、途端にセフィリアはバランスを崩し…
その場で、前のめりに倒れ込んで。
しかしセフィリアの腹肉は、倒れ込んだ衝撃を抑え込み…
セフィリアは必死に手を付こうとするも、腹肉に邪魔されて四つん這いになることさえ叶わずに。
そのまま、反動で転ぶのとは逆の方に転がると、今度は尻肉がだぷんと歪み、衝撃を吸収して。
暫く前後に揺れていたかと思うと、そのままバランスをとって…
その、自分の余りの醜態に、セフィリアは顔を真っ赤に赤らめながら、涙を必死にこらえていた。
そして、止まったサイコロの目を見れば… 今度は6。
本来ならば喜ばしい筈だが、先程の惨状をみれば、素直には喜べない数字だった。

 

「…セフィリア様、私が…」
「いえ… まだ、大丈夫、です… それに、せっかく、無事な姿に戻れたのでしょう?」

 

見ていられないと、ニーナはセフィリアを呼びとめようとするが…
セフィリアは力なく微笑むと、それを制止して。
6マス先… 今のセフィリアにとっては、無限とも思える距離をゆっくり歩き始めた。
歩くたびに身体は弾み、左右に揺れて。
時折倒れそうになりながらも、尻肉と腹肉で弾まされ、元に戻るのを繰り返し。
そうして、30分ほど経った後… ようやく、セフィリアは6マス先の、10マス目に到達した。
疲労こそそこまででは無い物の、精神的な物はかなりのモノだったのか、
セフィリアは力なく項垂れて…
そんなセフィリアと3人の眼前に、再び魔力の文字が浮かび上がる。

 

『香ばしい肉、柔らかな肉、豊潤な肉。肉の欲望に敗れた者は、それ相応の報いを受けるだろう』

 

「…あ、ぁ… まさか、そんな…」

 

眼の前に浮かび上がった文字に、セフィリアはいや、いやと頭を振る。
その様子に3人は気づくが、先程のセフィリアの狂態が脳裏をよぎり、
一瞬だけ反応が遅れてしまった。
その僅かな間に、再びセフィリアは…特注なのだろう、二人分のサイズの椅子に座らされて。
テーブルの上には、ステーキ、煮豚、刺身など…あらゆる種類の肉料理が用意されていた。

 

「ひ…っ、いや、いや、いや、いやぁ…っ!!」
「セフィリア様、目を閉じて! きっと時間が経てば消える筈だ!!」

 

先程の悪夢がよみがえり、恐怖に怯えるセフィリアに、ニーナはそう言って。
セフィリアは、その言葉にすがる様に… 必死に、硬く目を閉じた。

 

…しかし、ニーナは知らなかったのだ。
先程セフィリアを打ち負かしたものは、視覚ではなく、嗅覚だったのだと言う事を。
眼を閉じた事によって、更に敏感になった嗅覚が、肉の匂いを捉える。
香ばしく焼いたステーキの香り。やわらかく煮込まれた煮豚の香り。
その他様々な肉料理の匂いが、セフィリアの心を溶かし…
そして、セフィリアの口からは涎が垂れてしまい。

 

「ぁ… あ… ごめん、なさい… ごめんなさいぃ…っ、がまん… でき、ないのぉ…っ!!」
「駄目だ、セフィリア様! お願いだ、我慢してくれ!! セフィリア様!!!」
「駄目… 駄目です、セフィリア様… それ以上、食べたらおかしくなっちゃいます…!!」
「おねがいれしゅ、せふぃりあしゃまぁ…っ、たべちゃ、だめれしゅうぅ…っ!!」

 

必死に懇願する3人。
その言葉に、僅かに踏みとどまりそうになる、が… 欲望に負けて目を開いた瞬間、
目の前に飛び込んできた肉料理の山に… とうとう、セフィリアの心が、負けてしまった。

 

「…ぁ… わ、解りました… でも… 一口… 一口、だけです、からぁ…」
「駄目… 駄目だっ! 目を、目を覚ましてくれ、セフィリア様ぁっ!!」

 

ニーナがそれでも必死に押し留めようとするが… セフィリアは…
フォークとナイフで、ステーキを切り分けると… 一切れを、口の中に放り込んでしまい。

 

「…あぁ… 美味しい…♪ こんなの、我慢するなんて… おかしいです…
 もっと、もっと一杯食べなければ…」

 

その瞬間、セフィリアの表情はあっという間に蕩けてしまい。
先程の影響もあるのか… あっという間にフォークも、スプーンも捨てて…
肉を手に取ると、次々と口に放り込み始めたのである。
セフィリアの背後で、悲鳴を上げる3人。
しかしもう、セフィリアに言葉が届く筈もなく… あっという間に1kgのステーキを平らげると…
煮豚の入った壺に直接手を入れて、一塊に齧りつき。
くっちゃくっちゃと音を鳴らしながら、顔じゅうを、手を、ドレスを肉汁やソースで汚しながら、
肉料理を次々と貪り始めていった。

 

「はむっ、あぶぅ…っ、んぐっ、けぷ…っ、あ、これも美味しそうですね…♪」

 

時折げっぷをしながら肉を貪るその姿は、最早気品のかけらさえもなく。
何とか身体を治めていたドレスはとうとう破れ、弾けて。
尻肉も、体もあっと言う間に膨らみ、椅子をはみ出していって。
裸同然の身体を、今度は新しいドレスが包み込んでいく。
所々に豚をモチーフにしたマークが縫い込まれたそれは、
最早半ば肉塊であるセフィリアの身体を包み。
巨尻を包む部分にはでかでかと、豚のマークが記されており、その姿は余りに滑稽で。
食べる度に膨らむ身体は、たぷたぷと揺れ動き。

 

「んぐっ、あむぅ… げぷぅ…っ、んぁ… 飲み物…」

 

セフィリアがそう言った瞬間、手元には黒く泡立った液体が並々と注がれた容器が現れ、
セフィリアはそれを一気に飲み干すと、勢大にげっぷをして… 再び、肉を貪り始める。
最早腕も足も、肉に阻まれ曲げることさえ叶わぬ程になり。
足に至っては、余りの肉の量に閉じることさえ出来ず、左右に投げ出す様に伸ばされたままで。
両足の上に、巨大とも言える腹を乗せながら、セフィリアは肉を手に掴んでは貪り、
時折汚れた手をドレスで拭いて… 拭かれてシミになった部分は、忽ち豚のマークへと変わり。
椅子が軋む程に、肉を貪り終えた後… そこに居たのは、
最早セフィリアの面影など残ってはいない、滑稽なドレスに身を包んだ、
まさに『豚姫』、若しくは『肉姫』だった。

 

「ぐぇっぷ… はぁ… 美味しかった、です…? え… ぁ… わ、私… なん、で… げぷ…っ、
 なんで、こんな事…っ!?」

 

椅子から降ろされ、ようやく正気に戻ったセフィリアは自分の先程までしていた事に
恐怖を覚えながら呟き… しかし、肉を大量に食べた為か、その言葉さえゲップ混じりで。
無意識の内に、汚れた手をドレスで拭きながら… ドレスの裾で、口元や顔を拭い。

 

「い、いや…っ、違う、違うの… そんなっ、何で私、こんな… ぐぇっぷ…っ、
 はしたない、事ぉ…っ!!見ないで… みないで、下さ… げふぅ…っ、
 こんな、私を… 見ないでぇぇぇ…っ!!」

 

必死になって否定しようとするも… 喋るたびにげっぷをし、肉に塗れた身体をたぷたぷと動かし…
豚のドレスに身を包んだその姿は、最早王女と呼べる気品など、
欠片さえも残っていなかったのである。

 

 

(ステータス変化)
・10マス目
名前:セフィリア・ローラン
年齢:25歳
身長:145cm(肉の分身長UP)
体重:316kg
3サイズ:180・223・277
備考:魔術と僧術を使える王女。
どうやら魔王を倒す秘策を携えているようだが…?
全身に分厚い肉を纏ったその姿には最早気品などなく、豚のドレスにマークを増やしながらも、
必死にそれを否定する事しか出来なくなってしまった。本人こそ気付いていないが、
肉を貪り食った事によりセフィリアの仕草等の品性は失われ、汚れを服で拭く、人前でゲップをする、
屁をこく等、肉体は下品な行動をしてしまうようになっている。
セフィリアの理性だけは知性や品性を失っていないため、セフィリアは永遠に苦しみ続けるのだ…
理性が壊れない限りは。

 

 

「せ、せふぃりあしゃまぁ…」
「見ない、で… おねが… げぇっぷ… みない、で下さい…」

 

心配そうに声をかける3人に、セフィリアは嫌々と頭を左右に振りながら蹲り
(とはいっても肉に阻まれ、殆ど立っているような物だが)、懇願するようにそう言って。

 

「…くしょぅっ!!」

 

自分の余りの無力さと、魔王への怒りからか、アーリアは小さな体でサイコロを蹴り飛ばした。
蹴られたサイコロは、コロコロと転がって… 5でぴたりと止まり。
アーリアはそれを確認するや否や、ズンズンと歩を進めていく。
…本人としては、セフィリアの為にも早くこの悪趣味なゲームを
終わらせてやりたいと思っているものの、小さな身体では思うようには進まず…
数メートルの距離を何分もかけて移動をして。
変わり果てたセフィリアを横目に見ながら、歯ぎしりをし。
そして、アーリアが11マス目に辿り着くと…
アーリア達の目の前に、魔力の文字が浮かび上がった。

 

『弱き者には弱き者を。敗者はより弱く、勝者は力を手に入れる』

 

「…ふん、わたちに… しょうぶを、いどみぇと、いうんだろう…」
「アーリア、私が代わった方が良いんじゃないか? このままじゃアンタまで…」

 

ニーナの心配そうな言葉に、アーリアはまだ大丈夫、と首を振ってみせた。
…セフィリアがあんなになるまで耐えたと言うのに、どうして自分だけ楽が出来ようか、と。
そんな自身への戒めのような思いと共に、ただ、始まるのを待つ。
そうして、しばらくした後… アーリアの目の前の床が僅かに光ると、
まるで地面から生えてくるかのように、丁度8歳辺りだろうか、それくらいの少年が姿を現した。
何の変哲もないただの少年が現れたことに、アーリアは少し毒気を抜かれるも…
今までの事を思い返し、身構える。

 

「…ふふっ、ねーねー、僕と一緒に遊ぼうよ♪」
「な…っ、ふじゃけりゅな、あしょんでるばあいじゃ…」
「それじゃあ、まずは腕相撲しようよ♪ ほらほら、横になって?」

 

アーリアの言葉を聞く事もなく、少年は床にうつ伏せになったかと思うと、肘を地面に着いて。
これがまさか勝者とか敗者という話なのか、と疑問に思いながらも…
アーリアも、うつ伏せになり。
左右に広がる腹肉と、自分の贅肉塗れの身体に苦々しく舌打ちしながらも、
肘を着くと少年の手を握った。

 

「ん、じゃあ… いっせーのー… せっ!!」
「んぐ…っ、ぐぐぐ…っ!?」

 

少年の掛け声とともに、アーリアは渾身の力を込めて少年の腕を倒しに掛る。
…だが、一向に少年の腕は動かない。
必死になって力を込めるアーリアだが、少年は涼しい顔でそれに耐えていた。

 

「ふふっ、ほら、もっと力入れても大丈夫だよ? 僕、おにーちゃんなんだから♪」
「く…っ、ふ、ふじゃ、けりゅ… なあぁぁ…っ!!!」

 

少年の小馬鹿にした態度に、アーリアは体重をかけるかのように、
体ごと傾けるように、力を込める。
流石に少年も驚いたのか、僅かに傾き… しかし、次の瞬間、少年も力を込め始めて。
それと同時に、アーリアの腕は少しずつ、少しずつ圧されていって…
アーリアは、顔を真っ赤に染めるほどに力を込めているにも関わらず、
あっという間に劣勢に立たされてしまい。

 

「う、ぐぐぐ…っ、んんんんんん…っ!!!」
「んー…っ、これで、お終いっ♪」

 

そして、少年のそんな軽い言葉と共に… アーリアの腕は、ぺたん、と地面に押し付けられて。
特別でも何でもない、ただの少年に力比べで…
それも、相手は全力を出してもいないのに負けてしまった事に、アーリアは顔を青ざめさせた。
…騎士団でも、有数の実力者の自分が?
ただの、何の変哲もない少年に、力比べで負けた?

 

「…う、しょ… うしょ、だ… こんにゃの… うしょ…」

 

筋力を落とされた上に、幼くされてしまった以上この結果は当然の事なのだが…
アーリアは、まるで自分のアイデンティティを破壊されたかのように、
茫然とした表情でぶつぶつと呟き。
そんなアーリアを現実に引き戻すかのように、少年が姿を消すのと同時に…
アーリアの身体を、光が包み始めた。

 

「あ… や、やだ、いやだ…っ、やめりょ… やめぇ…っ!!」

 

じたばたと、まるで子供が駄々をこねるように、必死に手足をばたつかせるアーリア。
だが、そんな事に意味がある筈もなく… アーリアの身体は、変化し始める。
まるで空気を吹き込まれたかのように、アーリアの腹はぷくぅ、と膨らんでいき…
それに合わせて、腕も足も、段が出来てしまう程に肉を纏って。
顔にもたっぷりと肉を纏うと、目が細まっていってしまい。
それだけではなく… 全身の肉は柔らかな物に代わっていっているのか、
体中の肉はだらしなく横に広がり始め。
それに合わせて筋力もますます落ちていき、腕の肉は下に垂れ始めていって。
リーンの補助があってもなお、歩くのが辛い身体になったアーリアは…
荒く息をつきながら、その場にドテン、と尻もちをついた。

 

「はっ、はぁ…っ、ぁ… あ、ぁ… わ、わた、ちぃ… わた、ちぃ…っ」

 

たぷたぷと、身動きする度に全身を波打たせながら、
アーリアは茫然とした様子で自分の身体を触り…
その動きは非常に緩慢で。
魔術も使えない上に、戦闘はおろか、ただの足手まといになってしまったアーリアは…
その事実を受け入れることが出来ずに、呆けた様子で空中を見つめていた。

 

 

(ステータス変化)
・11マス目
名前:アーリア・ケイロン
年齢:5歳
身長:72cm
体重:105kg
3サイズ:96・112・85
備考:騎士団でも有数の実力者である、長身の女性。
両手剣を片手で扱える程の腕力を持ち、その一撃は甲冑すらも両断する。
全身に大量の肉を纏い、筋力まで落とされてしまった為、
補助があっても歩く事が辛い身体になってしまった。
最早同い年は愚か、年下の幼児にさえ力で負ける様になってしまい、
自身の取り柄を完全に失っている。
筋力が落ちた分、体は非常に柔らかく、抱き枕にしたら心地いいだろう。

 

 

前へ   9/14   次へ


トップページ 肥満化SS Gallery(個別なし) Gallery(個別あり) Database