突発性肥満化彼女
#読者参加型
イリーナは台所に向かった。
台所の引き戸を開け、中に入る。すると、扉が一人でに締まり、鍵がかけられてしまった。
ピッキングで開けようとしたが、特殊な鍵が用いられているのか、開けることができなかった。
扉のすぐ横の壁には液晶画面とテンキーが埋め込まれていた。
おそらく、なんらかのパスワードを入力すると扉が開くのだろう。
仕方なく台所を見渡し、パスワードを解明するための手がかりを探す。
台所は、システムキッチンと食卓が設置されている、ありふれた内装だった。
食事前だったのか、食卓の上には料理が載った食器が置かれていた。
しかしただひとつ異様な点は、奥に構えている巨大な業務用冷蔵庫。
イリーナが両手を広げてもあまるあるほどの大きさだ。
その金属の扉には一枚の紙が貼られており、ボールペンで文字が書かれていた。
『入り口の扉を開くパスワードが書かれたプラスチック板は、冷蔵されているケーキに埋め込まれています』
冷蔵庫の扉を開けると、内部には巨大なケーキが詰まっていた。
床から天井までスポンジとクリームが交互に積み重ねられたシンプルなケーキ。
まるで黄色と白の縞模様の壁のようだった。
むせ返るような甘い香りが鼻を突き、イリーナは咳き込んだ。
「この中にパスワードがあるのか…」
うんざりしながらケーキに潜り込んだ。
奥をめざし、もぐらのように堀り進む。
「はぁ…はぁ…体中がべとべとするぅ…」
しばらく行くと、ケーキの重みで、掘り進んだ穴が崩れてしまい、イリーナは閉じ込められてしまった。
「ん、ぐっ…!」
べたつくクリームが鼻や口の中に入り込んだ。甘ったるい味が口中に広がった。
(しまった!!)
このままでは酸欠になり、死んでしまうだろう。
エリートの殺し屋がケーキの中で窒息死など笑い話だ。
とっさに、イリーナはケーキの壁からひと塊掴みとると、口に運んだ。
(脱出するための方法はただひとつ。ケーキを食べながら外への道をつくるしかない)
手でつかみ取ったケーキを口に運ぶ。
(あ、甘い…。)
砂糖そのものの純粋な甘さだ。
視野一杯に広がるケーキの壁から片手一杯のケーキをえぐり取り、嫌々ながら食べていく。
腹回りが締め付けられているような感じを覚えたのは、何十cmか掘り進み、甘味で舌が何も感じなくなったころだった。
腹に手をやると、腹筋の硬い感触ではなく、ぷよっとした脂肪の柔らかい弾力が伝わってきた。
(ああっ!?)
ケーキを食べたことで、知らず知らずのうちに太っていたのだった。
もともと豊満気味だった胸は、ケーキの床に擦れるほど大きく膨らんでいて。
細く鍛えられた尻は女性のような丸みを帯びたものに変わっていた。
太もももズボンにぴっちりと張り付くほど太く膨らんでいた。
脂肪が薄らとついた己の体に戸惑いながら、外にでるためにはケーキを食べ続けるしかないイリーナ。
その間にも体に脂肪が着々と溜め込まれていると考えると、食べるペースも自然と速まる。
(早く…外へ…!)
ズボンのボタンを緩める。上着のサイズがきつくなる。段々と掘り進んだ穴が窮屈になる。
確実に太り続けることを辞めることができない状況に嫌悪しながらも、最後は泳ぐようにしてケーキから這い出た。
ぼでん、と床に倒れこんだ。
立ち上がり、目を挙げると、冷蔵庫の金属扉に映し出された自らの姿が目に入った。
そこにはクリームまみれの軽度の肥満女性が歯を食いしばってこちらを睨んでいた。
頬はいくらか丸みを帯びて、顎のラインは消えつつある。
胸はロケットのように前にせり出して、上着にブリッジを作っている。
お腹周りは窮屈そうに膨らんで、横から見るとでっぱりが目立つ。
筋肉質だったお尻にも贅肉がついていて、ぷりっと突き出ている。
脚は大根足という形容がぴったりなほど太い。
腹立たしさのあまり、食卓の上にあった料理を手で払いのけた。
すると、食器の裏に一枚の紙が貼られており、「入り口のパスワード:1129」と書かれていた。
困惑しつつも、入り口のテンキーにその数字を打ち込むと、電子音がして扉が開いた。
「私の苦労はなんだったんだ…。こんなに太ってしまって…」
床にへたり込み、贅肉の段ができた体を見つけたが、すでに後の祭りだった。
「くっ、この私にこのような屈辱を…! 絶対に見つけ出してやる!」
気を奮い立たせ、以前よりいくらか鈍重に立ち上がるイリーナ。
胸がぼよんと揺れ、ドスドスと足音を鳴らしながら台所を後にした。
現在地:研究所1F 台所
ステータス: 175cm 92kg B100 W89 H95
状態:クリームまみれ
選択肢(イリーナが向かう先)
A 浴室(粘液のトラップ、体重変化+精神に影響(中))
B 薬品保管庫(怪しい薬のトラップ、容姿変化(大))
C ダクトルーム(2Fへ移動、精神に影響(大))
D 更衣室(衣服のトラップ、容姿変化(小)+体重変化+精神に影響(小))
E 工作室(怪しい機械のトラップ、性格変化+体重変化)