710氏その9
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「…う…こ、此処は…?」
冴子が目を開ければ、そこは見た事も無い機械が立ち並ぶ、まるで研究所のような一室だった。
冴子の周りは薄いガラスで囲まれており…ガラスを叩こうとするも、
そこで漸く腕が縛られている事に気付き。
良く見れば、冴子は培養液…とでも言うのだろうか、
まるで空気のように触れている実感のない液体の中に居る事に気が付く。
そして、忌々しげに俯けば…そこには、まるまると肥えた、見る影もない自分の身体があった。
見下ろせば、当然顎も撓み、嫌でもそれが現実だと冴子に教え込んでいく。
そんな現状に、恥辱に顔を真っ赤に染めていると…不意に部屋の扉が開き、ロリエラが姿を現した。
「…くふふ、良い姿じゃのう、エンジェルグリーン?」
「く…よくも…覚えておくと良い、仲間が来たら容赦なく折檻してやるからな…」
「ひっ…ま、待て落ちつけ、話せば…!!」
「…イー」
冴子の剣幕に思わずビクっと震えながら平謝りしようとするロリエラを、戦闘員が窘める。
すると、ロリエラはハッとしたように顔を赤らめ、そして再びふんぞり返った。
「…ふ、ふん!そんな事を言っていられるのも今の内だぞ!」
「どういう…意味だ?」
「見るが良い、このスペシャルなメカを!!」
そう言って、ロリエラは横にある…○AIO、と書かれたPCを指差した。
「…ノートパソコンか?」
「…あっ、そうか…プログラムだから見せても判らんのだった…
ま、まあ良い!このノーパソには特殊なプログラムが含まれているのだ!!」
冴子の指摘で気が付いたのか、ロリエラは顔を赤くしながら俯くも、
気を取り直してもう一度冴子に向き直り。
「これは凄いぞ!エンジェルグリーンのデータを完全に読みこんでおるのだがな、
それを自由に改竄出来るのだ!」
「…プロフィールを改ざんして、どうするつもりだ?」
呆れたように溜息を吐く冴子。
しかし、ロリエラはそんな冴子を見ながら楽しそうに笑い。
「―――判っておらんのう、エンジェルグリーン。
このPCのデータが、お主にモロに反映されるに決まっておろうが♪」
「…なっ!?」
「さーて、じゃあ私がポコジャカ弄るとするかのう…」
ロリエラの言葉に、冴子は思わず目を見開く。
まさか本当とは思えないが、本当だとしたら大変な事になるから、当然だろう。
そんな冴子の心情を余所に、ロリエラは…人差し指で、不慣れなのかカチ、カチ、とゆっくり、
慎重にデータを弄り始めた。
名前:冴島冴子
年齢:17歳
身長:175cm
体重:132kg
3サイズ:108・98・113
備考:名門学校に通う女子高生。
成績優秀、部活動でも全国大会で優勝を飾る等の才女。
同級生、下級生からも共に好かれており、中にはラブレターを出す生徒も居る。
エンジェルズの一人「エンジェルグリーン」で、刀を扱い敵を両断する。
戦闘力はエンジェルズの中では中堅。
現在はデブートンの体液によって肥満化し、ロリエラに囚われている。
名前:冴島冴子
年齢:17歳
身長:181cm
体重:167kg
3サイズ:135・140・143
備考:名門学校に通う女子高生。
成績優秀、部活動でも全国大会で優勝を飾る等の才女。すきな食べ物は牛丼。
高校入学までは同級生と比べて少しだけ背が高い少女だったが、
『相撲部』に入部させられてごらんのありさま
同級生、下級生から大食いキャラとして好かれており、中には挑戦状を出す生徒もいる。
軽度の被虐性癖かつ露出癖で、サイズが小さい服やスパッツなど
体型を強調する服装を好む。
エンジェルズの戦闘服も例外ではなく、変身時はつい興奮している。
デブ専の気があり、同じエンジェルズの……が太ってくれればゴニョゴニョなんて考えたりも。
戦闘力はエンジェルズの中では関取級。
刀を使っていたが、機敏に動けなくなりパワータイプに変更。
体液がデブートンのものと同質化している。
冴子の言葉に僅かに怯えるようにするも、ロリエラは勢いよくキーボードを叩く。
…そして、それと同時にカプセルの中の冴子に、変化が起き始めた。
ただでさえ丸々としていたお腹が更に張り出し、コスチュームを限界ギリギリまで張り詰めさせ。
たぷたぷとしていた腕も、更に丸く、太くなり。
両足に至っては、まるで球体から丸太が生えているかのようで。
それに合わせて、尻肉も巨大になり。
しかしながら、そんな肥満体でありながらも、肉は垂れる事はなく。
それは、内側には筋肉がしっかりと付いている事を示しており―――そして、そのせいで、
冴子のシルエットは球体の様になってしまっていた。
「…ぶぷっ!!あはっ、あっはははははは!!!
ざまあない、ざまあないのう、エンジェルグリーン!!
こうなってしまえばもはや関取グリーンではないか!!」
「く…何を言っている!!早く此処から出せ、さもないと突っ張りで叩き潰すぞ!!」
冴子自身は変化に気付いていないのか。しかししっかりと変化は出ており、顔を赤く染めながら、
まるで相撲のつっぱりのようにカプセルを叩き始めていた。
ロリエラは初めこそそんな冴子の姿を笑っていたものの…ある事に気付く。
「…待て、ひょっとしてパワーアップしとらんか?流石にスピードがあるとは思わんが、
パワーが倍以上に増えてるような…」
「イー」
「―――何?
総合的な戦闘力では以前の1.5、倍…な、なななっ!?何故それを先に言わぬか!!」
「何をごちゃごちゃ言っている…待っていろ、こんな薄っぺらいモノ、私の張り手で…」
そう言いながら、腰を落とし。
丁度、関取が相手に襲いかかる様な、そんな迫力さえ感じられる冴子にロリエラは蒼褪め…そして、ぽん、と手を叩いた。
「…ま、ままま、待てい!待つのじゃエンジェルグリーン!
取引じゃ!取引と行こうではないか!!」
「…悪の組織と取引等すると思っているのか?見くびるな」
「―――それが、―――についてでもかのう?」
ロリエラの囁き声に、冴子はピクン、と反応する。
構えこそとかない物の、その表情には明らかな動揺が見て取れた。
「な…何を言って…」
「ふむ、気にするでない。こう見えてもそう言うのには鋭いのじゃ。
それでな、私が協力してやろうと言っておるのじゃよ」
「…だ、騙されるか!そんな言葉に…」
そう言いながらも、既に冴子の表情からは敵意は消え。
そして、構えもといてしまえば、丸々とした巨体を揺らしながら、もじもじとして。
その様子は、姿は兎も角、年相応の乙女その物だった。
「何を言っておる、立場こそ違えど日曜朝を飾る仲間ではないか!
ふふ…私に任せるがよい、伊達に長くは生きておらんぞ?」
「…ほ、本当か…そ、それなら…」
…そして、とうとう冴子はロリエラの甘言に乗ってしまい。
ロリエラは内心ほっと胸を撫でおろしながらも…後で再度、装置を弄ろうと考えていた。
※因みに此処で改変されたプロフは、本人にとっては
現実のモノになりますが、世界自体には影響は有りません。
知人から見れば、「剣道部のあの冴子さんがあんなに太って…!!」 と言う事になります。
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