710氏その6

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/第2章・vs最強の魔法使い

 

「く…っ、煩わしい…」

 

階段を上る度に僅かに波打つ身体に、アリシアは苦々しく呟いた。
呟いたところでどうにもならない事は、彼女自身が一番良く理解しているものの…
それでも、口にせずにはいられず。
そうして、文句を何度も呟きながら、アリシアは漸く次の部屋へと辿り着いた。
先程とは違い、煌びやかな財宝などは欠片もなく… その代りに、大量の本が山積みにされていて。
見れば、どれも魔力の宿った高名な魔術書である事が見てとれた。

 

「―――よく来たわね、剣の聖女アリシア!」
「!!」

 

そんなアリシアの頭上から、突然声が響く。
アリシアが上を見ると… そこには、本棚の上に危なっかしく立つ、一つの巨体があった。
まんまるとした身体は少し動かす度にたぷんと波打ち、
しかしながらそんな巨体にも関わらず動きは軽快で。
少し呆然としていたアリシアを無視するかのように、巨体は言葉をつづけた。

 

「私は最強の魔法使いリリン! 私はニー… じゃなかった、
 ヴァルナみたいに甘くないから覚悟しなさい!!」
「………」

 

リリンの、そんな言葉にアリシアは少しだけ頭を抱えた。
…何なのだろうか、この… まるで子供でも相手にしているかのような感覚は。
そんな思考を読み取ったのか、リリンは顔を赤く染めながら本棚から飛び…
そして、ふわりと着地して。

 

「な、何よその顔!! 私だってしたくてやってるんじゃないんだから、そんな顔しないでよぉっ!!」
「…いや、そんな事は知らないが… 兎も角、貴様を倒せば次に進ませてくれるのだな?」

 

そう言いながら、アリシアは剣を構える。
多少肥えたとはいえ、まだ剣の技に衰えはなく… そんなアリシアの構えを見ながら、
リリンはクス、と笑みを零した。

 

「良いけど… いいのかなー、私と戦っちゃって…
 まだ私の後には、ゴモリー様も含めて4人もいるんだよ?」
「…だからどうした? 進めないのならば、切り開く他あるまい」
「まあまあ、私だって鬼じゃないんだから… ほら、土下座したら通してあげても…」

 

リリンがそれを言い終えるよりも早く、アリシアの剣がリリンの身体を貫いた。
それと同時に、リリンの言葉が途切れ。
アリシアは剣を捻ると、リリンを投げ捨てるかのように、剣で振り払う。

 

「…慢心だな。敵の前で構えもせずにベラベラと…」
「怖いなぁ、もう… まあそりゃあ確かに、不用心だったと思うけどさぁ」

 

リリンの死体を見つめながらそう呟くアリシア。
その背後には… たった今、切り捨てた筈のリリンの姿があった。
有りえない事態に、アリシアは背後のリリンから距離をとり、再び剣を構える。
足元には未だにリリンの死体があり… それはどう見ても、偽物には見えず。

 

「でもまあ、突然私を殺しに来た方がどう考えても悪いもんねぇ?
ふふっ、それじゃあ…罰ゲームの時間だよ♪」
「な…っ!?」

 

唐突に、足もとのリリンの死体が溶けて崩れたかと思うと…
まるでスライムのようになったそれが、一気にアリシアの身体に覆いかぶさってきた。
必死に反応し、剣で斬り払おうとするが…スライムを斬ったところで、何の意味もなく。
あっという間にアリシアはスライムに覆い尽くされ…
全身から、顔に至るまでスライムに包まれてしまい。

 

「んぐ…っ、んぐううぅぅぅっ!?」
「安心して良いよー、別に殺そうとかそんなつもりは全然ないから…
ふふっ、それじゃあね、剣の聖女さん?」

 

視界まで塞がれたアリシアの頭に、リリンはテレパスでそう語りかけて…
そして、その場から立ち去った。
アリシアはリリンを追おうとするも… スライムに全身を覆われては、身動きがとれずに。
何とかスライムをひきはがそうと、アリシアは身体を振るい、剣を振りまわして…
…そして、次第に身体に纏わりついたスライムが減り始めたのを感じると同時に、
その場に倒れ込んで。
ドスン、という余りに重い音に首を傾げるも、
ようやくスライムが顔から離れたのを感じると、目を開き…
そして、絶句した。

 

「な… あ、あ…っ、何だ、これはぁ…っ!?」

 

だぷん、と体が波打つ感覚。
先程までは、体を薄く覆う程度だった肉は… 最早見る影もない程に、体を膨らませていて。
腕は指先に至るまで、足はまるで丸太のように太くなり…
そして、尻は巨大な桃のようになっていて。
腹はでっぷりと前に張り出し、乳房も腹の上に乗るかのように、だらしなく弛んでおり…
服はスライムにとかされたのか、アリシアはそんな体を惜しげもなく晒してしまっていた。
アリシアからは見えないが、顔にもたっぷりと肉が付いており…
眼は自然と細くなってしまっていて。
その姿は、アリシアを良く知る者でさえ… 良く見なければわからない程に、なっしまっていた。

 

「う、ぐぅ…か、体が、重い…っ」

 

剣を支えにして何とか立ち上がるも、大量に身体に纏わりついた肉に、アリシアは呻き。
そして部屋にはリリンの姿はなく… それを確認すると、剣を杖のように突きながら…
だぽん、だぽんと体を揺らし、ゆっくりとアリシアは部屋の奥へと進み始めた。

 

(ステータス変化)

 

名前:アリシア・キール
性別:女性
年齢:23歳(実年齢は不詳)
身長:172cm
体重:183kg
3サイズ:127/154/172
備考:
全身をリリンの作りだしたスライムに覆われ、
その全てを吸収してしまった為、一気に肥満化してしまった。
服も鎧もスライムに溶かされてしまった為、
何も付けないままそのブクブクに肥えた姿を晒してしまっている。
余りの自重に剣を振るう事は最早叶わず、鈍重に歩くので精一杯になっている。

 

 

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