710氏その6

710氏その6

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/第1章・vs盗賊女帝

 

 

アリシアが階段を上っていくと、程無くして金色に輝く財宝が所狭しと置かれた部屋に出た。
眩いばかりの金色に、アリシアは目を細めて… そして、その奥に一つの人影がある事に気付く。
何もしていないにもかかわらず、額に汗を浮かべて…
豊満すぎる程の身体を汗で濡らすその姿は、どこか艶めかしい。

 

「…盗賊女帝、でしたか」
「ヴァルナで良いよ… ったく、アイツの考えたのはどうにも気恥ずかしいったらないね」

 

アリシアの言葉に、どこか諦めた様子でそう言うと、ヴァルナはアリシアと視線を合わせる様に、
財宝の山から、体躯とは見合わぬ程の軽い足取りで降りた。
それと同時にアリシアは剣を構え… そんなアリシアを見ながら、ヴァルナは苦笑し。

 

「覚悟を… 6人同時ならいざ知らず、1人相手なら負けはありません」
「はは、解り易くって良いねぇ… でもまあ、そんな物騒なモンを此方に向けなさんな。
 ほら、こうされたらアンタだって話辛いだろう?」
「―――な」

 

人懐っこい笑みを浮かべながら、ヴァルナが此方に向けたのは…
今し方、アリシアが構えていた筈の剣だった。
アリシアの手には、代わりに薔薇の花が握られており… アリシアは愕然とすると、
苦々しく歯軋りをして、花を地面に置いた。

 

「うん、花を投げ捨てるなんざ女のする事じゃないしね…
 まあ、とりあえず少し話し合いをしようじゃないか。
 私達はアンタと斬り合いに来た訳じゃないんだよ… 血とか、余り好きじゃないしねぇ」
「…良く抜かす。貴様等もどうせ、この世界に根付きに来たのだろう?」
「はは、それがアンタの素か… 残念だけど、そいつは外れさ。
 この世界に根付くとか、そう言う事にゃぁ興味はないんだよ、アイツはね」

 

そう言うと、ヴァルナはどっかりと地べたに座り込み…
そして、汗が鬱陶しいのか、袖で汗を拭い。
アリシアの剣を、丁寧に財宝の一角に置くと… 口を開く。

 

「さて、当然私も争い事は好きじゃないんだが… そこで、一つ提案があるのさ。
 アンタには此処でひとつ… ああ、あの剣は私に剣を向けたから、その代金として…
 それ以外の物を支払ってもらおうとおもってねぇ。その後は好きに此処を通り過ぎて良い…
 どうだい?」
「…貴様…」

 

アリシアは思わず殴りかかろうとする、が… しかし、剣も無しに目の前の実力者に向かうのは
余りに無謀だと頭で理解すると、苦々しくヴァルナを見下ろした。

 

…確かに、悪くはない条件だ。
ヴァルナと戦えば、此方は間違いなく消耗する。
まだ相手は5人もいると言うのに、此処で消耗してしまうのは正直望ましくはない。
だが、何かしらの代価を払えば… 此処を無事に通り抜けられると、言うのなら。

 

「…判った、飲もう。何を支払えばいい? 金銀財宝か?」
「冗談、そんな物はいい加減見飽きてるさ。…そうさねぇ、もっと別な物がいい…
 例えば… アンタその物、とか」
「な…っ、ふ、ふざけているのか!?」

 

ヴァルナの言葉に、アリシアは顔を赤らめながら…
一歩後ずさり、そして激昂したかのように言葉を放つ。
そんなアリシアの様子に、ヴァルナはきょとんとして… そしてようやく理解したのか、
ポンと張り出した腹を抱えながら、笑い始めた。

 

「はは…っ、あっははははははっ!! いやいや済まん、そう言う意味じゃあないよ…
 ほら、アンタが今まで培ってきた物があるだろう? 剣の腕、知識…
 ああ、アンタは魔術も使えそうだからそれでも良いし… そうさねぇ、
 その容姿だっていいかもしれないよ?」

 

可笑しそうに笑いながら、可愛い所があるじゃないか、と。
そう言いながら、ヴァルナは立ち上がったかと思うと、その丸々とした指で、
アリシアの頬を撫でて… アリシアは頬が赤くなるのを感じながら、ヴァルナから一歩引いた。

 

「…どれかを払えば、此処を通してくれるのか?」
「ああ、嘘はつかないよ… 此処を通すし、それにこれ以降一切手出しはしない。
 寧ろ物によっちゃあ手助けだってしても良い」

 

アリシアの言葉に、ヴァルナは笑いながら… しかし真剣な目でそう言って。
アリシアも、その言葉と目は信用に値すると考えたのか… 小さく息をつき、そして口を開いた。

 

「…ならば、私の容姿を持っていくが良い」
「おや、良いのかい? 折角綺麗な顔してるのに…」
「構わん、どの道私に求められているのは力だけだ」
「…そうかい… まあ、余り自分を卑下しなさんな。取りあえず、契約成立だ…
 遠慮なく、貰って行くよ」

 

ヴァルナはアリシアの言葉に、少しだけ悲しそうに目を伏せると…
次の瞬間、深々とアリシアの腹部に手を突き刺した。
かは、とアリシアの喉から空気が漏れ… ヴァルナの腕が引き抜かれた瞬間、
アリシアはその場に崩れ落ちる。

 

「はい、確かに… アンタの『今の容姿』は貰っといたよ。
 …ああ、でも容姿がなくなっちまうと不味いから… 代わりの物は入れといたけどねぇ?」
「く、は…っ、な、何を、した… きさ、ま…っ、体が… あ、つい…っ!?」

 

アリシアは体中に汗をかきながら悶え…
そして、自分の身体に起きている事に、思わず目を見開いた。
鍛え上げた筈の身体に、ぷっくりと… まるで浮腫んでいるかのように、
肉が付き始めていたのである。
それは浮腫み程度では止まらずに、アリシアの身体はプクプクと膨れ始めて…
そして、二の腕がタプタプといい、腹が三段になると… ようやく、止まり。
変化が終わる頃には、アリシアの腕はタプタプとしたものに変わり、
顔も丸く、顎が二つ出来てしまって。
腹も前に出ると、3段になり… 足も、尻もムッチリとした、肉感的な物に変わってしまい。

 

「…うん、それくらいのが健康的で良いんじゃないかい?
 それじゃあ、此処は好きに通って良いよ… ふふ、まあ頑張りな♪ コイツは返しておくよ」
「く…っ、き、貴様…っ、ぅ… は、ぁ…っ」

 

身体から汗を流しながら、アリシアはヴァルナを睨むも… それ以上は何も出来ず。
ヴァルナから剣を受け取ると、そのまま部屋の奥にある階段を上り始めた。
上る度に身体はたぷ、たぷ、と僅かに波打ち…
その感覚に羞恥と屈辱を感じながら、アリシアは次の部屋を目指す。
ヴァルナはそんなアリシアを見ながら、アリシアから奪ったモノをどう使うか思案し…
結局壺に詰め込むと、そこらの財宝の上に置いた。

 

(ステータス変化)

 

名前:アリシア・キール
性別:女性
年齢:23歳(実年齢は不詳)
身長:172cm
体重:83kg
3サイズ:97/74/102
備考:
剣の聖女と呼ばれる英雄で、魔王を倒した経験を持つ。
身体中に肉を纏わされ、慣れない感覚に戸惑いながら上に進んでいる。
剣技などは衰えておらず、戦闘能力も変化はしていない。

 

 

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