710氏その8

710氏その8

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ルート:?

 

「…此処、は…?」

 

コーデリアが目を開けると、そこは真っ暗な暗闇の中だった。
否、真っ暗では無いのかもしれない。
コーデリアが視線を下せば、そこには紛れもなく…
変わり果てた、自分の姿が見えていたのだから。
自分の身体以外は何も見えない状態で、コーデリアは周囲を探ろうと、地面を蹴ろうとして…
そして、短い脚が宙を蹴った。
地面が、無い。
決して落ちている訳ではない。
かといって、浮いている訳でもない。
不思議な感覚を覚えながらも、口の中に肉の味が広がったのを感じると、
思わず表情を蕩けさせて… そして、小さく息を吐いた。

 

「一体此処は、何処なんだ…?」

 

地面に立っていない為、自分の重みを感じずに済むからか、
コーデリアは比較的落ち着いた様子で周囲を見回すだけ見回していた。
周囲に広がるのは、ただただ黒い、果ても何も見えない空間のみ。
コーデリアは自分に起きた事を、何一つ把握できなかったのだ。

 

―――そして、唐突に場面は変わる。
とある場所、とある世界のとある図書館。
そこに、無造作に机の上に置かれている一冊の本が有った。
タイトルの無いその本が、何時からそこに置かれていたのかは、判らない。
とある誰かがその本を手に取り、好奇心からか開いてみれば…
…そこには一枚の挿絵と、白紙に書き殴られた、その挿絵の説明が書いてあった。
誰かが悪戯でもしたのだろう、説明はエンピツで書き殴られており、
消そうと思えば簡単に消しゴムで修正できる程度の物で。
丸々と肥えた、しかしどこか愛らしく、卑猥な格好をした女性の挿絵を見たその誰かは、
好奇心からか、本を手に取り…そして、図書館から借りていった。

 

誰かが自宅に戻り、そして机の上で本を開く。
誰かは、徐に消しゴムと鉛筆を取り出すと… 自分の、妄想をそこに書き込んでいった。
そう、元に書いてある物を消し、上書きするような形で。

 

* * *

 

―――コーデリアは、焦燥していた。
いつまでたっても、何一つ変化が無い空間。
叫ぼうとも、暴れようとも何一つ帰ってこない、虚無の空間。
もうコーデリアには、どれだけの時間がたったのか、判らなくなってしまっていた。

 

「…っ、一体、どうすれば…いい、んだ…」

 

言葉には、まるで覇気がない。
数時間か、数日か、数ヶ月か、数年か。
時間のない世界に蝕まれたコーデリアの身体は、更に変貌を遂げてしまっていた。
歯は一部ぐらつき、更には抜け落ちてしまっていて。
何年も風呂に入っていないかのように、身体は薄汚れてしまい。
筋力も、運動が出来ないからか著しく衰えてしまい。

 

「ん… んぐっ、ふぁむ…」

 

口の中に時折訪れる肉の味だけが、今のコーデリアの精神を何とか支えていた。
…それがもたらした変化は、コーデリアにとっては絶望でしかないのだが。
乳房は以前より更に大きく膨らみ、腹は大きくせり出して。
尻肉は大きな… と言うよりは、最早巨大な桃のようになってしまっていて。
下半身を彼女自身がうかがえない様になったのは、幸いと言うべきだろう。
足は衰えたからか、はたまた肉に埋もれたからかは判らないが、
更に二分の一程度に縮んでしまっていて。

 

…そして、唐突に何もない世界に重力がやってきた。

 

「んぁ…っ、んごっ、うわあぁぁっ!? あ、あぁぁ…っ」

 

地面に落とされたコーデリアは思わず悲鳴をあげ… 広がった鼻の穴からは、豚のような音が漏れ。
そして、着地した瞬間、余りの自重に呻き。
しかし、身体を文字通り引きずるようにしながらも、何とかはいずっていた。

 

* * *

 

地面に落とされ、呻いていたコーデリアの視界が、唐突に光に包まれる。
身体がバラバラになるような、消えてしまうような衝撃を受けながら…
コーデリアの身体を、唐突に爽やかな風が撫でた。

 

「…ん… ぁ… え… え?」
「な、何… って、た、隊長!? 一体その格好…!?」

 

ガヤガヤ、とコーデリアの耳に聞き覚えのある喧騒が届くと、
それと同時に女性の黄色い悲鳴が聞こえてきた。
コーデリアが恐る恐る目を開けば… そこに居たのは、顔を真っ赤にして此方を見つめている、
女性の部下で。
思わず自分の姿をみれば、そこにあったのは… 肥えていない、元の自分の姿だった。

 

但し、恰好を除けばだが。

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!?」
「ま、待ってて下さい! 今お召物を用意しますから!!」

 

バタバタと、女性の兵士達が部屋の外へと出ていく。
それはおそらく気づかいだったのだろうが、コーデリアにとっては堪らなく恥ずかしかった。
女性らしい、引き締まった体をスリングショットにハートを飾った、卑猥な布で包んだ今の姿は、
どう見てもただの痴女だったから。
しかしそれと同時に、コーデリアは堪らない安堵を感じていた。
元の姿に戻れた事、そして理由は判らないが城まで戻ってこれた事が、堪らなく嬉しく、
思わず頬を緩める。

 

…だが、そんなコーデリアの歓喜も長くは続かなかった。

 

「え… あ… あ、ああぁぁぁ…っ!?」

 

再び、コーデリアの身体が膨らみ始める。
二の腕は膨らみ、腹は弛み、乳房は膨らみ、尻肉は張り出して。
変化はそれだけにとどまらず、コーデリアの視点までもが段々と下がり始めていた。

 

まるで内側にめり込むかのように、腕も足も短くなっていく。
腰程度だった椅子も、胸より上の高さになってしまい… 気付けば乳輪も大きくなり、
乳首も陥没してしまっていて。
完全に、魔王の城で換えられた自分の姿になり果ててしまえば、
コーデリアは絶望したかのような声を上げ。

 

「え… そ、そんな、まだ…っ!?」

 

変化はそれだけに留まらず… 身体は更に膨らみを増し。
乳房は余りの重さに垂れ始め、だらしなく母乳を漏らし。
足も短くなれば、身動きさえ取れなくなって。

 

「…ほら、エサの時間よコーデリア!」
「んぎゅぅっ!? な、何を… んぶっ、んむうぅぅぅっ!!」

 

部屋に戻ってきた部下達は、まるで家畜でも見るかのようにコーデリアを見つめ、
そして蹴り倒して。
スープとご飯を混ぜた物が注がれた皿をコーデリアの顔の前に置けば、そのまま
コーデリアの頭の上に座り込んでしまった。
コーデリアはじたばたと足掻くも、足も腕も地面に届かず、何も出来ずに。

 

「やっぱりストレス解消はコーデリアよねぇ… ほら、戦いもろくに出来ないデブなんだから、
 もっと楽しませなさいよ」
「んぶっ、んぶううぅぅぅっ!!?」

 

ぐりぐりと、顔を皿に押し込むようにしながら、部下はコーデリアをまるで家畜か、
それともモノかのように扱って。
そして、コーデリアの身体を蹴る様にしながら、遊び始めていた。

 

「戦いも出来ないデブのアンタを、隊長が雑用係で拾ってくれたのよ?
 もっと感謝したらどうなのよ… ああ、隊長も早く帰ってこないかなぁ…」
「んぶっ、んぶ…っ、んむううぅ…ん…」

 

必死に抵抗していたコーデリアも、次第に動きが弱まれば、
そこでようやく部下はコーデリアの頭から立ち上がり。
ち、と舌打ちしながら唾を吐きかければ… コーデリアは、
その瞬間その場から消えてなくなってしまった。

 

 

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