針小肥大
-9,1-
「うんんっっっっつつつつつ!!!!」
苦悶の表情と喘ぎに近い声をだしながら起重機と人の手を借りて体を起こす
「うんしょっ!うんしょっ!ぉぉおおおおお!!」
振り袖のような二の腕をぶるんぶるんと必死に揺らして体を動かそうと必死になる
顔の肉も体を動かそうとする振動でぶるぶる震えているのがわかる、
全身が水面の波紋のように揺れているが動かせるまでに至らない、
彼女の体はもう完全に自力だけではどうにもならないようだった
「ふぃーっ!ふひぃっ!!後ろから押じてぇ!」
後ろから数人係で押してもらい、最後は起重機のロープで前方に引っ張って立ち上がった
お腹の肉から着地し次いで足が地面に付く、
「よ、よっと、た、倒れないように支えでね」
倒れないか心配だったが、その心配は無用な心配だとすぐにわかった
「しゃ、写真だど、みだごどあったけど、私もごういうごとができるなんで…」
それは尋常ではないほど肥大し肉が垂れたからこそできる技であった
彼女を前方から支える形で、垂れ下がった巨大な腹が地面と接着し、体を支えていた
(でもこれだとお腹が汚れちゃうなぁ、汗も凄いし)
「ロープを離しますよ」
ロープが離されると途端に、強力な重力がかかったかのような重みが彼女にのしかかった
体全体の垂れきった肉という肉が彼女を地面に向かって引っ張っている
だがかろうじて助けが無くてもなんとか立てれるようだった
「プフウゥウウウ、わ、わたじ、フゥ、立ってる。立ててるよお”」
-9,2-
何もしなくてもでる汗が、ここぞとばかりに大量に出ている、
足を動かさなくてもただ立っているだけで、ヘソから垂れた水滴が水たまりを作っていく
「うぅうう、苦しい”あづいぃ!」
「もう少しだけ頑張ってください!、歩けますか?」
「や、や”っ”でみ”る”」
「っ!!んううううううううううううう!」
少しだけ体が前に動く2センチ、3センチぐらいだろうか
「んっしょ!んっしょ!ぉおおおおお!」
歯を食いしばり、手を握りしめ、腕を「ぷちゅぷちゅ」と音を立てながら揺らして前に進もうとする
お尻も同様に揺れており、それが彼女の羞恥心を刺激する。
「んっぅううう!ふぃーっ!」
足を前に進ませようとするが、腹の肉に阻害されて、前に進めない
足自体も、もう足を曲げる事が出来ないので、大股に開いたまま足を水平移動させて
動かそうとしていたが先の通り、腹が股を動かす事を阻害して、結果的にただ、
じたばたするだけというありさまだった。
「はひっ、はひっはひっ、もうダメぇ〜、さ、ささえでぇ、倒れぢゃう!倒れぢゃうよぉ!」
「すっ、すぐにロープで固定します!」
再びまたお腹やお尻にロープを装着させられ、お腹と胸、お尻だけ先に起重機で持ち上げられた
「んぁあっ♥!、ご、ごめん感じぢゃっで、ぷふぅう」
胸をおもいっきり鷲掴みされたように紐が食い込み、つい喘いでしまった
胸だけ降ろされ再度固定される
「んう!、こんどわぁ大丈夫ぅ」
既にベットの設置が完了していたので、そのまま全身をロープで固定して移動させる
彼女の姿を下から眺めると紐と紐の間から肉がせり出し垂れており、
そのせり出したお肉から汗が滴っていく
汗が滴っていくのは彼女も感じており
「お願い、ふいでぇ」と時折、頼む
頼まれる度にだるんだるんの肉を掻き分け拭くのだが、すぐにまた汗をかいてしまう
そのような作業を何回か続けながら重機で彼女の体をゆっくりと移動させてゆく
先とは違って今度はお尻からベッドに着地する
なるべく楽な姿勢になるように、ベットは前に向かって下向きに傾けられていた
ちょっぴりセルライトがある巨大な大福と桃が合わさったかのようなお尻をベッドから
はみ出ないよう注意しながら降ろす。
お尻が完全に先に降ろされると太ももがお尻の上に乗っかってしまう場合があるため(尻が
前方に垂れるため)お尻を多少持ち上げつつ太ももを完全に降ろした後お尻を降ろし、最後に
お腹を降ろす。
この一連の作業が彼女にとってのこれからの日常になる。ざっと今までの作業だけで小一時間
今後、ベットの入れ替えは壊れない限り無いが、他に検査をしたり歩行器の訓練をしたり、
体を動かさねばならない事案が多く
起重機による移動に無理にでも慣れなければならない
「先輩、一通りの事はこれで終わりました。後は明日の検査に備えて休んでください」
「うん、まぁでも自分が作っだ検査課目を自分で受けるなんで、因果よねぇ」
「運命みたいなもんじゃないですか、研究者が赤い糸でウィルスと物理的肉体的に
結ばれたんですよ」
「いやぁな運命ね」
「そう気を落とさずに、では先輩また明日会いましょう」
そう言って後輩が立ち去ろうとした時
ぐぅうぅううう!
車のクラクションにも負けないような音がお腹からでてきた
(ぅうう恥ずかしい…)
それを聞いて後輩は忘れていたとばかりに
「あぁ、夕食は先輩もわかっていると思いますが先輩が満足出来るような、
もとい体を維持出来るような大量の料理を、ここじゃ用意出来ないんで
高カロリー流動食になっちゃいますけど、我慢してくださいね」
「…それも味付けは私が考えたんだからわかっているわよ、承知してる」
「では失礼しました」